無理をすれば、どんな車であってもアウトドアのお供にすることは可能です。しかし「不向きな車」を買ってしまうと、時には「身の危険」すら生じてしまう可能性があります。
ならばどんな車を「アウトドアのお供」として選ぶのが正解なのでしょうか?やっぱり4WDは必須なのか?そしてボディサイズもある程度大きいほうがいいいのか?最新の人気ランキングと併せて、さまざまな観点から「アウトドアで本当に使える車」をご紹介します。
この記事のPOINT
- アウトドアでの活動内容から考えると、ボディタイプは自ずと絞られる
- 4WDは「マスト」ではないが、確実に「ベター」ではある
- アウトドアで車を使いたいなら必須の装備はコレ!
アウトドアにおすすめの車とは?
「4WDかFFか?」という駆動方式はもちろん重要ですが、それ以外に「ボディタイプ」なども、アウトドアでの使い勝手を大きく左右します。どんなタイプの車がアウトドアに向いているのか、ご説明します。
アウトドアに必要な車の性能とは?
車を使ってアウトドア趣味を楽しむためには、おおむね下記のもろもろをクリアする必要があります。
現地まで高速道路などを快適に走行する
アウトドアというと「荒れた道を走る」とイメージしがちですが、実際に荒れた道を走るのは全行程のせいぜい1割ぐらいで、主には舗装された道を走ることになります。そのため、まずは高速道路などを安全かつ快適に走れる基本性能を有している必要があります。
必要な道具類など一式を現地まで運ぶ
整備されたキャンプ場で道具類をレンタルできることもありますが、基本的には「自宅から現地まで自分の道具を持っていき、それを使う」のがアウトドアの醍醐味です。そのため、アウトドアで使う車にはある程度以上の「積載能力」が求められます。
現地近くで、やや荒れた路面を安全かつスムーズに走りきる
主には舗装された道を走ることになるわけですが、それでもアウトドアを楽しむ現場の近くではほぼ必ず、若干荒れている道を走る必要が生じます。そのため、超本格的かどうかはさておき「ある程度の悪路走破性」は必要です。
現地の車内で休憩したり、場合によっては車中泊したりする
アウトドア趣味は楽しいものですが、時おり休憩を挟まないことには疲れてしまいます。また場合によっては車中泊をすることにもなるでしょう。そのため、アウトドアで使う車は「車内で寝ることもできるタイプ」を選ぶのが得策です。
現地で使用して汚れた道具類などを再び車内に積み込む
アウトドアで使った道具は100%、泥や砂などで汚れまくってしまうものです。そしてその汚れた道具類は、車に積んで家に持って帰らなければなりません。汚れた道具類を車内や荷室に積んだとしても問題ないつくりになっている車が、アウトドアでは確実に重宝します。
アウトドアにおすすめのボディタイプは?
上記から逆算すると、「アウトドアにおすすめのボディタイプ」は自ずと下記のものに絞られてきます。
SUV
箱型ではない2BOXスタイルの、最低地上高がやや高めに作られているボディタイプ。箱型ではないため高速走行も得意で、それでいて最低地上高は高いことから、悪路を走ることも得意としています。また人や荷物のためのスペースも十分に用意されています。ボディサイズはさまざまですが、大きめのものであれば車中泊も可能です。
ミニバン
箱型の、主には3列シートの乗用車。高速走行はSUVよりは不得手ですが、最近のモデルであれば苦手というほどではありません。そして3列目シートを格納すれば、積載能力はSUV以上となります。また「車中泊」をするにはかなり便利なボディタイプでもあります。
ハイトワゴン
一般的な5ドアハッチバック の背を高くしたようなボディタイプ。比較的コンパクトである場合が多いため、ミニバンほどの積載力はありませんが、人を乗せるにも荷物を積むにも、そして行き帰りの高速道路などを走る能力に関しても「好バランス」といえるボディタイプです。これもSUV同様にボディサイズ次第ではありますが、車中泊も普通に可能です。
軽スーパーハイトワゴン
ハイトワゴンの軽自動車版で、背をうんと高くして、後部ドアはスライド式になっています。全体のサイズは小ぶりですが、1~2名ぐらいの少人数でアウトドアを楽しむには十分な使い勝手の持ち主です。とはいえ高速道路を長い距離走るのは決して得意というほどではないため、自宅から比較的近い場所で行うアウトドア趣味に向いています。
【ステーションワゴン】
4ドアセダンの後部に広めの荷室スペースが付帯しているボディタイプ。高さ方向の積載能力には欠けますが、長いものの積載は得意。またセダンに近い形状であるため走行性能が高い場合が多く、行き帰りの運転はラクになります。車としての背の高さがあまりないため、上下方向の窮屈さは若干感じますが、車中泊を行うことも可能です。
アウトドアに4WDは必要か?
