車に関する技術の進化はめざましいものがあり、車の安全性能の中心はかつてのシートベルトやエアバッグなどの衝突安全性から衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い急発進抑制装置などの予防安全性へと移り変わっています。そのため、現在では車にどのような先進安全技術が搭載されているのかが車選びのポイントのひとつとなるのです。
ここでは、トヨタ「プリウス」の安全性能についてご紹介します。
この記事のPOINT
- トヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を標準装備
- フロントシートのサイドエアバッグ、前後席のカーテンシールドエアバッグも全車に搭載
- プリウスは全車が「サポカーSワイド」に適合
プリウスの安全性能の特徴
プリウスは世界初の量産ハイブリッド車として誕生したこともあり、先進性にも力を入れているモデルといえます。現行のプリウスは2015年10月に登場した4代目ですが、2018年12月のマイナーチェンジではそれまで上級グレードのみの搭載であった予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備し、安全性を高めています。
また、2020年7月にはペダル踏み間違い時の飛び出しを防止する機能も標準装備されるなど、時代に合わせて安全性能を進化させているのも評価できるポイントといえるでしょう。
プリウスに搭載される「Toyota Safety Sense」は単眼カメラとミリ波レーダーの2種類のセンサーを使用して車両の周囲の状況を認識し、状況に応じてブレーキやステアリングの制御を行うシステムです。
さらに全車に運転席・助手席のエアバッグに加えフロントシートのサイドエアバッグ、前後席カーテンシールドエアバッグも標準装備されており、衝突安全性にも配慮されています。
プリウスの「Toyota Safety Sense」の内容
ここからは、プリウスに搭載される「Toyota Safety Sense」に含まれる先進安全技術について、詳しく見ていきましょう。
プリクラッシュセーフティ
出典:トヨタ「プリウス」特長
ドライバーに危険を警告
前方の車両や歩行者、自転車運転者を単眼カメラとミリ波レーダーで検知し、衝突の危険性があればまず警報やディスプレイ表示でドライバーに危険を知らせます。
制動力を高めて衝突回避を支援
ドライバーが警告に反応しブレーキ操作を行った場合にはシステムがブレーキ踏力をアシストし、制動力を高めて衝突の回避や被害軽減を図ります。
ブレーキ操作がない場合は自動ブレーキを作動
ドライバーが何らかの理由でブレーキを踏めなかった場合にはシステムが自動ブレーキを作動させ、衝突回避や被害軽減をサポートします。
プリウスでは、前方車両と昼間の歩行者と自転車運転者、さらに夜間の歩行者も検知可能。対車両の場合自車速度が約10km/h~、対歩行者や自転車運転者の場合は約10~80km/hで作動します。
レーントレーシングアシスト
車線を逸脱する危険を警告
システムが車線を検知し、車両が車線から逸脱する危険があると判断した場合には警告を発してドライバーに注意喚起します。車線だけではなく縁石やアスファルトなどの境界も認識可能です。
ステアリング操作を支援
さらに、警告に加えて自動で電動パワーステアリングの制御を行い、車線内走行を維持するようにドライバーのステアリング操作をサポートします。
車線内走行を維持するようにサポート
また、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)の作動時には、車線中央を維持するようにステアリング操作をシステムが支援。渋滞時などで車線が見えにくい場合は、先行車に追従走行してステアリング操作をアシストします。
レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)
ドライバーの運転負荷を軽減
システムが先行車を認識し、適切な車間距離を維持しながら追従走行を支援することでドライバーの運転負荷を軽減してくれる機能です。
渋滞時にも対応
プリウスに搭載されるレーダークルーズコントロールは全車速追従式なので、渋滞などで先行車が停止した際には自車も停止し、先行車が発進した場合にはドライバーの操作で再発進し、追従走行を再開します。
オートマチックハイビーム
自動でハイビームとロービームを切り替え
状況に応じてシステムが自動でハイビームとロービームを切り替え、ドライバーの手動切替えの手間をなくしたり、切り替え忘れを防いだりする機能です。車速約30km/h以上で作動します。
ロードサインアシスト
走行中に単眼カメラが道路標識を認識し、ディスプレイに表示することでドライバーの標識見落としを防ぎ、安全運転に貢献する機能です。はみ出し通行禁止、車両進入禁止、一時停止、最高速度の4種類の標識の認識が可能です。
また、これらの機能のほか、「Toyota Safety Sense」に付帯する機能として先行車の発進をドライバーに知らせて出遅れを防止する「先行車発進告知機能」が2020年7月の一部改良で追加されました。
