軽スーパーハイトワゴンの人気モデル、スズキ「スペーシア」がフルモデルチェンジを行い3代目へと進化しました。外観・内装・パワーユニット・燃費・安全性能など、新型スペーシアの進化ポイントをまとめて紹介します。
【概要】No.2の座を固めた旧型スペーシア、新型もおおむねキープコンセプトだが、カスタムは攻めのデザインを採用
2023年11月9日に発表、11月22日から販売が開始された新型スズキ「スペーシア」。スペーシアとして3代目で、スズキの軽スーパーハイトワゴンでは、ルーツとなる2008年に登場した「パレット」から数えて4世代目となります。
2013年に登場した初代は際立つ個性に欠けた
スペーシアの初代モデルは2013年に登場。標準車のスペーシアとカスタム、そしてモデル末期に大きなフロントグリルが特徴のカスタムZを追加しましたが、際立つ個性がなく軽スーパーハイトワゴンの中ではホンダ「N-BOX」、ダイハツ「タント」、日産「デイズルークス(現在のルークス)」に続く4番手が定位置でした。
「スーツケース」で躍進した2代目スペーシア
2017年に登場した2代目スペーシアは、そのポジションを大きく変えました。これまで軽スーパーハイトワゴンというと子育て世代のファミリーカーというイメージが強かったのですが、2代目スペーシアは内外装にスーツケースをモチーフとしたデザインを採用することで幅広い層からの支持を集めることに成功します。さらに2018年にはクロスオーバーテイストをミックスしたギアを追加し、軽スーパーハイトワゴンのクロスオーバーモデルのパイオニアとなりました。
これらによりスペーシアはホンダ「N-BOX」を追撃するヒットモデルとなり販売台数もNo.2に定着、2022年5月にはN-BOXの生産調整の間隙を突いて首位の座についたこともありました。デザインだけでなく、後退時の衝突被害軽減ブレーキや、フロントガラス投影式のヘッドアップディスプレイを軽自動車で初採用するなど、充実した安全装備もヒットの秘訣といえます。
まずは標準車とカスタムが登場した3代目、ベースは継続販売
3代目となる新型スペーシアは「わくわく満載!自由に使える安心・快適スペーシア」をコンセプトにスペーシア本来の魅力をより進化させています。今回のタイミングではクロスモデルのギアは発表されず、商用車のベースは継続販売とされています。
デザインモチーフは「コンテナ」。カスタムは精悍なフロントマスクに
内外装のデザインは先代のスーツケースから、新型は頑丈で大容量のコンテナをモチーフとしています。外観はモチーフが変更されていますが、標準車のスペーシアはキープコンセプトな印象です。しかしスペーシアカスタムは、先代のオラオラ感漂う縦型の大型フロントグリルから、水平基調の太いバーを採用したフロントグリルとなり、よりワイド感を強調した精悍なデザインに方向転換。
目玉はリアシートのオットマン機能、先進安全装備も最新版に
インテリアではリアシートにマルチユースフラップをスズキで初めて採用。フラップの位置や角度を調整することにより、オットマンなど3つのモードを選べ、使い方に合わせた多彩なアレンジが可能となる工夫が盛り込まれています。
先進運転支援機能は新しい衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートII」を搭載、コネクテッド機能の「スズキコネクト」も強化、さらに電動パーキングブレーキや新開発メーターの採用で利便性の高さを実現しています。
パワートレインは、軽量で高効率な新CVTやマイルドハイブリッドにより燃費性能を向上しています。全方位に進化した新型スペーシアについて詳しく解説していきましょう。
【価格・グレード・納期】エントリーグレードでも20万円の値上がり。納期は約2~4ヵ月と平均的
新型スペーシアは2023年11月9日に発表され、11月22日より販売されています。エントリーグレードはスペーシアハイブリッドG 2WDの1,530,100円、最も高額のグレードは、スペーシアカスタムハイブイッドXSターボ4WDの2,193,400円です。
旧型から20万円以上の価格アップ
旧型とエントリーグレード同士で比較すると約20万円アップ。最高額グレード同士では、約28万5000円アップと全体的に大きく値上がりしています。
- スペーシア HYBRID G:153万100円~
- スペーシア HYBRID X:170万5,000円~
- スペーシア HYBRID X セーフティプラスパッケージ装着車:177万1,000円~
- スペーシアカスタム HYBRID GS:180万1,800円~
- スペーシアカスタム HYBRID XS:199万5,400円~
