軽自動車のSUVモデルは本格派のスズキジムニーと、使い勝手の良いスズキハスラーが人気を二分してきました。今回、ダイハツから登場したタフトはハスラーと真正面からぶつかるブランニューモデル。広くて使い勝手の良い室内空間に、SUVらしいルックスと悪路走破性を兼ね備えています。大きなグラスルーフも印象的な新型ダイハツタフトについて詳細に紹介しましょう。
スズキの牙城に食い込めるか
軽自動車のSUVの中で抜群の人気を誇るのが、スズキジムニーです。その人気の理由は高い悪路走破性。トヨタランドクルーザーといった本格派4WDモデルにもまったく引けをとりません。ジムニーは新車の納車待ちが1年〜1年半と長期にわたっています。しかし、ジムニーは高い悪路走破性を重視したモデルで、街乗りの快適性などはそれほど重要視されていません。
そんなジムニーほどハードなモデルではないのですが、軽自動車のSUVをファッションとして乗りたいという人の受け皿になっているのが、スズキハスラーです。2019年12月に初のフルモデルチェンジを行い、2020年1月から販売が開始された2代目となるハスラー。現行モデルは広い室内空間が特徴の軽スーパーハイトワゴンのスペーシアをベースに、SUVテイストを加えたクロスオーバーモデルです。スペーシア譲りの広くて使い勝手の良い室内空間と、初代ハスラーから継承した高い悪路走破性を兼ね備えています。このほかにもスズキにはスペーシア ギアというリアスライドドアを持つスペーシアのクロスオーバーモデルも用意されています。
このように軽自動車のSUVはジムニー、ハスラーなどを擁するスズキが圧倒的に市場シェアを占めていて、ダイハツは苦戦を強いられてきました。そこでダイハツが軽SUV市場のシェア奪取のために2020年6月に導入したモデルが、新型軽クロスオーバーの「タフト(TAFT)」です。タフトは2019年に発売したタント、ロッキーに続く、ダイハツの新世代のクルマ作りである「DNGA」を採用した第3弾モデルとなります。
スクエアなボディのSUVらしいルックス
タフトは「Tough & Almighty Fun Tool」がコンセプト。幅広い年代のアクティブ層をターゲットとして、「日常からレジャーシーンまで活躍し、毎日を楽しくしてくれる頼れる相棒」となるべく開発されました。アウトドアでの使い勝手を重視するユーザーに加えて、アクティブなイメージを重視するユーザーの要望にも応えられる商品を目指しています。
タフトの外観デザインは、カッコ良さと使いやすさを両立したスクエアなボディを採用しています。分厚いボディと薄いキャビンに太いピラーを採用することでタフさを強調。高い地上高に加えてリフト感を強調する前後バンパーでSUVらしさを表現しています。FF(前輪駆動)の軽自動車最大となる大径タイヤも力強い印象を与えます。ボディカラーは自然界にあるものをイメージした新色のアースカラー3色を含め、道具感にこだわった全9色が用意されています。
黒基調の内装にオレンジの差し色が印象的なインテリア
インテリアは、インストルメントパネルに黒を基調とした高い質感を味わえるデザインを採用し、エアコンの吹出し口などのオレンジメタリックのアクセントによってアクティブさを表現しています。操作するスイッチ類はドライバーを中心にレイアウトされ使い勝手の良さも魅力です。
体にフィットしホールド性の高いシートは長時間のドライブでも疲れにくく、シート地にインストルメントパネル同様のアクセントカラーのオレンジとカモフラージュ柄により個性を表現しています。
全モデルが、フロントシート上に設置した大きなガラスルーフ「スカイフィールトップ」を装備していることもタフトの大きな特徴です。明るく圧倒的な開放感はもちろん、大きく広がる視界を実現しています。このガラスルーフには紫外線対策に加えて、室内温度の上昇を抑えるスーパーUV&IRカットガラスが採用されているのでジリジリとした夏の日差しを遮ってくれます。
ラゲッジの床面とリアシートの背面には汚れても簡単に拭き取れる樹脂製のパーツを取り入れるなど、SUVらしさはラゲッジルームにも見ることができます。フレキシブルボードの使い方により、背の高いものや大きなものなど用途に合わせて積載できるのも魅力的です。
豊かな最低地上高、全グレードで4WDを選択可能
タフトが搭載しているエンジンは最高出力52psを発生する直列3気筒エンジンと最高出力64psを発生する直列3気筒ターボエンジンの2種類。組み合わされるミッションは全車CVT、駆動方式は全グレードに2WDと4WDが用意されています。燃費性能は新方式のWLTCモードで19.6〜20.5km/Lを実現し、エンジンによる燃費差が小さくなっているのが特徴です。
また、タフトは本格的な悪路走破性を実現するために、最低地上高を190mmに設定。アプローチアングル(27°)、ディパーチャーアングル(58°)も悪路走行の強い味方です。さらに、ぬかるんだ道や凹凸の多い路面での発進・加速をサポートするグリップサポート制御も採用しています。
さらに安全性能が向上した「スマートアシスト」
安全装備では、約3年半振りにステレオカメラを一新。さらに、イメージセンサーの変更やカメラ認識処理変更などを行うことで、夜間歩行者も検知できるようになりました。このステレオカメラを採用した新世代のスマートアシストは、衝突回避支援ブレーキの適応速度引上げをはじめ、夜間の歩行者検知機能、路側逸脱警報機能、ふらつき警報機能、標識認識種類増加などの5つの新機能を追加し、全17種類の運転支援システムを搭載しています。
そのほかでは、ダイハツ初となる電動パーキングブレーキを全車に搭載。さらにブレーキを踏んで停止したときにブレーキを保持し、停車状態を維持するオートブレーキホールド機能を搭載するなど利便性も向上しています。
ハスラーよりも強いタフギア感
現在、軽クロスオーバー市場を独占しているハスラーが現行モデルになってやや乗用車寄りの作りになった一方で、このタフトは、ブラックのオーバーフェンダーなどによりタフギア感を強調するなど、同じカテゴリーでもアプローチがかなり異なっておりユーザー層が違っているかもしれません。そんな軽クロスオーバーのニューモデルタフトの新車価格は135万3,000円〜173万2,500円となっています。
■ダイハツ タフト価格表
グレード | 駆動方式 | WLTCモード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
X | 2WD | 20.5km/L | 1,353,000円 |
4WD | 19.7km/L | 1,479,500円 | |
G | 2WD | 20.5km/L | 1,485,000円 |
4WD | 19.7km/L | 1,611,500円 | |
Gターボ | 2WD | 20.2km/L | 1,606,000円 |
4WD | 19.6km/L | 1,732,500円 |
※記事の内容は2020年7月時点の情報で制作しています。