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三菱と日産が作った合弁会社NMKVが企画・マネジメントした軽ハイトワゴンの第1弾として登場した先代の三菱eKワゴン。2019年3月にフルモデルチェンジを行い通算4代目となる新型に切り替わりました。これまではスタンダードなeKワゴンと、メッキパーツを多用し押し出し感を強めたeKカスタムの2種類を設定していましたが、今回eKカスタムはSUVテイストのeKクロスへと路線変更しています。
今回はすべてを刷新!
新型eKワゴンはクルマの基礎となる骨格をはじめ、エンジン、トランスミッションといった主要コンポーネントを刷新しています。先代モデルは既存コンポーネントを集めて作った感がありましたが、新型はすべて新開発。軽自動車トップレベルの走行性能、そして安全性能を実現したとしています。
eKワゴンは三菱の軽自動車のベーシックモデルとして、スズキワゴンRやダイハツムーヴ、ホンダN-WGNといった同じカテゴリーのハイトワゴンから、スズキアルトやダイハツミライースといったハッチバックモデルまでがライバルとなります。そのためエントリーグレードのMと、オプションで高速道路同一車線運転支援技術「MI-パイロット」を設定する上級グレードのGの2モデルを設定。全グレードで駆動方式は2WDと4WDを用意し、車両本体価格は129万6,000円〜150万6,600円となっています。
エンジンはターボやハイブリッドの設定なし
新型のeKシリーズ用に新開発されたパワートレインは660cc直列3気筒DOHCエンジン、それに小型モーターを組み合わせたハイブリッドシステム、そしてターボエンジン+ハイブリッドシステムがあります。しかし、eKワゴンは最高出力52ps、最大トルク60Nmを発生する660cc直列3気筒DOHCエンジンのみが搭載され、ターボやハイブリッドは設定されていません。車両本体価格100万円以下というグレードを設定するアルトやミライースにも対応するため、eKワゴンの車両本体価格を抑えたいと考えた三菱の戦略でしょう。
高性能化、高価格化が進む軽自動車ですが、昔からのユーザーが離れないように新型eKワゴンは基本性能がしっかりとしたベーシックモデル、そしてeKクロスは小型に匹敵する走行性能、安全性能実現したプレミアムモデルと差別化を図っているのです。
明るくオシャレなインテリア
今回試乗したのは、eKワゴンの上級グレード「G」です。試乗車には、オプションで設定されているデジタルルームミラー、ルームミラーモニター、マルチアラウンドモニターがつく「先進安全パッケージ」や、高速道路同一車線運転支援技術「M-パイロット」などがセットとなった「先進快適パッケージ」が装着されていました。
ここまでオプションをつけると、車両本体価格もかなり高くなりますが、ベーシックモデルとは思えないほど装備が充実しています。
クルマに乗り込むとライトグレーのインテリアカラーのおかげで、明るくオシャレな室内空間だと感じます。水平基調のインストルメントパネルによって良好な前方視界を実現しているのも特徴です。
そして特筆すべきはシート。ボリューム感のある生地と、自然な姿勢で座れるように工夫されたシート骨格を採用したおかげで、乗り心地も良く、疲れにくい優れモノに仕上がっています。
キビキビした走りも好印象
先代のeKワゴンの走りは燃費を重視した、やや軽快感に欠けるものでした。しかし、新型は新開発のエンジンとCVTによって、アクセルペダルを踏むとタイムラグなくスーっと加速していきます。特に新開発されたCVTがマニュアルミッションのようなステップシフト制御を行うので、加速感と音がリンクし気持ち良くキビキビとした走りを披露します。
さらに感心したのが車内の高い静粛性。エンジンやトランスミッションが改良されたことも大きいのですが、ボディを刷新したことで車内への音の侵入が抑えられています。
長くなったホイールベースは安心感にも貢献
足回りもずいぶん良くなりました。2,495mmというロングホイールベースによって、直進安定性を向上させるだけでなく、タイヤを四隅に配置することでカーブを曲がるときの傾きも抑えられ、安心感が向上していました。
後出しジャンケンでライバルを圧倒
新型eKワゴンは軽自動車のベーシックモデルという位置付けですが、走行性能や静粛性、そしてインテリアの質感はベーシックモデルとは思えないレベルの高さです。直接のライバル車であるワゴンRやムーヴと比べると、静粛性やインテリアの質感、座り心地の良いシートは圧倒的にリードしています。後発モデルとはいえ、三菱の意気込みを感じられるモデルです。
※記事の内容は2019年6月時点の情報で執筆しています。