ページトップへ戻る
キーワードから記事を探す
車種から記事を探す

【試乗・岡崎五朗】ホンダシビックRS「タイプRの魅力とは異なる魔法のレシピ」

【試乗・岡崎五朗】ホンダシビックRS「タイプRの魅力とは異なる魔法のレシピ」
【試乗・岡崎五朗】ホンダシビックRS「タイプRの魅力とは異なる魔法のレシピ」

2024年9月のマイナーチェンジを機にシビックに追加された新グレードRS(419万8700円)の販売が好調です。6速MTのみ、価格400万円超えにもかかわらず若者を中心に支持を集め、発売1ヶ月で月間目標の6倍を受注しました。タイプRとの違いもなんとなく気になるRSの走りを試した岡崎五朗さんのリポートです。

RSがレーシングスポーツではなくロードセーリングである理由

RSがレーシングスポーツではなくロードセーリングである理由

昨年のマイナーチェンジでシビックに追加された新グレード、「RS」にようやく試乗できた。シビックのRSといえば、74年に登場した初代の逸話が有名だ。RSというグレード名を国に申請したところ、レーシングスポーツのような刺激的な名前は暴走行為を煽るから認められないと言われた。そこでホンダは思案し、妙案をひねり出した。「いえいえ、これはレーシングスポーツではなく、ロードセーリングの略です。ヨットのように道路をゆったりと気持ちよく走るんです。」という、まるで一休さんに出てくるようなやりとりを経て登場した初代RSは、その後スポーティーなシビックの代名詞となった。

専用品が与えられた内外装

専用品が与えられた内外装

当然、新型シビックRSもスポーティーなキャラクターを与えられている。外観ではグリル、バンパー、モール、サイドシルガーニッシュ、リアスポイラーなどを変更。インテリアもシート、ステアリングホイール、ペダルなどを専用品とした。タイヤサイズは標準グレードと同じ235/40R18だが、ホイールを専用デザインにするとともに、タイヤそのものもハイグリップ系に換装している。

ホンダがエンジンにかけた素晴らしい魔法

ホンダがエンジンにかけた素晴らしい魔法

1.5Lターボの最高出力はノーマルと同じ182ps。決して貧弱な数字ではないが、ノーマルと同じという点に引っかかる人もいると思う。しかしホンダのエンジニアは、このエンジンに素晴らしい魔法をかけた。回転落ちのレスポンスをノーマル比で50%も引き上げたのだ。

ホンダがエンジンにかけた素晴らしい魔法

レスポンスというと、アクセルを踏み込んだ瞬間の吹け上がりに目が行きがちだが、実は回転落ちも運転フィールに大きな影響を与える。とくにMTの場合は、回転落ちの速さがクルマのキャラクターに想像以上に大きな影響を与えるのだ。

運転の楽しさはパワーだけで語ることはできない

運転の楽しさはパワーだけで語ることはできない

シフトアップをするときの動きを想像してみて欲しい。1速で発進しフル加速。レッドゾーン手前でアクセルを戻すと同時にクラッチを切って2速に入れ、再びクラッチを繋いでアクセルを踏む。回転落ちの鈍いエンジンの場合、この一連の操作をゆっくり行わないと回転が合わないためギクシャクしてしまう。だが回転落ちが速ければ素早いシフト操作がばっちり決まる。つまり、回転落ちの速いエンジンは素早いシフト操作と相性がよく、結果としてキビキビとした運転のリズムを生みだしてくれるというわけだ。

運転の楽しさはパワーだけで語ることはできない

実際、RSはノーマルで感じた「扱いやすいけどモッサリしている」という印象を見事に改善している。運転の楽しさはパワーだけで語ることはできないということを改めて認識させてくれるエンジンである。

冷や汗ではなく、気持ちのいい汗をかきながら意のままに走らせられる

冷や汗ではなく、気持ちのいい汗をかきながら意のままに走らせられる

冷や汗ではなく、気持ちのいい汗をかきながら意のままに走らせられる

冷や汗ではなく、気持ちのいい汗をかきながら意のままに走らせられる

足回りもノーマルとは別モノだ。タイヤのグリップ向上に合わせてスプリングもダンパーも固めているのだが、その固め方が実に巧妙。気になるゴツゴツ感を一切伝えてこないばかりか、揺れの少ないフラットな乗り味になったため、ノーマルよりRSのほうが疲れにくいとか快適と感じる人も多いだろう。それでいて、ワインディングロードに持ち込んだときのハンドリングは素晴らしいのひと言。前輪駆動でありながら、前輪側だけに負担をかけず4輪すべてを上手に使ってコーナリングをするため、とにかく安心感が高い。冷や汗ではなく、気持ちのいい汗をかきながら意のままに走らせる歓びを満喫できる。

6MTだけなのに購入者の中心は20代、トータルバランスはタイプRよりRS

6MTだけなのに購入者の中心は20代、トータルバランスはタイプRよりRS

そうそう、RSのトランスミッションは6速MTのみ。AT限定免許では運転できない。しかも価格は419万8700円と決して安くない。この時代、そんなクルマが売れるのか?と思うだろう。ところが蓋を開けてみるとRSにオーダーが殺到。シビックシリーズの約7割をRSが占めた。しかも購入者は20代の若い人が中心だと言うからさらに驚きだ。

6MTだけなのに購入者の中心は20代、トータルバランスはタイプRよりRS

そこで気になるのはより高性能を突き詰めたシビックタイプRとの価格差。ネットで検索すると499万7300円と出てくる。これだとちょっと頑張ればタイプRに手が届くと思ってしまう。しかし実はこの価格ではもう購入できず、オーダーするなら599万98300円のレーシングブラックパッケージに限定される。約180万円の差があるならRSの価格も納得だし、普段乗りでの快適性や燃費といったトータルバランスを重視するならRSに分がある。ということで、シビックRSは日常での使い勝手と運転の楽しさを高い次元で両立させたい人にオススメのモデルだ。

※記事の内容は2025年2月時点の情報で制作しています。

この車種について詳しくみる

車種から記事を探す

注目のキーワード
LINEで無料診断してみる

©2024 Nyle Inc.