近頃は人気薄な「セダン」というジャンル。しかしセダンには他のボディタイプにはない美点もたくさんあります。もしもこれから「あえてセダン」を選ぼうとするならば、どんなモデルを、どのような観点でチョイスすればいいのでしょうか?専門家が解説します。
この記事のPOINT
- その昔セダンが一番人気だったのは「他にマトモな選択肢がなかったから」
- 現在、販売台数ランキングの上位にセダンはほとんど入っていない
- だが「独自の魅力を持つおすすめセダン」は今なお豊富に存在している
セダンはなぜ売れていないのか?その理由とは
昭和の時代までは「車といえばセダン!」という状況だったはずですが、現在はSUVやミニバンに押され、正直あまり売れていません。なぜ、セダン人気は衰退してしまったのでしょうか?時代全体の変遷を基に考察してみます。
昔はセダン以外に「家族が普通に乗れる車」がほぼ存在していなかった
1964年の東京オリンピックを契機に日本のモータリゼーション(自動車の普及)が本格化して以来、1990年代初頭頃まで、4ドアセダンは一番の売れ筋でした。
30年ほど前まではセダンがきわめてよく売れていた理由は、「それが車の基本形だから」というのもあるのですが、より突っ込んでいうのであれば「セダン以外にマトモな乗用車がなかったから」です。
現在でこそ完全に市民権を得ているステーションワゴンは、1990年頃までは「ライトバン」と呼ばれる簡素な作りの商用車しかありませんでしたし、ミニバンも「ワンボックス車」と呼ばれた商用車ばかりでした。今はSUVと呼ばれているジャンルの車も、昔のそれはタフでゴツい本格オフローダーしかありませんでしたので、普通の人が舗装路で乗るような乗り物ではなかったのです。
そういった状況下で人々が乗用車を選ぼうとすると、選択肢は、小さいほうから順に「軽自動車」「小型車」「クーペ」「セダン」しかなくなります。そして「大人2~4人が荷物を載せて快適に移動する」という目的を果たすには、軽自動車と小型車、クーペはどうしたって今ひとつ合致しません。
過去、セダンがよく売れていた理由は「人々がそれを好んでいたから」というのが表向きの正解ではあるのですが、その裏には「それしかなかったから」という、身もフタもない理由が存在しています。
「どうせ乗るなら車内は広いほうがおトク」というユーザー心理
しかし1990年頃から状況が変わりました。それまでは「商用ライトバン」しかなかったワゴン車のジャンルに「スバル レガシィ ツーリングワゴン」というきわめて優秀な乗用ステーションワゴンが登場。さらにはミニバンも、「ワンボックス車」と呼ぶには申し訳ないほど快適で、走行性能もまずまず高い乗用タイプが多数登場してきました。
さらにその後は「クロカン四駆」と呼ばれていたゴツい車の世界も、「SUV」と呼ばれる「舗装路も快適に走れるクロカン風デザインの車」が何車種も登場するに至ると、人々は思うわけです。「……どうせ車を買うなら、車内や荷室がさほど広くないセダンより、もっと広さと高さがある車のほうがおトクなのでは?」と。
そのようにして「ステーションワゴンブーム」と「ミニバンブーム」が巻き起こり、現在はその後を受けた「SUV」が一大ブームになっています。そして、セダンはそれらに対して「今ひとつ便利じゃない」ということで敬遠され、徐々に衰退していったのです。
2022年の販売ランキングの上位にセダンはほとんどない!
まずは「今、どんなセダンが売れているのか?」ということがわかる新車販売台数ランキングを見てみましょう。……しかしながら2022年の販売ランキング上位50傑に入っているセダンはわずか4車種であり、より正確にいうなら「実質2車種しかランクインしていない」という結果が出てしまいました。とはいえ「根強い人気があるセダンは、今でもそこそこ売れている」という結果も、同時に見て取れるようです。
■2022年(1~12月)乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 168,557 | 79.2 |
2 | カローラ | トヨタ | 131,548 | 118.7 |
3 | ノート | 日産 | 110,113 | 122.1 |
4 | ルーミー | トヨタ | 109,236 | 81 |
5 | ライズ | トヨタ | 83,620 | 102.1 |
6 | フリード | ホンダ | 79,525 | 114.3 |
7 | アクア | トヨタ | 72,084 | 99.4 |
8 | シエンタ | トヨタ | 68,922 | 119.2 |
9 | フィット | ホンダ | 60,271 | 102.5 |
10 | アルファード | トヨタ | 60,225 | 63.4 |
11 | ノア | トヨタ | 57,696 | 130.5 |
12 | セレナ | 日産 | 57,513 | 97.6 |
13 | ヴォクシー | トヨタ | 55,545 | 79.3 |
14 | ヴェゼル | ホンダ | 50,736 | 96.3 |
15 | ソリオ | スズキ | 41,590 | 93 |
16 | ステップワゴン | ホンダ | 37,966 | 96.7 |
17 | ランドクルーザーW | トヨタ | 35,390 | 105.7 |
