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「最近の日産が元気を取り戻した理由」岡崎 五朗がズバリ解説!

「最近の日産が元気を取り戻した理由」岡崎 五朗がズバリ解説!
「最近の日産が元気を取り戻した理由」岡崎 五朗がズバリ解説!

2021年の日産ノートに続いて、2022年も日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)は日産のサクラ(と三菱eKクロスEV)が受賞しました。日産としては初の2年連続受賞、しかもフェアレディZとエクストレイルも10ベストに選出されるなど、ここにきて日産がとても元気です。衝撃のゴーン逃亡劇から4年余り、日産車はどのようにして魅力を取り戻したのか、その理由を岡崎五朗さんが解説します。

ほぼ3年新車なし、からの「商品価値」V字回復!その背景に指揮官の姿が

ほぼ3年新車なし、からの「商品価値」V字回復!その背景に指揮官の姿が

最近、日産が元気だ。2022年はエクストレイル、アリア、Z、サクラの4台をリリース。そのうちアリアを除く3台がCOTY(日本カー・オブ・ザ・イヤー)の10ベストに選出され、なかでもサクラは頂点に位置する日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。しかも前年のノートに続き2年連続の受賞である。

ほぼ3年新車なし、からの「商品価値」V字回復!その背景に指揮官の姿が

1980年にCOTYが始まって以来、日産車が2年連続でイヤーカーに輝いたのは初めてのこと。僕も選考では最高点をサクラに投じたが、ハードウェアの仕上がり具合でいけばエクストレイルも凄かったし、商品の魅力でいえばZも凄かった。10ベストに入らなかったアリアも日本製のEVとしてはトップレベルの出来映えだ。

ほぼ3年新車なし、からの「商品価値」V字回復!その背景に指揮官の姿が

この元気ぶりは、ちょっと前までの日産では想像すらできなかった。数年前までの日産はモデルチェンジの頻度が極端に少なく、ほぼ3年間、1台も新車投入がなかった時期もあったほど。日産は商品価値のV字回復を見事に成し遂げた。この背景にあるのは何かを考えるとき、外せないのが指揮官の姿だ。

ゴーンが残したのは過剰な生産設備と古びたラインナップ

ゴーンが残したのは過剰な生産設備と古びたラインナップ

日産としてはいまさらこの話しを蒸し返されたくないだろうが、あのカルロス・ゴーン抜きに日産のV字回復を解説することはできない。1999年、瀕死の状態だった日産を救うため、親会社となったルノーが送り込んだのがカルロス・ゴーンだ。ゴーンは工場閉鎖を含む徹底的なリストラを敢行。見事に日産を立て直してみせた。この手腕は見事だったが、ゴーンは日産に長く居座りすぎた。見事なV字回復はゴーンの神格化につながり、日産社内では誰もゴーンにノーと言えなくなってしまったのだ。

しかし、彼は傾いた経営を立て直すことは得意だったが、立ち直った企業の幹を太くすることは苦手だった。赤字体質から抜け出した後もゴーンは無慈悲なコストカットを止めず、新車開発は遅延。その一方で台数の拡大方針だけを続けた結果、日産車の魅力は次第に薄れていき、大幅な値引きをしなければ売れなくなってしまった。モデルチェンジの先延ばしやコスト至上主義によるハードウェアの競争力低下、無理な生産能力増強、DATSUNブランドの失敗など、ゴーンはことごとく日産にダメージを与え続け、残ったのは過剰な生産設備と古びたラインナップだったのだ。

無茶な台数拡大政策から「技術の日産」路線へ

無茶な台数拡大政策から「技術の日産」路線へ

そんな状況のなか、あの有名な逮捕〜逃走劇が起こった。ゴーンの片腕だった西川氏を経て、2019年に社長に就任した内田氏が真っ先に手掛けたのが商品力の回復だった。内田氏はゴーン〜西川路線が推し進めてきた無茶な台数拡大政策をストップするとともに、本来の日産の姿である「技術の日産」路線を目指した。数字ありきではなく、まずはユーザーにいいねと思ってもらえる商品を作る。そうすれば数字は後から付いてくるという考え方だ。

無茶な台数拡大政策から「技術の日産」路線へ

といってもクルマは企画から開発に2〜3年はかかるから、成果が出るまでにはそれなりの期間が必要だ。そういう意味で、2019年の内田社長就任と、2021年からの日産の商品力アップはピタリと符合する。

クルマは儲けるための手段なのか、それともクルマが好きなのか

クルマは儲けるための手段なのか、それともクルマが好きなのか

内田社長とは何度か話したことがある。プライベートではMT車を所有し、趣味はクルマの整備。「私がこんなこと言ったらディーラーさんに叱られますが、車検はいつもユーザー車検なんですよ」と楽しそうに話すその姿からはクルマへの愛情が強く伝わってくる。

クルマは儲けるための手段なのか、それともクルマが好きなのか

トヨタの豊田章男会長のようにレース趣味こそないけれど、内田社長もかなりのクルマ好きである。当たり前だが、クルマを儲けるための手段としか考えていないトップがいるメーカーと、クルマが好きなトップがいるメーカーとでは、生みだすプロダクトは絶対に違ってくる。一人のクルマ好きとして、僕は内田氏率いる日産の今後に大いに期待している。

(写真:日産)

※記事の内容は2023年3月時点の情報で制作しています。

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