日本自動車工業会の2022年度の調査(詳細)によれば、買い替え前に所有していた車の平均年数は7年を超えており、10年以上同じ車を所有していた人も4分の1近くいます。それだけ長い期間付き合うのであれば「買ってよかった」と思える車を選びたいもの。
買った直後から10年後まで、買ってよかったと思える車とはどんな車なのかを、カルモマガジン編集長が解説します。専門家おすすめの「買ってよかったと思える車」8車種も紹介!
この記事のPOINT
- 購入直後によかったと思う車は使用シーンに合っていることが絶対条件、見た目も重要だが周囲からの高評価なども影響
- 新しい車に慣れてくると使い勝手の良さや期待値を上回る車の評価が上がる。販売台数が多い車も有利
- すぐに新型が出ないこと、使い方が変わっても対応できること、壊れないこと、似たような車がないことなども重要
「買ってはよかった車」とは
新車の購入者満足度についてはJ.D. パワー ジャパンが新車購入者を対象に年1回実施している「日本自動車商品魅力度(Automotive Performance, Execution and Layout、略称APEAL)調査(詳細)があります。2022年10月に発表された第12回調査の車種セグメントごとの結果は以下のとおりでした。
軽ハイトワゴン第1位:ホンダ「N-ONE」
軽スーパーハイトワゴン第1位:ホンダ「N-BOX」
コンパクト第1位: 日産「ノート」
コンパクトSUV第1位:フォルクスワーゲン「T-Cross」
ミッドサイズ第1位:メルセデス・ベンツ「Aクラス」
ミッドサイズSUV第1位:トヨタ「ハリアー」
コンパクトミニバン第1位:ダイハツ「トール」
ミニバン第1位:トヨタ「アルファード」
この調査は新車購入後2~13ヵ月経過したユーザーに対して「外観」、「車両設定/始動」、「乗降性」、「内装」、「パワートレイン」、「ドライビングフィール」、「安全性」、「インフォテインメント」、「快適性」、「燃費/航続距離」の10カテゴリーに37項目の評価を行ったものです。
専門家である我々が見ても「なるほど」という実力の高い車が並んでいます。ただし、この調査は購入から1年時点での評価をもとにしたものです。前述のように保有期間が7年以上となった昨今であれば、1年といわずその先の評価も気になるところ。
そこで今回はカルモマガジン編集長である筆者がこれまでの30数年で17台の愛車を乗り継いできた自身の経験と、さまざまな取材で出会ったユーザーたちから聞いた声などをもとに、「買った直後から1年」「1~5年」「5年以上」という3つの時期に分けて「買ってよかった」と思える車のポイントをまとめてみました。
買ってよかったと思える車に共通のポイント
「買った直後〜1年」の場合
新車・中古車を問わず、新しい車がやってきた直後のワクワク感は誰しもが味わったことがあるかと思います。そんな購入直後から1年以内の浮かれた(?)精神状態の中でも、さらに買ってよかったと思える車とはどんな車なのでしょうか。キーワードは使用シーン、見た目、周囲からの評価です!
使用シーンに合っている車
車選びはボディタイプの選択から始まります。ミニバン、スーパーハイトワゴン、SUV、コンパクト、セダンなど豊富に用意されたボディタイプは、ユーザーからの声を反映させて進化と淘汰を長年重ねてきたものです。ユーザーの声とはすなわち「使用シーン」とイコールです。
例えば軽自動車でも以下のように複数のボディタイプがあり、それぞれに想定されている使用シーンがあります。
セダン(ハッチバック)
代表車種:アルト、アルトラパン、ミライース、ミラトコット、N-ONEなど
使用シーン:毎日の通勤や通学用に1人で使うことが多い。立体駐車場に収まる全高も特徴。家族用には別にミニバンやSUVなどを所有しているケースも。価格が安く燃費も良いので、まさに足代わりの車。
備考:アルトラパン、ミラトコット、N-ONEは安さだけでなく女性やこだわり派向けに個性も重視した内外装
トールワゴン
代表車種:ワゴンR、ムーヴ、N-WGN、デイズ、eKワゴンなど
使用シーン:基本的には軽セダンのユーティリティ能力アップ版。毎日の通勤や通学用に1人で使うことが多いもの、室内空間やラゲッジスペースが広い分、他人を乗せたり趣味に使ったりと用途も広がる。
備考:標準車以外にエアロ仕様のカスタムグレードやターボ車を用意することで男性ユーザーも意識
スーパーハイトワゴン
代表車種:N-BOX、タント、スペーシア、ルークス、eKスペース、背は低いがワゴンRスマイルとムーヴキャンバスも含む
使用シーン:高さのあるボディに後席スライドやスライドドアを組み合わせることで、軽自動車ながら人も荷物もたくさん載せられるユーティリティ能力MAX版。家族の送迎や週末の買い出しなどでも重宝するので大人気。
備考:ターボ車はもちろん、エアロ系カスタム、SUV風クロスオーバー、商用車バージョン、内外装のカラーコーデを変えたものなど、使う人に合わせた多彩なスタイルあり
SUV
