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【新型公道試乗】ホンダ「フリード」細部まで愛のあるクルマは走りも穏やか(島崎七生人レポート)

【新型公道試乗】ホンダ「フリード」細部まで愛のあるクルマは走りも穏やか(島崎七生人レポート)
【新型公道試乗】ホンダ「フリード」細部まで愛のあるクルマは走りも穏やか(島崎七生人レポート)

2024年6月28日に発売された新型ホンダ「フリード」(2,508,000〜3,437,500円)。人気コンパクトミニバンの3代目モデルの走りは、開発者から聞いていた通りの進化を遂げているのでしょうか。7月上旬、横浜で行われた公道試乗会に参加した島崎七生人さんのレポートです。

日常使いの定番商品

日常使いの定番商品

8年弱と十分に長い販売期間だっただけに、先代フリードは、未だに本当によく街中でも見かける。見ていると、いわゆる子育て世代のママさんやファミリーだけでなく、年配のご夫婦が平日の開店時間直後のまだ駐車場も空いているウチのスーパーに買い物に乗ってきたりと、ユーザー層でいうとなかなか幅広い。まさに庶民の生活に寄り添った、日常使いの定番商品といったところだ。

日常使いの定番商品

日常使いの定番商品

日常使いの定番商品

そんなリアルワールドでの実態を新型フリードの開発陣がとことん承知していることは、カルモマガジンでこれまでお伝えしたLPL(開発責任者)を始めとしたインタビューでも、つまびらかになった。つまびらか……などというと言葉遣いが堅苦しいが、たとえばご自分のご子息をクルマに乗せている時の困りごと、気づきなどの実体験から新型フリードの設え、機能のアイデアを生み出したりと、まさしく等身大のユーザー目線の発想からクルマ作りがされているところは、何をおいても説得力がある。インタビューで聞いたそういう話がもし本当に実現されているのであればLike(いいね!)なクルマであるはずだからだ。

AIRの一歩引いた奥ゆかしさが、かえって気になり目が行く

AIRの一歩引いた奥ゆかしさが、かえって気になり目が行く

AIRの一歩引いた奥ゆかしさが、かえって気になり目が行く

で、“初一般公道試乗”での印象はどうだったか?というと、期待以上の出来だった。ここ最近のホンダの新型車では最速レベルと思うが、すでに本物のユーザーと思しきドライバーが運転する新型フリードと街中ですれ違ったりもしているが、楚々(そそ)としたこのクルマの外観、佇まいは何よりいい。とくにAIRのプレーンな顔つきは、これでもか!のディテール過多なクルマばかりが目立つ世の中にあって、一服の清涼剤といった感じ。一歩引いた奥ゆかしさが、かえって気になり目が行く……といったところだ。もちろんCROSSTARのちょっと粋な外観も、決して饒舌過ぎる訳ではなく、ほどよい個性とAIRとの違いを表現している。

スマートな仕立てのインテリア、3列目も十分な空間

スマートな仕立てのインテリア、3列目も十分な空間

スマートな仕立てのインテリア、3列目も十分な空間

ではクルマに乗り込んで、室内の居心地はどうか?というと、ここも言葉で表わすと“実にスマートに”仕立てられている。サイドシルまでの高さは前席側で400mmを切る程度、運転席座面までは670mmほどだが、自然な所作でサッと乗り込める。一旦、運転席に着座してみると、インホイール型に改められたメーターや、ワイパーがまったく気にならないフロントガラス下端など、目の前が実にスッキリしている。

スマートな仕立てのインテリア、3列目も十分な空間

スマートな仕立てのインテリア、3列目も十分な空間

後席もなかなかの快適性。前席左右間の床面には少し盛り上がりがあるが、2、3列部分はフラットだから(e:HEVは前席下に傾斜がつく)車内の移動も楽だし、頭上空間もタップリしている。

