2018年7月、ダイハツからミラ ココアの後継車としてミラ トコットが発表・発売された。スズキのアルトラパンに対抗する女子受けを狙った「かわいい軽自動車」だが、見た目だけでなく誰もが安心できる、運転のしやすさにこだわったクルマだ。
女性開発チームの意見が反映されたミラ ココアの後継車
軽自動車やコンパクトカーなどスモールカーを得意とするダイハツ工業。創立は1907年と日本の量産車メーカーの中では最も古い歴史がある自動車メーカーです。1967年にトヨタ自動車との業務提携が始まり、2016年からトヨタの完全子会社となりました。
そのダイハツが2018年6月25日に発表した新型の軽自動車がミラ トコットです。スズキアルトラパンと並んでかわいい軽自動車の代表格だったミラ ココアの実質的な後継です。
今回、軽自動車の本質である低燃費、低価格に加えて、安全・安心も追求したミラ トコットの企画・開発には女性社員で構成されたプロジェクトチームが参加しました。ユーザー視線でコンセプトや採用アイテムに関する意見を反映させることで、誰もが安心して運転できるモデルを目指したそうです。
コンセプトは「誰でもやさしく乗れる」
そんなミラ トコットは「誰でもやさしく乗れる、エフォートレスなクルマ」が商品コンセプト。「エフォートレス」とは肩ひじ張らず自然体でいられることを表すファッション用語です。軽自動車らしいリーズナブルな価格やコンパクトなサイズ感、それに加えてクルマを運転することに不安のあるエントリーユーザーでも安心して乗れる工夫が盛り込ました。
水平基調の外観はサイズ感が掴みやすいデザインです。そして角の取れたスクエアボディとすることで親しみやすいイメージも演出しています。メインターゲットである女性だけでなく、幅広い年齢層のユーザーにアピールする優しいデザインではないでしょうか。スクエアなボディに対して、フロントとリアの丸いランプがトコットらしい個性を表現しています。
安全・安心につながる視界の良さ
居心地の良さにこだわっているインテリアですが、実は水平基調のインストルメントパネルにより、エンジンフードの先端が見やすいのも特徴の一つ。さらに運転席前方のフロントピラーの角度を立て、ドアミラーをドアパネルに取り付けることで死角を減らしています。
また両サイドの窓の下端であるベルトラインを水平にすることで、バックで車庫入れなどする際の後方視界も確保するなど、運転のしやすさにこだわったデザインです。
そして、どんな体格の人でも正しいドライビングポジションに調整できる運転席シートリフターやチルトステアリングを装備し、セーフティドライブをサポートしてくれます。
搭載しているエンジンは最高出力52psを発生する660cc直列3気筒DOHCの1種類。組み合わされるトランスミッションもCVTのみというシンプルな構成です。駆動方式は全グレードでFFと4WDを設定し、JC08モード燃費はFF車が29.8km/L、4WD車が27.0km/Lを実現し、全車エコカー減税の対象となっています。
運転のしやすさのために詰め込まれた数々の工夫
ミラ トコットは軽乗用車のベーシックモデルとなるミラ イースをベースに作られていますが、運転がしやすいような工夫がたくさん盛り込まれています。まずはパワーステアリング。低速域でのハンドルの操舵力が軽いので狭い路地での走行や車庫入れがスムーズに行えます。
そしてしなやかな味付けがされた足回りで乗り心地の良さを狙いつつ、高い操縦安定性も確保したとしています。見逃せないのが取り回しの良さの目安となる最小回転半径。4.4mという優れた数値は狭い道でも役立つことでしょう。
先進安全運転支援装置もしっかり搭載!
運転のしやすさ、取り回しの良さに加えて、ミラ トコットは安全装備も充実しています。軽自動車初の装備として、パノラミックモニター&コーナーセンサーをダブルで設定。パノラミックモニターは4つのカメラで前後左右を撮影し、6通りのビューをナビ画面に表示し、初心者の苦手な車庫入れや縦列駐車を強力にアシストしてくれます。
そしてコーナーセンサーは障害物までの距離に応じて3段階のブザー音でも知らせ、視覚と聴覚の両面からドライバーをサポート。
もちろんダイハツご自慢の衝突回避支援システム「スマートアシストIII」も搭載しています。世界最小サイズの高性能ステレオカメラをフロントウィンドウ内に設置し、車両だけでなく歩行者に対しても緊急時に回避操作を行う衝突回避支援ブレーキ、車線逸脱防止機能、誤発進抑制制御機能など、先進安全運転支援装置も充実しています。
ダイハツミラ トコット価格表(2018年7月現在)
グレード | 駆動方式 | JC08モード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
L | FF | 29.8 | 107万4600円 |
L“SAⅢ” | 113万9400円 | ||
X“SAⅢ” | 122万400円 | ||
G“SAⅢ” | 129万6000円 | ||
L | 4WD | 27 | 120万4200円 |
L“SAⅢ” | 126万9000円 | ||
X“SAⅢ” | 135万円 | ||
G“SAⅢ” | 142万5600円 |
ミラ トコットの車両本体価格はLのFF車の107万4600円からG“SAIII”4WD車の142万5600円となっています。グレード構成はスタンダードモデルのLをはじめ、LにスマートアシストIIIを標準装備したL“SAIII”、マルチインフォメーションディスプレイにTFT液晶を採用するX“SAIII”、そしてオートエアコンをはじめ快適装備が充実した最上級グレードのG“SAIII”の4種類。
ボディカラーは新色3色を含む全8色を設定し、シボとプリントをくみあわせることで、布のような質感を実現したキャンバス地調のデザインフィルムトップを採用したモデルも用意。さらにシンプルなベース車両に対して、個性を際立たせる3種類のアナザースタイルパッケージを設定。
パールホワイトで彩ったスイートスタイル。
華やかな輝きと質感をまとったエレガントスタイル。
そしてブラックをアクセントに都会的なクールスタイルなど自分のライフスタイルにあわせて選ぶことができます。
ユニークなスタイルと運転のしやすさはオンナ心に響くのか?
女性による女性のためのクルマとして開発されたミラ トコットですが、ユニークなスタイルには運転のしやすさへのこだわりが詰め込まれ、結果的に誰にでも優しい安心・安全なスモールカーに仕上がっているのではないでしょうか。ライバルであるスズキアルトラパンとまた違ったアプローチのトコット、狙い通りに女性からの支持を受けられるのかどうか、要注目です。
※記事の内容は2018年7月時点の情報で執筆しています。