マフラーは、車好きの方が改造することの多いパーツです。社外品を取り付けたり、取り付け位置を調整したりしてカスタマイズを楽しむ方も多いですが、マフラーは車の騒音に関わるパーツなので、車検では厳しくチェックされます。自分の車のマフラーに問題がないか、不安に思っている方もいるのではないでしょうか。そこで、車検でマフラーの何を確認されるかを解説するとともに、車検に通らない場合の対処方法についてご紹介します。
マフラーの役割とカスタマイズすることで得られる効果
マフラーは車の排気管の一部で、車のリアバンパーの下にある金属でできた筒状のパーツのことです。本来は消音器のことをマフラーと呼びますが、広義でパイプ全体を指すこともあります。マフラーには、エンジンの燃焼によって生じる音を吸収し、静かにするという大切な役割があります。また、スムーズな排気を促したり、車の排気ガスの中に含まれる有害物質を減少させたりする役割も果たしているのです。
マフラーは、カスタマイズされることが多いパーツでもあります。その理由として、排気音を好みのサウンドにできることが挙げられます。本来、エンジン音を静かにするマフラーですが、改造すると響く重低音が出るようになるので、かっこよく、存在感を出すことができるのです。レーサーのような感覚を味わうことができるため、車のカスタマイズの中でも人気を集めています。
また、エンジンのパワーがアップすることが多いというのも、マフラーを改造する方が多い理由です。マフラーを変えると、乗りやすさや加速の伸びが変わりますし、燃費が向上することもあります。さらに、マフラーをカスタマイズすると見た目の迫力が増すなど愛車が格好良く見えるという理由でマフラーをカスタマイズする方も多いです。
保安基準が厳しい?マフラーのチェック項目
マフラーのカスタマイズは車好きの方のあいだで根強い人気を誇りますが、マフラーを改造した車はうるさい、不快だと感じる騒音をまき散らすことが多く、社会問題となっています。そのため、国土交通省は近接排気騒音規制を定めるとともに、マフラーの規制を強化しているのです。順次見直しをすると国土交通省が表明していることから、今後もマフラーの騒音規制は厳しくなると考えられます。
マフラーは、車の運転中に加速走行騒音を防止することができ、さらに性能を損なうおそれがないものでなければならないと決められています。マフラーの規制は年々厳しくなっており、基準も頻繁に変更されるので、車検前に最新の基準をチェックすることが大切です。なお、ここで紹介する基準は、2020年11月時点のものです。
1. 音の大きさ
2010年4月1日以降に生産された車の場合、マフラー出口に測定器を置く「近接排気騒音」という測定条件で、普通車であれば96db(デシベル)、軽自動車は97db以下なら車検に通ります。なお、騒音の目安は、カラオケ店が90db、電車が通るときのガード下が100dbです。また、2010年3月31日までに生産された車は、車種にもよりますが96〜103dbが基準値とされています。
そして、2018年11月から、マフラーの騒音規制の取扱いが見直され、交換用マフラーに純正品以外のものを選ぶ場合、新車時の騒音から悪化しないことを確認する「相対値規制」が導入されました。改正内容としては新車時の近接排気騒音が車種毎に定められた一定の値を超える四輪自動車は、マフラーを交換した後の音の大きさが、新車時の近接排気騒音(車検証などに記載される)に5dbを加えた値以下でなければならないため、注意しましょう。例えば、新車時の近接排気騒音が91dbの車に交換用マフラーを装着する場合、91db+5db=96dbまでであれば問題ありません。
一定の値に関しては国土交通書のこちらをご確認ください
2. 取り付け位置
マフラーは、取り付け位置に関しても厳しい規定があります。1999年1月1日以降に造られた車は、まず地上高が9cm以上でなければなりません。そのため、車高を下げるカスタマイズをしてマフラーが地上高9cmよりも下にある場合は、車検に通らないのです。
出典:日本自動車スポーツマフラー協会(略称:JASMA)
また、マフラーがフロア・ラインから10mm以上突出しないことという基準もあります。ただし、仮に10mmを超えていても、排気管の端部に丸みがついた2.5mm以上の曲率半径を有していれば問題はありません。