18 | ハリアー | トヨタ | 34,182 | 45.8 |
19 | パッソ | トヨタ | 32,990 | 101.4 |
20 | プリウス | トヨタ | 32,675 | 66.4 |
21 | CX-5 | マツダ | 31,399 | 140 |
22 | RAV4 | トヨタ | 31,118 | 62.7 |
23 | スイフト | スズキ | 25,113 | 107.3 |
24 | フォレスター | SUBARU | 25,096 | 109.6 |
25 | MAZDA2 | マツダ | 24,429 | 99.1 |
26 | インプレッサ | SUBARU | 23,042 | 85.8 |
27 | ロッキー | ダイハツ | 22,223 | 103.9 |
28 | キックス | 日産 | 18,697 | 53.4 |
29 | エクストレイル | 日産 | 18,066 | 150.3 |
30 | ジムニーワゴン | スズキ | 17,820 | 128.2 |
31 | クラウン | トヨタ | 17,767 | 83 |
32 | アウトランダー | 三菱 | 17,662 | 713.9 |
33 | デリカD5 | 三菱 | 16,838 | 113.8 |
34 | CX-30 | マツダ | 16,176 | 83.6 |
35 | レヴォーグ | SUBARU | 14,275 | 56.1 |
36 | MAZDA3 | マツダ | 14,020 | 85.7 |
37 | 86 | トヨタ | 13,341 | 364.3 |
38 | シャトル | ホンダ | 12,941 | 94.9 |
39 | CX-8 | マツダ | 12,934 | 77.9 |
40 | リーフ | 日産 | 12,732 | 117.4 |
41 | クロスビー | スズキ | 12,315 | 99.3 |
42 | C-HR | トヨタ | 11,811 | 65.3 |
43 | トール | ダイハツ | 11,527 | 78 |
44 | レガシィ | SUBARU | 9,697 | 482 |
45 | ロードスター | マツダ | 9,578 | 177.6 |
46 | ハイエースワゴン | トヨタ | 9,175 | 107.3 |
47 | シビック | ホンダ | 8,773 | 103 |
48 | CX-3 | マツダ | 8,409 | 100 |
49 | マーチ | 日産 | 8,200 | 93 |
50 | エクリプスクロス | 三菱 | 7,693 | 86.6 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。例:カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
※ 前年比欄について、前年の台数がない場合や、前年比の桁数が5桁を超える場合は空白で表示しています。
上の表は昨年1年間に販売された軽を除く乗用新車の台数ですが、「トップ50」という、かなり広めに採った売れ筋圏内に入ってきたセダンはわずか4車種。そしてその4車種の内容を細かく見ると、話はさらに悲惨になります。
2022年に一番売れたセダンは全体で2位に輝いた「トヨタ カローラ」ですが、これはステーションワゴンとハッチバック、SUVを含むカローラシリーズ全体の数字ですので、カローラセダン単体はそのうちの10~20%ほどでしかないと推定されます。
その次に売れたセダンは全体20位の「トヨタ プリウス」ですが、これはメーカーが「セダン」と呼んでいるだけで、実際は、一般的なセダンとは少し異なるタイプの車。全体40位の「日産 リーフ」も、メーカーはセダンと呼んでいますが、実態は少々異なるでしょう。
そう考えると、2022年に「それなりの数が売れた正統派セダン」は、全体31位に入った「トヨタ クラウン」と、推定で約1万3,000~2万6,000台が売れたカローラ セダンだけである――という寂しい結果になります。
■2022年12月乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | カローラ | トヨタ | 11,202 | 94.6 |
2 | ヤリス | トヨタ | 11,192 | 66.2 |
3 | シエンタ | トヨタ | 9,348 | 270.6 |
4 | ノート | 日産 | 8,571 | 110.7 |
5 | ルーミー | トヨタ | 7,329 | 74.3 |
6 | フリード | ホンダ | 6,298 | 118.1 |
7 | アクア | トヨタ | 5,770 | 64.1 |
8 | ノア | トヨタ | 5,262 | 145.5 |
9 | ヴォクシー | トヨタ | 5,136 | 85.3 |
10 | ヴェゼル | ホンダ | 4,954 | 110.7 |
11 | フィット | ホンダ | 4,884 | 109.4 |
12 | ソリオ | スズキ | 4,190 | 170.5 |
13 | アルファード | トヨタ | 4,114 | 76.6 |
14 | ステップワゴン | ホンダ | 4,037 | 124.6 |
