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【試乗】三菱「トライトン」かつて時代を席巻したパジェロのようなタフギアの復活(萩原文博レポート)

【試乗】三菱「トライトン」かつて時代を席巻したパジェロのようなタフギアの復活
【試乗】三菱「トライトン」かつて時代を席巻したパジェロのようなタフギアの復活

三菱「トライトン」(498.08〜540.1万円)は2024年2月15日に発売された1トンピックアップトラックです。東南アジアなど海外では人気のトライトンも国内で販売されるのは約12年ぶり。その走りを萩原文博さんの試乗レポートをお届けしましょう。

世界150カ国で累計570万台を販売してきた三菱のコアモデル

世界150カ国で累計570万台を販売してきた三菱のコアモデル

「所変われば品変わる」ということわざがあります。意味は土地が変われば、いつも当たり前と思っていることが当てはまらなくなるという意味があります。日本市場において、究極の趣味車として扱われるピックアップトラックも、東南アジアなどにおいては生活の道具として活躍しています。

2024年2月15日に販売開始された三菱トライトンは、1978年に発売された「フォルテ」をルーツとする1トンピックアップトラックです。現行モデルは第6世代となりますが、シリーズ累計販売台数は約570万台。世界約150カ国で年間20万台を販売している三菱のコアモデルです。日本市場では、2023年12月より先行受注を開始し、3月10日の段階で月間販売台数200台の8倍以上となる約1,700台のオーダーが入っているそうです。日本仕様はダブルキャブと呼ばれる4枚ドアでリアシートをもつタイプで、駆動方式は4WDのみです。グレードは車両本体価格498万800円のGLSと540万1000円のGSRの2タイプを設定しています。

世界150カ国で累計570万台を販売してきた三菱のコアモデル
現行型トライトンは2023年7月からタイにある工場で生産され、2024年1月にフィリピンに投入。今後はオーストラリア、ニュージーランドのほか世界約100カ国へ順次投入されていく予定です。12年前に導入されたトライトンもタイで生産され輸入されていました。ピックアップトラックのメイン市場は東南アジアなので大きなマーケットで生産するのが効率的なのでしょう。

東南アジアにおけるピックアップトラック市場は、いすゞD-MAXが1番人気でトヨタハイラックスが続き、この2車種が2強となっています。そういった市場でシェアを獲得するために、現行型トライトンは、シャシー、ボディ、エンジンなどすべてを刷新しています。

全長5mオーバーの堂々たるボディサイズ

全長5mオーバーの堂々たるボディサイズ

現行型トライトンのボディサイズは、全長が5,320~5,360mm×全幅1,865~1,930mm×全高1,795~1,815mmとなかなかの大きさ。ホイールベースは3,130mmで取り回しの良さの指標となる最小回転半径は6.2mです。最低地上高は220mmとたっぷり確保され、最大積載量は500kgとなります。

ボディには新開発のラダーフレームを採用。フレームの断面を太くして、大幅に剛性を向上させつつ、その一方でハイテン鋼の採用比率を大幅に増加させることにより、重量増を最小限に抑えています。

全長5mオーバーの堂々たるボディサイズ

荷台のカーゴベッドは、荷台カバー装着状態でもJIS規格パレット積載に対応しているのをはじめ、820mmの荷台高やバンパーコーナー上面をフレームで補強し足を乗せるスペースとして使用可能とするなど実用性をアップ。また、2×4材を使用してカーゴスペースを自由に仕切れるアタッチメントを採用することで容易に荷物の整理が可能です。

新開発のディーゼルターボと三菱伝統の4WD 、そしてAYCも採用

新開発のディーゼルターボと三菱伝統の4WD 、そしてAYCも採用

現行型トライトンに搭載しているエンジンは、新開発の2.4L直列4気筒ディーゼルターボの1種類。このディーゼルエンジンには、回転数と負担に応じて2つのタービンを協調させることで、全回転域で高出力を発揮する2ステージターボシステムを採用。最高出力204ps、最大トルク470Nm発生。特にトルクは1,500~2,750回転というワイドバンドの実用域で発生するので、ペダル操作に合わせた優れた応答性が特徴です。

 

)新開発のディーゼルターボと三菱伝統の4WD 、そしてAYCも採用

また、排出ガスをクリーンにする尿素SCRシステムを採用し、尿素水溶液であるアドブルーにより窒素酸化物を安定して浄化可能です。組み合わされるトランスミッションは6速AT、駆動方式は4WDのみとなり、燃費性能はWLTCモードで11.3km/Lを実現しています。

 

