昭和から平成そして令和の時代となっても、クルマ好きにとって年始の風物詩と言えばカスタムカーの祭典、東京オートサロン。今年も1月10〜12日の3日間、令和初となる東京オートサロン2020が千葉県の幕張メッセで開催されました。
出展台数こそ約800台と昨年より少なくなりましたが、出展者数は438社、観客数は3日間で33万6000人以上と過去最高となり、日本のクルマイベントで最大級であることを証明しました。その東京オートサロン2020に出展したメーカー、そしてクルマを紹介しましょう。
メーカー各社は東京モーターショー以上の力の入れよう
東京オートサロン2020で目立っていたのは、東京モーターショーを上回る国産メーカーの力の入れ方、久しぶりに登場した国産スポーツカーへの期待値の高さ、そして高級輸入車ブランドの展示の増加でしょう。
かつては街のチューニングショップが主役だった東京オートサロンですが、現在は国産自動車メーカーが主役と言えるでしょう。メーカーによっては規模や展示内容は昨年開催された東京モーターショー以上と言えるブースもありました。
GRヤリス、スープラなどを東京モーターショーとは別の顔を見せたトヨタ
国産車メーカーで注目度が最も高かったのがトヨタです。2月から販売開始されるコンパクトカーのヤリス(旧ヴィッツ)、そのWRC(世界ラリー選手権)参戦用のベース車両となる「GRヤリス」を世界初公開しました。
このGRヤリスには特別仕様車のRZ“First Edition”とRZ“High-performance First Edition”の2モデルが設定され、2020年夏頃からの発売予定となっています。最高出力272psを発生する1.6L直列3気筒ターボ+6速MTというパワートレインを搭載し、駆動方式は新開発のスポーツ4WDシステム“GR-FOUR”を採用、パワーを余すことなく4つのタイヤに伝えます。車両本体価格は396万〜456万円と、やはりそれなりのお値段。
トヨタはそのほかにもGRスープラのモータースポーツバージョンや日本カー・オブ・ザ・イヤーのイヤーカーに輝いたRAV4やピックアップトラックのハイラックスのカスタムカーを展示、ほとんどクルマを展示しなかった東京モーターショーとは一変した熱いブースに仕立てていました。
またトヨタ車のカスタマイズを手がけるTOM’Sには3000万円近いプライスタグを掲げたセンチュリーのカスタムカーも展示され、多くの人々が驚嘆の眼差しを向けていました。
S660、シビックタイプRなど、怒涛のニューモデル攻勢をかけたホンダ
続いて新型車を大量に発表したホンダです。プレスデーとなった1月10日に軽自動車のオープンカー「ホンダS660」のマイナーチェンジを発表。ワークスブランドである無限はそのS660にカーボン製パーツを装着したカスタマイズカーを出展しました。
すでにマイナーチェンジが予告されていた「シビックハッチバック/セダン」の展示に加えて、プレスカンファレンスで走行性能にさらに磨きを掛けた「シビックタイプR」のマイナーチェンジ版をアンヴェール。このシビックタイプRは夏頃の発売予定となっています。
ホンダブースには2月より販売開始されるコンパクトカーフィットのカスタマイズカーである「モデューロXコンセプト」も展示されていました。このモデルは純正アクセサリメーカー、ホンダアクセスが手掛けるカスタマイズカー、乗り心地の良さとスポーティな走りを両立した足回りのセッティングが好評です。
モデューロXはすでに市販されているヴェセルに加えて、新型フィット、そして昨年マイナーチェンジしたコンパクトミニバンのフリードの「モデューロXコンセプト2020」も展示され、発売日が近いことを感じさせました。
さらにホンダはワンメイクレースも行われている軽自動車N-ONEのスポーティグレードRSに6速MT車を追加。シティターボIIの再来を思わせるホットハッチを展示していました。
スカイライン400Rで存在感を示した日産
日産は昨年マイナーチェンジしたスカイラインに設定された最高出力405psを発生する3LV6ツインターボエンジン搭載の400Rがベースのカスタマイズカーを2台展示。1台はマットブラックのエアロパーツや20インチホイールを装着しスポーティさを強調した「スカイライン400Rスプリント・コンセプト」。参考出品ながら車両本体価格が562万5400円と表示されており、市販化は確実のようです。