代表車種:ジムニー、ハスラー、タフト、デリカミニ
使用シーン:クロスオーバーより一歩進んで悪路走破性を考慮した専用ボディやメカニズムを持ったモデル。雪国や山道での使用機会の多い人に向いているが、ジムニー以外は一般的なモデルと燃費、運転感覚などの差は少なくFFも用意されるので街中メインでも問題なし
備考:基本となるボディタイプはジムニーがクロカン、ハスラーとタフトがトールワゴン、デリカミニはスーパーハイトワゴンなので、室内の広さや使い勝手はベースとなったボディタイプに準じる
使用シーンに合っている=ボディタイプ選びについては、それだけで記事が1本できる内容ですので、ここではこれ以上、深くは掘り下げません。以下の記事などを参照ください。
使用シーンと合っていることは買ってよかったと思える車の絶対条件です。ボディタイプ選びはくれぐれも慎重に。
かっこいい、かわいい、美しい車
カルモマガジンが最近独自に実施した調査では、女性がSUVを選ぶ際に重視する項目の圧倒的な1位は「外観・ルックス」でした。他にも「かっこいい感じ」という理由も多く、SUVという流行のボディタイプであることを差し引いても、車の見た目が購入動機に大きな影響を与えているのは明らかです。
かっこいい、かわいい、美しい、そう思える車が自分の手元にきた時の喜びはやはり格別です。写真撮りまくったり、友人に見せびらかしたり、SNSに上げてみたり。自分のライフスタイルや美的感覚が反映されることの多い車だからこそ、それに沿った愛車を選びたいものです。
同じボディタイプの車種同士で迷ったら「かっこいいと思うほう」を選ぶという判断は間違いではありません。最近の新車であれば走りも燃費も安全性能も、ライバル同士であればそんなに大きな差がつくということはありません。その部分に大きな差がある場合は、例えばトヨタアルファードと日産エルグランドのように登場年数や販売台数に大きな差がついていることが多いので判断可能でしょう。
家族や友人からも評判がいい車
SNSにあげた新車の写真に「いい車買ったね、おめ」などとコメントされるのは嬉しいものですよね(「いい色買ったね、おめ」の場合は微妙ですが)。それ以上に、よく一緒に車を使う家族や友人などからの高評価も、買った直後に自分の愛車への満足度が上がる重要なポイントです。
「使用シーンと合っている」という項目の話と重複する部分もありますが、自分以外の人も乗せる機会が多いのであれば、乗り心地が良い、静か、広い、眺めがいい、シートが立派、すごい装備が付いている、荷物がたくさん載るなど、助手席や後席の人の目線での車選びも忘れてはいけません。
ちなみに上述のカルモマガジンが最近実施した調査では「助手席に乗りたいSUV」で女性が重視する項目では、「外観・ルックス」と並んで「乗り心地」「安全性能」などが上位に挙げられていました。
乗り心地や静かさは前席と後席では印象が異なることも多くあります。また後席の座面が前席よりも高ければ眺めの良さにつながります。装備面では特にシートヒーター、ドリンクホルダー、USB電源、アームレスト、後席スライド・リクライニング、後席用エアコン吹き出し口・ロールスクリーン(日除け)などは喜ばれやすい装備です。このあたりは購入前にチェックしたいところです。
販売台数の多い車
新しい車が来たばかりの1年は何かと自分なりのカスタマイズをしたくなるものです。最近は標準装備もディーラーオプションも充実しているのですが、ナビ、オーディオ、スマホ・ドリンクホルダーなどのインテリア系から、アルミホイール、エアロパーツ、車高ダウンなどの見た目系まで、アフターマーケットには魅力的なアイテムが揃っているのもまた事実。そしてアフターパーツは販売台数の多い車ほど充実しています。
それまでマイナーな輸入車ばかり乗り継いできた筆者ですが、数年前、国産SUVに乗り替えたとき、そのことを痛感しました。車種専用フィッティングという言葉、素敵です。パーツを複数種類から選ぶことのできる選択の自由、夢のようです。複数種類あるがゆえの価格競争、資本主義バンザイです。
ちなみに資本主義の数の論理は最初の1年だけでなく、その後も続きます。筆者の選んだマツダ「CX-8」はたまたま標準タイヤが同門の「CX-5」だけでなくトヨタ「ハリアー」や「RAV4」と同じ銘柄、同じサイズでした。しかもハリアー乗りは標準タイヤからインチアップすることが多いのか、新車はずしのバリ山のタイヤが格安でヤフオクやメルカリなどに流通していました。売れている車(と同じタイヤ)にはこんなメリットもあるのですね、勉強になりました。
買ってよかったと思える車に共通のポイント
「1〜5年目」の場合
手元にやってきてから1年も経つと、ワクワク浮かれていた気持ちで見えなかった(見えないふりをしていた?)愛車の良い部分、悪い部分がだんだん明確になってきます。どんな車であっても100%満足、ということは少ないものの、特にこの部分が良ければ愛車への全体的な満足度が上がるというポイントがあります。使い勝手、期待値、新型がキーワードです!