そのほかの先進安全技術
プリウスには全車に標準装備される「Toyota Safety Sense」のほかにも、さまざまな先進安全技術が採用されています。ここではプリウスに採用されている「Toyota Safety Sense」以外の先進安全技術にはどんなものがあるのか、見ていきましょう。
パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)
出典:トヨタ「プリウス」特長
障害物との距離を知らせる「クリアランスソナー」
「クリアランスソナー」はフロントとリアに設置された超音波センサーで周囲の状況を確認し、障害物との距離に応じてブザー音を変化させることでドライバーに障害物との距離を知らせる機能です。
低速取り回し時の衝突回避や被害軽減をサポート
トヨタではクリアランスソナーにハイブリッドシステム出力の抑制やブレーキ制御を組み合わせ、ペダルの踏み間違い時など低速時の取り回しにおける衝突回避や被害軽減をサポートする「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」に相当する機能としています。
ブラインドスポットモニター(「Aプレミアム“ツーリングセレクション”」「Aプレミアム“ツーリングセレクション・Black Edition”」「Aプレミアム」「A“ツーリングセレクション”」「A」「S“Safety Plus II”」に標準装備)
死角に入った車両を検知
隣車線を走る車両をレーダーで認識し、ドライバーの死角エリアに車両が入るとその車線側のドアミラーのLEDインジケーターを点灯させて接近車両の存在を知らせます。
安全な車線変更をサポート
その状態で接近車両のいる方向のウィンカーを作動させると、LEDインジケーターを点滅させてドライバーに注意喚起を行い、車線変更時の安全確認をサポートする機能です。
シンプルインテリジェントパーキングアシスト(巻き込み警報機能付き)(「Aプレミアム“ツーリングセレクション”」「Aプレミアム“ツーリングセレクション・Black Edition”」「Aプレミアム」「A“ツーリングセレクション”」「A」に標準装備)
超音波センサーが周囲の障害物を検知し、駐車スペースを判断します。さらに駐車スペースの前で停車し、スイッチを押すとシステムが後退開始位置への誘導を行い、ステアリングの操作を自動でアシストする機能です。ペダル操作やシフト操作はドライバーが行います。
さらに、車両側方の障害物の巻き込みをドライバーに知らせる機能も付属しています。
プラスサポート(全車にディーラーオプション)
2020年7月の一部改良では、専用のスマートキーで解錠すると自動でシステムを起動させ、障害物を認識していない状態でもアクセルの踏み込みすぎを検知すると加速を抑制する「プラスサポート」が採用されました。使用者に応じて専用キーと標準キーの使い分けも可能です。
プリウスにはこのほかにも駐車場から後退して出庫する際などに接近車両の存在を検知して危険を知らせる「リヤクロストラフィックアラート」や、周囲の安全確認をサポートする「パノラミックビューモニター」などがあります。
プリウスは全車が「サポカーSワイド」に適合
経済産業省や国土交通省が普及を推進している先進安全技術搭載車「サポカー」には4つの分類があり、最も上位の分類である「サポカーSワイド」には車両と歩行者を検知する衝突被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い急発進抑制装置、車線逸脱警報、先進ライトの搭載が必要です。
プリウスは、全グレードが「サポカーSワイド」に該当する安全性能を有しています。
優れた燃費性能と誰もが安心して使用できる安全性能を持つプリウスは、これからも幅広い層に支持されていくことと思われます。
よくある質問
Q1:プリウスはどの「サポカー」に該当するの?
A:プリウスはトヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」やペダル踏み間違い急発進抑制装置に該当する機能を標準装備しているため、全車が「サポカーSワイド」に該当する安全性能を有しています。
Q2:プリウスの「Toyota Safety Sense」にはどのような機能が含まれているの?
A:昼夜の歩行者や昼間の自転車も検知する「プリクラッシュセーフティ」、高速道路でのドライバーの運転負荷を大幅に軽減する「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)、レーダークルーズコントロールの作動時に車線中央付近の走行を維持するようにステアリング操作をサポートする「レーントレーシングアシスト」などさまざまな機能が搭載されています。
Q3:「プラスサポート」って何?
A:全車にディーラーオプション設定がある「プラスサポート」は、専用のスマートキーでドアを解錠するとシステムが起動し、障害物の有無にかかわらずペダルの踏み間違いや踏み込みすぎを検知して加速を抑制する機能です。
※この記事は2022年5月時点の情報で制作しています