2021年12月の乗用車全体(軽自動車を含む)の販売台数は28万141台、前年比は88.9%と、依然として厳しい数字となっています。マツダやダイハツが前年を上回る一方で、前月まで好調だった三菱が大きく数字を落とすなど、まだまだ不安定な供給状況が続いているようです。
軽自動車を除く12月の新車販売ランキングでは、トヨタヤリスが首位に復帰するなどベスト10のうち7車種をトヨタが占めました。年間ランキングもヤリスが独走、軽自動車も含めてナンバー1となりました。
一方、軽自動車(乗用車)はホンダN-BOXが12月、年間とも王座に輝きました。N-BOXの年間1位は7年連続です。年間ランキングと合わせて自動車評論家の島崎七生人さんに詳しく解説をしてもらいましょう。
国産乗用車販売台数 2021年1〜12月(軽自動車を除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 212,927 | 140.3 |
2 | ルーミー | トヨタ | 134,801 | 154.5 |
3 | カローラ | トヨタ | 110,865 | 93.7 |
4 | アルファード | トヨタ | 95,049 | 104.7 |
5 | ノート | 日産 | 90,177 | 124.9 |
6 | ライズ | トヨタ | 81,880 | 65.0 |
7 | ハリアー | トヨタ | 74,575 | 112.9 |
8 | アクア | トヨタ | 72,495 | 121.7 |
9 | ヴォクシー | トヨタ | 70,085 | 100.8 |
10 | フリード | ホンダ | 69,577 | 91.2 |
11 | セレナ | 日産 | 58,954 | 85.9 |
12 | フィット | ホンダ | 58,780 | 59.9 |
13 | シエンタ | トヨタ | 57,802 | 79.5 |
14 | ヴェゼル | ホンダ | 52,669 | 159.9 |
15 | RAV4 | トヨタ | 49,594 | 90.4 |
16 | プリウス | トヨタ | 49,179 | 73.1 |
17 | ソリオ | スズキ | 44,713 | 110.8 |
18 | ノア | トヨタ | 44,211 | 97.3 |
19 | ステップワゴン | ホンダ | 39,247 | 114 |
20 | キックス | 日産 | 35,044 | 191.2 |
21 | ランドクルーザーW | トヨタ | 33,481 | 127.3 |
22 | パッソ | トヨタ | 32,542 | 98.7 |
23 | インプレッサ | SUBARU | 26,854 | 73.3 |
24 | レヴォーグ | SUBARU | 25,439 | 210.0 |
25 | MAZDA2 | マツダ | 24,652 | 86.9 |
26 | スイフト | スズキ | 23,415 | 83.3 |
27 | フォレスター | SUBARU | 22,903 | 95.2 |
28 | CX-5 | マツダ | 22,431 | 92.6 |
29 | クラウン | トヨタ | 21,411 | 96.6 |
30 | ロッキー | ダイハツ | 21,392 | 68.7 |
31 | オデッセイ | ホンダ | 21,148 | 217.6 |
32 | CX-30 | マツダ | 19,355 | 71.7 |
33 | C-HR | トヨタ | 18,096 | 53.7 |
34 | CX-8 | マツダ | 16,596 | 118.1 |
35 | MAZDA3 | マツダ | 16,361 | 85.1 |
36 | デリカD5 | 三菱 | 14,790 | 132.6 |
37 | トール | ダイハツ | 14,780 | 75.0 |
38 | ジムニーワゴン | スズキ | 13,903 | 83.7 |
39 | シャトル | ホンダ | 13,636 | 81.6 |
40 | エスクァイア | トヨタ | 12,482 | 47.3 |
41 | クロスビー | スズキ | 12,401 | 79.8 |
42 | エクストレイル | 日産 | 12,016 | 59.3 |
43 | リーフ | 日産 | 10,843 | 96.1 |
44 | カムリ | トヨタ | 10,620 | 87.9 |