使い勝手が良い車
購入して1年も経つと愛車の使い勝手にも慣れてきて、その良し悪しの積み重ねが満足度に影響してきます。例えば空調のスイッチなどはその典型でしょう。最近はタッチパネル式のディスプレイに空調スイッチが組み込まれている車種も結構あります。見た目はすっきりしていてかっこいいのですが、よく使う温度や風量の変更はともかくとして、たまによく使う(笑)内気循環・外気導入を2回タッチしないと切り替えられなかったりするのは面倒です。温度や風量変更もタッチするよりダイヤルをクリクリした方が楽です。それもあって空調は物理ダイヤル付きが復活してきました。
レジャーなどに使用する機会の多い人は2列目や3列目のシートの使い勝手も気になってくるタイミングです。よく聞く例としてコンパクトミニバンで人気を二分するトヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」の3列目シートの格納方法の違いがあります。シエンタは2列目シートの下に3列目が格納され、ラゲッジルームが広く使えます。その代わり格納するには2列目シートも操作しなければならない煩わしさがあります。フリードは跳ね上げ式なのでスペースや視界に影響するものの、格納の操作自体は簡単です。つまり3列目をよく使う人ならフリード、滅多に使わないのであればシエンタの方が向いています。まあ、この2台の場合は見た目の印象がかなり異なるので、そちら側を優先したほうが後々の満足度が上がる気もします。
軽SUVのスズキ「ハスラー」とダイハツ「タフト」もガチのライバルですが、この2台の設計思想はかなり違うと感じます。特に後席とラゲッジの使い勝手はハスラーが圧勝です。後席に人を乗せたりラゲッジに荷物をたくさん積んだりすることが多いのであれば、後席のスライド機構がなく、また折りたたみレバーも小さく扱いにくいタフトよりもハスラーを選んだほうが良いでしょう。一方、1〜2人で使うことが多い人にとって、タフトの前席まで恩恵のある大きなサンルーフや渋滞で重宝する電動パーキングブレーキは買ってよかったと思わせるポイントになり得ます。
同じボディタイプの同じクラスに複数候補がある場合は、「使用シーン」をもう一歩突っ込んで想像し「使い方」まで考えて選べば、「コイツを選んだ自分エライ!」と自己承認欲求を満たすこと間違いなし。何かにつれ、買って良かったと思う機会も増えるのではないでしょうか。
期待値を上回る何かがあった車
買ってから1年くらいは新車のワクワク感が続きますが、その後の満足度を大きく上げる要素の一つが「期待値を上回る何か」があった場合だと個人的に思っています。近所の買い物&家族送迎用として買った軽自動車で旅行に出かけたら思いのほか高速道路でも走りが良かったとか、外観スタイルに一目惚れして買ったハイブリッドコンパクトが思ったよりもEVっぽくてびっくりしたとか、ハイブリッドカーなのにエンジン音が良かったとか。つまり具体的に書くと以下のような車です。
軽スーパーハイトワゴンのホンダ「N-BOX」。もうすぐ新型が出そうですが現行の2代目モデルは言わずと知れたベストセラーです。広さや使い勝手などに優れていることに加えて、この車は軽自動車随一のゆとりのある足回りのおかげで遠出にも十分耐える乗り心地を披露します。いつも通勤や通学に使っている愛車の意外な実力に触れれば「買ってよかった」と改めて思うでしょう。
それから日産「ノート」。見た目も内装も先進的で人気のコンパクトカーですが、何より第二世代に進化したe-POWERの制御の巧みさには乗るたびに感心します。似たようなシステムのホンダのe:HEVよりもモーターで走っている感は強く、これなら電動車と名乗ってもいいでしょう。トヨタ製ハイブリッドに比べると燃費は1割ちょっと劣りますが、「新しい車に乗っている」感はこちらの方がずっと上です。オーラを選べば乗り心地もよく、さらにオーテッククロスオーバーであれば操縦安定性と乗り心地のバランスはクラストップレベルです。
あとは日産「エクストレイル」。これもスマートになった内外装と第二世代e-POWERの燃費や電動感がセールスポイントなのですが、さらに裏方のVCターボエンジン、そのアクセルを踏み込んだ時のエンジン音がとても澄んでいて、直列6気筒かと思うような素敵なサウンドを奏でます。かなりアクセルを踏み込まないと、そういう状況にならないのが難点といえば難点ですが、その隠れた魅力はなかなかのものです。
すぐに新型が出ない車
最近の国産車の主力車種のモデルチェンジは概ね6年間隔です。登場後、3年でマイナーチェンジとして内外装の一部手直しやグレード整理・追加が行われます。マツダやスバルのように年次改良で細かなアップデートを重ねるメーカーもあります。年次改良やマイナーチェンジでは実際に購入したユーザーの声が反映された変更が行われるので、車としての魅力は高まります。
とはいえ、新型の進化度合いに比べれば大きくはありません。新型登場直後に購入すれば、5年後の2回目の車検を過ぎても「現行型」に乗ることができます。多くの人にとってそれが愛車への満足度を高めることにつながるのは間違いないでしょう。