3. 触媒の有無
マフラーをカスタマイズする際、パワーを出すため手前にある触媒を取り除く方もいますが、これでは車検に通りません。触媒は、車の排気ガスから有害物質を除去する役割を果たすものです。そのため、触媒を取り除いてしまうと、車から大気を汚染する有害物質をそのまま排出することになってしまいます。
車検では、炭化水素と一酸化炭素の数値を検査します。触媒がないと排気ガスから有害物質を除去できないので、不合格になってしまうのです。触媒は基本的に劣化しないためメンテナンスも不要なので、取り外していなければ車検で問題になることはありません。カスタマイズする場合でも、触媒の除去は避けましょう。
車検に通るマフラーの選び方
マフラーはカスタマイズされることの多いパーツなので、マフラーが原因で車検に合格できないケースは数多くあります。取り付け位置はきちんと確認して正しい場所にすれば問題ありませんが、音の大きさはマフラーを選ぶ時点である程度決まってしまいます。そのため、改造する前にどのようなマフラーを選ぶべきか知っておくと安心です。
純正品を選ぶ
純正品のマフラーは、車検に必ず通るように造られています。そのため、交換する際も純正品を選べば基本的に問題はありません。マフラーの種類には特にこだわりがなく、確実に車検に合格できるものを選びたい方は純正品を選ぶといいでしょう。
ただし、純正品でも注意しなければならないポイントがあります。マフラーの全部や一部が取り外されていたり、破損や腐食があるなど劣化が進んでいたりする場合は、消音器として正しく機能しない可能性があると判断され、車検に通りません。マフラーは地面に近い場所にあるため汚れやすく、腐食して穴が空くこともあります。マフラーのどこかが取れていないか、劣化が進んでいないかは車検前に確認しておきましょう。
社外品の場合は、JASMA認定品を選ぶ
純正品ではなく社外品のマフラーを選ぶときは、車検対応品や保安基準適合品、JASMA認定品と記載されているマフラーを選ぶ必要があります。
JASMAとは、日本自動車スポーツマフラー協会のことです。国が定めている道路運送車両の保安基準より厳しい基準を自主的に設け、それを通過して認定されたマフラーを取り扱っています。より安心できる社外品を購入したい場合は、基準が厳しいJASMAのものを選ぶと安心です。
ただし、車検対応品、保安基準適合品などと書かれているマフラーを取り付ければ100%車検に通るわけではありません。車検対応品や保安基準適合品などと記載があるマフラーは、あくまで一定条件のもとで基準をクリアしているに過ぎません。実際に自分の車に装着して音量を測定すると、数値が変わることもありえます。また、経年劣化によって保安基準より排気音の音量が大きくなってしまえば、当然車検には通らなくなってしまいます。そして基準をクリアしている社外品を取り付けている場合も破損や腐食があると車検に通らないので、こまめなメンテナンスが必要な点は純正品と変わりません。
車検通過が難しい場合の対処方法
マフラーの音が明らかにうるさい、長さが基準よりもはみ出しているなどの場合は、車検通過が難しいかもしれないと不安に思ってしまうものです。そのような場合は、以下の対処方法が考えられます。必要に応じて車検前に実践してみましょう。
インナーサイレンサーの装着
音の大きさが基準値以上で車検に通らない場合は、インナーサイレンサーを装着してみましょう。インナーサイレンサーとは、マフラーの出口に取り付けることで排気音量を下げられるアイテムです。
ただし、固定するボルトが緩んでいたり腐食や破損などで劣化していたりする場合は、車の排気ガスによってインナーサイレンサーが外れてしまうことがあります。インナーサイレンサーを取り付ける場合は、問題なく付いているか定期的に確認しましょう。
また、保安基準では騒音を低減できる機構が容易に除去できる構造ではいけないと定められているので、ネジで取り外し可能にしていると車検に通らず、溶接が必要になることもあります。検査官の判断にもよりますので、不安であればインナーサイレンサーの取り付けではなくマフラーを交換するなどの対応がおすすめです。
