事故が原因で破損してしまった車は、修理して乗り続けるか、買い替えるべきかの二択で悩む方が多いと思います。どちらが正しい選択かは、車の破損状況や保険への加入状況などによって変わってきます。
条件によって変わる買い替えと修理のメリット・デメリットを理解しておくと、自分に合った適切な判断ができるでしょう。今回は事故のケースに応じて、買い替えと修理どちらがお得かポイントをまとめます。
また、事故車を買い替える場合の基本的な流れについても確認しましょう。
この記事のPOINT
- 事故車は買い替え、修理して乗り続ける、そして売却する選択肢がある
- どの選択肢がお得かは事故車の破損状況と事故の種類によって異なる
- 自分の加入している保険や買い替えの手順を事前に知っておく必要がある
事故車は買い替えと修理、どちらがお得?
事故車の買い替えと修理の判断基準となる主な費用は、事故車を売却するときの査定額と、修理費の2種です。まずはそれぞれについて、事故が原因の場合に気をつけるべきポイントを確認しましょう。
事故車の査定額が大きく下がるケース
事故車の査定額を左右するポイントは修復歴の有無。修復歴とは、事故や災害が原因で、車の骨格部分のパーツやエンジンなどの主要部位を修理した際に残る履歴のことです。
このような修理は、車の根本的な部分に手を加えなければならないものなので、もしもその車が再度事故に遭ったとき、乗っている方に大きなダメージを与える可能性があります。そのリスクを伴うことが原因で、査定額が下がります。
なお、修復歴のある車は、中古車販売業者に買い取りを依頼する際に修復歴を表示することが義務付けられており、修復歴があることを査定時に隠すことはできません。
事故車の修理費が高額になるケース
次に、修理費について解説します。修理費は、事故車の破損が大きければ大きいほど高額になります。先程紹介した車の骨格部分に関わる修理も、高額な修理費が必要となり、特にエンジンやフレームの修理費は高くなる傾向があります。
乗っていた車種によっても修理費は異なります。例えば海外の車や高級車、ハイブリッド車など、修理やパーツの載せ替えに手間がかかる車種であればあるほど、修理費がかかるでしょう。
こうした修理費が高額になる条件がある事故車の場合、修理に100万円を超える見積りが出されるケースも珍しくありません。
破損状況が大きいと査定額が下がり、修理費が高額になる
このように、事故車の破損状況が大きいと査定額が下がったり、修理費が高額になったりする可能性があります。事前にこうした条件がわかっていれば、廃車して新車に買い替えるのが妥当だと判断できます。
ただし、買い替えや修理にかかる費用を補償する保険もあります。加入している保険の種類によっては、負担額を軽減して修理や買い替えを検討することもできるでしょう。
車両保険と対物賠償責任保険
では、事故の場合に活用できる主な保険、車両保険と対物賠償責任保険について確認していきます。車両保険と対物賠償責任保険は、それぞれ補償している対象が異なります。
車両保険とは
車両保険とは、自分の車の修理費等を補償する任意保険です。大きな事故に遭った場合は、買い替えの費用も補填できます。
車両保険が適用される事故は、車やバイクとの衝突・接触事故、当て逃げ、転覆や墜落、火災、台風、洪水などの自然災害などさまざまです。車への落書きや窓ガラスの破損も対象になります。
車両保険の中にも自分で起こしてしまった事故は対象外のものと、自分が原因の事故でも補償対象になるものがあります。加入条件によって範囲が異なるので、加入時には自身の運転スキルや運転歴によって判断しましょう。
車両保険の保険金額は、契約時の時価額相当で設定します。つまり、古い車種は保険の金額が下がります。修理や買い替えの費用が高額になる場合、その満額を受け取れるとは限らないので注意が必要です。
対物賠償責任保険とは
対物損害賠償保険とは、相手の車や所有物を自分の責任で破損させてしまった場合に利用できる保険です。また、その事故によって相手が休業した場合などの間接的な損失額も対象になります。対物損害賠償保険の適用は、相手のいる事故に限られるのが特徴です。
補償額は事故の過失割合によって変わります。過失割合とは、事故当事者がそれぞれどの程度の責任が生じて事故が起こったかを数字の割合で表すものです。この過失割合は、当事者の契約している保険会社の話し合いによって決定されます。
対物損害賠償保険と自分の立場
この対物損害賠償保険は、自分が被害者の場合と加害者の場合で、金額や使用用途が異なります。
事故の責任が相手にある場合、相手の加入している保険会社から補償を受けることができます。この補償が高額であれば、車の買い替えを自己負担額が少ない状態でできるでしょう。
ただし、受け取れる金額は各保険会社の基準によって大きく異なります。他責の事故だから買い替えのための費用をすべて支払ってもらえるわけではありません。
自分に責任がある場合、対物損害賠償保険で補償される対象は相手となります。自分の車に対してこの補償は使えませんので、注意が必要です。
任意保険の状況に応じた負担額の変動
任意保険の加入状況と事故の内容によって、補償される対象や補償額は変動します。