14 | セレナ | 日産 | 4,037 | 133.9 |
16 | ライズ | トヨタ | 3,312 | 46.7 |
17 | クラウン | トヨタ | 3,283 | 259.9 |
18 | RAV4 | トヨタ | 2,853 | 129.8 |
19 | ランドクルーザーW | トヨタ | 2,848 | 108.9 |
20 | フォレスター | SUBARU | 2,455 | 91 |
21 | パッソ | トヨタ | 2,264 | 92.4 |
22 | ジムニーW | スズキ | 2,107 | 234.1 |
23 | インプレッサ | SUBARU | 2,039 | 194.6 |
24 | CX-5 | マツダ | 1,795 | 55 |
25 | ハリアー | トヨタ | 1,713 | 39.4 |
26 | スイフト | スズキ | 1,611 | 78 |
27 | MAZDA2 | マツダ | 1,570 | 67.4 |
28 | プリウス | トヨタ | 1,498 | 51.1 |
29 | デリカD5 | 三菱 | 1,483 | 274.1 |
30 | ロッキー | ダイハツ | 1,413 | 73.7 |
31 | アウトランダー | 三菱 | 1,375 | 124.5 |
32 | リーフ | 日産 | 1,370 | 148.1 |
33 | エクストレイル | 日産 | 1,319 | 252.2 |
34 | CX-60 | マツダ | 1,304 | 22年9月発売 |
35 | MAZDA3 | マツダ | 1,194 | 73.5 |
36 | CX-30 | マツダ | 1,107 | 56 |
37 | トール | ダイハツ | 1,004 | 67.5 |
38 | クロスビー | スズキ | 923 | 117.4 |
39 | CX-8 | マツダ | 901 | 96.7 |
40 | キックス | 日産 | 838 | 47.5 |
41 | ハイエースW | トヨタ | 825 | 129.9 |
42 | シビック | ホンダ | 820 | 89.5 |
43 | レガシィ | SUBARU | 709 | 45.9 |
44 | レヴォーグ | SUBARU | 707 | 120.4 |
45 | C-HR | トヨタ | 701 | 63.9 |
46 | CX-3 | マツダ | 618 | 41.6 |
47 | NX350H | レクサス | 546 | 64.1 |
48 | ES300H | レクサス | 538 | 139.4 |
49 | ZR-V | ホンダ | 535 | 未発売 |
50 | ロードスター | マツダ | 475 | 1032.6 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。例:カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
※ 前年比欄について、前年の台数がない場合や、前年比の桁数が5桁を超える場合は空白で表示しています。
2022年12月単月の販売台数ランキングも、基本的には年間ランキングと似たようなものです。セダンで最も上位に入ったのはトヨタ カローラですが、これは前述のとおりシリーズ合算での数字ですので、4ドアのカローラセダンの販売台数はこのうち10~20%ほどでしょう。
そして全体の17位に、フルモデルチェンジされたトヨタ クラウンが入っています。ただしこれは正確にはSUV扱いとなる「クラウン クロスオーバー」というモデルなわけですが、“クラウン”という老舗ブランドは、セダン人気が衰退している現代においても根強い人気があるということはできるはず。
また全体の23位に入った「スバル インプレッサ」も、販売台数の多くはSUVの「クロストレック」またはハッチバックの「インプレッサ スポーツ(現在はインプレッサ)」だと推定されますが、かなりスポーティなハイパフォーマンスセダンである「WRX S4」も、それなりの数が売れているものと思われます。
セダン人気が衰退しているのはまぎれもない事実ですが、「それでも、根強いファンに支えられているセダンは一部に存在している」と評することができます。
3つのカテゴリー別にセダンのおすすめベスト5を紹介
ひと口に「セダン」といっても、世の中には例えばロールスロイスの超高級4ドアセダンから、比較的お安いトヨタ カローラまで、さまざまなタイプが存在します。ここでは4ドアセダンを「高級」「スポーツ」「毎日の足」という3カテゴリーに分け、「それぞれのカテゴリーにおけるおすすめセダン5選」を考えてまいります。
高級ホテルもゴルフ場も!おすすめの「高級セダン」
セダンといえば、まずは「高級」「フォーマル」といったニュアンスが強く感じられる乗り物だといえるはず。よくいわれる「冠婚葬祭に乗って行けるのがセダン」という価値観は少々つまらないと思いますが、それでも、セダンが「高級ホテルのエントランス前」や「しゃれたゴルフ場」などに似合う存在であることは間違いありません。それでは、そういった場所に似合うこと間違いなしのセダンとはいったいどんなモデルなのでしょうか?