- スペーシアカスタム HYBRID XS TURBO:207万3,500円~
納期は2~4ヵ月前後と短縮傾向に
なお新型スペーシアの納期についてはメーカーからは公表されていません。一部販売店のホームページなどで確認すると2023年11月初旬現在で約2~4カ月と案内されています。スズキはジムニーなどの一部車種を除けば新車の納期遅延は解消されています。
グレード | スペーシア HYBRID G | スペーシア HYBRID X | スペーシア HYBRID X セーフティプラスパッケージ装着車 | スペーシアカスタム HYBRID GS | スペーシアカスタム HYBRID XS | スペーシアカスタム HYBRID XS TURBO |
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駆動方式 | 2WD(FF) | 4WD | 2WD(FF) | 4WD | 2WD(FF) | 4WD | 2WD(FF) | 4WD | 2WD(FF) | 4WD | 2WD(FF) | 4WD |
トランスミッション | CVT | CVT | CVT | CVT | CVT | CVT | CVT | CVT | CVT | CVT | CVT | CVT |
ボディー | 5ドア | 5ドア | 5ドア | 5ドア | 5ドア | 5ドア | 5ドア | 5ドア | 5ドア | 5ドア | 5ドア | 5ドア |
乗車定員(名) | 4名 | 4名 | 4名 | 4名 | 4名 | 4名 | 4名 | 4名 | 4名 | 4名 | 4名 | 4名 |
価格 | 153万100円~175万3,400円 | 165万6,600円~187万9,900円 | 170万5,000円~196万1,300円 | 182万4,900円~208万1,200円 | 177万1,000円~202万7,300円 | 189万900円~214万7,200円 | 180万1,800円~202万5,100円 | 192万5,000円~214万8,300円 | 199万5,400円~225万1,700円 | 211万5,300円~237万1,600円 | 207万3,500円~232万9,800円 | 219万3,400円~244万9,700円 |
排気量 | 657 cc | 657 cc | 657 cc | 657 cc | 657 cc | 657 cc | 657 cc | 657 cc | 657 cc | 657 cc | 658 cc | 658 cc |
燃費 (WLTCモード・国土交通省審査値) | 25.1 km/L | 22.4 km/L | 23.9 km/L | 22.4 km/L | 23.9 km/L | 22.4 km/L | 23.9 km/L | 22.4 km/L | 23.9 km/L | 22.4 km/L | 21.9 km/L | 19.8 km/L |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン |
全長/全幅/全高 | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm | 3,395/1,475/1,785 mm |
最低地上高 | 150 mm | 150 mm | 150 mm | 150 mm | 150 mm | 150 mm | 150 mm | 150 mm | 150 mm | 150 mm | 150 mm | 150 mm |
車両重量 | 850 kg | 910 kg | 880 kg | 930 kg | 880 kg | 930 kg | 890 kg | 940 kg | 910 kg | 960 kg | 910 kg | 960 kg |
スライドドア (後席両側) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
マルチユースフラップ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
【外観】雑貨テイストは変わらないが、コンテナをイメージさせるビード形状などを採用し頑丈さを演出
ボディサイズに制限のある軽自動車、新型スペーシアのボディサイズは全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,785mm、ホイールベース2,460mmと先代モデルと同じ。車両重量はエントリーグレードのハイブリッドG 2WD車で比較すると先代モデルが850kg。対して新型も850kgと変更はありません。スペーシアは軽スーパーハイトワゴンの中でも軽量でこれが低燃費に貢献しています。