45 | エクリプスクロス | 三菱 | 8,882 | 165.3 |
46 | マーチ | 日産 | 8,819 | 152.7 |
47 | ハイエースワゴン | トヨタ | 8,547 | 98.5 |
48 | シビック | ホンダ | 8,520 | 117.3 |
49 | CX-3 | マツダ | 8,408 | 110.4 |
50 | UX250H | レクサス | 8,263 | 90.6 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
トヨタヤリス、圧勝の2連覇
自販連が発表した集計によれば、普通車と小型車を合わせた2021年1〜12月の乗用車の販売台数は239万9862台となった。これは2020年の247万8832台に対し96.8%と、前年比では2020年の87.8%は上回ったものの、台数を見ると、残念ながらまだ、ここ数年の“右肩下がり”の流れを食い止めるまでには至っていない。
一方、車名別の2021年暦年ランキングは別表のとおり、トヨタヤリスが2020年に続き2年連続首位を達成した。ヤリスは2020年2月に登場後、2カ月後の同年4月には早速、販売台数1位の座につくと、そのまま実に17カ月連続で不動のごとく1位をキープ。昨年11月に1度、カローラにその座を明け渡したものの、12月には再び元の1位に返り咲いた。
そもそもパンデミックの猛威の中での発表、発売となったヤリスだったが、2020年が15万1766台(発売は2月から)、2021年は21万2927台、合わせると36万台超と、この台数は確かに他車を圧倒したものとなった。ちなみに(後述するが)軽自動車でトップ独走のホンダN-BOXよりも台数は上回っており、文字通り2021年の日本一売れたクルマとなった。
2021年もトヨタ強し、アルファードの存在感は別格
また暦年ランキングのトップ10圏内を見渡すとトヨタ車が8車種を占め、うち6車種が前年を上回る台数となっている点も注目される。中でも、前年比こそ104.7%ながら4位につけたアルファードの存在感にはただならぬものがある。同様にミニバンのヴォクシーもモデル末期にもかかわらず前年比100.8%、販売台数7万85台で9位に食い込み、依然人気の衰えを見せていなかったところが凄い。
奮闘する日産ノートとホンダフリード、独自の立ち位置を確保した三菱デリカD:5
また10位圏内のトヨタ車以外では日産ノート(前年比124.9%、9万177台)、ホンダフリード(同・91.2%、6万9577台)が健闘をみせた。暦年ランキングでは50位中20車が前年を上回る結果を残したが、それらは概ね、モデルチェンジ&マイナーチェンジ効果が反映された車種だ。ただし、トヨタランドクルーザーW(21位、前年比127.3%、3万3481台)の例に見られるように、受注に対し供給が追いついていないケースが多々あるようだ。
そのような中、三菱デリカD:5のように、密を避けてのアウトドア&キャンプ需要に後押しされてか、前年の45位、1万1157台から36位、1万4790台(前年比は55.5%→132.6%)へと、立ち位置をしっかりと確保している例もある。
国産乗用車販売台数 2021年12月(軽自動車を除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 16,907 | 98.3 |
2 | カローラ | トヨタ | 11,841 | 152.0 |
3 | ルーミー | トヨタ | 9,864 | 112.2 |
4 | アクア | トヨタ | 9,001 | 208.6 |
5 | ノート | 日産 | 7,740 | 147.3 |
6 | ライズ | トヨタ | 7,093 | 79.6 |
7 | ヴォクシー | トヨタ | 6,024 | 98.5 |
8 | アルファード | トヨタ | 5,369 | 67.4 |
9 | フリード | ホンダ | 5,331 | 95.7 |
10 | ヴェゼル | ホンダ | 4,476 | 203.0 |
11 | フィット | ホンダ | 4,465 | 66.4 |
12 | ハリアー | トヨタ | 4,353 | 53.6 |
13 | ノア | トヨタ | 3,617 | 100.8 |
14 | シエンタ | トヨタ | 3,454 | 56.3 |