スマートな仕立てのインテリア、3列目も十分な空間

3列目はヒール段差(=床からシート座面までの高さ)の小ささには目をつむるとして、空間そのものは大人も過ごすことができる。AIRには2列目がセパレートシートの6名またはベンチシートの7名乗り、CROSSTERは6名乗りまたは2列仕様の5名乗りの設定があり、その仕様を選ぶかは用途次第だ。

細部にまで開発メンバーの“愛”が込められている

細部にまで開発メンバーの“愛”が込められている

細部にまで開発メンバーの“愛”が込められている

細部にまで開発メンバーの“愛”が込められている

細部にまで開発メンバーの“愛”が込められている

室内の実用面では、サードシートの格納状態で位置が下げられよりすっきりとし扱いやすさも向上したこと、6色の糸を織り込み汚れが目立たないよう配慮したシート表皮や、傷が目立ちにくくしたシボを使ったインパネトレイなども注目点。Bピラーのインナートリムの断面形状は、子供が乗り込む際に手がかけやすいようにしてあるなど、細部にまで開発メンバーの“愛”が込められている。

走りっぷりの穏やかさがいい

走りっぷりの穏やかさがいい

そして“愛”といえば、走りがこれまで以上に洗練され快適になったところも注目だ。試乗できたのは、いずれもe:HEV(ハイブリッド)で、AIRがFF、CROSSTARがAWDの2台。共通して言えるのは、走り出した瞬間から、従来以上に穏やかで心地いいクルマへとキャラクターが進化したのを実感するということ。具体的には、ここ最近のホンダ車の美点で、微小ストロークからしっかりと減衰を効かせるサスペンションのおかげで、路面の凹凸をキレイにいなしてくれるのが実感できる。なのでクルマの動きがオットリとしたものとなり、今回、室内の静粛性への対応も入念に行なわれたことから、耳にザワついて感じるノイズも気にならない。自動車雑誌的にハンドリングがどうこう……などというより、まず、クルマそのものの走りっぷりの穏やかさがいいと思う。

格段に洗練されたドライバビリティ

格段に洗練されたドライバビリティ

もちろん動力性能もまったく不満は感じない。新型はホンダの最新ハイブリッドシステムを搭載、1.5Lエンジンに2モーター内蔵電気式CVTにエンジン直結クラッチを組み合わせたメカとしている。が、フリードのようなクルマの場合、e:HEVと名付けられたこのパワートレーンはいっそ“黒子”と見做して、いかにスムースな走りを実現しているかの視点から見れば、これまでより格段に洗練されたドライバビリティをモノにしている……そう受け止められる。

格段に洗練されたドライバビリティ

とくに、あたかも変速操作が行なわれているかのような“段付き”の演出が入るリニアシフト制御(ガソリン車にもステップアップ制御が入っている)の自然なリニア感は、ストレスを感じさせず爽快に思えるほど。ドライバーが自然体のアクセルワークで走らせていられる分、同乗者も不快感のないドライバビリティが味わえる。

“ちょうどいい”どころか“ピッタリ”

“ちょうどいい”どころか“ピッタリ”

走りの特徴としては、AWDは高速走行時の安定感が、FFは街中を始めとした軽快感がそれぞれの持ち味だと思う。今回はプレス向け試乗会で実車に接した印象をご報告したが、いずれ、もしもリアルな実生活の中で試す機会があれば、その時には改めてご報告したいとも思う。

“ちょうどいい”どころか“ピッタリ”
「すべてのお客様の生活を支えるクルマ」とは新型フリードの開発責任者の安積LPLの言葉だが、なるほど“そういう実力”が備わるクルマだというのが第一印象だった。ちなみにタイヤサイズは全車185/65R15 88Sサイズで、これは従来型と同サイズ。「先代のユーザーが乗り換えても、たとえば持っている冬タイヤがそのまま使えるように考えてのこと」(安積LPL)だそう。“ちょうどいい”どころか“ピッタリ”という訳だ。

(写真:島崎七生人)

※記事の内容は2024年7月時点の情報で制作しています。

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