2022年3月の乗用車全体(軽自動車を含む)の販売台数は42万6,393台、前年比は83.5%に留まりました。国産9ブランドすべてが前年割れとなり、生産体制の混乱が続くなかで厳しい数字となりました。ホンダ(96.0%)と日産(95.4%)が善戦する一方で、レクサス、ダイハツ、スズキは30%前後の減少となっています。
軽自動車を除く3月の新車販売ランキングでは、トヨタヤリスが首位に返り咲き、2位カローラ、3位ルーミーとトヨタ勢が依然上位を占めつつも、日産ノート、ホンダフリード、ホンダフィット、日産セレナなどがTOP10に食い込んでいます。
一方、軽自動車(乗用車)はホンダN-BOXが引き続き独走。2位には久しぶりに日産ルークスが入りました。今回も自動車評論家の島崎七生人さんに詳しく解説をしてもらいましょう。
国産乗用車販売台数 2022年3月(軽自動車を除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 17,442 | 61.3 |
2 | カローラ | トヨタ | 17,258 | 136.2 |
3 | ルーミー | トヨタ | 16,976 | 102.9 |
4 | ノート | 日産 | 15,312 | 114.7 |
5 | フリード | ホンダ | 12,649 | 129.5 |
6 | ライズ | トヨタ | 11,612 | 94.6 |
7 | アルファード | トヨタ | 9,587 | 68.5 |
8 | フィット | ホンダ | 8,460 | 91.6 |
9 | アクア | トヨタ | 8,175 | 154.1 |
10 | セレナ | 日産 | 8,022 | 87.1 |
11 | ヴォクシー | トヨタ | 7,691 | 77.8 |
12 | ノア | トヨタ | 7,046 | 110.5 |
13 | ハリアー | トヨタ | 6,624 | 63.5 |
14 | シエンタ | トヨタ | 6,276 | 72.3 |
15 | ヴェゼル | ホンダ | 5,520 | 308.6 |
16 | CX-5 | マツダ | 5,339 | 110.2 |
17 | プリウス | トヨタ | 5,295 | 78.8 |
18 | フォレスター | SUBARU | 5,089 | 139.6 |
19 | パッソ | トヨタ | 5,084 | 121.5 |
20 | ソリオ | スズキ | 3,819 | 62.7 |
21 | RAV4 | トヨタ | 3,747 | 70.2 |
22 | ランドクルーザーW | トヨタ | 3,439 | 78.2 |
23 | キックス | 日産 | 3,364 | 70.1 |
24 | スイフト | スズキ | 3,286 | 95 |
25 | MAZDA2 | マツダ | 2,979 | 66.8 |
26 | デリカD5 | 三菱 | 2,855 | 96.4 |
27 | MAZDA3 | マツダ | 2,854 | 91.4 |
28 | クラウン | トヨタ | 2,504 | 85.2 |
29 | ロッキー | ダイハツ | 2,442 | 94.7 |
30 | ジムニーW | スズキ | 2,401 | 105.9 |
31 | インプレッサ | SUBARU | 2,309 | 57.6 |
32 | CX-8 | マツダ | 2,222 | 54.6 |
33 | シャトル | ホンダ | 2,174 | 106.5 |
34 | CX-30 | マツダ | 2,133 | 54.8 |
35 | C-HR | トヨタ | 2,039 | 67.4 |
36 | レヴォーグ | SUBARU | 1,775 | 36.3 |
37 | リーフ | 日産 | 1,748 | 109 |
38 | 86 | トヨタ | 1,711 | 419.4 |
39 | エクリプスクロス | 三菱 | 1,624 | 112.7 |
40 | エクストレイル | 日産 | 1,435 | 70.3 |
41 | ステップワゴン | ホンダ | 1,431 | 23.9 |
42 | トール | ダイハツ | 1,409 | 65 |
43 | マーチ | 日産 | 1,303 | 95.9 |
44 | CR-V | ホンダ | 1,274 | 214.8 |
45 | レガシィ | SUBARU | 1,261 | 857.8 |
46 | オデッセイ | ホンダ | 1,259 | 52 |
47 | クロスビー | スズキ | 1,155 | 58.4 |
48 | CX-3 | マツダ | 1,117 | 64.9 |
49 | ロードスター | マツダ | 1,104 | 114 |
50 | アウトランダー | 三菱 | 1,018 | 331.6 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
厳しい状況の中、期末の3月らしく台数は上乗せ
2022年3月の国産乗用車メーカー各社の新車販売台数は、前年比でみると、軒並み全社前年割れの低調ぶり。また先月2月には前年比が100%を上回るメーカーが9社中2社はあったことを考えると、厳しさが増したようにも思える。
ただし実際の販売台数は、2月が28万9,848台だったのに対し3月は42万6,393台と、全体の台数では13万6,545台と大きく上乗せされた。このうち国産乗用車は9社分あわせて12万7,810台となった。たとえばトヨタは2月が8万3,489台だったのに対し3月には13万7,154台、同様に日産3万6,621台→5万4,141台、ホンダ4万9,912台→6万9,251台など、いずれも軽自動車を含めての数字ながら大きく数字を伸長させた。3月期末ということもあり販売の現場での“目標値”も決して低くなかったはず。その中でこれだけの数字を確保しているところに各社の底力を感じないわけにいかない。
