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「日産ルークス」ライバルより広いスライドドア、上質な室内、完成度の高いプロパイロット(岡崎五朗レポート)

「日産ルークス」ライバルより広いスライドドア、上質な室内、完成度の高いプロパイロット
「日産ルークス」ライバルより広いスライドドア、上質な室内、完成度の高いプロパイロット

広大な室内空間と利便性の高いスライドドアで人気の軽スーパーハイトワゴン。N-BOXを中心に実力車が揃うこの市場に日産が送り込んだルークスは、大きなスライドドア、上質なインテリア、そして先進運転支援装置「プロパイロット」で魅力的な一台に仕上がっているようです。岡崎さんの試乗レポートをお届けしましょう。

スーパーハイトワゴンは、もはやギリギリ

スーパーハイトワゴンは、もはやギリギリ1

デイズファミリーから独立しルークスとして登場したこのモデルは、軽自動車でもっとも人気の高いスーパーハイトワゴン系に属する。このジャンルの最大のセールスポイントは広大な室内空間だが、当然ながらルークスもライバル同様驚くほどの広さを持っている。後席スライドをもっとも後ろに引けばレクサスLSにも負けない膝元空間が現れるし、子供なら立ったまま着替えができる圧倒的な室内高も魅力。さらに、後席を畳めば自転車もラクに積み込める。突然の雨で途方に暮れている家族を自転車ごと回収できてしまうというわけだ。

スーパーハイトワゴンは、もはやギリギリ2

これほどコンパクトなサイズでこれほど使い勝手のいいクルマなど世界中どこを探してもない。旧くは盆栽や箱庭、新しくはフィギュアなど、ミニチュア文化を得意とする日本人ならではの超絶設計である。とはいえ、エンジン、トランスミッション、エアコン、フロントサスペンションといったパーツの小型化はすでに限界を迎えつつある。言い換えれば、各社ともギリギリの設計に近付いているため、もはや広さで差別化を図るのは難しいということだ。仮に詰めに詰めた設計によって1cm稼いだとしても、すでに十分広いところへのプラス1cmなどさほど大きな意味はない。

N-BOXをしのぐ650mmのスライドドア開口部

N-BOXをしのぐ650mmのスライドドア開口部1

そこで日産は考えた。広さの追求が限界なら別の部分で勝負をすればいいのだと。具体的にはスライドドアの開口幅拡大による使い勝手の向上と、「プロパイロット」の採用による快適性&安全性の向上、そして内外装、特にインテリアの質感アップだ。

N-BOXをしのぐ650mmのスライドドア開口部2

スライドドアの開口幅は各社ほぼ600㎜で横並び。左側のみBピラーレスのタントは助手席側ドアを開ければとてつもなく広い開口部が現れるが、助手席側ドアを閉じた状態では600㎜弱になる。日産はBピラーを可能な限り前方に設置することで、これまでクラス最大だったN-BOXの640㎜を凌ぐ650㎜という開口幅を実現した。

N-BOXをしのぐ650mmのスライドドア開口部3

N-BOXをしのぐ650mmのスライドドア開口部4

開口部が広ければ大きな荷物を抱えたままでもラクに乗り降りできるし、A型ベビーカーのような大きな荷物の出し入れもしやすい。足をかざすだけで電動スライドドアが開くしくみと相まって、すばらしい使い勝手を実現している。

自然な仕上がり、完成度が高まった「プロパイロット」

自然な仕上がり、完成度が高まった「プロパイロット」

走りの面ではプロパイロットの採用に注目したい。全車速追従機能付クルーズコントロールはタントにも搭載されている(N-BOXも近々マイナーチェンジで採用か?)が、実際に使ってみるとプロパイロットの完成度の高さが光る。試乗当日は上げ強い雨に見舞われたのだが、従来のプロパイロットでは音をあげて機能停止してしまうような激しい雨の中でも、ルークスのプロパイロットは確実に作動し続けた。加速や制動のタイミング、強さといった制御も自然で、まるで上手なドライバーの横に乗っているかのような安心感がある。レーン内を追従する機能も同様で、積極的に介入してくるタイプであるにもかかわらず、制御が自然だから気にならない。機能が付いているか付いていないかといったカタログスペック視点ではなく、実際に走らせたときの仕上がりは日産に一日の長があるようだ。

ノートを軽く凌ぐインテリアの質感

ノートを軽く凌ぐインテリアの質感

写真:日産自動車

これが軽自動車?と思ってしまう質感の高いインテリアもルークスの魅力。特にオプションの「プレミアムグラデーションインテリア」の上質感は兄貴分のノートを軽く凌ぐ。

気になったのはアクセルがやや敏感で発進時のアクセル操作に気を遣うことと、アクセルのオンオフでエンジンが揺れてクルマが前後に揺さぶられること。この2点が改善されれば走りの質感はさらに向上するだろう。

日産と三菱、デザインだけでなく走りも違うほうがいい

日産と三菱、デザインだけでなく走りも違うほうがいい

なお、三菱のekスペース/ekクロススペースは顔や細かい装備が違うだけの兄弟車で、同じエンジンを選べば走行フィールは100%同じだ。僕はここにはちょっと不満をもっている。違うメーカーの違う名前のモデルであるなら走り味にもそれぞれの個性を与えるべきだと思うからだ。RAV4とハリアーのように、いまや同じメーカーの同じプラットフォームを使ったモデルでも乗り味をガラリと変えてくるのが主流。

ルークス/ekは日産が開発を担当したが、例えばアクセルの特性やダンパーの減衰力設定といったところまで同じでは違うメーカーで販売する意味が薄れてしまう。三菱にはそういうオリジナル性を追求する姿勢を保ち続けて欲しいし、日産にはそんな声を聞き入れる度量を持って欲しいと思う。まあ逆に言えば、ルークス/ルークスハイウェイスター、ekスペース/ekクロススペースのどれにするかはデザインのメインに考えればいいということ。僕ならターボを買うならハイウェイスター、自然吸気を選ぶならマイルドなデザインのekスペースを選ぶと思う。

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※記事の内容は2020年8月時点の情報で制作しています。

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