四駆などとも呼ばれる四輪駆動車=4WD車は悪路走行が得意というイメージがあります。そのイメージゆえにアウトドアと密接な関係を連想させますが、果たしてマストな機能なのでしょうか。結論から言うと「アウトドアに4WDは“マスト”ではないが、“かなりベター”ではある」ということになります。
4WDでなくても概ね大丈夫だが確実に安全なのは4WD
現在、市街地などの舗装路を普通に走っている車の大半は「FF車」と呼ばれる前輪駆動車で、エンジンやモーターなどの駆動力は前輪のみに伝わっています。そういった前輪駆動車(またはFRと呼ばれる後輪駆動車)でも、泥道や雪道を走るのは決して不可能ではありません。
とはいえ、キャンプ場の近くなどで高低差のある急カーブをゆっくり曲がる際に、路面角度の都合で前輪が浮き気味になってしまい、駆動力が地面に伝わらず、ただただ車輪が空転するばかり――というのは、キャンプ場付近などでよく見る光景です。
そういったことを防ぐ意味で、前輪が空転すると即座に後輪に駆動力が伝わる、もしくは普段から常に四輪を駆動させている「4WD車」を選んだほうが、アウトドアを楽しむ 上では確実であり、安全でもあるということです。
最低地上高やタイヤも大事な要素
またこれは一概にはいえない話ですが、4WD車は「最低地上高」がFF車より高い場合も多いものです。悪路ではすぐに段差や岩などでかなり走りづらくなってしまうのですが、最低地上高が高めであれば、段差や岩などもラクにクリアできたりします。そういった意味でも「アウトドアに使うなら4WDがベター」といえるのです。
とはいえ4WD車は「どんな道でも走っていける万能車」ではありません。仮にオールシーズンタイヤを履いていたとしても、冬場は必ずスタッドレスタイヤに履き替えないと、雪道などで危険な目に遭ってしまうでしょう。
アウトドアに使える装備はこれだ!
アウトドアに車を使うにあたって4WD以外にもないと困る&あると便利な装備を紹介しましょう。
防水加工や撥水加工が施されたシートやラゲッジルーム
「道具類をまったく汚さずにアウトドアを楽しむ」というのは99.9%不可能で、アウトドアを楽しめば必ず、道具類やウェアなどは泥や砂、海水などでかなり汚れます。
それらをいちいち現場でキレイに洗って乾かして…というのも現実的ではないため、アウトドア向けの車に必要な装備としては、まず第一に「防水加工や撥水加工が施されたシートやラゲッジルーム」が挙げられます。それがあれば、使った道具などを気兼ねなく車内にとりあえず放り込めるわけです。
車載の「100V電源ソケット」
そのほか、最近のキャンプ道具は火力ではなく電力で働かせるものが主流になってきています。その意味で、車載の「100V電源ソケット」はもはやマストであるといっていいでしょう。ただしエンジン停止状態での電気の使い過ぎには注意が必要です。ハイブリッド車であればバッテリー容量に余裕がありますが、そうでない場合はエンジンが掛けられなくなる場合もあります。
リアシートのアレンジはできるか、そして簡単か
また必要な道具類を積載するためにはシートを倒したり、あるいは格納してしまったりという「シートアレンジ」が必要になる場合がほとんどです。
大半の車は何種類かのシートアレンジをすることができますが、アウトドアで使うのであればそのアレンジ幅が豊富であるほうが望ましいといえます。また輸入車の一部には「アレンジはできるが、シートなどを動かす機構が妙に複雑だったり、かなりの力が必要だったり」という、要は簡単にはシートアレンジが行えないモデルもありますので、購入時は注意が必要です。
ラゲッジルームはフルフラットになるか
また現地で仮眠をとったり、場合によっては車中泊をしたりする場合があるのもアウトドアというもの。そのためには「車内がフラットになること」が重要なわけですが、車種によっては「いちおうフラットになるとはいっても微妙な角度がある場合や、結局はかなり凸凹ができてしまうため寝づらい」という場合もあります。 車中泊をするならマットを敷くのが一般的な流儀かと思いますが、それでも「なるべくフルフラットに近い形になる車種」「専用オプションを使えばフラットになる車種」を探したいところです。
スマートに積載量を増やすための「ルーフレール」
ルーフレールとは、SUVなどの屋根の両脇に前後方向に装着される2本のレールのこと。モデルによっては標準装備されていますが、オプション扱いになっている場合も多いでしょう。一般的にはルーフレールにバーのついたベースキャリアを取り付け、さらに様々なアタッチメントを使うことでスキー・スノーボードや自転車などを載せることができます。ルーフレールがなくてもベースキャリアを取り付けることはできます。輸入車などにはルーフにベースキャリア用の隠しホールがあることもあります。そのようなものがない車種の場合は車種専用キットでドア開口部上部などにフックで取り付けることになり、手間も費用もかかる上に見栄えもイマイチです。
ルーフレールが装着されている愛車であれば「いかにもアウトドア好きな人」を演出できます。一方で、ルーフレールを装着すると一般的な立体駐車場の1550mmの制限をクリアできないためオプションとしている車種もありますので、そのあたりは注意が必要です。
大きな荷物を屋根に逃せる「ルーフキャリア」
ルーフキャリアとは、その名のとおり屋根(ルーフ)に荷物(キャリア)を載せるためのものの総称です。ルーフレールや車体に組み付けるベースキャリアに専用のアタッチメントを使用することで自転車やスノーボードなどの大きなものも難なく載せることができ、大きな荷物を屋根に逃がすことで、結果として車内を広く使うことができます。雪が落ちきっていないスキーやスノーボード、汚れてしまったBBQ用具などをラゲッジに持ち込みたくない場合にも便利です。
もちろん、単純に「載せられる荷物の量がアップする」というメリットもありますので、キャンプに行く際など、少しでも多い荷物を積んでいきたい場合にも便利なアイテムです。