また、交換用マフラーの事前認証制度により、2010年4月以降に生産された車はインナーサイレンサー装着による消音が禁止されていることにも注意しなければなりません。車の種類によってはインナーサイレンサーを付けると車検に通らないため、自身の車に取り付けられるか事前に確認する必要があります。
構造変更の申請
マフラーがフロア・ラインから若干はみ出している場合は、構造変更申請をして保安基準を満たす車であると認定してもらう必要があります。
構造変更申請とは、車両の長さや幅、車体の形状などを変更する改造をしたときに、運輸支局または自動車検査登録事務所に車を持って行き、構造等変更検査を受けることです。常識の範囲内での改造であれば、構造変更申請をして保安基準を満たすことができます。なお、軽微な変更であれば手続きが簡素化され、記載変更の手続きで完了します。
ただし、近年では車の改造が厳しく見られるようになってきているため、改造した車が必ず構造等変更検査に通るという確証はありません。マフラーの改造など車をカスタマイズする場合は、検査に通らないリスクもあることを知っておきましょう。
マフラーの買替え
損傷や腐食などの劣化が激しい場合は、マフラーの買替えも選択肢のひとつです。車検に通すためにその場しのぎの対策をするよりも、思い切って買替えてしまったほうが走行中の騒音などのリスクも下げられます。劣化したマフラーをきちんと取り替えたほうが、自分の車には問題がないという安心感も得られるので、車検前にマフラーを買替えるのは賢い選択だといえるでしょう。
ただし、マフラーを交換する場合、純正品であれば数万円と高額なので大きな出費になります。突然出費がかさむ事態にならないよう、買替えは計画的に行うことが大切です。
マフラーの劣化で買替えを検討しているなら、カーリースがおすすめ!
劣化が進んでいたり騒音が激しかったりするマフラーを搭載している場合、マフラーを買替えるより車そのものを買替えたほうがストレスなく車検をクリアできる可能性があります。とはいえ、車の買替えにはお金がかかるため、思い立ってすぐにできるものではありません。
そこで、車を買替えるなら、カーリースを利用するのがおすすめです。カーリースは月々定額で新車に乗れるので、頭金もかからず、すぐに車を乗り換えられます。
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さらにうれしいポイントとして、メンテナンスプランを利用すれば、車検や法定点検をはじめとするメンテナンス費用を定額にできます。車検時に多額の出費をしなくても、月々の費用だけでメンテナンスができるのが最大の魅力といえるでしょう。車検での大きな出費が家計の負担になって悩んでいる方や、車に関する出費をなるべく一定に抑えたい方は、カーリースの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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車検前にマフラーに問題がないか確認しておきましょう
マフラーは騒音規制の強化に伴い、車検でも厳しくチェックされます。国が定める基準は頻繁に変わるので、どこに注意すれば良いか事前に確認して、車検に通るよう適切な対策をしておきましょう。カスタマイズしている場合は違法な改造になっていないか、純正品を使用している場合は劣化していないかをチェックした上で、マフラーの定期的なメンテナンスをするのがおすすめです。
よくある質問
Q1:車検でマフラーは厳しくチェックされるって本当?
A:マフラー改造による騒音は社会問題にもなっており、国土交通省は近接排気騒音規制を定めるとともに、マフラーの規制を強化しています。
Q2:車検でチェックされるマフラーの基準とは?
A:2010年4月1日以降に生産された車の場合、普通車であれば96db(デシベル)、軽自動車は97db以下なら車検に通ります。また、2010年3月31日までに生産された車は、車種にもよりますが96〜103dbが基準値とされています。さらに、装着位置も条件に挙げられています。
Q3:どんなマフラーなら安心して車検を受けられる?
A:メーカーの純正品、社外品の場合はJASMA認定品を選ぶと安心です。
※記事の内容は2021年2月時点の情報で制作しています。