ちなみにこの1年前後でデビューした主な新型車は以下のとおり。昨今、納車まで1年近くかかる、もしくは受注停止中の車種もありますが参考までに。
■SUV
レクサス「LX」
レクサス「RX」
トヨタ「クラウンクロスオーバー」
日産「アリア」
日産「エクストレイル」
マツダ「CX-60」
スバル「クロストレック」
■ミニバン
トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」
トヨタ「ノア/ヴォクシー」
トヨタ「シエンタ」
日産「セレナ」
ホンダ「ステップワゴン」
■コンパクト・ハッチバック
トヨタ「プリウス」
スバル「インプレッサ」
■軽自動車
日産「サクラ」/三菱「eKクロスEV」
ダイハツ「ムーヴキャンバス」
ダイハツハイゼット/アトレー
三菱「デリカミニ」
■クーペ・オープン
トヨタ「bZ4X」/「スバルソルテラ」
日産「フェアレディZ」
もう一つ、狙い目はモデルチェンジサイクルの長い車です。スズキ「ジムニー」やトヨタ「ランドクルーザー」、「ランドクルーザープラド」などのクロカンと呼ばれるSUVは、モデルチェンジの期間が10年以上となることが大半です。
現行型の4代目ジムニーは2018年7月デビューですので既に5年が経過しています。しかし前型の3代目は20年間販売されたので、それを考えると当面このまま販売されることは確実です。ランドクルーザーは2021年8月発売ですが、前モデルは14年間販売されていました。モデルチェンジ目前のランドクルーザープラドの現行型は2009年デビューですのでこちらも販売期間は14年。これらの車種もモデルライフを通じて2回程度のマイナーチェンジが行われ、時代に合わせた内外装や装備のアップデートが行われますが、それでもフルモデルチェンジほどではありません。
少し話の方向は変わりますが、昨今、新車を購入する際に気になるのは、この先、大きな技術的な進歩があるかどうか、例えば「自動運転」や電気自動車(EV)の普及具合ではないでしょうか。
この5年ほどは自動(被害軽減)ブレーキに代表される「先進運転支援」のアップデートが毎年のように行われ、現在では一通り一定のレベルまで達しています。その技術的延長である「自動運転」についても、レベル1技術である全車速追従型の「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」や車線を維持する「LKA(レーンキープアシスト)」については軽自動車でもオプション設定を含めれば装着できる車種が多くなりました。この2つが連動する日産の「プロパイロット2.0」やスバルの「アイサイトX」のような自動運転レベル2は、この先5年である程度普及が進むでしょう。それでもACCとLKAがあれば、運転者が享受できる「幸せのレベル」に大きな違いはないと思います。その先のレベル3以降の自動運転技術が一般的な車にリーズナブルな価格で装備されるにはまだまだ時間がかかりそうです。そう考えると、いま新車を買うにあたって全車速対応のACCやLKAが装備されている車種であれば「自動運転」で見劣りすることは、それほどないかと思います。
EVの普及の見通しについてもまだまだ不透明な部分が多いのが実情です。現在のEVは充電に時間がかかり、またガソリンスタンドほど急速充電スポットは多くないので、遠出の際にはストレスを感じる場面に遭遇する確率が高まります。日産サクラ/三菱eKクロスEVのような、小さなバッテリーを積んだ軽自動車を近所へのお出かけの足とするのは、EVの特性と現在の実力に見合っています。給電設備を設置しやすい1戸建てに住んでいる、ガソリンスタンドが近所に無くなってしまった、補助金を十分に受けられる、のであれば、むしろおすすめでしょう。しかし、上記の条件ではない場合、特に近所の送迎から旅行までこの一台を使う、家は集合住宅で給電設備がない、などであれば今販売されているEVは向いていません。CO2削減とEVの関係については本稿の目的ではないので深くは触れませんが、CO2削減と使い勝手を現実的にバランスさせるのであればトヨタ、ホンダ、日産、ルノーなどのフルハイブリッド車、もしくはマツダ、三菱、トヨタ、輸入車などのクリーンディーゼル車を、近所での使用が多めであるならトヨタや三菱のプラグイン・ハイブリッド車を選んだ方が「買ってよかった」と思えるはずです。
買ってよかったと思える車に共通のポイント
「5年目以降」の場合
購入して5年、2度目の車検を過ぎたあたりから愛車のメンテナンスコストは増える傾向にあります。タイヤ、バッテリー、ブレーキパッドなどの比較的高額な消耗品が寿命を迎える時期だからです。またニューモデルが登場し愛車が旧型になる可能性は高まります。家族構成や居住環境なども5年経てば変わることもあるでしょう。そんな試練の5年目以降でも「買ってよかった」と思える車の共通点とは、対応力、壊れない、似た車がない、がキーワードです!
