2025年6月、ダイハツの主力トールワゴン「ムーヴ」(135万8500円〜202万4000円)が待望のモデルチェンジを行いました。スライドドアの採用、カスタムの廃止など、何かと話題の多い7代目ムーヴの最上級グレードRSと中間グレードXに自動車評論家の萩原文博さんが試乗しました。
本来であれば2023年デビュー、フルハイブリッドもあったはずなのに

中間グレードのX

最上級グレードのRS
1995年の初代モデル登場から30年目を迎える2025年6月、7代目となる新型ダイハツ「ムーヴ」が登場しました。先代ムーヴの販売停止から2年の時が経ってしまったのは、2023年に発覚した認証申請における不正行為の影響によるもの。本来であれば2023年にモデルチェンジが行われていたはずです。当時は、ダイハツロッキーに搭載されているe-SMART(イースマート)と呼ばれるフルハイブリッドを搭載するとも言われていました。

中間グレードのX

最上級グレードのRS
紆余曲折のあったダイハツムーヴですが、ようやくフルモデルチェンジを行い7代目に世代交代しています。車両本体価格はL 2WDの135万8500円〜RS 4WDの202万4000円と割安感の高い価格設定となっています。一方で軽自動車初となったはずのフルハイブリッドは搭載されていません。今回は、新型ムーヴのXグレードとターボエンジンを搭載したRSグレードを試乗できましたので、そのインプレションを紹介しましょう。
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リアスライドドア採用、カスタム廃止
7代目となる新型ムーヴは、合理性とこだわりをもって商品を選ぶ「メリハリ堅実層」をターゲットに設定し、「今の私にジャストフィット、毎日頼れる堅実スライドドアワゴン」をコンセプトに、全方位で軽自動車の魅力を大きく向上させています。
新型ムーヴで従来モデルと大きく変わった部分は、まずリアにスライドドアを採用したこと。そして標準車とスタイリッシュなカスタムの2モデル構成を止めて、新型ムーヴはカスタムを廃止、1モデル構成となったことです。
現在、軽自動車の新車販売台数上位はすべてリアにスライドドアを採用しています。狭い場所でも優れた乗降性を実現するリアスライドドアの利便性は、軽自動車の基幹車種において、もはや外すことのできない装備だということを示しています。
カスタムを廃止したモデル体系に関しては、ダイハツにはムーヴ派生モデルのキャンバスとスーパーハイトワゴンのタントといった、リアスライドドアを採用した車種がすでにあることが大きく影響しています。新型ムーヴは標準モデルのみとなりましたが、かわいい路線のキャンバスに対して、カスタム寄りのスポーティなデザインを採用するなど、差別化は十分図られています。また、ムーヴはパーソナルユースだけでなく、ビジネスにも使う法人向けのフリート車として多く使用されてきました。新型ムーヴもフリート対応させることもあり、カスタム寄りのデザインとはいえ標準車のみに絞ったと考えることもできます。
ワゴンRと大差ない価格設定
グレードは価格の高い順に、ターボエンジンを搭載したRS、自然吸気エンジンを搭載したG、X、Lの4グレード。駆動方式は全グレードで2WDと4WDを選ぶことができます。リアドアの形状は変わりましたが、ハイトワゴンのコアモデルという競合ポジションであるスズキワゴンRの車両本体価格を比べると、エントリーグレードはワゴンR FX 2WD CVT車が129万6900円に対してムーヴ L 2WDは135万8500円。最上級グレードではワゴンRスティングレー ハイブリッドT 4WDが188万8700円、対してムーブRS 4WDは202万4000円と、約8年前に登場したワゴンRと比べても比較的価格差を抑えたことがわかります。ムーヴキャンバスの車両本体価格が157万3000円〜ということを考えても、新型ムーヴがコストパフォーマンスを追求したモデルであることはわかってもらえるでしょう。
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最安モデルは法人向け、パワースライドドアの設定なし
新型ムーヴのグレードごとの装備表を見ると、パーソナルユースだけでなくビジネスモデル向けも視野に入れていることは一目瞭然です。エントリーグレードとなるLグレードは、スーパーハイトワゴンでは必須アイテムとなっているパワースライドドアの設定がありません。試乗したXグレードでは左側のみパワースライドドアが標準装備となり、RSグレードのみ両側パワースライドドアが標準装備となります。

Xは助手席側のみ電動スライドドア

XとLは足踏み式パーキングブレーキ
また運転支援システムも衝突回避支援ブレーキ機能をはじめとした支援機能がパッケージ化したスマートアシストは標準装備されているもの、LとXグレードは全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKC(レーンキープコントロール)は装着できません。Gグレードでオプションとなり、標準装備は、RSグレードのみとなっています。快適装備でも電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能はGとRSグレードのみで、XとLグレードは足踏み式パーキングブレーキです。
ターボモデルのRSはスポーティだが、Xはエンジン音が気になる

ややロールが気になるX
このような装備差も踏まえつつ試乗すると、RSグレードはパワフルなターボエンジンを搭載し、専用のサスペンションセッティングとなっていますので、キビキビとした走りを味わえますし、適度な硬さの乗り心地はスポーティな味付けと言えます。
一方で自然吸気エンジンを搭載したXは、消音材や遮音材が少ないのか、エンジン音が車内に侵入してきて、かなり耳につきます。乗り心地はソフトですが、背の高いハイトワゴンなので、ややロール量が大きい感じがしました。
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ターボのRSが200万円以下なのはトピック
歴代ムーヴは、初代でカスタムモデルの追加をはじめ、3代目でレーダークルーズコントロールの採用、4代目でCVTの採用。そして5代目で運転支援機能の「スマートアシスト」の採用、6代目の軽量高剛性ボディ骨格構造の採用など新機軸にとても意欲作でした。
そういった点で見ると、新型ムーヴは歴代モデルのような強調点が少ないモデルなのが、やや残念なところです。オススメのグレードは、運転支援機能がフル装備のRSグレードです。パワフルなターボエンジンでキビキビとした走りをニューモデルながら200万円以下で手に入るということはトピックスと言えるでしょう。
※記事の内容は2025年8月時点の情報で制作しています。
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