スーツケースからコンテナへのモチーフ変更でライバルと差別化
新型スペーシアの外観デザインの全体の印象はライバルとは異なる雑貨テイストでキープコンセプト。ただしデザインモチーフが先代のスーツケースから頑丈なコンテナに変更されています。頑丈なコンテナのプレス面を連想させるようにボディサイドにはビード形状や工業製品に用いられる角を面取りしたような造形を取り入れています。また、先代ではブラックアウトされていたDピラーをボディ同色とすることで、ボディの大きさとコンテナのような丈夫さを表現しています。
標準車の外観は概ねキープコンセプト
標準車のスペーシアは、親しみやすく優しい表情を演出するLEDヘッドランプを採用。このLEDヘッドランプは誰にでも好かれる優しい印象を目指して大型リフレクタータイプとなっています。このヘッドライトのおかげで標準車のスタイルは好評だった2代目と似た感じを見る人に与えます。ボディサイドのコンテナモチーフの強さをうまく打ち消しているのではないでしょうか。
標準車には柔らかなニュアンスの2つの新色を追加
ボディカラーは春に咲く花のような柔らかみのある「ミモザイエロパールメタリック」と使い込んだ革製品のような深みのある色を表現した「トーニーブラウンメタリック」を新色として設定。また、2トーンルーフ仕様車のルーフ色には「ソフトベージュ」を採用し、モノトーン8色。2トーンルーフ4色の合計12色を用意しています。
ワイド感と上質感を両立した「スペーシアカスタム」は印象が大きく変化
スペーシアカスタムは先代から大きくデザインが変更されました。フロントグリルには2本の水平に走る太いバーを採用。薄型のブラックアウトしたLEDヘッドランプを採用することにより、ワイド感を強調しつつ大型メッキ加飾によりカスタムらしい上質感と存在感を表現しています。
フロントのヘッドライトはブラックアウトしていますが、リアのコンビネーションンランプはクリスタル感のあるパーツを採用。さらにハイブリッドXSとXSターボには15インチのスタイリッシュな切削アルミホイールを採用し、華やかさを演出しています。
ボディカラーはピュアホワイトパールやインディゴブルーメタリック2をはじめモノトーン7色、ブラック2トーンルーフ4色の合計11色を用意しています。
【内装】リアシートにマルチユースフラップを採用するなど後席の居住性&利便性が劇的に向上
デザインコンセプトをコンテナに変更したことで、新型スペーシアのインテリアの印象は大きく変わりました。前席周辺では助手席側のインパネデザイン、後席はオットマン機能などを備えたマルチユースフラップの採用などがトピックです。
助手席前にビッグオープントレーを採用し機能性アップ
前席周りで最も変わったのが、助手席前のスペースです。旧型はスーツケースのようなデザインのインパネアッパーボックスを採用していましたが、新型ではビッグオープントレーを採用した機能的なデザインとなっています。インパネアッパーボックスだと収納スペースや使い方が限られてしまいますが、新型のオープンタイプのトレーは室内を自由に使えるというメリットがあります。
また、カップホルダーやインパネボックス、前席ドアトリムにビード形状を施すことで頑丈で大容量のコンテナを表現しています。
メーターはデジタル表示に
旧型ではメーターパネルにアナログ針を採用していましたが、新型スペーシアでは、デジタルメーターを採用し、視認性とコンパクト化を実現しています。
アウトドア家具のような心地よい雰囲気の標準車
標準車のスペーシアはブラウンを基調としたインテリアに、サイドルーバーガーニッシュやドアアッパー部分にマットな質感のカフェラテ色を配色。シート表皮にはグレー基調のカラーメランジを採用することでアウトドア家具のような心地よい雰囲気を演出しています。
カスタムは黒を基調にボルドーとピアノブラックのコントラストで華やかに
一方、スペーシアカスタムのインテリアはブラックを基調としながら、セミマットな質感のボルドーと光沢のあるピアノブラックの加飾によるコントラストにより、上質で落ち着いた雰囲気を漂わせています。スペーシアカスタムのシート表皮はスエード調起毛を採用し、見る角度によってブラックの中にボルドーが煌めく華やかなデザインとなっています。
また上級グレードのハイブリッドXSとXSターボにはシートサイド部を艶のあるパイピングを施したレザー調パーツを採用することで、上質感を高めています。
新型の目玉!リアシートは「オットマン」など3つのモードを選べる