第1位「トヨタ カムリ」
歴代最高の上質さと走りを手に入れたハイブリッドセダン
日本では2017年7月に発売されたトヨタのハイブリッド専用アッパーミドルセダン。「カムリ」としては6代目のモデルとなります。
もともと北米市場でよく売れていたトヨタ カムリは、高級感よりも「比較的お安いのに車内は広い、経済的なFFセダン」であることを特徴としていました。しかし6代目の現行型カムリは「比較的お安いのに車内は広い」という従来からの美点はそのままに、内外装のデザインと質感はグッと上質なものになりました。
そして最新世代のプラットフォームに2.5Lの新エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムがもたらす走りも、非常に強烈でありながら、高級感と上質感があふれるものに仕上がっています。さらにはハイブリッド車ですので、WLTCモード燃費も主要グレードの場合で24.3km/Lと、この種の高級セダンとしてはきわめて良好です。
セダンならではの「上質感」「フォーマル感」と、走行性能の良さおよび少燃費性能の高さが見事に両立しており、それでいて車両価格もまあまあお手頃であるという意味において、トヨタ カムリはこのジャンルのなかでは間違いなくイチ推しの存在です。
第2位「トヨタ クラウン」
これまでのイメージをガラリと変えた革命児
こちらは正確には「クラウン クロスオーバー」という車名であり、トヨタもこの車をSUVとして分類しているのですが、まぁ「ちょっと背が高い4ドアクーペ的なセダンである」と、ざっくりくくってしまっても間違いではないでしょう。
ちょっと前までのトヨタ クラウンは「いかにもおじさんっぽい高級4ドアセダン」でしたが、先代では「スポーティでシュッとしたイメージに変えていこう!」との意思が明確に見えました。
そして先代クラウンの“意思”が完全に成功したようには見えませんでしたが、2022年秋に登場した新型クラウン(クロスオーバー)は、見事なまでに「スポーティーでシュッとしたイメージの高級4ドア車」へと生まれ変わっています。
ハイブリッドシステムのシステム最高出力は234psと349psという2種類がありますが、いずれも強烈なパフォーマンスを披露するとともに、クラウンならではの「超快適な乗り味」も継承。この車であれば、高級感においても走行性能の面でも、どこへ乗って行く場合でも“最高レベルの相棒”となることでしょう。
第3位「マツダ6 セダン」
細かな改良を重ね続けるフラッグシップ
内外装デザインの上質感というかエレガントさにかけては国産現行型セダンでは随一といえそうな、マツダのフラッグシップです。
車名がマツダ6 セダンに変わる前の「マツダ アテンザ」は2012年11月デビューですので、設計年次はいささか古いのですが、その後も度重なる改良が加えられ、直近では2022年12月にも商品改良を実施。ディーゼルターボエンジンの制御を変更して出力特性を向上させるとともに、アクセルペダルの特性や電動パワーステアリングのアシスト特性の見直しにより、コントロール性も向上さらには追従走行機能とステアリングアシスト機能を組み合わせた「クルージング&トラフィックサポート」も追加設定しています。
マツダはマツダ6 セダンに限らず、こういった改良を毎年のように行っていますので、多少デビューが古いモデルであっても、乗り味や機能の面で“古さ”を感じることはほぼありません。
パワーユニットは2Lおよび2.5Lの直4ガソリンエンジンと、2.2Lの直4ディーゼルターボエンジンを用意。どれもいいユニットですが、おすすめはやはり2.2Lディーゼルターボ。どんな長距離であってもまったくもって快適に、そして楽しく、目的地まで到達できるでしょう。
第4位「レクサス IS」
ドイツ製の競合に勝るとも劣らぬ日本の雄
日本を代表する高級車ブランドである「レクサス」の中型セダンで、車格的にはメルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズあたりと概ね同格になります。
こちらもデビュー年次は2013年5月と、いささか(かなり?)古いモデルではあるのですが、2020年11月に「ほとんどフルモデルチェンジ!」ともいえそうなほどのビッグマイナーチェンジを行っていますので、見た目と中身は2013年当時とはまったくの別物です。また2021年9月には「レーントレーシングアシスト(LTA)」の制御内容を見直すなどの細かな一部改良も行われました。
現在用意されているパワーユニットは2L直4ターボと3.5L V6自然吸気、2.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドが主力ですが、2022年11月には5L V8自然吸気エンジンも追加されました。
やや特殊な5L V8を除けば、いずれのパワーユニットを選んだとしても、競合であるメルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズに近いパワフルで上質な走りが堪能できますが、レクサス ISは、それら輸入車よりも全体的な乗り味が良い意味で柔らかいといえます。そのため、日本の道路で使ううえでは海外の競合よりも好印象かもしれません。
第5位「メルセデス・ベンツ Cクラス」
もはやEクラスは必要ないほどの高級感
Cクラスはメルセデスの中では比較的コンパクトな4ドアセダンであるため、「高級ホテルやゴルフ場に似合う」という意味では、ひとつ上の車格である「Eクラス」のほうが適任なのかもしれません。
しかしここ2世代ほどのCクラスは、内外装の質感も走行性能もそれまでの世代と比べて大幅にジャンプアップしており、なおかつエクステリアデザインとそのサイズ感も、パッと見はEクラスと大差ないニュアンスになっています。そのためここは「Cクラスで十分以上!」と断言していいでしょう。
現行モデルのパワーユニットは、出力が異なる2種類の1.5L直4ガソリンターボと、2Lの直4ディーゼルターボエンジン。いずれのエンジンもマイルドハイブリッドシステムが付加されています。普通に走る分には、最高出力170psの1.5L直4ターボにマイルドハイブリッドを組み合わせた「C180」でもまったく不満は出ないはず。またゴルフ場などを向かう高速道路では、ドイツ製高級4ドアセダンならではの「矢のような直進性」を堪能できるでしょう。
走りがいい!おすすめのスポーツセダン