悪天候でも安心な「ルーフボックス」
ルーフボックスは、ルーフキャリアの中でもおおむね何でも収納できる収納ボックスのことを指します。フタが閉まるため雨に濡れにくく、悪天候の日でも安心して使用できるというメリットがあります。 ただ、装着したままだと機械式駐車場や立体駐車場に入れない可能性もあります。高速での燃費や洗車などの観点から、使わない時期には外した方がいいのですが、結構重たいのでルーフからの上げ下げは大変ですし、置いておく場所の確保とともに導入には少し検討が必要です。
アウトドアに使えるSUV
人気ランキング トップ10
総合的に見て「最も向いている」と考えられるボディタイプは、やはりSUVです。直近ではどんなSUVが人気を集めているのか、2023年度上半期(4~9月)の新車販売台数ランキングを見てみましょう。
第1位 トヨタ「ヤリス クロス」
2023年度上半期にもっとも売れたSUVは、トヨタ「ヤリス」の派生モデルとして誕生したコンパクトSUV、トヨタ「ヤリス クロス」でした。
全長4,180~4,200mm×全幅1,765mm×全高1,580~1,590mmの小ぶりなクロスオーバーSUVですので、「大量の道具を積載して、大人数でアウトドアを楽しむ」みたいな使い方には決して向いていません。また4WDモデルもありますが、「どんな悪路でも走破可能!」といったタイプの四駆システムではないため、その意味でも限界はあります。
しかし「ちょっとしたキャンプ」ぐらいのニュアンスであれば、ヤリス クロスでも十分に使えるものです。また最低地上高も170mmはありますので、キャンプ場近くのちょっとしたデコボコ道であれば普通に走行可能です。
第2位 トヨタ「ハリアー」
ミドルサイズのSUVの 中ではトップクラスの高級感とスタイリッシュさを誇る人気モデル。パワーユニットは2Lガソリン自然吸気エンジンとハイブリッド、それに加えてプラグインハイブリッドの計3種類を用意。それぞれにFFと4WDが設定されています(※プラグインハイブリッド車は4WDのみ)。
都会派に人気のSUVではありますが、ハイブリッド車のE-Fourという電気式4WDシステムと、ガソリン4WD車のダイナミックトルクコントロール4WDは悪路でもその実力を発揮しますし、ラゲッジスペースも広大。荷室にはスライド式のデッキボックスが装備されており、デッキボード下の収納部分に対するアクセス性も良好です。
第3位 スズキ「ジムニー」
いわゆる普通車ではなく軽自動車ですが、アウトドアで使うのであれば下手な普通車の何倍もタフに使うことができるのが、スズキ「ジムニー」という本格軽オフローダー。もともとは山間部や豪雪地帯などで働くプロのために設計された車ですが、現行型はデザイン的にも非常にスタイリッシュで、なおかつ運転支援システムも装備されるようになったため、一般的なアウトドア愛好家からも大人気となっています。
軽自動車ですので「高速道路を快適に走る」という部分については大の得意ということはないのですが、しかし軽自動車ゆえに(ボディサイズが小さいゆえに)、山間部の狭い道でも車幅を気にすることなくスイスイ入っていくことができます。そしてもちろん、悪路に出くわしてしまった場合でも、ほとんど何の苦もなく走破可能です。
4位 トヨタ「ライズ」
トヨタ「ライズ」は、ダイハツが開発したコンパクトSUVのトヨタ版。全長3,995mm×全幅1,695mm×全高1,620mmという扱いやすいサイズ感でありながら、人も荷物もそれなり以上に収容でき、活発な走りも楽しめて、それでいて価格も手頃であるということで根強い人気があるSUVです。
パワーユニットは、FF車は1.2L直3自然吸気エンジンまたはハイブリッドで、アウトドアに向いている4WD車は1L直3ターボエンジンを搭載しています。荷室容量はコンパクトSUVとしてはトップレベルで、荷室の広さと使い勝手を拡張する「2段デッキボード構造」を採用しているのも、アウトドア派的にはうれしいポイントです。
*ライズは開発したダイハツによる不正試験の影響で原稿執筆時点で生産及び販売が停止しています
5位 トヨタ「カローラ クロス」
カローラシリーズ全体としては2023年度上半期に6万7,724台が販売されましたが、そのうち45%がSUVのカローラ クロスであると推測すると、これが「5番目に売れたSUV」ということになります。
ボディサイズは4位のトヨタ「ライズ」よりひと回り以上大きな全長4,490mm×全幅1,825mm×全高1,620mmで、荷室容量も5名乗車時で487Lと、なかなかのもの。カローラ クロス専用設計の「ラゲージアクティブボックス」を使うと、荷物を車外から見えない状態で収納することが可能です。
パワーユニットは2023年10月のマイナーチェンジで1.8Lから2.0Lに変わった直4自然吸気エンジンと、こちらも最新版に切り替わった1.8Lエンジン+ハイブリッドの2種類で、ガソリン車の駆動方式はFFのみ。ハイブリッド車にはFFのほか、マイナーチェンジで7.2psから41psへ大幅に強化された独立式リアモーターで後輪を駆動させる4WD車がラインナップされています。
6位 トヨタ「ランドクルーザー」
ランドクルーザーよりはやや小ぶりな「ランドクルーザー プラド」との合算値によるランキングではありますが、ステイタス性と本格オフローダーとしての資質を併せ持った“ランクル”は、やっぱりよく売れています。
人気が集中したため「注文停止」になっているランドクルーザーは、3.3Lディーゼルターボエンジンまたは3.5Lガソリンターボエンジンを搭載する5人乗り/7人乗りの屈強なSUV。どんな悪路でも入っていけますし、多人数が乗車している場合でも余裕で多くの荷物を積載できます。
