最近の販売台数ランキングを眺めているとヤリスやフィットなど話題の新型車に混じって、着実にTOP10圏内にランクインしているのがトヨタルーミー。そんな軽自動車で人気のスーパーハイトワゴンのコンパクトカー版ともいえるルーミーが2020年9月に初のマイナーチェンジを行いました。ライバルのスズキソリオがフルモデルチェンジを受け、ますます注目のコンパクトトールワゴン市場で新しいルーミーは存在感を示し続けることができるのでしょうか。萩原文博さんの試乗レポートをお届けしましょう。
スズキソリオが発掘した広い室内+スライドドアのマーケット
軽自動車で主力となっているのが、スーパーハイトワゴンと呼ばれるモデル。軽自動車最大級のボディに利便性の高い両側リアスライドドア、広く多機能な室内空間をもつクルマです。このパッケージングが小型車にも及んで、コンパクトトールワゴンやプチバンと呼ばれるカテゴリーが作られました。
このカテゴリーのパイオニアはスズキソリオですが、このソリオが発掘した市場に導入されたのが、2016年に登場したトヨタルーミー/タンクです。このルーミー/タンクはダイハツトールのOEM供給車で、スバルにも供給されジャスティという名前で販売されています。トヨタはルーミー/タンクそれぞれに標準車、カスタムが設定され、合計4タイプが用意されていました。
タンクを統合した効果もあって販売ランキングTOP5にランクイン!
2020年9月に初のマイナーチェンジを行い、内外装の変更をはじめ、安心・安全機能を進化そして使い勝手の良さを向上させています。同時にこのタイミングでタンクが廃止され、ルーミーに統一。その影響でルーミーは新車販売台数ベスト10に常にランクインするヒットモデルとなっています。
内外装を細やかにアップデート
今回のマイナーチェンジで外観はフロント&グリルのデザインを変更。そしてLEDヘッドランプを採用しスポーティで迫力のあるマスクとしました。さらに標準車は14インチホイールキャップ、カスタムは15インチアルミホイールのデザインも変更しています。標準車は以前のタンクに似たようなデザインとなり、カスタムは、リアコンビネーションランプが新意匠となっています。
インテリアでは内装色のトーン変更をはじめ、座り心地とホールド性を向上させたシート形状の採用、センタークラスターパネルの変更などを行い、USBソケットも設定。そして9インチのディスプレイオーディオをメーカーオプションで設定されました。
先進安全装備のみならず運転支援や便利機能も充実
安心・安全機能の進化では、新型ステレオカメラを採用した「スマートアシスト」を搭載しました。衝突回避支援ブレーキの検知対象に夜間歩行者、追従二輪車も追加。検知距離、対応速度の向上を図っています。また、周りの明るさや先行車、対向車を感知するとヘッドライトの照射範囲を変更するADB(アダプティブドライビングビーム)や高速道路でのドライバーの負担を軽減する全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)を採用しています。
運転支援や使い勝手の機能では電動パーキングブレーキを初採用し、オートブレーキホールド機能も搭載。さらに、ドアロックまでの待ち時間を解消するタッチ&ゴーロック機能の追加や、近づくだけでドアロックを解除するウェルカムドアロック解除機能を採用。加えて、予約しておくと近づくだけでスライドドアが自動で開くウェルカムオープン機能も追加しホスピタリティを高めています。
存在感とスポーティさが強まったカスタム
今回試乗したのはルーミーカスタムG-Tで車両本体価格は204万6000円です。マイナーチェンジで追加されたクールバイオレットクリスタルシャインのボディカラーとメッキパーツを多用した大型のフロントグリルによってコンパクトカーながら存在感とスポーティさを強調しています。ヘッドライトだけでなく、フォグランプやイルミネーションランプもLEDを採用しクールな表情となっています。
ぜひ装着したい9インチディスプレイオーディオ
マイナーチェンジで形状と表皮が変更されたシートはタップリした形状となり、包まれ感のおかげで疲れにくくなっています。試乗車にはオプションの9インチディスプレイオーディオが装着されていましたが、大型ディスプレイにより、視認性や操作性は抜群。これはぜひ装着をおすすめしたい装備のひとつです。
意外に好燃費のターボは遠出も余裕、街なかメインなら標準エンジンで十分
カスタムG-Tに搭載されているエンジンは最高出力98ps、最大トルク140Nmを発生する1L直列3気筒ターボです。2400回転という低回転域から最大トルクを発生するので、発進加速はスムーズというより、鋭さを感じます。つまりアクセルをあまり踏まなくてもスッと加速していくという感覚です。
ターボエンジンと聞くと燃費が悪いと思う人もいるかもしれませんが、ルーミーに搭載されている1Lターボエンジンの燃費性能はWLTCモードで16.8km/Lという低燃費を発揮します。ターボはフル乗車が多いという人や、坂道などが多いエリアで使う人、そして高速道路の利用が多い人にはオススメです。
ちなみに姉妹車であるダイハツトールの標準(自然吸気)エンジン車にも試乗しましたが、こちらも街乗りでは非常に軽快な走りを実現していました。街乗り中心という人ならば標準エンジン搭載車で十分満足できる動力性能です。
毎日使う人に嬉しいオートブレーキホールド
マイナーチェンジで電動パーキングブレーキを採用したことにより、オートブレーキホールド機能が搭載されました。この機能は赤信号などでブレーキを踏んで停止したときに、自動でブレーキを保持してくれるので、ずっとブレーキペダルを踏まなくてよいというもの。
さらにアクセルペダルを踏むと自動で解除されるという便利な機能です。そして運転支援機能のスマートアシストも最新バージョンにアップデートされ、さらに安全性が向上しています。毎日お子さんの送り迎えなどで使われることが多い車種だからこそ、こういった安全性や利便性の向上は嬉しいもの。
マイナーチェンジで見た目だけでなく、中身の商品力も大幅に向上したルーミー。今後も新車販売台数上位にランクインし続ける実力をもったクルマです。
※記事の内容は2021年2月の情報で制作しています。