いずれにせよ、保険の下りる状況は修理費や買い替えの費用を基準とはしていないため、保険によってすべての損失額を補えるとは限りません。
ただ、場合によっては自己負担額を大幅に減額できる可能性があるので、事故後は加入している保険会社に確認しながら手続きを進めましょう。
事故車を修理するメリットとデメリット
事故車の修理費や売却費についての考え方と、保険の対象について説明してきました。それを踏まえて、事故車を修理することを検討している方に向けて、事故車を修理して乗り続けることのメリットとデメリットを紹介します。
事故車を修理するメリット
事故車を修理して乗り続けることの最大のメリットは、事故後の負担額を軽減できることです。
例えば、ミラーやドアなど車の走行に影響の少ないパーツが破損した場合は、修理費は10万円程度で済むことがほとんど。また、購入して間もない車であれば、修理費を負担してそのまま乗り続けたほうが多額の出費は避けられます。
先程紹介した任意保険が適用される場合は、自己負担を少なくして乗り慣れた車に乗り続けられる可能性が高いでしょう。
事故車を修理するデメリット
一方、事故車を修理する場合はいくつかのデメリットがあります。
1. 修理後すぐに車に乗れない可能性がある
まず、修理を依頼した業者が繁忙期だった場合、修理期間が長引く可能性があります。特に年末年始や長期休暇前は納期が遅れることが多いので注意しましょう。
2. 修理の依頼先によっては仲介手数料がかかる
修理の依頼先がディーラーだと、仲介手数料が発生するため修理費が高額になることがあります。直接修理業者へ依頼したほうが、修理費は抑えられるでしょう。
3. 故障のリスクが高くなる
たとえ破損箇所を完全に修理できても、そのまま走り続けた結果、再び故障や破損を招く可能性は高くなります。小さな破損であっても、別のパーツに何か問題を起こす可能性はゼロではありません。
事故車を買い替えるメリットとデメリット
次に、修理して乗り続けるのではなく、事故車を買い替える場合のメリットとデメリットも見ていきましょう。事故に遭ったから買い替えてしまったほうがいいと判断する方もいますが、条件によっては必ずしもそうとは限りません。
事故車を買い替えるメリット
事故車を高額で売却して新車に買い替える場合や、任意保険の補償額が支払われる場合、新車を通常よりも安く購入できるメリットがあります。
通常なら予算を超えてしまう車種も買えるかもしれません。事故をチャンスとして捉えることもできるでしょう。
事故車を買い替えるデメリット
事故車を買い替えるデメリットは、いずれも買い替え後の家計に響いてくるものです。先に情報を知っておくことで、リスクを軽減することができます。
1. 車両保険を利用すると等級が下がる
車両保険には等級というものが定められており、保険を利用すると3等級下がるしくみになっています。この等級が高いほど、保険料は安くなります。無事故で運転歴が長いほど、保険料は安くなるということです。
したがって、事故によって車両保険を利用した場合、来年度の保険料は上がる可能性が高くなります。等級による保険料の差額を把握し、車両保険を利用することで後々どれだけ損をするのか事前に確認しましょう。
2. 二重ローンになる可能性がある
事故車のローンを支払い終わっていない場合、新たに買い替えた車のローンと二重になってしまう可能性があります。任意保険の補償額を残りのローンの支払いにあてる方も少なくありません。
まずはローンの返済計画を確認してから、次の車の買い替えについて検討しましょう。
事故車を修理するか買い替えるか判断する基準
ここまでで事故車に関わる費用の知識と保険の種類、修理と買い替えそれぞれのメリットとデメリットを見てきました。まとめとして、事故車を修理するか買い替えるか判断するための基準を解説していきます。
買い替えがおすすめのケース
事故車を買い替えたほうがお得なケースは、下記のような条件がそろう場合です。
- 修理費が100万円を超える
- 走行距離が長い
- 年式が古い
- 保険の補償額が安い
これらに当てはまる場合は、無理に修理して乗り続けるよりは、買い替えたほうがいいでしょう。もしも修理して乗り続けたとしても、将来的に買い替えを検討した場合に下取りや買取りで値がつかない可能性が高いです。
特に、購入後10年以上経過した車は時価が0円となってしまうといわれています。車両保険の補償額も車の時価に基づいていますから、10年をひとつの基準として廃車にするかどうか検討してみてください。
修理がおすすめのケース
事故車を修理して乗り続けるほうがお得になるのは、次のような条件が当てはまるときです。
- ミラーやドアなど、車の走行に影響の少ない部分の修理だけで済む
- 年式が比較的新しい
- 走行距離が短い
- 相手に原因のある事故などで、保険の補償額が大きい
これに併せて修理の見積額も重要な判断材料となります。修理するパーツがどこであれ、見積額が10万円以下であれば、修理を前向きに考えてみましょう。
事故対応や車を買い替える流れ
では、事故を起こしてしまったときの対応や、車を買い替える場合の基本的な流れを見ていきましょう。