15 | CX-5 | マツダ | 3,261 | 146.0 |
16 | ステップワゴン | ホンダ | 3,239 | 165.0 |
17 | セレナ | 日産 | 3,014 | 57.8 |
18 | プリウス | トヨタ | 2,934 | 67.9 |
19 | フォレスター | SUBARU | 2,698 | 115.9 |
20 | ランドクルーザーW | トヨタ | 2,616 | 71.7 |
21 | ソリオ | スズキ | 2,458 | 49.0 |
22 | パッソ | トヨタ | 2,449 | 93.7 |
23 | MAZDA2 | マツダ | 2,331 | 131.8 |
24 | RAV4 | トヨタ | 2,198 | 52.4 |
25 | スイフト | スズキ | 2,065 | 140.5 |
26 | CX-30 | マツダ | 1,976 | 166.6 |
27 | ロッキー | ダイハツ | 1,916 | 137.2 |
28 | キックス | 日産 | 1,765 | 50.0 |
29 | オデッセイ | ホンダ | 1,686 | 147.9 |
30 | MAZDA3 | マツダ | 1,624 | 154.5 |
31 | レガシィ | SUBARU | 1,545 | 1,127.7 |
32 | トール | ダイハツ | 1,488 | 112.3 |
33 | CX-3 | マツダ | 1,487 | 225.3 |
34 | クラウン | トヨタ | 1,263 | 68.5 |
35 | GR86 | トヨタ | 1,147 | 370.0 |
36 | アウトランダー | 三菱 | 1,104 | 490.7 |
37 | C-HR | トヨタ | 1,097 | 50.2 |
38 | インプレッサ | SUBARU | 1,048 | 44.1 |
39 | エスクァイア | トヨタ | 999 | 81.3 |
40 | シャトル | ホンダ | 940 | 68.5 |
41 | CX-8 | マツダ | 932 | 74.6 |
42 | リーフ | 日産 | 925 | 108.1 |
43 | シビック | ホンダ | 916 | 100.1 |
44 | ジムニーW | スズキ | 900 | 71.3 |
45 | カムリ | トヨタ | 868 | 73.9 |
46 | NX350H | レクサス | 852 | 21年11月発売 |
47 | クロスビー | スズキ | 786 | 79.3 |
48 | エクリプスクロス | 三菱 | 729 | 33.9 |
49 | ハイエースW | トヨタ | 635 | 93.5 |
50 | レヴォーグ | SUBARU | 587 | 15.0 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
ヤリスが再び首位奪取、息を吹き返したマツダ
ところで昨年12月の販売台数は、前述のとおりヤリスが、身内のカローラから再び1位の座を奪い返した。しかも台数1万6907台と、2位のカローラ(1万1841台)を台数でも大きく引き離した形だ。11月のヤリスは前年比が59.9%だったが、12月には98.3%まで持ち直しており、ここから再加速となるかどうかが注目されるところ。
アクアとノートも11月と12月とでは順位を入れ替え、12月は前年比208.6%、11月に対して販売台数を伸ばしたアクアが優勢に立った。ほかに12月の販売台数では、マツダ勢各車が、商品改良や特別仕様車の設定の効果か、息を吹き返した印象。15位のCX-5、23位のMAZDA 2、26位のCX-30、30位のMAZDA 3、33位のCX-3などが堅調で、とくにCX-5は11月は50位圏外だったが、12月はマツダ車ではトップの15位にランクインした。
軽乗用車販売台数 2021年1〜12月
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | N-BOX | ホンダ | 188,940 | 96.4 |
2 | スペーシア | スズキ | 128,881 | 92.2 |
3 | タント | ダイハツ | 116,912 | 90.12 |
4 | ムーヴ | ダイハツ | 95,840 | 92.0 |
5 | ルークス | 日産 | 84,748 | 116.4 |