トヨタヤリスが首位復帰、しかしカローラも上昇基調
当然ながら車名別の集計をみても、ほとんどの銘柄が3月の販売台数の数字を伸ばした。2月にトヨタカローラにその座を1度譲ったトヨタヤリスが3月には2月+7,025台の1万7,442台で1位に返り咲いたのは見逃せない。が、2位のカローラの1万7,258台とは僅差で、しかもカローラは2月の台数+4,622台でこの数字を達成していることからも、今後の成り行きは予断を許さないといったところか。
電動車ナンバー1には日産ノートシリーズが
なおヤリスは2021年度(2021年4月〜2022年3月)の集計では販売台数を19万1,414台とし、2位のトヨタルーミー(13万4,321台)、3位のカローラ(12万4,224台)を大きく離し、ランキング1位を確定させている。また2021年度下半期の国内登録車販売では、日産のノート、ノートオーラが、合わせて5万6,119台を記録し、電動車(ハイブリッド車含む)で販売台数ナンバー1となっている。
ホンダフリードと日産セレナのしぶとい強さが光る
ほかに3月の集計を見渡すと、上位10位以内の顔ぶれは2月と変わらなかった。トヨタ車以外では日産車が4位のノート、10位のセレナの2車、ホンダ車が5位のフリードと8位のフィット。ノートが現行モデル登場後の2021年8月以来の自己最高タイの4位に上がったほか、フリードは他の新型車(フィット、ヴェゼルなど)を押しのけ、ホンダ車では最上位の5位につけ強さをみせつけている。強さといえばセレナも、強敵ノア/ヴォクシーの新型登場後ながら10位に留まり、販売台数も2月の5,981台から3月は8,022台に伸ばしている。
新型に切り替わったトヨタノア/ヴォクシーに勢い
一方で3月の50位圏内では、スバルレヴォーグ(36位)、スズキクロスビー(47位)が圏内に復活、入れ替わりにホンダシビックとトヨタハイエースWが圏外となった。そのほかの顔ぶれに変化はなく、同じ顔ぶれの中で順位の入れ替わりを見せているといったところ。またほとんどの銘柄が2月に対し3月は台数を増やしている中で(マツダCX-30は+2台!)、マツダ2(3,062台→2,979台)、マツダCX-8(2,889台→2,222台)、ホンダステップワゴン(2,586台→1,431台)、三菱アウトランダー(1,350台→1,018台)、マツダロードスター(1,120台→1,104台の▲16台!)が台数を下げた。反対に2月に対し3月に大きく販売台数を伸ばしている銘柄には、トヨタアルファード(4,553台→9,587台)のほか、トヨタノア(2,227台→7,046台)とヴォクシー(2,073台→7,691台)の両車も勢いを見せ始めている。
軽乗用車販売台数 2022年3月
車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 | |
---|---|---|---|---|
1 | N-BOX | ホンダ | 25,529 | 104.2 |
2 | ルークス | 日産 | 13,245 | 59.6 |
3 | スペーシア | スズキ | 10,148 | 47.2 |
4 | タント | ダイハツ | 10,012 | 63.0 |
5 | ワゴンR | スズキ | 9,120 | 114.6 |
6 | ムーヴ | ダイハツ | 8,282 | 67.7 |
7 | ミラ | ダイハツ | 8,165 | 92.3 |
8 | アルト | スズキ | 7,697 | 93.5 |
9 | デイズ | 日産 | 7,168 | 90.8 |
10 | ハスラー | スズキ | 6,962 | 63.6 |
11 | タフト | ダイハツ | 6,332 | 94.0 |
12 | N-WGN | ホンダ | 5,798 | 76.6 |
13 | ジムニー | スズキ | 5,177 | 91.4 |
14 | eK | 三菱 | 3,922 | 64.7 |
15 | N-ONE | ホンダ | 2,732 | 81.7 |
※ 通称名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ワゴンR、ミラ、ムーヴ、eK、ピクシスなど)
2021年度のベストセラーにはホンダN-BOXが僅差で返り咲き
軽自動車では、相変わらず目が離せないのがホンダN-BOXだ。先頃2021年度(2021年4月〜2022年3月)の新車販売台数が発表されたが、N-BOXは19万1,534台を記録し第1位となった。これは軽4輪では7年連続首位という快挙であるとともに、登録車を含めた新車販売台数では2019年度以来の1位獲得でもある。ちなみに新車販売台数の2位はトヨタヤリスだが、その台数は19万1,414台とその差は僅か120台というもの。この僅差ぶりをどう見るか次第ながら、いずれにしてもN-BOXの強さは誰もが認めるところだろう。
日産ルークスが復活、ダイハツミラを抜けないスズキアルト
一方で2022年3月の軽自動車通称名別新車販売台数を乗用車ベスト15車で見ると、3月期ということもあり、いずれの車種も2月に対し台数を伸ばした。順位の変動も多少はあるものの、15車の顔ぶれ自体は2月とまったく変わらず、その意味では登録車よりも安定しているように見える。
とはいえ台数の上乗せぶりを見れば、まして昨今のこの状況下、生産から販売の現場までさぞ総力を結集して出した結果だったろうと想像できる。2月の販売台数に対しての3月の台数増を数字で見ると、もっとも多いのが販売台数では2位のルークスで何と+6,589台。意外にも販売台数1位のN-BOXは+5,555台で台数増の数字上では2位、続く3位はスペーシアの+3,184台、4位はムーヴの+3,045台、5位はワゴンR+2,469台、6位はミラの+1,852台。そして7位にやっとアルトが来て+1,557台と、販売台数増、順位(2月と変わらず)ともにミラに一歩譲る形となった。
※記事の内容は2022年4月時点の情報で制作しています。