「大人が優雅に運転している」とのイメージも強い4ドアセダンですが、そもそもの重量バランスが良い作りであるため、セダンというのは、その気になればかなりスポーティに走ることも可能です。実際、ちょっと前までは「スポーツセダン」というジャンルが結構な人気を集めていたものです。そして「今でも買えるスポーツセダン」にはどんなモノがあって、おすすめはどれになるのでしょうか?BEST 5をピックアップしてみましょう。
第1位「スバル WRX S4」
強烈にも、快適にも走れる“二刀流”スポーツセダン
スバルならではの「シンメトリカルAWD」という、水平対向エンジンにフルタイム4WDシステムを組み合わせたレイアウトと、2.4Lの強力なターボエンジンが魅力となるミドルサイズのスポーツセダンです。
基本骨格は「インナーフレーム構造のスバルグローバルプラットフォーム」という最新世代のもので、これがきわめて強固であり、そこに取り付けられているサスペンションなどが非常に正確に動くため、コーナリング時は狙ったラインをスパッと走り抜けることができます。
またスポーツセダンではありますが、ドライブモードセレクトを「Normal」または「Comfort」にしておけば乗り心地はあくまでもしなやか。しかし「Sport」または「Sport+」にすれば、最高出力275psの水平対向4気筒2.4Lターボエンジンは猛烈に吠え、そしてトランスミッションは、最新のツインクラッチ式AT並みかそれ以上のスピードで電光石火の変速が行われます。スポーツ性と日常性とが見事に高次元で両立している、なかなか稀有なスポーツセダンであるといえるでしょう。
第2位「日産 スカイライン400R」
伝統的スポーツセダンの最新バージョン
昭和の時代はスポーツセダンとして圧倒的な人気を誇った日産 スカイラインですが、平成の半ば以降は勢いを完全に失い、今や「人気薄モデル」と呼ばれるまでになってしまいました。
しかし現行型スカイラインが2019年7月にマイナーチェンジを受けた際に追加されたトップパフォーマンスグレード「400R」は、人気があろうがなかろうが、とにかく素晴らしいスポーツセダンです。
現行型スカイラインの標準モデルに搭載される3L V6ツインターボエンジンの最高出力は304psですが、こちら400Rは車名どおり(?)405psまで増強されており、電子制御ショックアブソーバーである「インテリジェントダイナミックサスペンション」や、4輪に採用されたアルミキャリパー対向ピストンブレーキなどでシャシーも強化。
また「ダイレクトアダプティブステアリング(DAS)」は若干の慣れは必要ですが、ステアリング操作に対するレスポンスがきわめて高いため、比較的車重のあるこの車の“ノーズの重さ”をまったく感じさせずに走ることを可能にしています。
第3位「レクサス IS500“Fスポーツパフォーマンス”」
ヤバいほど速い5Lセダン!
「おすすめ高級セダン」の項で登場したレクサス ISは全般的に、高級であると同時にスポーティでもあるのですが、そのなかでもトップグレードである「IS500“Fパフォーマンス”」はとりわけスポーティです。
搭載エンジンは最高出力481ps/最大トルク535Nmを発生する5L V8自然吸気で、性能のみならず、伸びやかで気持ちの良い加速時のエモーションや官能的なサウンドも追求されています。またエンジンに合わせて減衰力可変ダンパー(AVS)や電動パワーステアリング(EPS)のチューニングも変更されており、リアにはパフォーマンスダンパーを追加。さらにブレーキはフロント356mm、リア323mmの大径ローターを採用しているため、制動力もかなりのモノです。
全体的には、Normalモードで走る限りは比較的ラグジュアリーなニュアンスですが、ひとたびSport+モードにすると、ヤバいぐらいに速くて気持ちの良い走りに変化します。
第4位「BMW M3コンペティション」
そのままサーキットも走れる超絶セダン
M3は、BMWのモータースポーツ活動などを担うBMW M社が手がけた「3シリーズ」ベースの超ハイパフォーマンスモデル。
搭載エンジンは最高出力510psを発生する3L直6ツインターボ、高回転域で爆発的なまでの力を炸裂させますが、実は低回転域でも普通以上にトルクフルな、扱いやすいエンジンでもあります。トランスミッションは8速ATです。
ボディやドライブトレインを構成するパーツにアルミニウムを多用することで軽量化が追求されており、足まわりには「Mアダプティブサスペンション」を標準装備。山岳部などできわめてスポーティな走りが可能になると同時に、市街地走行時でも意外と快適な乗り心地が実現しています。
とはいえハードなサーキット走行も可能とするため、ブレーキは耐熱・耐フェード性能に優れた大径のディスクローターなどからなる軽量な「6ポッドMコンパウンドブレーキ」を標準装備。オプションとして、より耐摩耗性能と耐熱性能が高い「Mカーボンセラミックブレーキ」も用意していますが、基本的には普通の(?)6ポッドMコンパウンドブレーキでも十分以上の制動力です。
とにかく「ものすごい性能!」と、まるで子どものようにシンプルに驚嘆するほかない、圧倒的クオリティのスポーツセダンであるといえます。
第5位「メルセデスAMG A35 4MATICセダン」
“程良い高性能”が堪能できる1台
メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスシリーズである「メルセデスAMG」のA35 4MATICセダンは、「毎日の足」ではなく「程良く強烈なスポーツセダン」と呼ぶべきコンパクトスポーツサルーンです。
Aクラスセダンの比較的コンパクトな4ドアボディに搭載されるエンジンは、最高出力306psの2L直4ターボで、トランスミッションは7速の「AMGスピードシフトDCT」。エキゾーストシステムには自動制御フラップが備わり、ドライブモードに応じてさまざまにスポーティなサウンドを体感できます。
そして車名が示すように駆動方式はフルタイム4WDで、トルク可変配分四輪駆動「AMG 4MATIC」を採用。前後のトルク配分は100:0から50:50までの範囲で状況に応じて連続的に変化します。
あまりにも強烈すぎるわけではない「程良いハイパフォーマンス」と、この種の車としては比較的現実的な車両プライスが、この車の大きな魅力といえるでしょう。
毎日の足に使うのにおすすめのセダン
「高級」も「スポーツ」も素敵なテーマではありますが、ある種のセダンは、まるで上質な革製スニーカーのように「毎日のちょっと上質な道具」として使うことにも適しています。日々の移動の質を高めると同時に「気楽でもある」ことが魅力の4ドアセダンにはどんなものがあるのでしょうか?BEST 5を見てみましょう。
第1位 「トヨタ カローラ」
ひと昔のカローラとはぜんぜん違う!
