2019年10月25日から一般公開された第46回東京モーターショー。今回は会場が有明と青海の2エリアに分散されるなど、従来とは大きく異なるショーとなりました。ショーデビューとなった新型ホンダフィットを筆頭に、スバルレヴォーグ、三菱eKスペース、スズキハスラー、ダイハツ新型コンパクトSUV、トヨタミライなど発売間近の新型車も数多く登場しました。そんな注目車種たちを中心にリポートします。
2つのエリアで開催、お台場一帯がクルマ一色に染まった
2019 年10月25日から11月4日まで一般公開された第46回東京モーターショー2019。今回は2020年に開催される東京オリンピックの影響で、展示会場が有明エリア(従来の東京ビッグサイトの西、南展示場)、と青海エリア(りんかい線東京テレポート駅近くの東京ビッグサイト青海展示場と隣接するメガウェブ、ヴィーナスフォート)に分散しているのが特徴です。
徒歩だと20分ちょっとの有明エリアと青海エリア間にはシャトルバスも運行されていますが、両エリアを結ぶシンボルプロムナード公園では「OPEN ROAD」と題して、さまざまなクルマの展示や超小型モビリティなどの体験試乗が行われており、お台場一帯がクルマ一色に染まりました。
車を取り巻く社会と将来への新たな提案
ドイツのフランクフルトモーターショー、フランスのパリモーターショー同様に、東京モーターショーも海外メーカーが相次ぎ不参加を発表。自動車メーカーで出展したのは、メルセデス・ベンツ&スマート、BMWアルピナそしてルノー&アルピーヌのわずか3社5ブランドにとどまり、華やかさに欠けると思われました。しかし、南館4階にはオーナー車のさまざまなスーパーカーやアストンマーティンそして電気自動車のテスラなどが展示され、多くの見学者が訪れていました。
今回の東京モーターショーでは最近の自動車業界でよく使われている単語“CASE”がテーマの出展が目立ちました。
CASEのCはコネクティッド(つながる技術)、Aはオートノーマス(自動運転)、Sはシェアリング(自動車の共有)、そしてEはエレクトリック(電動化)となります。それでは、東京モーターショー2019に出展された注目のクルマを紹介しましょう。
【トヨタ】新型ヤリスやグランエース、ミライなどの新型車以上に目立ったのは「未来のモビリティ体験」
まずはトヨタです。トヨタのブースはプレスカンファレンスで豊田章男社長が「トヨタブースには1年以内に発売されるクルマは置きません!」と宣言したとおり、クルマがほとんど置いてありません。その代わりさまざまな体験型のイベントが用意され、まるでテーマパークのような様相です。
トヨタの注目のクルマで取り上げるのはトヨタブースの隣にあるトヨタ車体に展示されているグランエースです。現在LLサイズミニバンはアルファード/ヴェルファイアが市場を席巻していますが、このグランエースは海外で販売されている新型ハイエースをベースとした高級ミニバンです。全長5.3mというロングボディで全幅も約2mというもうミニバンとは呼べない大きなボディに贅を尽くした装備を満載しています。価格も1000万円近いともいわれており国産ミニバンの最高価格車となりそうです。このグランエースは2019年11月に発表予定となっています。
続いて紹介するのは、メガウェブに展示されているミライコンセプトです。ミライは2014年に登場した燃料電池車です。燃料である水素を化学変化させて、電気を発生しモーターで走行します。そのミライの次世代モデルが出展されました。初代よりもシャープな印象となりスタイリッシュなデザインとなっています。このミライも2020年に登場予定です。
メガウェブの1階には2人乗りのコンパクトEV(電気自動車)も展示されています。トヨタはハイブリッドではリードしていますがピュアEVは様子見でした。このクルマが初の市販車となる予定です。このモデルも2020年内に発売予定です。
発表されたばかりのヴィッツ後継車「ヤリス」はヴィーナスフォートの2階に展示されていました。ライバルのホンダフィットが大々的に展示されていたのとは対照的に2台だけの展示でしたが、人気車種の新型は意欲的なスタイルもあって注目度はなかなかのもの。少々もったいない気もしました。
【日産】新型デイズルークスは登場せず、主役はSUVと軽の電気自動車コンセプトカー
続いて日産です。日産は近々発売予定のデイズルークスの展示はなかったので、今回発表された2台のコンセプトカーを紹介しましょう。