使い方が変わっても対応できる車
10年ひと昔とは言いますが、5年という月日も家族構成や居住環境の変化が起きるに十分な時間です。家族が増えた、子供が成長した、子供が巣立った、ペットを飼い始めた、降雪地に転勤になった、アウトドアの趣味にハマった。人生にはさまざまなイベントがあり、そのいくつかは予想できますが、想定外の未来が待ち受けていることもまた多々あります。
そういった生活シーンの変化に対応できる能力をもった愛車であれば、改めて買ってよかったと思えるのではないでしょうか。その観点からすると以下のような車が当てはまります。
少し大きいサイズの車
大は小を兼ねる、という言葉は車にも当てはまります。家族が増えたり、荷物の多い趣味を始めたり、そんな場合でも大きい車であれば対応可能です。その意味でトヨタ「ノア/ヴォクシー」や日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」といったミドルサイズのミニバンが売れているのもわかります。大きいといってもほぼ5ナンバーサイズに収まるミドルサイズミニバンは日本においてどんなシーンでも対応できる可能性が最も高い車たちです。
4WDの車、できれば最低地上高の高い車
大雑把に日本の約半分は降雪地帯です。最低限、スタッドレスタイヤがあればFFでもなんとかなりますが、降雪時の上り坂や凍結路の発進では4WDとの差は歴然とあります。雪国へと転勤になってしまった、スキーやスノーボードにハマってしまった、などのライフスタイルの変化に4WDは力強い味方です。さらにSUVのように最低地上高が確保された車であれば、雪道や悪路はもちろん、ゲリラ豪雨に襲われた時などの対応力はさらに高まります。
壊れない車
昨今の新車であれば買って5年程度で壊れることはほとんどないでしょう。最近、故障でよく聞くのはインフォテインメント系などの初期不具合ですが、これは新型発売後すぐに起きることが多く、大半はアプリやシステムのアップデートなどで解消し、また費用も保証でカバーされます。
新車の保証は一般的に3年6万キロ程度、有償で5年の延長保証を設定していることも多くなりました。つまり5年目以降は故障したら基本的には修理費用は自分で負担することになります。エンジン、トランスミッション、ブレーキといった走ることに関する基本的な部品は、適切なメンテナンスを実施していれば20万キロ以上の耐久性を有しています。しかし、発電用のオルタネーター、冷却水循環用のウォーターポンプなどのエンジン補器類や、O2センサー、ABSセンサーといった各種センサー類、そしてエアコン、パワーウインドウなどの電装品の寿命はそこまで長くはありません。おおむね10年10万キロ程度の耐久性は確保しているものの、5年5万キロを超えたあたりから故障が起きることも稀ではありません。
前述のJDパワーのレポートでは初期不具合に触れていますが、長い期間での車種による故障率は公開された情報がほとんどありません。こればかりは何ともいえないのですが、経験則的に国産車の耐久性が輸入車よりも高いことはいえるかと思います。また万が一、壊れたとしても販売台数の多い車種ほど、優良社外品や中古リビルドパーツなどで安く直せることも間違いないでしょう。やはり数の論理はここでも顕著です。
とはいえ、適切なメンテナンスが故障を予防する最大の方法です。ディーラーは予防的な整備も行うので、車が古くなればなるほど見積もりが高くなる傾向にあります。保証期間以降の整備は地元で信頼されている整備工場などを頼るのも、気に入った愛車を長くお得に維持するコツです。
似たような車がない車
人気のあるカテゴリー、例えば軽自動車スーパーハイトワゴン、コンパクトカー、ミドルサイズミニバンなどは複数のメーカーから数年おきに新型車が登場し、それを機に気に入った新型車に買い替える人も多いかと思います。しかし、ニッチなマーケットを狙った車、例えばミニバンとSUVのクロスオーバーである三菱デリカD:5だったり、軽クロカンのスズキジムニーだったり、軽オープンのダイハツコペンなどは他に代わりとなるモデルがないので、同じモデルの新型に買い替えるか、同じ車を長く乗るかということになります。筆者も30数年前にシトロエン2CVの最後の新車を買いましたが、他に代えのない車なので現在も持ち続けています。まあ理由はそれだけではないのですが。
それから外観を気に入って買った車が、モデルチェンジでガラッとスタイルが変わってしまった。そんな場合も愛車を手放せなくなることが多いようです。車の外観にも流行りがあって、おおむね10~15年周期くらいで全体のフォルムが丸くなったり四角くなったり、ヘッドライトなどのフロントデザインがゴツくなったりシャープになったりを繰り返しています。
また、流行りのライフスタイルに寄り添ったような車の場合、購入を想定している世代が変わると、その世代の価値観に合わせた外観に変えたり、時にはモデル廃止となってしまったりします。軽自動車のかわいい車の代表だった「ムーヴラテ」や「ミラココア」のような、丸くデフォルメされたデザインを気に入って買った人たちにとって、スッキリシンプルなデザインの「ミラトコット」はストライクゾーンとはいえないでしょう。2代目トヨタ「シエンタ」のスニーカーをイメージした斬新なデザインを気に入って買った人にとって、新型の3代目の欧州車ライクなスタイルはちょっと違和感があるのではないでしょうか。逆に初代シエンタオーナーにとっては2代目より新型のデザインの方が魅力を感じると思います。
