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クルマ界の黒船襲来!日本に新規参入する海外メーカーとは?中国製激安EVの日本上陸はあるのか?

クルマ界の黒船襲来!日本に新規参入する海外メーカーとは?中国製激安EVの日本上陸はあるのか?
クルマ界の黒船襲来!日本に新規参入する海外メーカーとは?中国製激安EVの日本上陸はあるのか?

EVシフトが叫ばれるようになってから日本に新たに参入する海外メーカーや、低価格をウリにする中国EVメーカーの話題をよく見聞きするようになりました。最近日本に上陸した海外メーカーや、気になる中国製激安EVの日本上陸の可能性について考察します。

【HYUNDAI】呼び方をヒョンデに改め日本再上陸

【HYUNDAI】呼び方をヒョンデに改め日本再上陸

筆者が高速道路試乗中に充電した富士川SAで撮影。車両はIONUQ 5。

漢字で表記すると「現代自動車」、英字で表記すると「HYUNDAI」。韓国ソウルに本拠地を置く自動車メーカーです。2000年に日本市場へ上陸をしますが、販売が振るわず2010年に撤退。2022年2月に再上陸を果たしました。

再上陸に際して、HYUNDAIが日本市場で販売するクルマはZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)のみとし、それまでの呼び方「ヒュンダイ」を本国の発音に近くかつ世界統一の呼び方となる「ヒョンデ」に改めました。

日本国内では、韓国車ということで品質や性能に疑いをもつ人が多いですが、発売されたBEV(バッテリーEV)「IONIQ 5(アイオニック・ファイブ)」は、多くの自動車評論家から高い評価を受け、消費者の反響、セールスが好調となっています。

筆者もアイオニック5に試乗したとき、製品としてのクオリティの高さと、性能の高さ、ハンドリングの良さに驚きました。ヒョンデは日本市場ではディーラー網をもたずにオンライン販売で展開することなど、まだまだ販売台数を伸ばすことが難しいZEVでありながら、カーナビをはじめとする各種装備・機能のローカライズは徹底しており、これまた驚きました。基本的に輸入車のウインカーレバーはハンドルコラムの左側に備えますが、アイオニック5は日本車と同じ右側にレイアウトされていました。

ヒョンデは、2010年に一旦日本市場から撤退していますが、技術部門会社「現代・起亜技術研究所」は千葉県印西市に残され、クルマの研究開発が継続されていました。当時、再上陸を目論んで残したとは考えにくいですが、結果としてヒョンデは日本の道を知り尽くし、アイオニック5の足回りは日本の道路事情にぴったりと合わせこんできたのでした。

ヒョンデの強みは、本国の現代自動車グループにあります。このグループ会社は、自動車部品、鉄鋼、重工業があり、クルマの生産に必要な材料と部品がすべてグループ内で調達可能となっています。実質自社内ですべてが完結するというのは、量産自動車メーカーではヒョンデだけの強みです。

ヒョンデの世界販売台数は、2010年からトヨタ、GM、フォルクスワーゲン、ルノー・日産・三菱連合に次いで第5位となっています。なお、ヒョンデは、かつて経営破たんした韓国の自動車メーカー、起亜を傘下におさめています。

【BYD】実は世界No1電動車メーカー。自社でバッテリー製造も

【BYD】実は世界No1電動車メーカー。自社でバッテリー製造も

2022年7月21日、BYD日本上陸発表会が開催された。日本市場に導入する3モデルを披露。(画像:BYDジャパン)

漢字表記では「比亜迪股份有限公司」、ブランド表記は「BYD(ビーワイディー)」。本社は先端技術企業が集まる中国深センに置いています。

BYDは1995年の設立、当時は、ノキアをはじめとする携帯電話メーカーへ供給するバッテリーの開発・生産からスタートしています。現在では、自動車のほか、モノレール、IT部品、リチウムイオンバッテリーの生産を行っています。携帯電話用バッテリーのシェアは世界第1位、リチウムイオンバッテリーでは世界第3位という巨大企業に成長しています。

あまり知られていませんが、EVとPHEVの合計世界販売台数ではトップ。電動車メーカーとしてはNo.1になります。なお、日本国内ではEVバスのシェアの7割がBYDとなっています。

EVの車両価格の大部分を占めるのがバッテリー、それを自社内で生産できるのはBYDの最大の強み。2023年1月に日本国内発売を予定しているのは「ATTO 3(アットスリー)」。このモデルに搭載されるバッテリーは、BYDが独自開発したリン酸リチウムイオン「ブレードバッテリー」。EVのバッテリーで主流のリチウムイオンのセル内は液体で筐体を強固にする必要がありますが、ブレードバッテリーはバッテリーそのものを構造物にできることから堅牢性に優れ、たとえバッテリーに釘を刺しても発火せず、表面温度もほとんど変化しないという安全性も備えています。

このような夢のバッテリーともいえるものを自社生産できることは、価格競争面でもとても有利です。

心配されるのは、クルマそのものとしてのクオリティですが、ATTO 3に試乗した自動車評論家からの評価はとても高く、使い勝手にも優れると評判でした。

BYDの販売戦略は、ヒョンデとは異なりリアル店舗で展開するとのこと。BYDオートジャパンの代表は、元フォルクスワーゲングループジャパン販売の社長で、リアル店舗展開の腕に覚えがあり、勝機を見出しているようです。

中国の格安EVははたして日本上陸するのか?

2021年6月、東京ビックサイトで開催された最新技術展で日本国内初披露されたのは、中国の自動車メーカー「五菱(ウーリン)」が生産販売する「宏光 MINI EV」でした。このクルマの価格は日本円にして45万円という破格で、大きな反響を呼びました。

宏光 MINI EVは、軽自動車ぐらいの小型車で、もしこれが50万円を切る軽EVとして日本上陸するとしたら、日本の自動車メーカーの縮図が塗り替えられてしまうのではないかという危惧もありました。

中国の格安EVははたして日本上陸するのか?

宏光 MINI EV

筆者は実際に展示車を見てきましたが、その心配はすぐに消えました。ボディサイズこそ軽自動車クラスですが、全幅はわずかに規格を超えており、日本のナンバーを取得するのに必要な安全装備類もなく(特に横滑り防止装置など)、国内販売しようとすれば普通車規格となり、価格は200万円に近くなるだろうと推測したものでした。

日本と中国は、保安基準が異なり日本のほうが厳しいことから、中国内で販売されている仕様と価格そのままで日本上陸される可能性は極めて低いといえるでしょう。

しかし、うかうかしていると続々と中国のEVが日本へ上陸してくるでしょう。2022年になって、佐川急便は、中国の「広西汽車集団」が日本のEVベンチャー「ASF」を通じて7,200台のEV軽バンを導入することを明らかにしています。

かつて中国車は日本に輸入できない、といわれていましたが、2021年には中国の最高級モデル「紅旗 H9」が日本国内販売を開始するなど、それはただのうわさに過ぎなかったという状況に変わってしまいました。

ただ、中国製EVが日本市場のシェア拡大をしていくには至らないでしょう。なぜなら、日本のEVインフラは非常に脆弱で、そもそもEVの普及の前に大きな障壁がたちはだかっているからです。

とはいえ、日本車メーカーのEVシフトは世界的にみて遅れているのは事実。国産メーカーにはがんばっていただきたいところです。

中国の格安EVははたして日本上陸するのか?

ヒョンデが原宿で期間限定でオープンしていたポップアップストア。車両はFCVの「NEXO(ネッソ)」

(文・撮影:宇野 智 )

※記事の内容は2022年10月時点の情報で制作しています。

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