一方のランドクルーザー プラドは、ランドクルーザーよりはひと回り小さなサイズですが、こちらも5人乗りと7人乗りの2種類を設定。エンジンは2.8Lディーゼルターボまたは2.7Lガソリン自然吸気です。すでに後継のランドクルーザー250が発表され、2024年前半の発売が予告されています。
7位 ホンダ「ヴェゼル」
7位に入ったのは、2021年4月に発売された2代目のホンダ「ヴェゼル」。トヨタ「カローラ クロス」とおおむね似たサイズの(こちらのほうが少しだけ小ぶりですが)クロスオーバーSUVです。クーペ的なフォルムがカッコいいということで人気を集めていますが、その分だけ、荷室容量はカローラ クロスよりやや少ない404L(ラゲッジルームアンダーボックスを含む)となっています。
パワーユニットは1.5L直4自然吸気エンジンまたはe:HEVという2モーター式ハイブリッドで、その双方に4WDが用意されています(※e:HEV PLaYはFFのみ)。そして後席はダイブダウンして床下に格納されるため、荷室のフロアはきわめてフラットなものにすることが可能です。
8位 トヨタ「RAV4」
サイズ感は2位のトヨタ「ハリアー」と似ていますが、ハリアーよりもアウトドア寄りのつくりになっているのがトヨタ「RAV4」です。
基本となるパワーユニットは2Lガソリン自然吸気エンジンまたはハイブリッドですが、Zというグレードは2.5Lエンジンにモーターを加えたプラグインハイブリッドシステムを採用しています。すべての4WD車に「AIM(AWD Integrated Management)」という統合制御が搭載され、路面や運転状況に合わせてパワートレインやステアリングなどの制御が最適化されるというのが、RAV4の4WD車の強みです。
またラゲッジスペースは後席使用時でも542~580Lというクラストップレベルの容量で、計4個の充電用USB端子も装備。そしてガソリン車とハイブリッド車の双方に設定されている「Adventure」というグレードは、その名のとおりのアウトドアテイストあふれるビジュアルも魅力です。
9位 スズキ「ジムニー シエラ」
スズキ「ジムニー シエラ」は、軽自動車であるスズキ「ジムニー」の普通車版。
基本ボディは軽のジムニーと共通ですが、ジムニーシエラはオーバーフェンダーや大型バンパーなどを備わるため、全長3550mm×全幅1645mm×全高1730mmとなります。またオフローダーとして重要な「最低地上高」はジムニーが205mmで、ジムニーシエラは210mmです。
ジムニーが搭載しているパワーユニットは最高出力64psの660cc直3 ターボですが、ジムニー シエラは最高出力100psの1.5L直4。当然ながらジムニーよりもパワフルですし、またトレッド(左右の車輪の間隔)がジムニーより広い関係で、高速道路などでの乗り心地もジムニー シエラのほうが良好です。そしていうまでもないかもしれませんが、悪路走破性はジムニーと同じく超一級品です。
10位 日産「エクストレイル」
通算4代目となる現行型日産「エクストレイル」は、初代からのDNAである「タフギア」を継承しつつ、新たに「上質さ」も追求した中型のSUV。最新世代のe-POWERだけでなく、電動4輪制御技術「e-4ORCE」も採用し、まったく新しいSUVに生まれ変わっています。
パワーユニットはシリーズハイブリッドである「e-POWER」で、フロントアクスルの駆動用モーターは最高出力204ps。4WD車には同136psのモーターが後輪の車軸にも搭載されています。
新しい電動4輪制御技術である「e-4ORCE」は、前後2つの駆動用モーターとブレーキなどを統合制御することで4輪の駆動力を最適化し、最小限のステアリング操作でコーナーをクリアできるほか、悪路での最適なトラクションも確保します。とにかくよく走る、そしてきわめて乗り心地の良いSUVです。
アウトドアに使えるミニバン
人気ランキング トップ5
多人数が乗れて、ラゲッジスペースの広さと高さもあるミニバンは、アウトドアで使うにも便利なボディタイプ。2023年度上半期(4~9月)の新車販売台数ランキングから、直近の“売れ筋”を調べてみましょう。
1位 トヨタ「ノア」
5ナンバー級ミニバンの超定番売れ筋モデル。現行型は2022年1月にフルモデルチェンジを受け、5ナンバー枠を少し超える車幅になって登場しました。パワーユニットは2Lガソリン自然吸気エンジンまたはハイブリッドで、乗車定員は7~8 人。ほとんどのグレードにFFと4WDの両方が設定されています。
8人乗り仕様の2列目シートは705mmものロングスライドが可能な6:4分割式で、3列目シートの格納方法は跳ね上げ式。ハイブリッド車の車内2箇所に設置されているアクセサリーコンセントは、停電などの非常時に活用できる非常時給電システムを設定。AC100Vの電源により、さまざまな電化製品に対応可能です。
2位 トヨタ「ヴォクシー」
2位のトヨタ「ノア」とは「中身は同じでデザインが異なる」という兄弟車の関係になる、5ナンバー枠の車幅を少しだけ超えている3列シートのミニバン。ノアと比べると、こちらヴォクシーのほうがアグレッシブなイメージが強いデザインになっています。
パワーユニットはノアと同じく2Lガソリン自然吸気エンジンまたはハイブリッドで、ほとんどのグレードにFFと4WDの両方を設定。8人乗り仕様の2列目シートは705mmのロングスライドが可能で、3列目シートの格納方法は跳ね上げ式。ハイブリッド車の車内2箇所に設置されているアクセサリーコンセントからAC100Vの電源を取り出せるというのもノアと同様です。
3位 日産「セレナ」
トヨタ「ノア/ヴォクシー」とおおむね同寸の5ナンバー級ミニバンで、パワーユニットは2Lガソリンエンジンと、日産がe-POWERと呼んでいるシリーズハイブリッドの2種類です。
シンプルな2Lガソリンエンジン車も悪くありませんが、e-POWERの走りは特に秀逸で、アウトドアの現場への往復は間違いなく楽しくて快適なものになるでしょうし、WLTCモード燃費も18.4~20.6km/Lと、なかなかのものです。
