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「スバルBRZ&トヨタGR86プロトタイプ」スポーツカーに乗ってみたいなと思っているすべての人に(岡崎五朗レポート)

「スバルBRZ&トヨタGR86プロトタイプ」スポーツカーに乗ってみたいなと思っているすべての人に(岡崎五朗レポート)
「スバルBRZ&トヨタGR86プロトタイプ」スポーツカーに乗ってみたいなと思っているすべての人に(岡崎五朗レポート)

この記事は、 5 分で読めます。

待望の2代目が登場したスバルBRZとトヨタGR86のプロトタイプに岡崎五朗さんが一足早く試乗しました。マニアックすぎた先代に比べると、新型は見た目もカッコよく、そして初心者からプロドライバーまで魅了する走りを獲得し、スポーツカーに興味がある人、その多くにアピールする魅力を備えているようです。

マニアックすぎた先代BRZ&86

マニアックすぎた先代BRZ&86

正直に告白すると、先代スバルBRZ&トヨタ86を僕は余り高く評価していなかった。もちろん、安価にFRスポーツを提供するというコンセプトには大賛成だったし、そのための手段としてトヨタとスバルがタッグを組むという画期的な取り組みも高く評価していた。加えて言うなら、その結果出来上がった86&BRZの走りは、街中でもワインディングロードでもサーキットでも「楽しい!」のひと言だった。

ならばどうして評価していなかったのかといえば、ちょっとマニアックすぎるというか走り好きに的を絞りすぎているというか、そんな香りを感じていたからだ。一部の走り好きにとってはど真ん中だったことは認めつつも、「一度はスポーツカーに乗ってみたい」と思っている人や、「ようやく子供が独立したからもう一度スポーツカーに乗りたい」と考えているその他大勢のスポーツカー購入予備軍にとって、その垢抜けないデザイン、質感という言葉とは無縁なインテリア、必要以上にドリフトを強調するPR手法(特に86)などは十分な共感を得られなかったのではないだろうか。

一台のスポーツカーは街の風景を変える

一台のスポーツカーは街の風景を変える

もちろん、スポーツカーにとって走りは命だ。しかしそれだけがスポーツカーの魅力じゃない。誰が言ったか「一台のスポーツカーは街の風景を変える」という言葉がある。グレーのビル街も、あるいはのどかな田園風景も、そこに一台のスポーツカーが存在するだけでグッと色付いて見える。そんな不思議な力がスポーツカーには備わっている、いや備えているべきだ。そんな観点から眺めたとき、先代86&BRZには不十分な点があった。ものすごくシンプルに言ってしまえば、色気に欠けていたのだ。

ああカッコいいなと思えた

ああカッコいいなと思えた1

ああカッコいいなと思えた2

その点、新型は大きな進化を果たした。エンジンの排気量が2Lから2.4Lになって動力性能が向上したとか、ボディ剛性が大幅に高まったとか、タイヤのグリップが強力になったとか、86とBRZで走りのキャラクターがこれまで以上に差別化されたとか、注目すべきポイントはたくさんある。しかしそれ以前に、眺めた瞬間、ああカッコいいなと思えた感情を僕はまず皆さんと共有したい。

ああカッコいいなと思えた3

ああカッコいいなと思えた4

光を受けて美しい陰影を作りだすフロントフード左右の峰、グッと張りだしたリアフェンダーの美しい造形、絞り込みを強めたコンパクトなキャビン、美しい弧を描いたルーフラインからダックテール状になったテールエンドまでのデリケートなライン・・・どれもが先代にはなかったセクシーさを表現している。

「スポーツカーのある生活」を想起させるエモーショナルな要素

「スポーツカーのある生活」を想起させるエモーショナルな要素1

「スポーツカーのある生活」を想起させるエモーショナルな要素2

「スポーツカーのある生活」を想起させるエモーショナルな要素3

「スポーツカーのある生活」を想起させるエモーショナルな要素4

懸案だったインテリアの質感も、まあこれなら嫌ではないな、と思えるぐらいまでは改善された。ただしナビが汎用2DINタイプなのはちょっと残念。インテリアデザイナーがトータルコーディネートした専用品だったらもっとカッコよくなっていただろうし、あるいはせっかくメーターをデジタル化したのだから、アウディTTのようにセンター部から液晶を排除してクラシカルかスポーツカーテイストを与える手もあったと思う。といった細かい注文はあるけれど、トータルとして新型BRZとGR86には「スポーツカーのある生活」を想起させるエモーショナルな要素が間違いなく盛り込まれている。サーキットに行ってタイムアタックをしたりドリフトしたりしなくても、こいつを手に入れたら楽しそうだなと思える要素をついに獲得した。

動力性能だけでなくフィーリング面もスポーツカーに相応しい

動力性能だけでなくフィーリング面もスポーツカーに相応しい

というわけでお膳立てはできた。ここからは走りだ。まずは2.4Lエンジンだが、予想以上にパワフルかつ気持ちのいいエンジンに仕上がっていた。エンジン自体は同じだがスロットル特性の違いによってBRZはリニア、86はビビッドと細かな特性の違いを与えているものの、全域で厚みを増したトルク、トップエンドの伸びきり感、いまとなっては貴重なショートストローク型ならではの鋭い吹け上がり、フラット4らしい滑らかさ、専用スピーカーを使ったサウンドエンハンサーによる刺激的な高周波サウンドなど、動力性能だけでなくフィーリング面にもスポーツカーに相応しい特性が与えられている。今回は発売前のプロトタイプということでサーキットでの試乗だったのだが、パワー不足を感じがちなサーキットでも「こいつは速いぞ!」と感じられるパンチ力を見せつけた。

初心者でも扱える懐の深さを持ちつつ、プロドライバーでも熱くなれる切れ味

初心者でも扱える懐の深さを持ちつつ、プロドライバーでも熱くなれる切れ味1

加えて、よりグリップの高まったタイヤと強靱なボディ、抜群のコントール性を誇るサスペンションなどがあいまって、コンマ1秒を削り取る本気の走りからドリフトを楽しむ走りまで、ドライバーのスキルに応じたエンターテインメントを提供してくれる。初心者でも扱える懐の深さを持ちつつ、プロドライバーでも熱くなれる切れ味を備えているのもいいなと思った部分だ。

初心者でも扱える懐の深さを持ちつつ、プロドライバーでも熱くなれる切れ味2

いずれにしても、新型BRZ&86はパフォーマンスの向上に加え、オーナーの感性を揺さぶるエモーショナルな要素も高めてきた。サーキットに行くつもりがなくても、あるいはドリフトをするつもりがなくても、スポーツカーに乗ってみたいなと思っている人には最低限でも検討、できれば試乗してみることをオススメする。

(写真:スバル・トヨタ)

※記事の内容は2021年8月時点の情報で制作しています。

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