ミニバンやSUVの人気の陰で、もはや希少種となった感のある国産ステーションワゴン。しかしレガシィでこのマーケットを開拓したSUBARUは2代目となるレヴォーグを投入。果たしてステーションワゴンブームを再び巻き起こせるのでしょうか。その詳細をお届けしましょう。
日本に最適化された走りのステーションワゴン
商用車のライトバンが主流だった日本市場で、欧州文化であるステーションワゴンを根付かせたのが初代スバルレガシィです。このレガシィの登場をきっかけに日本市場でステーションワゴンブームが巻き起こりました。しかしやがてユーザーニーズはSUVへとシフトし、国産ステーションワゴンのモデル数は減少の一途を辿ります。
しかしスバルはこのジャンルのパイオニアらしく、北米のニーズに合わせボディサイズが拡大する一方のレガシィに代わって、日本で扱いやすいサイズの快速ステーションワゴン、初代レヴォーグを2014年に投入しました。日本のファンの期待に応えたレヴォーグは2020年10月に初のフルモデルチェンジを行い、2代目へと進化したのです。
GT性能に磨きを掛け、安全装備は最新化
新型レヴォーグはステーションワゴン革命を起こしたレガシィより受け継がれる「より遠くまで、より早く、より快適に、より安全に」というグランドツーリングのDNA を継承。さらにSUBARUの最新技術を結集し、「先進安全」「スポーティ」「ワゴン価値」の3 つの価値を革新的に進化させたパフォーマンスワゴンとなりました。レヴォーグはインプレッサから採用されている総合安全性能のレベルを引き上げるとともに、ドライバーの意思に忠実なハンドリングや、不快な振動騒音を低減した快適な乗り心地を提供する「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」を採用。さらにレヴォーグはその高いポテンシャルをベースに、ボディ全体の骨格連続性を高める「フルインナーフレーム構造」や微小な変形を抑える「構造用接着剤」などを採用し、高剛性化と軽量化を両立しています。
よりシャープさとワイド感を強調した外観
レヴォーグでは、SUBARUの新たなデザインコンセプト「BOLDER」を量産車で初めて採用し、「意のままにコントロールする愉しさ」や「先進性」を表現しています。
フロントは、立体的で、ワイドに構えたヘキサゴングリルと、シャープで切れ味の鋭いヘッドランプの精悍な目つきがSUBARUらしさを表現しています。大きく張り出したフェンダーは力強さを、大胆な前傾姿勢で切れ上がったスムーズなサイドシルエットと今にも走り出しそうな勢いのあるキャラクターラインは走りのパフォーマンスを表現。
そして、機能を集約したリアコンビネーションランプは、コンパクトデザインでシャープな印象を持たせつつ、クルマ全体はワイドで安定感のあるたたずまいを表しています。
広くなった後席、上質になったインテリア
インテリアは、上質な室内空間を目指して素材感や機能性にこだわりつつ、パッケージングの最適化による後席居住空間の拡大など、パフォーマンスワゴンにふさわしい快適性も実現しています。
走りを重視したSTI Sport には、ブラック/ボルドーの本革インテリアを採用し、スポーティさと上質感の両立を図りました。
また、アイサイトX搭載車にはセンターパネルに縦型の11.6 インチセンターインフォメーションディスプレイを採用、ボタンの少ないシンプルさで先進的な雰囲気を醸し出しています。
ステーションワゴンの魅力である荷室スペースは大容量のサブトランクを新たに採用。荷室総容量を561L(カーゴフロアボード上部:492L、サブトランク:69L/VDA 方式)として積載性能が大幅に向上しています。
新開発の1.8Lターボエンジン+AWD、STI Sportには“キャラ変”できるドライブセレクトも
搭載されているエンジンは新開発されたコンパクトな1.8L水平対向4気筒直噴ターボDIT。最高出力は177ps、最大トルクは300Nmを発生します。組み合わされるミッションはリニアトロニックと呼ばれるCVTのみで、駆動方式も4WDのみ。燃費性能はWLTCモードで16.5~16.6km/Lとなっています。
注目の装備は最上級グレードのSTI Sport/STI Sport EXに採用された、スポーツカーのような走りから、高級車のように乗り心地を重視した走りまで、スイッチひとつでクルマのキャラクターを切り替えることができる「ドライブモードセレクト」。パワーユニットだけでなく、AWD システムや電子制御ダンパー、パワーステアリング、アイサイトの追従加速度、エアコンに至るまで、さまざまなデバイスを緻密に制御することで、クルマのキャラクターを大きく変化させることが可能です。予め設定された4 つのモードに加えて、各デバイスの設定を自由にカスタマイズできるモードも搭載しています。
「アイサイト」も新世代にアップデート、さらなる運転支援を実現した「アイサイトX」も
先進安全装備で先陣を切ったSUBARUらしく、「新世代アイサイト」を全車標準装備するなど新型レヴォーグの安全性能は大幅に進化しています。「新世代アイサイト」は広角化した新開発のステレオカメラに加えて、前後4 つのレーダーを組み合わせることで360 °センシングを実現。ソフトウェアの性能向上や、電動ブレーキブースターの採用などにより、これまで以上に幅広いシーンで安全運転をサポートしてくれます。
さらに、EXグレードには高精度マップを活用した新開発の先進運転支援システム「アイサイトX」を採用。このシステムは、一定の条件を満たした自動車専用道路において、GPS や準天頂衛星「みちびき」などからの情報と、車線単位の道路情報を持つ3D 高精度地図データを組み合わせることで、自車位置を正確に把握し、運転支援機能を大幅に拡張します。
自動車専用道路上での渋滞時(0km/h~約50km/h)一定の条件を満たすと、ステアリングから手を放すことが可能な「渋滞時ハンズオフアシスト」をはじめ、自動車専用道路を走行中に進入するカーブの曲率に合わせて適切な速度に制御する「カーブ前速度制御」、料金所の手前で減速し通過後はセット車速まで加速する「料金所前速度制御」、自動車専用道路での高速走行時(約70km/h~約120km/h)にドライバーが方向指示器を操作し、システムが作動可能と判断するとステアリングを制御して「車線変更のアシストを行う「アクティブレーンチェンジアシスト」など、幅広いシーンでアクセル・ブレーキ・ステアリング操作のアシストを行い、快適なロングドライブをサポートしてくれます。
コネクティッドサービスの用意も
新型レヴォーグはコネクティッドサービス「SUBARU STARLINK」も採用しています。これは、11.6 インチセンターインフォメーションディスプレイやGPS、車載通信機などを搭載し、24 時間365 日コールセンターとつながることで、交通事故やトラブルが発生した際に、確かな安心でサポートするサービスです。これにより、24時間体制のサポートを受けることができます。
走行性能だけでなく、安全性能も格段に進化した新型レヴォーグの車両本体価格は310万2000円~409万2000円となっています。コロナウイルス感染症拡大によりクルマの価値が再認識されている中、使い道の広さと取り回しの良さを併せ持つステーションワゴンの良さを再認識させてくれる一台と言えるでしょう。
■スバル レヴォーグ価格表
グレード | 駆動方式 | WLTCモード燃費(km/L) | 車両本体価格(円) |
---|---|---|---|
GT | 4WD | 13.7 | 2,820,000 |
GT EX | 3,170,000 | ||
GT-H | 13.6 | 3,020,000 | |
GT-H EX | 3,370,000 | ||
STI Sport | 3,370,000 | ||
STI Sport EX | 3,720,000 |
※記事の内容は2020年10月時点の情報で制作しています。