6 | ハスラー | スズキ | 82,486 | 103.0 |
7 | ワゴンR | スズキ | 68,970 | 104.4 |
8 | ミラ | ダイハツ | 65,803 | 89.6 |
9 | タフト | ダイハツ | 62,278 | 145.0 |
10 | アルト | スズキ | 60,919 | 96.1 |
11 | デイズ | 日産 | 53,773 | 61.8 |
12 | N-WGN | ホンダ | 50,728 | 73.1 |
13 | ジムニー | スズキ | 39,422 | 103.6 |
14 | eK | 三菱 | 34,100 | 102.7 |
15 | N-ONE | ホンダ | 20,930 | 329.3 |
※ 通称名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ワゴンR、ミラ、ムーヴ、eK、ピクシスなど)
ホンダN-BOXが7年連続ナンバー1
2021年の軽自動車の集計も見ておこう。トップの座に収まったのは2021年もホンダN-BOXで、これで7年連続ナンバー1となった。TV-CMなどでも流されているがN-BOXは昨年で初代デビューからちょうど10年目を迎えたところだが、そのうちの7年でトップの販売台数を収めたというのは返す返すも驚異的だ。ただし台数自体は前述したとおり、小型車のヤリスに一歩譲る形で、このあたりの背景には何か興味深い理由がありそうにも思う。N-BOX自身の販売台数も、前年の19万5984台に対し2021年は約7000台数字を下げている。
2位から4位まで2020年と同じ顔ぶれ
さらに2位のスズキスペーシア、3位のダイハツタント、4位のムーヴまでは前年と同じ顔ぶれ。5位以降は多少の順位の入れ替わりがあり、ホンダ車ではN-WGNと、前年は15位圏外だったN-ONEが辛くも15位に入った。日産/三菱両社の軽自動車に見通せない材料があるなか、昨年末に新型に切り替わったアルトが今後どういう動きを見せるかなども注目だ。
軽乗用車販売台数 2021年12月
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | N-BOX | ホンダ | 13,439 | 100.1 |
2 | タント | ダイハツ | 10,650 | 111.2 |
3 | ムーヴ | ダイハツ | 9,009 | 103.2 |
4 | ワゴンR | スズキ | 7,027 | 145.4 |
5 | スペーシア | スズキ | 5,727 | 53.3 |
6 | ミラ | ダイハツ | 5,380 | 93.6 |
7 | ハスラー | スズキ | 5,253 | 79.4 |
8 | タフト | ダイハツ | 5,210 | 96.1 |
9 | ジムニー | スズキ | 4,478 | 117.8 |
10 | アルト | スズキ | 4,038 | 83.7 |
11 | N-WGN | ホンダ | 3,487 | 89.7 |
12 | デイズ | 日産 | 2,970 | 68.6 |
13 | キャスト | ダイハツ | 1,607 | 113.6 |
14 | ピクシス | トヨタ | 1,505 | 94.1 |
15 | ウェイク | ダイハツ | 1,460 | 104.3 |
※ 通称名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ワゴンR、ミラ、ムーヴ、eK、ピクシスなど)
ダイハツムーヴとスズキワゴンRの熾烈な争い
一方で2021年12月の販売台数では、2位のタントに約3000台の差をつけN-BOXがトップとなった。3位のムーヴと4位のワゴンRもまたライバル同士だが、ムーヴは前月の5979台からおよそ3000台の上乗せで前月の6位から3位に浮上。ワゴンRは前年比は145.4%ながら台数を前月より下げた結果(7267台→7027台)、順位でムーヴの上をいくことができなかった。
スズキハスラーがダイハツタフトを抜き返す
同じスズキvsダイハツの構図のハスラーとタフトについても、実は昨年11月に1度タフト(5613台)がハスラー(4812台)を上回ったものの、12月にはまさに僅差ながらハスラー(5253台)がタフト(5210台)を上回る台数をあげている。
※記事の内容は2022年1月時点の情報で制作しています。