そして現行型のセレナはモデル全体として内外装デザインがかなり秀逸。3列目シートの格納方式はトヨタ「ノア/ヴォクシー」と同じ跳ね上げ式ですが、荷室はそれなりに広く使うこともでき、各シート間の距離も長く採られているため、5ナンバー級のボディサイズであっても車内は広々としています。
4位 ホンダ「フリード」
ホンダ「フリード」は、5ナンバーサイズに収まる“ちょうどいいサイズ”の一台。3列シート/6~7人乗りの「フリード」のほか、2列シート/5人乗りとなる「フリード+」もラインナップされています。パワーユニットは1.5Lガソリンエンジンまたはハイブリッドです。
ボディサイズはコンパクトですが車内はまずまず広々としており、3列シート車はシートレイアウトも豊富。そして2列シートのフリード+はシートを「おやすみモード」にアレンジすれば、フラットで寝やすい床面が出来上がります。駆動方式はFFと4WDがあり、デザインにSUVテイストを加えた「CROSSTAR」も人気です。
5位 ホンダ「ステップワゴン」
「#素敵な暮らし」をグランドコンセプトに開発された現行型のホンダ「ステップワゴン」は従来モデルよりボディサイズを拡大して明確に5ナンバーの枠を超え、国内で販売されるホンダ車としては過去最大の車内空間を実現しています。また最近の国産ミニバンではあまり例のないシンプルなデザインも特徴で、全体がクリーンですっきりとしたイメージにてまとめられています。
ラインナップはベーシックな「エアー」と、力強さを重視した「スパーダ」の2種類。さらにスパーダには上級仕様の「プレミアムライン」も設定されています。パワーユニットは1.5Lターボエンジンと、2Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステム「e:HEV」の2種類。ガソリン車では4WD車を選ぶこともできます。
アウトドアに使えるコンパクトカー&軽自動車
人気ランキング トップ5
「小型車や軽でアウトドアを楽しむのは難しい?」と思うかもしれませんが、意外と普通に大丈夫なものです。2023年度上半期(4〜9月)の販売台数ランキングをもとに、アウトドア派に人気のコンパクトカー&軽自動車トップ5をご紹介します。
1位 トヨタ「ルーミー」
排気量1Lのターボ付きまたはノンターボのガソリンエンジンを搭載するコンパクトハイトワゴン。ボディサイズは全長3,705mm×全幅1,670mm×全高1,735mmと小ぶりですが、車内は「ROOMY」という車名どおりに広く使える車です。
6:4分割可倒式のリアシートは最大240mmの前後スライドが可能で、乗員人数や荷物の大きさに合わせた柔軟な使い方ができます。またリアシートを前方にダイブイン格納すれば、自転車などの大きなものや、カーペットぐらいの長いものもらくらく収容できるのもこの車の魅力。さすがは売れているだけあって、何かと使い勝手の良いハイトワゴンです。
2位 スズキ「ハスラー」
こちらはいわゆる普通車ではなくスズキが作っている軽自動車ですが、「軽クロスオーバー」としてのデザインの良さと使い勝手の良さから、非常によく売れています。
パワーユニットはターボ付きとノンターボの2種類。すべてにマイルドハイブリッドシステム(簡易的なハイブリッドシステム)が採用されており、発進や加速は電気モーターのサポートにより非常にスムーズです。
軽自動車ゆえに車体は小さいのですが、シートアレンジによってはなかなかの量の荷物を積載でき、リアシートの背面と荷室の床面は汚れや水分を拭き取りやすい素材。簡単に取り外しできるラゲッジアンダーボックスも、丸ごと洗うことが可能です。
3位 ダイハツ「タフト」
スズキ「ハスラー」とおおむね似たコンセプトと作りとなる軽クロスオーバー。ハスラーと同様、ボディサイズに限界がある軽自動車ではあるのですが、多彩なシートアレンジを自分のスタイルに合わせて調整すれば、けっこうな量の荷物を積むことができます。またリアシートや荷室などが「汚れた荷物を置いても大丈夫な仕様」になっているという点も、スズキ「ハスラー」とおおむね同様です。
細かな違いはもちろんありますが、タフトとハスラーの実力は拮抗していますので、基本的には「好み」で選べばOKです。
4位 スズキ「ソリオ」
1位のトヨタ「ルーミー」とよく似たコンセプト、よく似たサイズ感となるコンパクトハイトワゴンです。というか、「1.2L級エンジンを搭載する便利なハイトワゴン」というジャンルは、そもそもこのスズキ ソリオが開拓したものです。スズキお得意のマイルドハイブリッドに加えて2022年12月にストロングハイブリッドも追加され商品力をアップしています。
販売台数ではトヨタ「ルーミー」に差を付けられていますが、それは主にはトヨタとスズキの販売力や知名度の差でしょう。走行時のしっかり感はルーミーよりもソリオのほうが明らかに上で、車内の広さやシートアレンジの容易さなどに関しても、トヨタ「ルーミー」と比べて特に遜色はありません。
後席を倒せば荷室は広大でフラットな空間となり、2WD車の場合は荷室の下に「もうひとつの収納スペース」であるサブトランクも用意されています。
5位 スズキ「ジムニー シエラ」
SUVのランキングにも登場した、超本格軽オフローダーである「スズキ ジムニー」の普通車版です。ジムニーは全幅1,475mmのボディに660ccの自然吸気エンジンを収めていますが、こちらの全幅は1,645mmで、エンジンも1.5Lの直4自然吸気となります。
「どんな悪路でも平気な顔でクリアできる」という走破性はジムニー同様ですが、こちらは車幅が広い分だけ、高速道路などでの安定性に勝っています。