まずはSUVタイプのコンセプトカー、アリアコンセプトです。専用の電気自動車のプラットフォームを採用し、前後に2つのモーターを搭載したSUVで、4WDでモーターを制御します。自動運転技術のプロパイロット2.0を搭載し、このアリアコンセプトが次期エクストレイルとして市販化されそうです。
もう1台のコンセプトカーはIMkコンセプトです。こちらは軽自動車サイズのEVです。EVというと価格が高いイメージが強いですが、電池容量を抑えることで走行距離は短くなりますが、シティコミューターとして安い価格でEVを提供しようという目的があります。
【ホンダ】ショーデビューした新型フィットを大々的に展示!市販目前の電気自動車・ホンダeも
ホンダブースでは、コンパクトカーに人気モデルである新型フィットが発表されました。本来は年内発売予定でしたが、2020年2月に延期されています。
新型フィットにはオデッセイやステップワゴンなどに搭載されている2モーターのハイブリッドシステムi-MMDが搭載され、従来モデルより走行性能、燃費性能ともに向上しています。
また、新型フィットはベーシック、ホーム、ネス、クロスター、リュクスという5つのバリエーションを用意し、自分のライフスタイルにあったモデルを選べるのが特徴です。
そして、ホンダが満を持して投入するEVがホンダeです。クラシカルな外観デザインとは裏腹に最新のテクノロジーを満載。モーターはリアのラゲージ下に搭載し後輪を駆動させるRRの駆動方式を採用。スタイリングは5ドアハッチバックですが、スポーツカーに匹敵する走行性能を実現しています。1回の満充電での走行距離は200km程度となっています。今回ブースに展示されたホンダeはコンセプトカーではなく、ラインで生産されたクルマということで、ほぼこのカタチで市販される予定です。
【マツダ】MX-30はまさかの電気自動車に観音開きとロータリー!
内燃機関の性能向上に力を注いでいるマツダは2020年後半から欧州で発売開始するEVのMX-30を発表。
懐かしい4ドアクーペRX-8譲りの観音開きドアを採用したSUVで、満充電で約200km走行可能といわれています。また、レンジエクステンダーとしてマツダ独自のロータリーエンジンを発電機として搭載し、航続走行距離を延長させるともいわれています。
【三菱】ほとんど新型eKスペース「クロス」か?妙にかっこいいガスタービンPHEVも展示
三菱は2020年3月までに発売予定のスーパーハイト軽ワゴンコンセプトを展示。こちらは現在発売されているeKスペースの新型車で三菱独自のダイナミックシールドを採用し、カスタムに変わるSUVタイプの新シリーズとなりそうです。
【レクサス】2020年発売予定のLCコンバーチブルと2030年のフラッグシップ
レクサスは2020年に導入されるLCコンバーチブルと2030年のレクサスのフラッグシップモデルを具現化したLF-30エレクトリファイドを出展。
LF-30エレクトリファイドは4輪インホイールモーターを採用し、そのモーターを冷却させるためにグッドイヤーと共同開発した専用のタイヤを装着しているのが特徴です。
【スバル】これぞモーターショー!すばらしいデビューを飾った新型レヴォーグ
そしてスバルは2020年末に販売開始する予定のレヴォーグコンセプトを派手な演出とともに発表しました。SGPといわれる新プラットフォームを採用するとともに、搭載するエンジンも新開発の1.8L水平対向4気筒ターボエンジンとなります。
スバル独自の運転支援システムアイサイトも進化すると同時にナビゲーションの地図データに3Dマップを採用することで、より質の高い自動運転を実現。高速道路などでのハンズオフも可能となる予定です。
【スズキ】見た目はキープコンセプトだが新型ハスラーはスペーシアベースでさらに広く!
スズキは2019年12月に発売開始する予定の軽自動車のハスラーコンセプトを展示。ベース車両がワゴンRからスペーシアに変わったことで室内空間は拡大しています。
【ダイハツ】発売間近の新コンパクトSUVをサプライズ発表!
そしてダイハツは間もなく発売される予定のコンパクトSUVをサプライズで展示。DNGAと呼ばれるクルマの構造改革により基礎部分から一新。全長4m以下というボディに1Lターボエンジンを搭載し、軽快なフットワークが特徴となりそうなSUVです。
トヨタブースのようにほとんどクルマを展示しないという斬新な試みなどもあり、今回の東京モーターショーは新しい令和の時代の幕開けを感じさせるものでした。次回のモーターショーはさらに展示の仕方が変わるのは間違いないでしょう。
※2019年11月の情報で制作しています。