冒頭でも書きましたが、車は自分のライフスタイルや美的感覚を反映した存在、と考える人にとって、気に入って買った愛車は古くなっても誇りを持って乗ることができる車、買ってよかった車ということではないでしょうか。
買ってよかったと思える車は?専門家おすすめ車種
ここまで説明してきたように、買ってよかったと思える車のポイントを整理すると以下のようなキーワードを満たした車ということになります。
「使用シーンに合っている車」
「かっこいい、かわいい、美しい車」
「家族や友人からも評判がいい車」
「販売台数の多い車」
「使い勝手が良い車」
「期待値を上回る何かがあった車」
「すぐに新型が出ない車」
「使い方が変わっても対応できる車」
「壊れない車」
「似たような車がない車」
これらのキーワードを考慮しつつ選んだ、編集長・馬弓の「買ってよかったと思えるであろう車」ランキングを紹介しましょう。なおトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」は原稿執筆時点で実車の試乗ができていないため除外していますが、次回は間違いなくランクインすると思います。
第8位 スズキ「ハスラー」
魅力はオリジナリティの高い内外装デザインだけじゃない
使用シーンに合っている車 | ○ |
かっこいい、かわいい、美しい車 | ○ |
家族や友人からも評判がいい車 | |
販売台数の多い車 | ○ |
使い勝手が良い車 | ○ |
期待値を上回る何かがあった車 | ○ |
すぐに新型が出ない車 | |
使い方が変わっても対応できる車 | |
壊れない車 | |
似たような車がない車 | ○ |
日本の軽自動車にはおすすめしたい車がたくさんあります。もうすぐ新型が出るN-BOXはタイミングが悪いので今回は取り上げませんが、前述したように現行モデルでも非常に魅力的です。新型になったばかりの「ムーヴキャンバス」や「デリカミニ」も独自の世界観を持った車なのでおすすめなのですが、総合的に考えるとやはりハスラーこそ買ってよかったと思える車でしょう。
オリジナリティの高い外観と内装デザインに魅力を感じて購入した人は、きっとその走りの良さに驚くかと思います。悪路走破性を考慮した補強がそれなりに入っていることで、ハスラーはクラスを超えた乗り心地を実現しています。乗り心地の軽自動車ナンバー1はホンダNシリーズだと思うのですが、それに最も肉薄しているのがハスラーです。マイルドハイブリッドの燃費の良さ、しつけの良いターボモデルのCVT、スライド機構など使い勝手に加えて居心地も良いリアシートなど、乗れば乗るほど見た目以外の良さにも気づくでしょう。
第7位 三菱「デリカD:5」
ミニバンは便利、SUVは使える。そのどちらも持っている
使用シーンに合っている車 | ○ |
かっこいい、かわいい、美しい車 | |
家族や友人からも評判がいい車 | ○ |
販売台数の多い車 | |
使い勝手が良い車 | ○ |
期待値を上回る何かがあった車 | ○ |
すぐに新型が出ない車 | |
使い方が変わっても対応できる車 | ○ |
壊れない車 | |
似たような車がない車 | ○ |
ミニバンとSUVのクロスオーバーであるデリカD:5も唯一無二の存在。ツブシの効くミドルミニバンより少しだけ大きなボディサイズ、クロカン四駆ほどではないにしてもSUVの中では本格派に属する悪路走破性、三菱車にしては異例のアフターパーツの多さなど、魅力的なキーワードを持つ車です。
デビューこそ2007年と古いのですが、苦しい三菱の開発事情の中で出来る限りの最新化を図った2019年のビッグマイナーチェンジで、内外装はもちろん、先進運転支援装備やエンジンやトランスミッションも刷新され、一気に商品力を取り戻しました。特にクリーンディーゼルと8ATの洗練された走りは、この点で定評のあるマツダ車と互角、もしかしたらそれ以上かもしれないと感じます。新型に切り替わったミドルサイズミニバンのレベルアップは著しいのですが、意外やデリカD:5もそんなに差をつけられているわけではありません。便利なスライドドア+3列シートに圧倒的な走破性がもたらす使用シーンの幅広さは、ミドルミニバンよりも確実に上です。
第6位 トヨタ「ランドクルーザー」
圧倒的にモノが違う、大きさが気にならなければぜひ!
使用シーンに合っている車 | |
かっこいい、かわいい、美しい車 | ○ |
家族や友人からも評判がいい車 | ○ |
販売台数の多い車 | ○ |
使い勝手が良い車 | |
期待値を上回る何かがあった車 | ○ |
すぐに新型が出ない車 | ○ |
使い方が変わっても対応できる車 | |
壊れない車 | ○ |
似たような車がない車 | ○ |
ランドクルーザーはやはり入れざるを得ないでしょう。絶対的な走破性能と信頼感、数あるSUVの中でも圧倒的にモノが違います。先進運転支援をはじめ最新化された上にラグジュアリーさも獲得した内装や装備も魅力的です。いま買っておけば10年以上、現行型であることも買うにはいいタイミングです。ジムニー同様リセールの良さもピカイチ、長いなが〜い注文待ちの列ができるのも納得です。
もうすぐ新型になると言われているプラドも多分良さそうなので、そちらの列に並ぶのも良いでしょう。洗練されたとはいえ重たいフレームシャシーの走りは、乗用車ベースSUVのような軽快さはありません。しかしそれがほかにはない得難い乗り味なのも確かです。巨大なボディサイズにまつわるネガティブさを気にしないのであればぜひどうぞ。
第5位 日産「セレナ」
最もツブシが利く ミドルミニバンの中で、最も新しい車を買った感がある!