新型スペーシアのインテリアで最も注目すべきはリアシートです。リアシートに「マルチユースフラップ」を初採用。フラップの位置や角度を調整することで、くつろぎ感を得られる「オットマンモード」、走行中の姿勢安定をサポートする「レッグリラックスモード」、そして荷物の落下を予防する「荷物ストッパーモード」の3つのモードを選べます。
リアシートには左右独立したセンターアームレストも採用。マルチユースフラップと合わせて使うことで後席の快適性をさらに高めるととともに、座面に置いた荷物の横ずれ防止にも役立つという工夫が織り込まれています。もちろんスライドとリクライニング機能も引き続き採用されており、さまざまな用途に対応できます。
好評のスリムサーキュレーターは静粛性アップ、ほかにも便利機能が盛りだくさん
インテリアには他にも好評だった静粛性を高めたスリムサーキュレーターや自転車に便利なラゲッジルームのガイドをはじめ、後席右側のUSB電源ソケット(タイプA/C)、スマートフォンやタブレットを立てかけることのできるストッパー、幼児用マグに対応したドリンクホルダー、テーブル収納時でも使用可能なショッピングフックを備えたパーソナルテーブルなど数々の便利な機能&装備を採用し、後席の利便性と快適性が大幅にアップしています。
【パワーユニット&足回り】高い熱効率を誇るNAエンジンの搭載とシャシーの高剛性化を実現
新型スペーシアのエンジンは自然吸気(NA)とターボの2種類で、ターボはカスタムのみの設定です。トランスミッションは全車CVT、駆動方式は全グレードでFFと4WDを選ぶことができます。
マイルドハイブリッド+新CVTで抜群の低燃費
搭載されているエンジンのベースは先代と同じですが、燃焼効率を高めたNAエンジンは軽量で高効率な新CVTとスズキご自慢のマイルドハイブリッドを組み合わせることで、軽スーパーハイトワゴントップの低燃費性能を実現しています。カタログ燃費のみならず実燃費もライバルに比べて良かった旧型スペーシア同様、新型の燃費性能は強力なセールスポイントになるでしょう。
シャシーの改良・強化は操縦安定性や静粛性にも好影響
新型スペーシアはスズキご自慢の軽量・高剛性のプラットフォーム「ハーテクト」をさらに改良、環状骨格構造や構造用接着材の採用により、ボディ剛性と操縦安定性を高めています。また、アンダーボディ接合面に減衰接着材を採用したほか遮音バッフルを左右計8カ所と旧型の2倍とすることで、室内の静粛性も改善したとしています。
サスペンション形状は先代同様、フロントはマクファーソンストラット式、リアは2WDがトーションビーム式、4WD車はI.T. L(アイソレーテッドトレーリングリング)式と変更はありません。しかし、新型スペーシアはボディ剛性を向上させていることもあり、操縦安定性や乗り心地の改善に期待が持てます。
【燃費】クラスNo. 1の低燃費、WLTC25km/L超のグレードも存在
先代モデルも全車マイルドハイブリッドシステムを採用していたスペーシア。新型ではNAエンジンが高い熱効率を実現したタイプに変更され、先代よりも燃費が向上、軽自動車スーパーハイトワゴンでNo. 1の低燃費を誇ります。
●ほとんどのグレードが20.0km/Lを超える低燃費
WLTCモードでの燃費性能は標準車のスペーシア2WD車は23.9~25.1km/L、4WDは22.4km/L、スペーシアカスタムのNA 2WD車は23.9km/L、4WD車は22.4km/L、そしてターボ車の2WD車は21.9km/L、4WD車は19.8km/Lと、ターボ4WD車を除いたほとんどのグレードが20.0km/Lを超える低燃費となっています。また、標準装着するタイヤに燃費向上に貢献する低転がり抵抗タイヤを装着するなどどんなシーンにおいても実燃費を向上させる工夫を施しています。
【安全性能・先進運転支援】運転支援機能の核となるデバイスを最新化
新型スペーシアは運転支援システムを支えるデバイスを変更しています。先代モデルでは、ステレオカメラを搭載して運転支援機能を作動させていました。しかし新型スペーシアでは単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせに変更。全車に標準装備されている衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートII」の検知対象は車両や歩行者、自転車、オートバイまで広がり、交差点での検知にも対応しています。
機能強化されたACCで高速道路も快適に
また高速道路で重宝する「アダプティブクルーズコントロール」(ACC)は、先行車の追従走行や一定速の走行に加え、カーブを認識し、カーブ手前で自動的に速度を抑制するカーブ速度抑制機能や車線変更時の加減速を補助する機能、割り込みなどに対する接近警報機能を搭載。さらに車線中央付近の安定した走行をサポートし、区画線が見にくい時には先行車の走行軌跡情報なども活用する「車線維持支援機能」も組み合わせるなど、機能強化が行われました。