速やかに事故処理を進める
事故を起こしてしまったら、まずは事故に関わる人命救助や警察への通報などを進めます。基本的な連絡先は病院、警察、保険会社です。人命に関わる事故の場合は、最優先で人命救助に関わる連絡を行いましょう。
事故の規模や状況によって異なりますが、その場に居合わせた当事者同士での問題解決はできるだけ避けましょう。警察や保険会社に状況説明をした上で、適切な判断を仰ぐことが重要です。
保険会社に連絡し、事故の状況を説明する
保険会社に連絡したら、事故の状況を詳しく伝えましょう。
保険の適用範囲は、事故の原因や車の損傷具合などの内容によって決まります。そのため、できる限り詳しく事故の状況を説明しなくてはなりません。事故に遭った直後は気が動転するものですが、保険会社とのやりとりは落ち着いて対応しましょう。
なお、事故の内容によっては保険適用対象外となる可能性も。事故に遭ってから焦らないために、あらかじめ加入中の任意保険の内容を確認しておくことをおすすめします。内容がわかっていれば、何を伝えなければいけないか、そして自分が保険適用対象になるかどうかが事前に確認できます。
修理費の見積りを取る
事故車を修理する場合は、まずは修理費の見積りを出してもらいます。見積りを依頼するときは、自分でディーラーや整備工場などの業者を探す方法と、保険会社に紹介してもらう方法があります。なお、補償額や保険でカバーできる範囲を確認するためにも、修理費の見積りは保険会社の担当者にも伝えてください。
保険会社に入金を依頼する
車を買い替えることも修理費と併せて保険会社に連絡し、入金依頼をします。これらの手続きが無事に終わり次第、指定口座に保険会社から保険金が振り込まれます。入金までに日数がかかり、出費のタイミングより遅れてしまう可能性もあるため、入金依頼までの流れはできる限り早く進めましょう。
ここで、今後の保険料についても保険会社に確認しておくことをおすすめします。多くの場合、事故で保険を利用した場合は今後の保険料が上がります。どれくらい保険料が上がるのか確認しておくと、今後の家計が立てやすいです。
事故車を処分する
次に事故車の処分を進めます。修理せず廃車にする場合は廃車専門業者、修理して売却する場合は中古車販売店に依頼しましょう。
この売却額は買い替える車種にも影響を及ぼすものですから、査定額はしっかりとチェックしてください。
買い替える車を選び、購入する
支払われた保険金や買取額をもとに、買い換える車を選びましょう。乗車人数や燃費、機能なども考慮し、車の用途や現在のライフスタイルに合ったものを選びます。
また、車には購入時の費用だけではなく、燃料代やメンテナンス代などの維持費もかかります。この先も快適に乗り続けられるよう、自身の家計に最適な車を選ぶことが大切です。事故車のローンが残っている場合や保険料が上がる場合は、それも含めて支出を考えておかなければなりません。
買い替える車が決まったら、書類を用意して購入手続きを進めます。支払いが完了すれば、数週間後には新しい車での生活が始められます。
事故後の車をカーリースに切り替える
ここまで事故車を買い替える場合の説明をしましたが、カーリースを利用して新しい車に乗る方法もあります。カーリースは月々定額制で車に乗ることができるので、事故後の出費が大きいことで買い替えに悩んだ場合は、カーリースを検討してみましょう。
カーリースの月々のリース料金には、税金や自賠責保険料などの費用が含まれているため、定期的なメンテナンスや車検時に追加費用が発生するリスクもありません。これから車にかかる大きな出費を抑え、月々定額で車に乗りたい方にはおすすめです。
カーリースの定額カルモくんなら、自分の家計に合ったメンテナンスプランに加入することができ、買い替えよりも初期費用を抑えて新しい車を手に入れることができます。
事故車の買い替えは破損状態や保険の加入状況から判断しましょう
事故車は保険の加入状況や破損によって、高額な出費が予想されます。修理費が高い場合は、思い切って買い替えを検討することがおすすめです。一方、修復歴が残らない程度の破損や、新しい車だった場合は、修理して乗り続けられる可能性も残されています。
どちらが正しいかは事故の状況によりますので、今回紹介した条件と照らし合わせながら、修理か買い替えか、自分に合った選択を検討しましょう。
よくある質問
Q1:事故車は買い替えと修理、どちらがお得?
A:事故車の破損状況や任意保険の加入状況、事故の原因によってどちらがお得かは異なります。修理費が高額だったり、既に長く乗った車であったりする場合は、買い替えを検討しましょう。
Q2:事故車に適用できる保険は?
A:車両保険や対物損害賠償責任保険があります。それぞれ対象が異なるため、事故の原因によって受け取れる金額が変動します。いずれにせよ、事故車の修理や買い替えの金額が基準とはなりませんので、注意が必要です。
Q3:事故車を買い替える以外の手段は?
A:修理費が安く、新車の場合は修理して事故車に乗り続けることができます。また、カーリースを利用して月々定額で新しい車に乗り換える方法もあります。
※記事の内容は2020年10月時点の情報で制作しています。