使用シーンに合っている車 | ○ |
かっこいい、かわいい、美しい車 | |
家族や友人からも評判がいい車 | ○ |
販売台数の多い車 | ○ |
使い勝手が良い車 | ○ |
期待値を上回る何かがあった車 | ○ |
すぐに新型が出ない車 | ○ |
使い方が変わっても対応できる車 | ○ |
壊れない車 | |
似たような車がない車 |
日本で最もツブシの利くボディタイプ・ミドルサイズのミニバンである ノア/ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンはいずれも高い実力を持っているので、極論すれば見た目で選んでも良いと思うのですが、この3台の中でもセレナの先進感というか、新しいものを買った喜びというか、それが抜きん出ています。
内外装のデザインが先進的なのもセレナだと思うのですが、何よりも第二世代e-POWERが素晴らしい。機構的には同じモーター主役型ハイブリッドながら、高速道路でのエンジン直結モード付きのステップワゴンのほうが高速燃費などで有利です。しかし巧みな制御がもたらす電動感はセレナがかなりリードしています。セレナとステップワゴンが採用するシリーズ・ハイブリッド(厳密にはホンダはシリーズ・パラレルですが)は燃費ではトヨタのハイブリッドに少しだけ及びませんが、ドライバビリティの良さで特にセレナは魅力を放っています。セレナの場合、2列目3人掛けシートのセンター部分の工夫やバックドアのガラスハッチ開閉機構など、設計者の愛を感じる使い勝手の良さも買ってよかったと思えるポイントです。
第4位 トヨタ「ノア/ヴォクシー」
最もツブシが利く ミドルミニバンの中で総合力No.1、今度のモデルには愛がある!
使用シーンに合っている車 | ○ |
かっこいい、かわいい、美しい車 | |
家族や友人からも評判がいい車 | ○ |
販売台数の多い車 | ○ |
使い勝手が良い車 | ○ |
期待値を上回る何かがあった車 | |
すぐに新型が出ない車 | ○ |
使い方が変わっても対応できる車 | ○ |
壊れない車 | ○ |
似たような車がない車 |
ミドルサイズのミニバンは日本で最もツブシの利くボディタイプです。そして2列目シートのアレンジや多彩な収納、スライドドアやバックドアの使い勝手など、軽自動車のスーパーハイトワゴンと並んで、日本人の好みを研究し尽くしているのもミドルサイズミニバンです。この1年でこのクラスの売れ筋3車種がすべて新型に切り替わり、どれも非常に良くできているのですが、総合的に優れているのはノア・ヴォクシーだと思います。
旧型は「セレナ」や「ステップワゴン」に比べて走りも使い勝手も安全装備もイマイチ、設計者の愛が足りない車だと筆者は酷評したこともありましたが、新型は一気に挽回したどころかクラストップに躍り出ました。ハイブリッドの燃費は相変わらずピカイチ、ルーズだったアクセルに対する反応も大幅改善し、ぼんやりしていた足回りはステップワゴンもびっくりなシャープさを獲得、周回遅れだった先進運転支援もいきなり文句なしの多機能になりました。新型はサイドステップやバックドアなどに気配り装備が盛り込まれていることも設計者の愛を感じます。
第3位 マツダ「CX-8」
3列シートSUVという希少性、ジワるクリーンディーゼルの走りの良さ
使用シーンに合っている車 | ○ |
かっこいい、かわいい、美しい車 | ○ |
家族や友人からも評判がいい車 | ○ |
販売台数の多い車 | |
使い勝手が良い車 | ○ |
期待値を上回る何かがあった車 | ○ |
すぐに新型が出ない車 | |
使い方が変わっても対応できる車 | ○ |
壊れない車 | |
似たような車がない車 | ○ |
自分の愛車を推すのもどうかなと思いつつ、2年半乗ったCX-8はやはり買ってよかったと思う車です。ミニバンから撤退したマツダが北米向け「CX-9」をダウンサイジングして日本マーケット用に仕立て直したCX-8。全長4.9m超の長いボディながら全幅は1840mmに抑えられ、日本の立体駐車場に多い1850mmの車幅制限をクリアしています。3列目もミドルミニバンより若干劣りますが非常用というほど狭くもありません。3列目を床下に収納すれば長いラゲッジルームとなり、旅行やアウトドア用品をたくさん積むことができ、「CX-5」などのミドルサイズSUVよりも確実に活躍シーンは広がります。
個人的にはこの車の外観デザイン、特にサイドラインは出色の出来だと洗車のたびにほれぼれします。内装も特に2列目キャプテンシートは車に詳しくない人でも 質感の良さに驚いてくれます。さらにディーゼルの好燃費と乗り味の良さもよかったと思えるポイント。十二分なトルクと変速の巧みなトルコンATのおかげで何気なく40~50km/hで街中を流していても運転の楽しい車です。既にCX-80の発売が予告されていますが、サイズ感や外観の好みが合うのであれば熟成されたCX-8はおすすめです。
第2位 日産「エクストレイル」
流行りモノでありながら、心に残る出来の良さ
使用シーンに合っている車 | ○ |
かっこいい、かわいい、美しい車 | ○ |
家族や友人からも評判がいい車 | ○ |
販売台数の多い車 | ○ |
使い勝手が良い車 | |
期待値を上回る何かがあった車 | ○ |
すぐに新型が出ない車 | ○ |
使い方が変わっても対応できる車 | |
壊れない車 | |
似たような車がない車 |
多くの人にとってミドルサイズのSUVは流行りということも含めて、使用シーンに合う可能性が最も高いボディタイプです。トヨタ「ハリアー」、「RAV4」、日産「エクストレイル」、ホンダ「ZR-V」、マツダ「CX-5」、スバル「フォレスター」など実力車揃いのこのマーケットで、最も買ってよかったと思えるのはトヨタ「ハリアー」と日産「エクストレイル」のどちらかだと思います。
ハリアーのブランド力に見合う内外装の仕立ての良さも捨て難いのですが、個人的にはエクストレイルを推します。新型になってまだ時間も経っておらず、内外装の質感も随分向上して商品力が高まりました。そして前述しましたがこの車の最大の魅力は第二世代e-POWERの巧みな制御による先進的な電動車感と、裏方のVCターボエンジンが時折奏でる素敵なエンジンサウンドです。新しいものを買ったなぁ、という気持ちに加えて、いいものを買ったなぁという満足感をプラスしてくれるでしょう。
第1位 スズキ「ジムニー」
どこでも行ける唯一無二の軽クロカン、MT車を運転する楽しさは抜群!
