ディーラーや整備工場に車検を依頼すると、約2〜3日は車を預けなくてはいけません。通勤や買い物、送迎などで日常的に車を利用している場合は、その間の代車をどうするかを悩んでいる方は多いのではないでしょうか。これまでは車検の申込み者に代車の貸し出しを行うのが一般的でしたが、現在では事故の可能性や利用者のモラルの低下などを考慮して貸し出しを行わない業者もあります。
そこで、車検時の代車の現状と代車を借りる際の注意点などについてご紹介します。
この記事のPOINT
- 代車の貸し出しの有無は、業者や店舗によって異なる
- 代車を借りたい場合は車検の申込みと同時に行う
- 代車を借りたくない方は1日以内で完了するスピード車検がおすすめ
代車の利用に費用はかかる?
車検中の代車の提供は、基本的には店舗からのサービスという位置づけです。そのため、試乗車などを無料で提供したり代車を有料で貸し出したり、サービスの内容は店舗によって異なります。以前は車検時の代車の無料貸し出しが一般的でしたが、有料化などは客側のマナーの変化が影響しているといわれています。また、フランチャイズの車検専門店のように、数時間〜1日以内で完了するスピード車検では、代車の貸し出しサービスを行っていないこともあります。
〈業者別の代車の貸し出しについて〉
ディーラー | 車検専門店 | カー用品店 | ガソリンスタンド | 整備工場 | |
---|---|---|---|---|---|
特徴 | ほとんどの場合 借りられる。 車検申込み時に 予約をすると安心 | 1日以内に終わるため、 貸出しを行わない場合 も多い。 車検のコバックでは 無料 | イエローハットは 貸出しあり・ カーコンビニ倶楽部 では店舗によって 異なる | 出光やENEOSでは 無料貸出し。 コスモ石油では 予約時に申込みが 必要 | 無料で借りられる ことが多いが、 整備工場によって 在庫や台数が異なる |
ここでは現在の代車の提供について、いくつかの例を見ていきましょう。
例1. 試乗車などを無料で貸し出す
国内メーカーのディーラーや車検専門店の多くは、試乗車やメーカーのロゴ入り車を無料で貸し出しています。しかし、数に限りがあるので、車検依頼が集中している時期には借りられない可能性もあるでしょう。また、ディーラーや民間整備工場と付き合いが長い場合には、お得意様として無料で代車を用意してもらえることがあります。
例2. 代車を有料で貸し出す
業者が用意した代車を1日数千円程度の使用料で貸し出すこともあります。この場合、見積もりに代車費用が含まれていることが多いため、代車が不要の場合は申し出るようにしましょう。
例3. レンタカー会社を紹介する
業者が代車を用意するのではなく、レンタカー会社を紹介してくれることもあります。レンタカーを利用する際には契約書を交わして貸し借りを行うため、事故対応や補償なども明確で安心できるというメリットがあります。
代車を借りる際に気をつけるべきこと
代車の貸し出しに関するルールは業者によってさまざまです。料金や契約内容が曖昧なまま借りてしまうと、トラブルにつながることもあるので、代車を借りる際はどんなルールになっているのかしっかりと確認することが大切です。なお、車を返却する際は借りたときの状態に戻すことを心がけ、使った分のガソリンは補充したり汚れがついた部分は掃除したりするのがマナーです。
代車を借りる際には、次のポイントをチェックしておきましょう。
・価格
貸し出しが有料なのか無料なのかは、最も大事なポイントです。代車サービスを希望する場合は、車検の見積もりを取る段階でしっかりと確認しておきましょう。
・傷
車の傷はいつついたかがわかりにくく、トラブルになる原因となります。そのため、あらかじめ傷の確認をしておくか、借りた時点の車の状態を写真などで残しておくと安心です。
・ガソリン
代車は車の貸し出しサービスのため、ガソリンまでついてくるわけではありません。貸し出しの際のガソリンの量はさまざまですが、使用した分は給油して返却するようにしましょう。
・保険
万が一事故を起こしたり傷をつけてしまったり場合の修理費用について、どちらが負担するかなど、保険の内容も確認しておきましょう。
・洗車
給油のように必ず行わなくてはいけないものではありませんが、利用中に汚してしまった場合は清掃や洗車を行うようにしましょう。
・貸出し期間
基本的には、車検が終わるまで借りることができます。返却日や返却方法も確認しておくと安心です。
代車で事故を起こしたらどうなるの?
代車を運転中に事故を起こしてしまった場合、利用者の費用負担がどうなるかは、代車の保険加入状況によって異なります。なお、レンタカーと業者から代車を借りた場合では、次のような違いがあります。
レンタカーを借りる場合
レンタカー会社から車を借りる際にはあらかじめ保険についての説明があり、事故時の利用者の負担額についても説明してくれるので問題になることはないでしょう。また、レンタカー料金には保険料が含まれているので、そこから一定の補償を受けることができるのが一般的です。
業者から代車を借りる場合
一方、業者が代車を用意して貸し出している場合は、その車が保険に加入しているかいないかは業者によってさまざまです。また加入していても補償内容は最小限にとどまり、すべての損害をカバーするには足りないこともあります。
そこで、最近では利用者が加入している自動車保険に付帯する他車運転危険補償特約を使って対処するのが主流となっています。他車運転危険補償特約とは、保険の加入者が自分以外の車を運転して事故を起こした場合でも、自分の車の保険内容に準じた補償が受けられるというものです。かつては業者の加入した保険が優先的に使われるという法律がありましたが、現在では代車の保険加入状況に関わらず、利用者の保険を使うことができるようになりました。しかし、代車を借りる際には事故の際の対応について確認しておくのがおすすめです。
代車を借りる前にサービス内容を確認しよう
代車の提供の仕方は業者によってさまざまです。曖昧なまま利用するとトラブルにつながることもあるので、有料か無料か、事故の際の保険の使用はどうなるのかなど、万が一のことも考えて、利用前にしっかり確認するようにしましょう。
よくある質問
Q1:車検時の代車費用はかかる?
A:車検時の代車の利用についての対応は業者によって異なります。ディーラーや車検専門店などでは試乗車などを無償で貸し出すこともありますが、業者によっては代車を手配して有料で貸し出したりレンタカー会社を紹介したりすることもあります。なお、車検専門店のように即日対応のスピード車検が主体の業者では、代車の貸し出しサービスを行っていない場合もあります。
Q2:代車を借りる際に気をつけたいポイントは?
A:代車に関するルールは業者によってさまざまなので、借りる際に規約を確認しておくことが大切です。また、後のトラブルを防ぐためにも無料か有料か、借りた時点の傷やガソリンの状況、保険については最低限確認しておきましょう。
Q3:もしも代車で事故を起こしてしまったら?
A:代車で事故を起こした場合、その代車がレンタカーの場合には料金に保険料が含まれているので一定の保証を受けることができます。しかし、業者から代車を借りた場合は、その車が保険に加入しているかどうかは業者によって異なり、事故の対応もさまざまです。近年では利用者が加入している自動車保険付帯の他車運転危険補償特約でカバーするケースも多くなっています。
※記事の内容は2020年8月時点の情報で制作しています。