ひと昔前までは「凡庸でつまらないが、安いし壊れないのでよく売れている」というイメージが強かったトヨタ カローラですが、最新世代のカローラは、まったくもってそういった車ではありません。シュッとした内外装デザインと、なかなかタイトな走行フィーリングを持つセダンへと大変身しているのです。
しかし「お求めやすい価格」「適度なボディサイズ」「信頼性の高さ」という従来からの伝統的な美点はしっかり残されていますので、「毎日の足として使うセダン」としてはまさに最適な1台であるといえるでしょう。
パワーユニットは1.5L直3ガソリンエンジンと、1.8Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの2種類が用意されています。どちらを選んでもよろしいとは思いますが、走行パフォーマンスと燃費性能の点から「おすすめはハイブリッド」ということになります。
トヨタ自慢のハイブリッドシステムはなかなかパワフルで、それでいてWLTCモード燃費は27.9~30.2km/Lと超低燃費(※FF車の場合)。乗り心地も良好でサイズ感も程良いため、経済的で扱いやすい“足”として大活躍してくれそうです。
第2位 「マツダ3セダン」
デザインコンシャスなカジュアルセダン
マツダ3セダンは2019年5月に発売となったマツダのコンパクトセダン。それまでは「マツダ アクセラ」と呼ばれたモデルの4代目に相当します。
ボディは全長4,660mm×全幅1,795mm×全高1,445mmと、今どきの車としてはまずまず小ぶりで扱いやすいサイズ感ですが、マツダがうたう「エレガントで上質なスタイル」は見事に表現されているように思えます。また「引き算の美学」によってデザインされたインテリアも、シンプルビューティの極致といっていいでしょう。
パワーユニットは1.5Lおよび2Lの直4ガソリン自然吸気と、1.8Lの直4ディーゼルターボ、そして「スカイアクティブX」というやや特殊な方式の2Lガソリンエンジンをラインナップ。2022年8月には、2L直噴ガソリンエンジンがマイルドハイブリッドシステムを備えたタイプに変更されています。
近年のマツダ車に共通する上質な走りが味わえることに加え、内外装のデザインと質感もかなり上質ですので、「“足”とはいえ、毎日の気分を豊かにしてくれるセダンであってほしい」と考える人には最適な1台かもしれません。
第3位 「スバル インプレッサG4」
見た目は地味だが、実は意外と実力派
残念ながら2022年12月で生産終了となってしまいましたが、まだまだ「新車のような中古車」を狙うことができるスバル インプレッサG4は、地味ですが、毎日の足として使うには素晴らしい選択といえる4ドアセダンです。
搭載エンジンは1.6Lまたは2Lの水平対向4気筒自然吸気で、「水平対向である」ということ以外はさほど特徴的ではない、いわば何の変哲もないエンジンではあります。しかしこれが高回転域でも意外と気持ち良く回るユニットで、それがスバル自慢の「スバルグローバルプラットフォーム」という新世代の骨格と組み合わされると、思いのほか気持ち良く、そして思いのほかシュアに走ることができるナイスな4ドアセダンとして、見事に機能するのです。
WLTCモード燃費は15.5~17.2km/Lということで、さすがにハイブリッド車にはまったく及びませんが、「大きすぎず、小さすぎず」といったボディサイズの絶妙さと併せ、なるべく気持ち良く走ることができる「足としてのセダン」を探している人には、大いにおすすめできる1台だといえます。
第4位 「トヨタ カローラ アクシオ」
“5ナンバーサイズ”であることの価値は永遠
トヨタ カローラ アクシオは、現在販売されている最新のカローラセダンの「1つ前」にあたる世代のモデルですが、今なお新型カローラセダンと併売され続けています。