また踏み間違い事故対策としてフロント&リアバンパーには超音波センサーを内蔵。これにより前方・後方の障害物との距離を測り、衝突の可能性があると判断した場合に、衝突被害軽減ブレーキによる衝突の回避または被害軽減を図る「低速時ブレーキサポート(前進・後退)」を全車に標準装備し、安心・安全な運転をサポートします。
さまざまな便利機能を持つスズキコネクトの用意も
急速に普及が進むコネクテッドサービスも、緊急通報やトラブルサポートをはじめとしたスズキコネクトの各種アプリサービスに加え、加入者があらかじめ登録した家族などと機能をシェアできるようになりました。メモリーナビと連携させれば、警告灯の点灯や無償修理などの通知をナビ画面に表示できたり、トラブルサポートへの発信、コネクテッドサービスの一時停止・停止解除がナビ画面上で操作可能となっています。
【試乗レポート】今度のスペーシアの走りはファーストカーとしても通用する
新型スペーシアに試乗して感じたのはベストセラーのホンダN-BOXとの差が埋まったということです。先代は燃費性能こそ良かったものの、走りについてはN-BOXとの明確な差を感じました。しかし新型の走りは静かでスムーズ、特にターボモデルは余裕のある動力性能で高速道路での長距離運転も苦にならないでしょう。私が書いたスペーシアの試乗記は別記事で上げていますが、端的に評価すると以下のようになります。
「N-BOXは「軽自動車でもファーストカー」という開発陣の意欲を感じます。一方、スペーシアは先代までは「軽自動車はセカンドカー」というクルマ作りを感じました。しかし今回試乗した新型のスペーシア/スペーシアカスタムは、ファーストカーとしても十分満足できる仕上がりになっています。」
走りでN-BOXに追いついたスペーシア。そして燃費性能や先進運転支援機能はクラストップの実力があります。一家に一台、という人にもおすすめできる車です。
【開発秘話】新型スペーシア開発者インタビューで聞き出した舞台裏アレコレ
スペーシアは今やスズキの軽自動車販売を支える基幹車種となりました。そんなスペーシアの新型の開発にあたっては、舞台裏で相当な準備と試行錯誤があったようです。カルモマガジンで開発者インタビューを担当している島崎七生人さんが試乗会での取材の際に聞き出した興味深い話を紹介しましょう。
実際の使い方を知るために“同乗調査”も
新型スペーシアで話題の装備といえばリアシートの「マルチユースフラップ」でしょう。高級ミニバンのような「オットマンモード」、ロングドライブでありがたい「レッグリラックスモード」、買い物の荷物を載せるのに便利な「荷物ストッパーモード」と三つの機能をあわせもつ優れもの。マルチユースフラップ以外にも新型スペーシアにはこれは便利だな、工夫しているなと思わせる装備がいくつかあります。それらのアイディアが生まれた背景について、「スペーシア開発者インタビュー・コンセプト編」でアシスタントチーフエンジニアの海野 赳久さんが以下のように話しています。
「企画を始めた段階で、実際にお客様がどんな困りごとをお持ちなのかなというのを調べたんです。そのために言葉だけではわからないので、実際にお使いのところを一緒にクルマに同乗させていただいて……。」
ユーザーサーベイやアンケート形式ならともかく、実際のユーザーの元に訪れ、しかも同乗してまで使い方を調査していたことには驚きました。このことが新型スペーシアの便利な装備が生まれた背景にあるのは間違いないでしょう。
ヤンチャだった方も落ち着き方向になっている
先代のオラオラ押し出し系から上質・精悍なデザインへと路線変更したスペーシアカスタム。一見するとキープコンセプトに見える標準車に比べてカスタムのデザインは大きく変わりました。その背景について「スペーシア開発者インタビュー・デザイン編」で商品企画部 製品・用品企画グループの小杉 好香さんが以下のように話しています。
「上質さということを最初の頃からやってきました。デザインにしても迫力をまったくなくしたいということではないのですが、ダウンサイザーの方もお乗りになるようになってきて、今までヤンチャだった方も落ち着き方向になっているのがトレンドですので、デザインもそういう方向で作り込んできました。」
ライバルのホンダN-BOXやダイハツタントは標準車よりもカスタムの方が多く売れているのですが、実は先代スペーシアは標準車の販売比率が高く、スズキとしてもカスタムのデザインに課題感があったようです。新型スペーシアカスタムのデザインは専門家からも高評価で、スズキの狙い通りの出来になっているのではないでしょうか。