)新開発のディーゼルターボと三菱伝統の4WD 、そしてAYCも採用

)新開発のディーゼルターボと三菱伝統の4WD 、そしてAYCも採用

4WDシステムは、三菱独自のスーパーセレクト4WD-IIシステムを採用。このシステムは本格クロカンのトラクションと乗用車のハンドリングを両立したスグレモノです。後輪駆動の2Hに加えて、フルタイム4WDの4H、センターデフ直結の4HLc、さらにローギヤの4LLcの4種類から走行シーンに合わせた選ぶことができます。走行中でもセンターコンソールに設置されたダイヤル式セレクターで簡単に4Hへ変更可能で、センターデフにはフロント40%、リア60%に駆動力を配分し、トラクション性能とコーナリング性能を両立するトルク感応式LSDを採用しています。

)新開発のディーゼルターボと三菱伝統の4WD 、そしてAYCも採用

また、それぞれの4WDモードに対応する7つのドライブモードを選ぶことができます。すべての4WDモードに設定されているノーマルをはじめ、4HLcにはマッド/サンド。そして4LLcにはロックというモードが設定され、あらゆる路面状況で最適なドライブモードを選択可能です。

 

)新開発のディーゼルターボと三菱伝統の4WD 、そしてAYCも採用

さらに、三菱ご自慢のコーナー内側の前輪に弱くブレーキをかけることで、旋回性を向上するアクティブヨーコントロール(AYC)、下り坂で一定のスピードをキープして走行することができるヒルディセントコントロールなど様々な電子デバイスも充実しています。

先進運転支援やコネクティッドも抜かりなし

安全性では、運転支援機能「e-Assist」を採用。衝突被害軽減ブレーキやレーダークルーズコントロールシステムなど9つの機能を搭載し、さらに先進のコネクティッドサービス「ミツビシコネクト」を採用。エアコン操作をスマートフォンで行えるリモートエアコンやリモートドアロック/アンロックなどの便利機能、そして万が一の際のSOSコールやドライブ見守り通知機能などを採用し、乗る人すべてに最新レベルの安心・安全を提供しています。

懐かしきGSRは抜群の悪路走破性

 

懐かしきGSRは抜群の悪路走破性

今回試乗したのは、車両本体価格540万1000円の上級グレードのGSRでした。GSRといえば三菱の走りのグレードに採用されてきた伝統あるグレード名。サファリラリーなどで活躍した初代ランサーや、WRCで活躍したランサーエボリューションを思い起こさせます。

そんなトライトンを、まずはオフロードコースで悪路走破性を試してみました。4WDモードを4HLc、ドライブモードはマッドを選択すると、急坂もグイグイとパワフルに登っていきます。急な下り坂ではヒルディセントコントロールのおかげで、アクセルを踏まなくても超低速で降りてくれます。

凸凹路のモーグルを走行する際には、4LLcに切り替えて走行。一つのタイヤが接地できないような悪路でもスムーズに走行できます。写真では信じられないくらい傾いていますが、実際にドライブしているとそこまで傾いているように感じません。

それは現行型トライトンのサスペンション形状がフロントにダブルウィッシュボーン式、リアはリーフスフリング式を採用していることが効いています。特にフロントサスペンションは、エンジンルームの取付部の上方に設定したハイマウントタイプとすることで、ストロークが確保でき接地性や乗り心地を実現しているのです。

ゆったりとした乗り味はパジェロに近い!

ゆったりとした乗り味はパジェロに近い!

一方、一般道の走りで最初に感じたのは、ゆったりとしたリズム感の大らかな乗り味です。最近のSUVは乗用車のようなシャキッとした乗り味のクルマが多くなっていますが、トライトンはどこか懐かしい乗り味だと感じました。そう現在日本市場では絶版となっているパジェロの乗り味に近かったのです。

悪路での接地性と乗り心地を実現させるため、サスペンションの伸び縮みするストローク量が非常に多く確保されています。それが一般道において緩やかな乗り心地につながっています。見た目はハードなピックアップトラックですが、非常に優しい乗り味に仕立てているのが特徴です。このソフトな乗り心地と最新のADASがあれば、ロングドライブも快適に行えそうです。

三菱らしいタフギアの復活

三菱らしいタフギアの復活

トライトンはかつて時代を席巻したパジェロやデリカスターワゴンなどのような三菱のタフギアの復活と言えるかもしれません。しかし、やっぱりピックアップトラックは実用的じゃない!という人には68万6400円のオプション装備であるキャノピーを装着すれば、普通のSUVとしても利用できます。

2027年にパジェロの復活がアナウンスされましたが、このトライトンならば、パジェロの登場前に三菱のSUVを堪能できるでしょう。

※記事の内容は2024年3月時点の情報で制作しています。

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