とはいえジムニーベースですので荷室はさほど広くないのですが、後席を倒せば荷室容量は352Lと十分なものになり、スクエアな室内空間と相まって、限られたスペースを隅まで無駄なく活用することができます。また、使い勝手をさらに高めるユーティリティナットや荷室フックナット、何かと重宝するラゲッジアクセサリーソケットも装備されています。
専門家がおすすめする「 アウトドアに使える車」 5選
以上は2023年上半期(4〜9月)の新車販売台数ランキングにもとづいてご紹介しましたが、仮にランキング圏外であったとしても「おすすめしたい車種」はあります。輸入車や旧車も含めて筆者の経験にもとづく“おすすめ5選”は下記のとおりです。
中型SUVのおすすめ
スバル「フォレスター」
中型サイズのSUVの中からおすすめを選ぶとしたらコレでしょう。デザイン的な“華”には欠ける印象もありますが、スバルならではの抜群の4WD性能と運転支援システム「アイサイト」により、コアなアウトドア派からも高く評価されています。
パワーユニットは2Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせた「e-BOXER」と、1.8Lガソリンターボエンジンの2種類。いずれも動力性能は十分で、アイサイトの威力もあって、行き帰りの運転は非常に快適。長距離を運転しても身体と心はあまり疲れません。
ラゲッジスペースは509L(一部グレードは520L)と大容量で、床下には「カーゴフロアマルチボックス」を用意。かさばる荷物や汚れ物などをすっきり収納することができます。
ミニバンのおすすめ・その1
ホンダ「ステップワゴン スパーダ」
ミニバンをアウトドアに使うとしたらコレがおすすめとなります。超売れ筋であるトヨタ「ノア/ヴォクシー」とおおむね同じぐらいのサイズの5ナンバー級3列シート車です。
最近のミニバンはギラついた感じのフロントマスクが特徴となっていますが、ホンダ「ステップワゴン」はシンプルですっきりした顔つきであるのが特徴。しかしアウトドアで使うとなれば、それ以上に特徴的と いえるが「3列目シートの格納方法」です。
売れ筋であるトヨタ「ノア/ヴォクシー」や日産「セレナ」の3列目は左右に跳ね上げて格納する方式であるため、どうしても荷室が狭くなってしまいます。しかしステップワゴンは「床に押し込む方式」であるため、荷室を広く有効に使うことができるのです。
よりシンプル系デザインな「ステップワゴンAIR」でもいいのですが、安全装備が充実しているのは「ステップワゴン スパーダ」です。
ミニバンのおすすめ・その2
トヨタ「シエンタ」
ステップワゴンやノア/ヴォクシーよりもひと回り小さなサイズ感でもOKであるならば、2022年8月に発売となった新型トヨタ「シエンタ」も、アウトドアで使うにはかなり便利なミニバンです。
3列/7人乗り仕様はそもそもシートアレンジのバリエーションがかなり豊富で、その操作も簡単でラク。そして3列目シートの格納は跳ね上げ式ではなくダイブイン格納式ですので、小さめな車であっても、荷室は広く使うことができます。またそもそも「3列目シートは不要」という場合は2列/5人乗り仕様を選べば、これまた荷室を有効に使うことが可能です。
さらにハイブリッド車であればAC100V・1500Wのコンセント2カ所ありますので、停車している状態でも、さまざまな“電化アウトドアギア”を使うことができます。
ハイトワゴンのおすすめ
スズキ「ソリオ」
このカテゴリーではスズキ「ソリオ」とトヨタ「ルーミー」が競合しており、売れているのはルーミーなのですが、“筆者のおすすめ”はソリオとなります。
どちらも使い勝手はすこぶる良好で、コンパクトなサイズゆえに山間部などでの取り回しもラクである――というのは同じなのですが、大きく異なるのは「走行性能」です。
トヨタ「ルーミー」の走行性能が「あくまで平均的」というニュアンスであるのに対し、スズキ「ソリオ」は「すこぶる良好!」といったレベルの走行性能を披露してくれます。「アウトドアを楽しむのに車の走行性能は関係ない」と思うかもしれません。しかし走行性能が高い車とそうでない車では、行き帰りの運転に伴う疲労度がまったく異なるもの。ソリオであれば行きの運転がラクであるため現地で思う存分遊ぶことができ、帰りも、しっかり安全運転ができるでしょう。もともとマイルドハイブリッド搭載で燃費の良さに定評がありましたが、昨年末にはフルハイブリッドも投入されライバルとの差を広げた印象です。
軽自動車のおすすめ
スズキ「ジムニー」
このカテゴリーではスズキ「ハスラー」という軽クロスオーバーと、その対抗馬であるダイハツ「タフト」もおすすめではあるのですが、やはり「一番のおすすめ」となると、どうしても答えはジムニーになります。
荷室は狭いのですが、軽自動車でアウトドアを楽しみたいという人は、おそらくは3人以上での乗車は考えていないはず。自分1人または2人で、小規模なキャンプなどを行っていることでしょう。そうであるならば、使わない後席は倒して荷室にしてしまえばOKなため、ジムニーの荷室が狭いことは特に問題にはならないのです。
そしてジムニーであれば、他の四駆のSUVがちょっと苦労するような悪路でも涼しい顔で通ることができます。さらには軽自動車ならではの車幅の狭さも、木などが生い茂った山間部では逆に「狭くて良かった!」と思えるものです。
ステーションワゴンのおすすめ
スバル「レヴォーグ」
いわばセダンの後端に荷室を付けたボディタイプであるステーションワゴンは、SUVと比べると最低地上高が低いため、デコボコした道を走ることもあるアウトドアで使うには、若干きびしい場面もあります。
しかし「さほどデコボコはしてない道だけを走る」と決めることができるのであれば、セダン並みの良好な走行安定性が味わえて(つまり行き帰りの運転が快適で)、なおかつ低床でフラットな広い荷室を備えているステーションワゴンは、アウトドア趣味の良き相棒になります。
そういったニュアンスでステーションワゴンを選ぶのであれば、おすすめはスバル「レヴォーグ」です。