もう1台は「スカイラインデラックス・アドバンスド・コンセプト」で、こちらはツートーンに塗り分けられたボディなどにより高級感を追求したモデルとなっています。
また、価格が1億円以上という「GT-R50 byイタルデザイン」も展示されていました。今回見逃すとたぶんもう2度と見ることのできないレアモデルです。
日産の特装車を手掛けるオーテックジャパンは、「エルグランドオーテックコンセプト」を出展。前後に張り出したエアロパーツや会社のある湘南の海を思わせる深い青のボディはエルグランドのフラッグシップモデルに相応しい存在感となっています。ブリヂストンのレグノを採用した17インチのアルミホイールなどディテールも煮詰まっていて市販化は近いようです。
またも隠し玉のニューモデル「タフトコンセプト」を投入したダイハツ
派手な演出で盛り上がっていたのがダイハツブース。コンパクトSUVのロッキーやコペンGRスポーツといった、すでに市販されているクルマのカスタマイズカーが並ぶ中、ステージの中央には「タフトコンセプト」というコンセプトカーを展示。
このタフトは今年の夏に販売予定の軽SUVで、スズキハスラーのライバル車といえるモデルです。東京モーターショーでのロッキーのサプライズ展示といい、今回のタフトといい、ダイハツのモーターショー盛り上げ具合はなかなかのものですね。
あのカタナからインスパイアされたスイフトスポーツで注目を集めたスズキ
スズキブースは現在でも納車が長期に渡っている人気車のジムニーシエラをはじめ、年末にモデルチェンジした新型ハスラー、そして「スズキカタナ」というスズキが誇る人気オートバイからのインスピレーションによるカスタマイズを施したスイフトスポーツが展示されていました。
中でもスイフトスポーツは100万円台で購入できるスポーツコンパクトカーとして若者にも人気の高いモデル。エアロパーツによってシャープな印象を強めたスイフトスポーツは切れ味鋭い走りを披露しそうです。
市販間近のeKスペース祭りだった三菱
三菱ブースでは2月に市販される軽スーパーハイトワゴンのニューモデル「ekスペース」と「ekクロススペース」を展示。さらに昨年販売開始したekクロスのカスタマイズカーも展示されていました。
新型レヴォーグのスポーツバージョンを披露したスバル、アウトドア&レーシーだったマツダ
スバルは東京モーターショーで初公開した「レヴォーグSTIスポーツ」のプロトタイプなど市販前のクルマを展示していました。マツダはCX-5などのSUV系のモデルにはルーフキャリアなどを搭載したアウトドアテイストのカスタマイズ、そしてマツダ3にはレーシーさを強化したカスタマイズ車を展示していました。
今回の主役はGRスープラ、会場はさながらスープラ祭り!
今回のオートサロンの会場でひときわ目立っていたのが、昨年登場したGRスープラです。ミニバンやSUVといった様々な車種が会場に展示されるオートサロンですが、やはり主役はスポーツカーということを証明しました。
会場を歩くとスープラに当たる!と言えるほど多くのブースにGRスープラが展示されていました。トムスは最高出力を120psアップしたトムススープラを出展。限定99台で1473万円〜という車両本体価格で販売する予定です。
HKSやブリッツといった老舗チューニングメーカーには早くもカスタマイズパーツを装着したスープラが展示されていて、今後のさらなる進化に注目です。
ランボルギーニ、メルセデス、アストンマーティン、輸入車も確実に存在感を増している
最後は輸入車ブランドの台頭です。アストンマーティンやマクラーレンといったイギリスの高級スポーツカーブランドをはじめ、メルセデス・ベンツなど輸入車ブランドが出展。カスタマイズショップの展示でもロールスロイスのSUV、カリナンをはじめ、ランボルギーニウルス、フェラーリなど東京モーターショーでは見ることのできないスーパースポーツカーが並んでいました。
東京モーターショーとは異なり、国産車そして輸入車が数多く出展され盛り上がりを見せた東京オートサロン。もうこちらがモーターショーの主流となっていると言えるかもしれません。
※記事の内容は2020年1月時点の情報で制作しています。