使用シーンに合っている車 | |
かっこいい、かわいい、美しい車 | ○ |
家族や友人からも評判がいい車 | |
販売台数の多い車 | ○ |
使い勝手が良い車 | |
期待値を上回る何かがあった車 | ○ |
すぐに新型が出ない車 | ○ |
使い方が変わっても対応できる車 | |
壊れない車 | ○ |
似たような車がない車 | ○ |
使用シーンに合っているのであれば、スズキ「ジムニー」こそ「買ってよかった」と思える車の最右翼でしょう。軽自動車でありながら走破性、耐久性に優れたクロカン四駆。こんな車はほかにありません。内外装のデザインも刷新されて確信犯的に良くなりました。販売台数も軽自動車としては少なめの月3000台ペースですが、それは生産ラインの限界いっぱいの数字、納車待ちの列は依然長いままですしモデルチェンジも当面ないでしょう。その人気を反映してアフターマーケットの用品も数多くそろっています。
さらにマニュアル(MT)車を選べば、買ってよかったと思う可能性はさらに倍!改善したとスズキはいうものの依然として小刻みにブルブル震えるシフトレバーを操作して、限られたパワーをうまく使いながら走るMTのジムニーには運転する楽しさが詰まっています。万が一、自分には合っていなかったと思ってもジムニーの値落ちの少なさは圧倒的。売る時にも「買ってよかった」と思える1台です。
買ってよかった車と一緒に過した時間は、きっとよかったと思える時間
これまで10数台を乗り継いだ筆者ですが、30数年持っているシトロエン「2CV」以外に、もう1台よかったなぁと今でも思い出す車があります。それは30代の頃に乗っていたシトロエン「エグザンティアブレーク」。恋人や友人たちとあちらこちらに出かけて、5年ちょっとで10万キロ以上を走りました。ベルトーネがデザインした美しいステーションワゴンはルージュエルメス(エルメスの赤)という名前すら素敵なソリッドの赤いボディで、駐車場の管理人さんから「いい色ねぇ」とよく褒められました。
いや、よかったのはそういうことだけではなく、当時の自分の使い方、長距離ドライブや多人数・多荷物積載にマッチしていたボディタイプ、シトロエン独自のハイドロニューマチックによる甘美な乗り心地、単品だと大したことのない非力な2.0Lエンジンと凡庸な4ATがもたらす市街地での意外な乗り味の良さなど、たくさんありました。故障もそんなに多くはなかったです。そんなエグザンティアを思い出すたび、一緒に過ごしたその時代もよかったなぁとしみじみ思います。車は人生に寄り添ってくれる大切な存在です。買ってよかったと思える車で過ごす時間は、きっとよかったと振り返ることのできる時間になるでしょう。
よくある質問
Q1:「買ってよかった車」とはどんな車ですか?
A:使用シーンに合ったボディタイプであることが大前提ですが、購入した直後は外観や周囲からの評価が高い車ほど買ってよかったと思えます。その後、5年目くらいまでの間は使い勝手の良さ、期待値を上回る何かがある、すぐに新型が出ないなどが買ってよかった車に共通する項目です。
Q2:長い間乗るつもりですが、ずっと乗っていても「買ってよかった」と思える車はありますか?
A:ライフスタイルの変化にも対応できる車、壊れない車、似たような車がない車などは、長い期間にわたって買ってよかったと思える車です。
Q3:「買ってよかった車」を具体的に教えてください
A:唯一無二の軽クロカンの「ジムニー」、先進性にプラスアルファのある日産「エクストレイル」、ツブシの利くミドルサイズミニバンで総合力の高いトヨタ「ノア/ヴォクシー」、見た目だけではない魅力のあるスズキ「ハスラー」などは買ってよかったと思える可能性が高い車です。
※この記事は2023年7月時点の情報で制作しています