最低地上高は140~145mmなので、そこだけは少々キツいかもしれませんが、新世代のプラットフォームと最新世代アイサイト、そしてトルクフルな水平対向エンジンにより、どんなに長距離を運転しても「疲れる」ということがほとんどないのがレヴォーグという車です。それゆえ、現場に到着した後は元気にフルパワーで遊べますし、遊んだ後の疲れた身体でも、安全に自宅まで帰ることができるでしょう。
そして荷室は広くてフラットで、低床であるため重いモノの出し入れもラク。さらに床下には69Lもの容量を誇るサブトランクがありますので、汚れた道具などをそこにとりあえず放り込むこともできます。
レヴォーグには2023年10月にSUVモデルのレイバックが追加されています。基本はレヴォーグと同じステーションワゴンですが、最低地上高が200mmに上がっています。それゆえにレヴォーグのステーションワゴンらしいキビキビした走りとは少々異なるゆるめのキャラクターの持ち主。これはこれで魅力的なのですが、ここではステーションワゴンらしさで勝るレヴォーグをおすすめしておきます。
輸入SUVのおすすめ
ジープ「ラングラー アンリミテッド」
ここまで述べてきたとおり、アウトドアで車を使うといっても荒れた道を走る割合は意外と低いため、車の悪路走破性能は「ほどほど」ぐらいでも十分だったりします。
しかし、なかにはハードな道を走破してたどり着く場所で釣りやキャンプなどをする人もいるでしょうし、そうでないとしても「何かあったときのために」という意味で、本格的な悪路走破性能を求めたい人もいるかもしれません。
そんなときには、ここまで何度か登場したスズキ「ジムニー」またはジムニー シエラを購入すればたいていのことはOKになるのですが、「いや、ジムニー系では小さすぎてちょっと……」という人もいるでしょう。
そんな場合に選びたいのがこの輸入SUV、アメリカのジープ「ラングラー アンリミテッド」です。
この車は米国陸軍の軍用車として開発された「いわゆるジープ」の直系子孫であるため、悪路走破性能は世界的に見てもピカイチなレベル。サイズが邪魔をすることはあるかもしれませんが、基本的にはジムニー系と同様に「この車で行けない場所はない」といったニュアンスです。
そんなジープ「ラングラー」も、先代モデルまでは舗装路での乗り心地が今ひとつで、なおかつ小回りがあまりにも利かないため、普段づかいするにはちょっと難儀する車でした。
しかし2018年11月に登場した現行型は乗り心地が良くなり、小回りも、先代と比べれば格段に利くようになりました。そして、それに加えて「おしゃれであり、プレミアム感も強い」という魅力もありますので、本格的な性能を持つオフローダーが欲しいという人には、スズキのジムニー系と並んで大いにおすすめしたい一台であるといえます。
中古車のおすすめ1
トヨタ「ランドクルーザー70」
前述したジープ「ラングラー アンリミテッド」は間違いなくおすすめのオフローダーではありますが、とはいえ「価格が高すぎる」「サイズ的に大きすぎる」と感じる人も少なくないかもしれません。
そんな場合には、ジープ「ラングラー アンリミテッド」とおおむね同等の各種能力をもちながら、価格もサイズも比較的お手頃なトヨタ「ランドクルーザー70」の中古車を探してみることをおすすめします。
トヨタ「ランドクルーザー70」は、ランドクルーザーのなかでも「ヘビー系」というカテゴリーに属する、超本格的なオフローダー。1984年に発売され、2004年に販売終了となりましたが、2014年から2015年にかけて期間限定で再生産されました。
この2014~2015年の「再生産モノ」であれば、往年のランドクルーザー70ならではのクラシカルで素敵なデザインと、現代の車ならではの快適性と安全性、そして昔から変わらぬ「圧倒的なまでの悪路走破性能」を、ある程度気軽に味わうことができます。唯一の懸念はMTのみなので乗る人を選ぶという点でしょう。2023年11月にはさらに現代的に改良されたAT版のランドクルーザー70が新車で再再販されましたので、こちらを狙う手もあります。
現在、2014~2015年式トヨタ「ランドクルーザー70」の中古車価格はちょっとプレミア価格になっており総額350万~520万円といったところ。安い車ではありませんが、その価値から考えれば、決して「高すぎる」ということはないはずです。
中古車のおすすめ2
ホンダ「エレメント」
トヨタ「ランドクルーザー70」のクラシカルなたたずまいと雰囲気はかなり素敵ですが、「そこまで本格的なオフロード性能は必要ない」という人も多いでしょう。しかし、それと同時に「でもランドクルーザー70みたいな“雰囲気”があるSUVが欲しい」と思うなら、2003年から2005年までの2年間だけ販売されたホンダのSUV、ホンダ「エレメント」に注目してみてください。
ホンダ「エレメント」は、アメリカのホンダで企画され、アメリカのホンダでデザインされた個性的なSUV。全体のデザインは、海辺のライフセーバーの詰所である「ライフガード・ステーション」がテーマで、側面のドアは観音開き。ランドクルーザー70のクラシカルな雰囲気とはまた異なりますが、ホンダ「エレメント」もまた“雰囲気”がある車です。
新車が輸入されていた当時は(そう、ホンダ「エレメント」はアメリカからの輸入車だったのです)、斬新すぎるデザインのせいかあまり人気が出なかったのですが、最近はその斬新さが再評価され、中古車はけっこうな人気を集めています。現在の価格は総額60万~230万円といったところです。
中古車のおすすめ3
トヨタ「プロボックス バン」
トヨタ「プロボックス バン」は、企業の営業車として使われることが多い商用バン、いわゆるライトバンです。しかしこれが意外とかなりアウトドアに向いている車なのです。
