日本を代表するコンパクトカーのホンダフィットが2020年2月にフルモデルチェンジを行いました。4代目となる新型フィットはスタイルやインテリアなど、すべてに「心地良さ」を追求したモデル。グレードではなく5つのスタイルを用意し、ハイブリッドを2モータータイプへと変更するなど、話題性も十分です。それでは新しいフィットの詳細をお届けしましょう。
日本のコンパクトカーの歴史を変えたフィット
2001年に登場したコンパクトハイトワゴンのホンダフィットが大ヒット作となった要因は、ホンダのM・M思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム思想の略。人間のためのスペースは最大に、機械のためのスペースを最小限におさえることで、クルマのスペース効率を高めようとするホンダのクルマ作りの基本的な考え方)を具現化するために、画期的なセンタータンクレイアウトを採用したことにありました。そのおかげでクラストップの広い室内空間やミニバンに匹敵するシートアレンジを実現、優れた環境性能やキビキビした走りもあって、ホンダの基幹モデルへと成長しました。
2013年に登場した先代モデルでは、フィット史上最大の室内空間と当時国内最高の低燃費性能を実現し、世界各国で販売されるグローバルモデルとなりました。
4代目は「心地よさ」を追求
2020年2月、そんなホンダフィットがフルモデルチェンジを行い4代目となる新型モデルが登場しました。新しいフィットは歴代モデルが築き上げた優れた性能、コンパクトカーとは思えない圧倒的な広さを誇る室内空間、そして使い勝手の良さを継承しつつ、よりユーザーに満足してもらえるクルマを目指して開発されました。
新型フィットが重視したのは、クルマでの移動でもリラックスや癒しを求めているというニーズです。それに応える「心地よさ」を追求し、ホンダならではの独創的な技術によって具現化しています。
ライフスタイルにあわせた5つのフィット
従来のように装備等の違いでタイプやグレードを設定するのではなく、ユーザーのライフスタイルやライフステージに合わせて選択できる5つのタイプを揃えているのも目新しいところ。
シンプルで自分らしさが光る“BASIC”(ベーシック)、生活に馴染むデザインと快適性を備えた“HOME”(ホーム)、毎日をアクティブに過ごしたい人のための“NESS”(ネス)、週末に出掛けたくなるエンジョイライフに応える“CROSSTAR”(クロスター)、そして洗練と上質を兼ね備えた“LUXE”(リュクス)という5つのタイプから自分にピッタリのフィットを選ぶことができます。
フロントデザインは人間のような「表情」に
新型フィットのフロントデザインは、心から「親しみ」を感じてもらえる「表情」を追求しています。人間の目に相当するヘッドライトは、クルマの印象を左右する重要な部分。新型はつぶらな瞳を思わせるヘッドライトを採用し親しみやすさを強調しています。
フルLEDヘッドライトはプロジェクタータイプを採用したうえで、ハウジングをブラックアウトし、瞳のイメージを強調。デイタイムランニングランプとターンランプを、あたかも目を縁取ったかのように配置しました。デイタイムランニングランプは笑顔を彷彿とさせるやさしい印象を、ターンランプはまばたきにも似た表情を醸し出しています。ハロゲンタイプのヘッドライトもフルLEDタイプと共通イメージのデザインで親しみを感じさせる光り方となっています。
全体的には塊感のあるデザインで安定感を表現
サイドデザインでは、キャラクターラインを初めとするデザイン要素を限界まで減らすことで、塊そのものの造形美を率直に表現しています。フロントピラーからルーフエンドまでの流麗なラインを、角度と幅を吟味したリアピラーでしっかりと受け止め、豊かに張り出させたリアフェンダーへとつなげることで、躍動感と安定感を強調しています。
リア周りも「塊感」がテーマ。テールゲートは、従来モデルに対し前傾させることで、その塊感を強調しながら軽快な印象を演出しています。リアスタイルも塊感の強い台形フォルムをベースに、横基調のリアコンビネーションランプを低い位置で車幅いっぱいに配置。さらに厚みを持たせたバンパーもあって、どっしりとした低重心イメージを作り出しています。リアウインドウやリアコンビネーションランプを、ボディーパネルとの段差が少ないシームレス表現とすることも塊感に寄与し、安定感と安心感を漂わせたというのがホンダの主張です。
視界の良さ、座り心地の良いシートでインテリアにも心地良さを
新型フィットがこだわった心地良さはインテリアにも表現されています。フロントピラーは断面構造を変更することで従来の半分以下の厚さとして、死角を大幅に減らしました。水平・直線基調のインストルメントパネルやシンプルで見やすいバイザーレスメーターの採用などとのシナジー効果によって安心感のある“心地良い”視界を確保しています。
