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【試乗・岡崎五朗】トヨタランドクルーザー250「見ても乗っても走らせても、他では味わえない独自性」

【試乗・岡崎五朗】トヨタランドクルーザー250「見ても乗っても走らせても、他では味わえない独自性」
【試乗・岡崎五朗】トヨタランドクルーザー250「見ても乗っても走らせても、他では味わえない独自性」

2024年4月に発売された「ランドクルーザー250」(520万〜785万円)。前身の「プラド」と比べてひと回り大きくなり、フラッグシップの「300」にほぼ匹敵するサイズとなりました。伝統と実績に裏付けされたクロカン4WDの最新モデルの実力を岡崎五朗さんがリポートします。

 

ランドクルーザーはトヨタでもっとも長い歴史を持つ

ランドクルーザーはトヨタでもっとも長い歴史を持つ

1951年に登場した初代に当たるBJ型(右)は1954年からランドクルーザーを名乗るようになった、2代目の20系(左)は1955年に、そしてランドクルーザーの名を世界に知らしめた3代目の40系(中央)は1960年に発売された

いまや世界最大の自動車メーカーとなったトヨタ。プリウスに代表されるハイブリッドカーはもちろん、最近ではハチロクやGRヤリスといったスポーティーなモデルが注目されているが、歴史的な代表モデルといえば、なんといってもクラウンとカローラだろう。しかし、クラウン(1955年〜)やカローラ(1966年〜)よりも長い歴史をもつのが実はランドクルーザーだ。

3モデルに共通しているのは「生きて帰ってくる性能」

3モデルに共通しているのは「生きて帰ってくる性能」

左から”Station Wagon”の「300」、”Heavy Duty”の「70」、”Light Duty”の「250」

ランドクルーザーというネーミングが使われ始めたのは1954年。以来、ランクルは圧倒的な信頼耐久性と悪路走破性を武器に世界中で厚い信頼を獲得した。現在のラインナップは84年にデビューした超ロングセラーの70、フラッグシップの300、そして今回紹介する250の3モデル。70は電子制御システムを極力廃した本格オフローダーで、牧場や国立公園のパトロール業務など、仕事で悪路を走る人たちの足として主に海外で使われている。一方、豪華なインテリアと数々の電子制御システムをもつ300は、たとえて言うならパイプライン視察のため僻地を訪れるエネルギー会社のエグゼクティブが後席に乗るようなクルマだ。

3モデルに共通しているのは「生きて帰ってくる性能」

このようにキャラクターは異なるが、共通しているのは「生きて帰ってくる性能」を最大のセールスポイントにしていること。人がめったに通らない僻地での立ち往生は命にかかわる。だからこそぬかるみにはまって抜け出せなくなってはいけないし、故障もしてはいけない。悪路走破性と信頼耐久性を極限まで高めることがランドクルーザーのコアバリューだし、実際それを他のどのクルマよりもできているからこそ、ランドクルーザーは世界中のユーザーから支持されているのである。

流行りのSUVとは別次元のタフネスさと引き換えに、割り切りが必要なサイズ

流行りのSUVとは別次元のタフネスさと引き換えに、割り切りが必要なサイズ

では250とはどんなクルマなのか。ランドクルーザーというネーミングを与えられている以上、悪路走破性と信頼耐久性で妥協は許されない。流行りのSUVとは別次元のタフネスさをもっていることがまずはこのクルマを理解する大前提となる。実際、主要メカニズムの大部分は300と共用。ただしサイズ、内外装デザイン、エンジンには独自性が与えられている。

流行りのSUVとは別次元のタフネスさと引き換えに、割り切りが必要なサイズ

流行りのSUVとは別次元のタフネスさと引き換えに、割り切りが必要なサイズ

まずはボディサイズだが、300より250の方がわずかに小さい。それでも全長は5m弱、全幅は2m弱あるから、お世辞にも街中で扱いやすいとは言えない。都心のデパートに行ったところ、立体駐車場は使用不可、平面は空きがないと断られた。都会に住んでいる人にとっては割り切りが必要となる部分だ。

アウトドアもいける高級車が300、アウトドア系ファッションで乗るなら250

アウトドアもいける高級車が300、アウトドア系ファッションで乗るなら250

アウトドアもいける高級車が300、アウトドア系ファッションで乗るなら250

デザインに関しては、フラッグシップに相応しいゴージャスなグリルをもつ300とは対照的に、機能に振ったキャラクターに仕上げている。好みにもよるが、僕はよりカジュアルなテイストの強い250のほうが気に入った。面白いのは、3眼LEDを仕込んだ角目に加え、オプションで丸目も選択可能という点。可愛らしさは丸目だが、個人的には先進的でクールな角目が好みだ。ちなみに、デザイナーに聞いたところデザイン開発は初期から角目で進めてきて、途中から丸目の選択肢も用意したという。

アウトドアもいける高級車が300、アウトドア系ファッションで乗るなら250

アウトドアもいける高級車が300、アウトドア系ファッションで乗るなら250

アウトドアもいける高級車が300、アウトドア系ファッションで乗るなら250

インテリアもゴージャスなしつらえの300に対し、250は質実剛健。アウトドアもいける高級車として乗るなら300がいいし、アウトドア系ファッションで乗るなら250のほうがばっちり決まりそうだ。

山道を含め、力不足を感じたことは一度もなかった

山道を含め、力不足を感じたことは一度もなかった

エンジンは、300がガソリン、ディーゼルともにV6なのに対し、250はどちらも直4。とはいえ売れ筋となる2.8Lディーゼルターボの走りは十分に力強い。低回転域から発生する太いトルクは約2.4トンという重量級ボディを軽々と加速させる。山道を含め試乗で400kmほど走ったが、力不足を感じたことは一度もなかった。サウンドや振動感はさすがに6気筒には及ばないが、決して不快なレベルではないし、250のカジュアルなキャラクターを考えると「味」として十分に納得できる。それどころか、むしろ250にはV6より多少ラフさを感じる直4のほうがマッチしていると感じた。

ロングツアラーとしての素質も滅法高い

ロングツアラーとしての素質も滅法高い

250のパフォーマンスをもっとも発揮するのは当然ながらオフロードだが、ロングツアラーとしての素質も滅法高い。とくに、ザラ路を走ったときのロードノイズと車体振動の抑え込みはフレーム式ならではで、モノコック式とは明らかにレベルの違う快適性の持ち主だ。一方、フレーム式の弱点であるステアリングの反応遅れにはきちんと対策が打たれ、高速道路や山道でも違和感なく運転できる。優れた直進安定性や最高によくできた先進運転支援(渋滞時はハンズオフも可能)と相まって、長距離運転時の安楽さはピカイチと報告できる。

タイヤのバタ付きもブルンとした振動も「ランドクルーザー味」

タイヤのバタ付きもブルンとした振動も「ランドクルーザー味」

一方、強めの凹凸が連続するような路面ではタイヤがバタ付いたり、ブルンとした振動を伝えてくるケースがある点。フレーム式の特徴だが、これも僕はランドクルーザー味として楽しめた。せっかくランドクルーザーという特別なクルマに乗るのだから、普通のSUVにはないキャラを楽しみたいと思う人は少なくないだろう。世界最高峰のタフネスさに裏打ちされた高いブランドイメージに加え、見ても乗っても走らせても他では味わえない独自性をきちんと伝えてくる点が、ランドクルーザー人気を支えている最大の理由だ。

(写真:トヨタ自動車)

※記事の内容は2024年8月時点の情報で制作しています。

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