というのも、新型カローラセダンは全幅1,745mmの3ナンバーサイズになりましたが、世の中にはさまざまな事情により「全幅1,700mm以下の5ナンバーサイズじゃないと困る」と考えている人もそこそこの数いらっしゃいます。そういったニーズを受けて、トヨタは旧世代である「カローラ アクシオ」を今なお新車として販売し続けているのです。
そんなカローラ アクシオは、旧世代ですから当然、諸性能は現行型カローラセダンよりも劣ります。しかし「場所を取らない5ナンバーサイズである」ということには、諸性能がちょっと低いことを補って余りある価値があったりもします。
このあたりの価値観は人それぞれ、環境によりけりではありますが、もしもあなたが「セダンはやっぱり5ナンバーサイズのほうが気楽でいい」とお考えになるのであれば、おすすめはコレです。そして諸性能が現行型より劣るといっても、超大幅に劣っているわけでもありません。
第5位 「ホンダ グレイス」
ハイブリッド車は超低燃費な“大穴”
こちらも2020年7月で生産終了となってしまったモデルですが、「ホンダ グレイス」という5ナンバーサイズセダンの中古車も、「毎日の足」として使ううえでは大いにおすすめできる4ドアセダンです。
ホンダ グレイスは、アジア・オセアニア向けに販売されていた4代目シティの日本向けバージョン。ただ、アジア・オセアニア向けの4代目シティがガソリンまたはディーゼルエンジンを搭載していたのに対し、グレイスはハイブリッドです(※途中から1.5Lガソリンエンジンも追加)。
システム最高出力は137psで、「SPORT HYBRID i-DCD」は走行状況に応じて3つの走行モードの中から最も効率のいいモードを自動的に選択。その結果、34.4km/Lというかなりの燃費性能を発揮しました(※FFのハイブリッドDXとハイブリッドLXの場合)。
プラットフォームは先代フィットと共通ですが、ホイールベースを70mm延長することで、後席の足元スペースは1クラス上の「シビック」を上回り、2クラス上のアコード ハイブリッドに迫るスペースを確保されています。また居住スペースだけでなく室内の質感や乗り心地、走行性能についてもホンダは「上級セダン並みを目指した」としており、実際グレイスは、それをある程度達成していたように思えます。
全般的に意外と上質で、燃費は超良好。そして邪魔にならないサイズでもある――ということで、ホンダ グレイスの中古車には“大穴”的な価値があるかもしれません。
ほかにもある!専門家がおすすめする現在・過去・未来のセダン
上記の3ジャンルに入らなかった4ドアセダンにも魅力的なモデルは多々ありますし、現在は新車としては販売されていないモデルや「今後発売される予定のモデル」までを含めれば、4ドアセダンの選択肢は今なお多種多様です。ここでは、そんな現在・過去・未来の4ドアセダンの注目株をピックアップしてみましょう。
第1位「先々代トヨタ クラウン」
“純和風クラウン”の価値を再発見
日本を代表する高級4ドアセダンである「トヨタ クラウン」は、先代(2018~22年)で欧州車的なスポーティー路線へと舵を切り、2022年からの現行型(クラウン クロスオーバー)で、その路線は見事に完成したように思えます。
そんなスポーティー路線ももちろん素晴らしいのですが、従来からのクラウンの伝統的な美点である「あくまでジャパニーズテイストな、日本の道路で乗るには最高に快適な乗り味と雰囲気」も、それはそれで貴重なものであったはずです。
そんな貴重な“遺産”を手に入れるために、先々代にあたる14代目クラウン(2012~18年)の中古車を手に入れるというのも素敵な行為でしょう。
現在、14代目トヨタ クラウンの中古車価格は約100万~約370万円と上下にかなり幅広い状況ですが、概ね190万円前後にて、走行2万km台から3万km台程度のフルノーマル車を見つけることができます。それを購入し、なんとも鷹揚な気分とソフトな乗り味でもって高速道路を超快適にクルーズすることこそが、高級4ドアセダンの本来の姿であるような気もいたします。
第2位「次期型トヨタ クラウン セダン」
詳細は不明だが、2023年秋に発売か?