フロントシートには骨盤から腰椎まで樹脂製マットで支えるボディスタビライザーシートをホンダ車として初めて採用。軽量化・高剛性化・高強度化を徹底したボディをはじめ、衝撃を素早く吸収して路面をしっかりとらえるサスペンションなどと合わせて、快適な乗り心地を実現しています。
歴代モデルと同様に広い室内空間や多彩なシートアレンジは継承し、さらに気軽にカバンなどを置けるテーブルコンソールをフロントシート間に設置するなど使い勝手にも磨きをかけています。ハイブリッド車もIPU(インテリジェントパワーユニット)の小型化により荷室容量を確保しているのは進化ポイントです。
2モータータイプの「e:HEV」に刷新されたハイブリッド
搭載されるパワートレインは最高出力98ps、最大トルク118Nmを発生する1.3L直列4気筒DOHCエンジン+CVT、そしてe:HEV(イーヘブ)と名付けられた最高出力98ps、最大トルク127Nmを発生する1.5L直列4気筒DOHCエンジン+駆動用・発電用2つのモーター+CVTというハイブリッドシステムの2種類です。全モデルで駆動方式は2WD(FF)と4WDを設定し、燃費性能はWLTCモードで1.3Lガソリン車が17.0〜20.4km/L。e:HEV車は23.2〜29.4km/Lという優れた燃費性能を発揮します。
後方誤発進抑制など先進安全装備もさらに充実
先進安全装備も大幅に進化しました。車両前後に装着された計8つのソナーセンサーと初搭載された前方を広角に検知するフロントワイドビューカメラによって構成される「ホンダセンシング」を全車に標準装備。先代の8つの機能に加えて、後方誤発進抑制機能やオートハイビーム、そしてホンダ初となる近距離衝突軽減ブレーキを搭載し、全11の機能がパッケージングされた最新版です。ホンダセンシング装着車はサポカーSワイドに該当し、高齢者が購入する際にはサポカー補助金を受けることができます。
コネクテッドサービスも抜かりなく搭載
流行りのコネクテッドサービスも抜かりなくホンダ車専用車載通信モジュール「ホンダコネクト」を日本で初搭載。ユーザーのカーライフをより安心・快適にするコネクテッドサービス「ホンダトータルケアプレミアム」を開始しました。万が一の事故の際の緊急サポートやドアロックし忘れた際などのリモート操作などを行うことができます。
数値で表せない心地良さをもつ新型フィット
数値では表すことのできない「心地良さ」。それを誰もが感じられるようなクルマ作りを追求した結果誕生したフィット。きっと誰もが乗っても「あーいいクルマだな」と感じるシーンがあるはずです。車両本体価格は155万7600円〜253万6600円となっています。果たして、アナタの感性にピッタリのフィットは5つのタイプのうちどれになるのでしょうか。
■ホンダフィット価格表
グレード | 駆動方式 | WLTCモード燃費(km/L) | 車両本体価格 |
---|---|---|---|
BASIC | 2WD(FF) | 20.4 | 1,557,600円 |
4WD | 18.2 | 1,755,600円 | |
HOME | 2WD(FF) | 20.2 | 1,718,200円 |
4WD | 18 | 1,916,200円 | |
NESS | 2WD(FF) | 19.6 | 1,877,700円 |
4WD | 17 | 2,075,700円 | |
CROSSTAR | 2WD(FF) | 19.4 | 1,938,200円 |
4WD | 17.4 | 2,136,200円 | |
LUXE | 2WD(FF) | 19.6 | 1,977,800円 |
4WD | 17 | 2,186,800円 | |
e:HEV BASIC | 2WD(FF) | 29.4 | 1,997,600円 |
4WD | 25.6 | 2.195,600円 | |
e:HEV HOME | 2WD(FF) | 28.8 | 2,068,000円 |
4WD | 25.2 | 2,266,000円 | |
e:HEV NESS | 2WD(FF) | 27.4 | 2,227,500円 |
4WD | 23.2 | 2,425,500円 | |
e:HEV CROSSTAR | 2WD(FF) | 27.2 | 2,288,000円 |
4WD | 24 | 2,486,000円 | |
e:HEV LUXE | 2WD(FF) | 27.4 | 2,327,600円 |
4WD | 23.2 | 2,536,600円 |
※記事の内容は2020年3月時点の情報で制作しています。