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コンパクトSUVのヒットモデルに6年目の喝!
2013年12月に販売開始したコンパクトSUVのホンダヴェゼルは2014〜2016年の3年連続でSUV暦年新車販売台数No.1に輝いたベストセラーモデルです。SUVの力強さ、クーペのあでやかさ、ミニバンの使いやすさ、そして優れた燃費性能などジャンルの枠を超えた価値を高い次元で融合したクルマです。2016年には走行性能に磨きをかけた新グレードのRSを追加、同時に先進の運転支援システム「ホンダセンシング」を設定するなどコンパクトSUVをリードしてきたモデルです。
そんなホンダヴェゼルに、2019年1月、1.5L直列4気筒VTECターボエンジンを搭載した新グレード「ツーリング・ホンダセンシング」が追加されました。さっそくその試乗レポートをお届けしましょう。
パワフルで好燃費、しかし価格は約300万円なり
ヴェゼルの新グレード、ツーリング・ホンダセンシングの車両本体価格は290万3,040円とヴェゼルのFF車で最高価格となっています。エンジンはステップワゴンやジェイドなどに搭載されている、「吸気デュアルVTC」という機構付きの1.5L直4直噴VTECターボエンジンです。最高出力は172ps、最大トルクは220Nmを発生。
発売当初から搭載されている1.5L直4自然吸気エンジンと比べると最高出力は+41ps、最大トルクが+65Nmパワーアップしています。これだけ出力が向上しているにもかかわらず、JC08モード燃費は17.6km/Lと高出力と低燃費を両立しています。
内外装も足回りも専用パーツでオリジナリティを主張
ヴェゼル ツーリング・ホンダセンシングの外観は専用のブラック塗装された専用のヘッドライトガーニッシュをはじめ、クロームメッキを採用した専用フロントグリルとフロントバンパーロアーグリル。RS仕様のグレーメタリックのボディロアガーニッシュ、ルーフレールを装着。インテリアはダークグレーとブラウンの専用コンビシートと専用インテリアでオリジナリティを主張しています。
パワフルなターボエンジンに対応させるため、従来グレードに対してボディ剛性を向上させているのも注目ポイントです。さらに専用にチューニングされた「パフォーマンスダンパー」を装着し、走行中に発生する車体のたわみや微振動の軽減を図っています。
さらにヴェゼルでは初採用となる「アジャイルハンドリングアシスト」を搭載。これは連続したカーブの続くワインディングなどで正確で安定感のあるハンドリング性能を発揮するアイテムです。これらのパーツやセッティングにより、ヴェゼルツーリング・ホンダセンシングはトップモデルにふさわしい走行性能と上質さを追求した内外装を実現しています。
それではインプレッションを紹介しましょう。
高速道路での余裕はさすが
今回、ヴェゼルツーリング・ホンダセンシングの試乗コースは東京から御殿場を経由して箱根のワインディングを走行する総走行距離約250kmのコースです。東京から御殿場までの往路は東名高速を利用。搭載されているACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を多用して、追従走行を行いました。アップデートされたACCは高速道路の最高速度引き上げに対応して、設定できる最高速度が135km/hまでとなっています。
東京から御殿場までは約100kmあるのですが、登り坂でもエンジン回転数が2,000回転を超えるのはほんのわずかで室内の静粛性の高さには驚かされました。
ワインディングロードではさらに好印象
御殿場から箱根まではハンドルの切り返しの多いタイトなカーブが続くルートを選択。これは初搭載されたアジャイルハンドリングアシストの実力を図る目的があります。ハンドルを切る回数、量の多いコースですが、ヴェゼルツーリングはスムーズに駆け抜けていきます。
車高の高いSUV特有の腰高感もなく、コーナーを曲がる際もクルマの左右の傾きが抑えられ、非常にフラットなクルマの姿勢をキープしてくれます。このフラットな乗り心地のおかげで、ドライバーの視線は水平に保てますし、乗員は揺れも少なく快適に移動できます。
走りのグレード「RS」を凌ぐパフォーマンス
搭載されている1.5Lターボエンジンは高回転域でパワーを発揮するタイプではなく、1,700回転という低回転域から最大トルクを発揮するので、勾配のキツイ坂道でもギアを下げなくてもラクラク上ります。その上、ハンドルに装着されたパドルシフトを使ってマニュアル感覚でシフトチェンジを行うとスポーツカー並みの軽快なフットワークを発揮し、従来のスポーティグレードRSを凌ぐ、鋭い走りは新感覚のアスリート系SUVといえる高いパフォーマンスでした。
実燃費もなかなか優秀
御殿場から東京への往路は一般道で約100kmを走行。大きな渋滞に巻き込まれることなく無事に到着。高速道路約100km、ワインディング約50km、一般道約100kmを走行した実燃費は13.6km/Lを達成。JC08モード燃費が17.6km/Lなので77.2%というかなり少ない乖離となりました。ちなみにACCを使用した東名高速道路の下りは15.3km/L。長い登り坂があるにもかかわらず、この実燃費は立派です。
まだまだ戦闘力は衰えず
ヴェゼルは登場から丸5年が経過し、モデルライフが長くなっていることでSUVの販売台数No.1をトヨタC-HRに譲っています。しかし1.5Lガソリンエンジン、1.5Lハイブリッドそして今回追加された1.5Lターボという多彩なパワートレイン、余裕のあるリアシートの居住性そしてホンダ独自のセンタータンクレイアウトによる広いラゲージスペースなど、非常にバランスのとれたクルマに仕上がっています。
熟成が進んだヴェゼル。ターボエンジンを搭載し走りにさらなる磨きを掛けたツーリングの登場はライバルたちの販売台数に影響を与えるだけでなく、新たなユーザーを開拓しそうです。
※記事の内容は2019年4月時点の情報で執筆しています。