さまざまな荷物や現業系の道具類を載せることも多いライトバンですから、コンパクトな車の割に荷室は広くフラットで、使いやすさはトップレベル。そして何十万kmも走ることがある営業車として使われることを前提とした設計であるため、各部のつくりは本当にタフなのです。タイヤをオフロード向けのものに交換するだけでも、「多少荒れた道でも躊躇なく走っていけるアウトドアカー」に変身させることができます。そして走りも、速いとか上質であるみたいなことは当然ないのですが、軽くてシンプルな車であるため、意外と気持ちよく走らせることができます。
近頃はプロボックス バンにアウトドア風味のカスタマイズを施すのが流行っていますので、そういったカスタム済みの中古車を買うのもいいと思いますし、ノーマルを買い、自分好みの仕様に仕上げていくのも楽しいでしょう。中古車価格は40万~400万円といったところです(※高額な中古車は、大々的なカスタムが施されている物件。普通の中古車であれば、価格の上限は総額180万円ぐらいです)。
アウトドドア用の車の適切な選び方と注意点
何をどう選んでも結論としてアウトドアを楽しむことはできますが、より存分にアウトドアの魅力を堪能するためには「スペックが高い車を選ぶのではなく、自分のスタイルに合った車のタイプを選ぶ」という考え方が重要になります。
スペックが高ければ良いというわけではい
例えば軽自動車またはコンパクトカーという車のタイプでいうと、アウトドア(悪路)でのスペックが高いのは、間違いなくスズキのジムニーまたはジムニー シエラです。
しかしアウトドアで使うといっても、「ハードな悪路を走ることなんてほとんどない」といった使い方を想定しているのであれば、ジムニー系ならではの悪路走破性はオーバースペックというか、ハッキリいってしまえば「宝の持ち腐れ」です。
もしもハードな悪路はほとんど走らないのであれば、燃費がいまひとつで、舗装路 の乗り心地も 極上とはいえないジムニー系より、スズキ「ハスラー」などの軽クロスオーバーや、トヨタ「ルーミー」などのコンパクトハイトワゴンを選んだほうが、総合的な満足度は明らかに上昇するものです。
車中泊用途なら実際の使い心地チェックは欠かせない
またSUVやミニバンなどの比較的大きめな車のタイプを購入した上で、「できれば車中泊を体験したい!」と考えている人もいらっしゃるでしょう。
それはそれでまったくOKですが、「車内での寝やすさ」というのは、カタログに記載されている室内長や室内幅だけでは、本当のところはわからないものです。
カタログ上では車中泊に向いていそうに見えるのに、いざシートを倒してみると、なかなか「本当のフラット状態」にはならなかったり、荷室自体はかなり広いのですが、リアサスペンションの出っ張り部分が邪魔で、どうにもこうにも寝づらかったり……というのはよくある話です。
カタログスペック以上に「実際の使い勝手」を重視して選ぶのが、アウトドア用の車を選ぶ際には重要なポイントとなるでしょう。
アウトドアにおすすめの車についてよくある質問
アウトドアにおすすめの車に関してよくある質問をまとめました。
Q1:フルフラットシートとは?そのメリットは?
A:狭義ではミニバンの2列目、3列目シートをフルリクライニングさせてフラットな空間を生み出せるものをフルフラットシートと呼びますが、もう少し広くSUVやステーションワゴンのように2列目や3列目のシートを格納するとラゲッジルームと段差なしになるものも含む場合もあります。荷物が積みやすいという直接的なメリットの他に、車中泊する際の利便性も魅力です。
Q2:ロングシートクッションとは何ですか?そのメリットとは?
A:ロングシートクッションとは主に後席に敷く1枚ものの長いシートクッションを指します。柔らかい素材のものが多いので乗り心地が良くなるほか、座面が高くなるので前方が見やすくなって車酔いを防ぐ効果もあります。なお、アウトドアで車中泊をする際に気になるフルフラットシートの隙間や段差、後席を倒した際の荷室との角度差などを埋めるマットは「車中泊 マット」で検索すると出てきますが、素材も形もロングシートクッションとは別物です。
Q3:室内が広いミニバンのランキング1~3位は
A:室内の広さについては各社から発表されている数値の測定方法が異なるため正確な比較は難しいのですが、ハイエース系を除いた国産ミニバンであればトヨタ「グランエース」です。ついでトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」、そして日産「エルグランド」がTOP3となります。
Q4:軽で一番室内が広い車は?
A:こちらも各社の測定方法が異なるので正確な比較は難しいのですが、エンジンを床下に搭載しフロント部分が短い軽バンベースのスズキ「エブリイワゴン」とダイハツ「アトレー」の2台が一番広い室内空間を誇ります。ホンダ「N-BOX」、ダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」、日産「ルークス」、三菱「eKスペース」といったスーパーハイトワゴンが横一線で続きます。
Q5:車の居住性とはなんですか?
A:大雑把には車内空間の広い車のことを居住性が良いと表現します。さらにシートの座り心地、静粛性、走行時の揺れ・振動の少なさなども居住性の評価項目として含めるのが一般的です。
【まとめ】アウトドアにおすすめの車は「自分のスタイルに合った4WD車」
「4WDである」という点はマストではないものの、やはりアウトドアで使いたいならおすすめであることは間違いありません。その 上でカタログスペックの高低や、車格やボディサイズの高低や大小に過剰にこだわるのではなく、「自分のアウトドアスタイルに合う車のタイプ」はどれなのかを見極める。そしてさらに、カタログのうたい文句ではなく「真の使い勝手」が良い車を探すようにすれば、あなたにとってのベストな1台は、自ずと絞られてくるはずです。
※この記事は2023年11月時点の情報で制作しています