ちょっと前までの「クラウンらしいクラウン」に回帰してみたい気持ちはありますが、やはり人間は「進化してナンボ」という部分も大であるため、新型のトヨタ クラウンにも大いに注目したいところではあります。
2022年秋に発売された新型クラウンは、まずは「クラウン クロスオーバー」が日本で発売されたわけですが、今後は4ドアセダンである「クラウン セダン」も発売される予定です。
2022年末に中国の広州モーターショーで公開された新型クラウン セダンはエクステリアデザインが公開されただけで、インテリアデザインもパワートレインも非公開であったため、日本で発売される新型クラウン セダンがどのような仕様になるのか、現時点ではわかりません。
しかし情報筋によれば「2023年秋頃には日本で発売される」といわれていますので、従来型の“超ジャパニーズテイスト”とはまったく異なる路線となるはずの新型トヨタ クラウンセダンが提案する価値観を、今から楽しみにしたいと思う次第です。
第3位「メルセデス・ベンツ Aクラス セダン」
ありそうでなさそうな“ちょうどいいサイズ”
「走りがいい!おすすめのスポーツセダン」の項でメルセデスAMGのA45 4MATICセダンをおすすめしましたが、まったくの個人的な見解としては、メルセデスAMGではない「普通のAクラスセダン」で十分以上と思っています。
メルセデス・ベンツ Aクラス セダンは2019年7月に上陸した、現行型メルセデス・ベンツ Aクラスをベースとするコンパクトセダン。ただ、コンパクトといってもスリーサイズは全長4,550mm×全幅1,800mm×全高1,430mmですので、2世代前のCクラスと概ね同程度のサイズ、つまり「普通に使う分には十分なボディサイズ」であるといえます。
またメルセデス・ベンツのセダンが伝統的にFRレイアウトを採用しているのに対し、AクラスセダンはFFですので「ベンツらしくない」といわれることもあります。しかし今どきはFFだからといって操舵フィールに悪いクセがあるということも(普通の速度で走っている限りは)ありませんので、特に気にする必要はありません。
パワーユニットは何種類かあり、どれもいいのですが、3.2Lガソリンエンジン並みのトルクを発生し、なおかつ安価な軽油を使うことができる2Lディーゼルターボエンジンを搭載する「A 200 d セダン」がベストであるように思えます。
ほとんどの車のサイズがかなり大きくなってしまった今、メルセデス・ベンツ Aクラスセダンの程良いサイズ感と、メルセデスならではのきわめて上質な走りが両立している様には、大いに価値があるといえるはずです。
失敗しないセダンの選び方
以上のとおり見てきた「4ドアセダン」を今後購入するとしたら、どういったポイントを重視しながら選ぶと“失敗”の確率が下がり、逆に“満足度”がUPする可能性が高まるのでしょうか?専門家の見解をお伝えします。
探すときは「フォーマル感」を重視する
セダンの美点はさまざまありますが、まずは「フォーマル感がある」という点が第一の美点です。衣服でいうと「スーツを着ているようなもの」といえるでしょうか。とりあえずどこへ行っても様になりますし、問題を引き起こすことがありません(まぁ「真夏の海辺でスーツ」というのはちょっと場違いで似合いませんが)。
そのため、基本的には「なるべくカチッとしたフォーマル感と上質感が感じられるモデルを選ぶ」というのが、充実したセダン生活を営むうえでは重要となるでしょう。
“走り”の評価が高いモデルをピックアップする
フォーマル感に加えて、セダンには「重量バランスが良い」という美点もあります。後方に大きな荷室を背負っているステーションワゴンやSUVは、最近のそれはとっても良く走りはしますが、やはり物理法則の問題から、気持ち良く走るうえではどうしたって後方の荷室が邪魔になります。また四角くて大きいミニバンは、便利な乗り物ではありますが、重量バランスや空力の観点からいうと“論外”に近いものはあります。
そのため、せっかく重量バランスが良い=安全かつ爽快に走ることができるセダンという乗り物を買うのであれば、できるだけ「走りが良い」との評価を受けているモデルを選ぶと、納車後の毎日はより素敵なものとなるはずです。
世の中のトレンドと「セダンの価値」に直接の関係はない
4ドアセダンというジャンルの人気は、日本だけでなく海外の先進諸国でも低下していますし、近頃では新興国と呼ばれている国々でも、セダン以上に「SUV」が人気を集めています。このトレンドはおそらく今後も変わることはないでしょう。しかし「4ドアセダン」というカテゴリーが持つ独自の価値と、世の中のトレンドには、直接の関係はありません。「フォーマルで走りが良くて、なおかつキレイで上品なフォルムでもある」というセダンならではの魅力に引かれるのであれば、4ドアセダンという乗り物は「いつだって買い時」なのです。
よくある質問
Q1:セダン人気が衰退してしまったのはなぜですか?
A:1990年頃から、セダン以外のボディタイプ(ステーションワゴンやミニバン、SUVなど)の基本性能が大幅に向上し、不満なく走れるようになりました。そうなると多くの人は「車内が狭いセダンより、広く使えるミニバン等が買いたい」と思うようになるため、結果としてセダン人気は衰退していきました。
Q2:セダンならではの美点にはどんなものがありますか?
A:まずは「フォーマル感」が強いため、場所を選ばずカッコいい感じ(紳士淑女的な感じ)で乗りこなすことができます。また全体の重量バランスも良好であるため、走行フィールもバンやワゴンなどより優れている場合が多いものです。
Q3:今、おすすめのセダンにはどんな種類がありますか?
A:さまざまありますが、「高級でフォーマルなシーンが似合うセダン」と「スポーティなセダン」「上質なスニーカーのように使えるセダン」という3カテゴリーに分けて、本記事の中で具体的に紹介しています。
※この記事は2023年1月時点の情報で制作しています