2021年4月の乗用車全体(軽自動車を含む)の販売台数は28万8397台、コロナ禍による影響が大きかった前年に対して131.5%と増加しました。2019年比では91.6%にとどまるものの回復基調が続いています。
軽自動車を除く新車販売ランキングはトヨタヤリスが約2万台で独走、10ヵ月連続の1位に輝きました。トヨタルーミーが4ヵ月連続の2位、トヨタカローラが7ヵ月ぶりにベスト3圏内に返り咲いています。以下、アルファード、ライズ、ハリアーといったトヨタ車が僅差で続く一方、前月4位に躍進した日産ノートは7位、10位だったホンダフィットは17位に沈んでいます。注目は初めて10位に入ったスズキソリオ。ルーミーとあわせてトールワゴン系コンパクトカーの人気ぶりがうかがえます。発売1ヵ月で計画の6倍以上を受注したホンダヴェゼルの動向も目が離せません。
一方、軽自動車(乗用車)は相変わらずホンダN-BOXが1万6000台を超える好調ぶりで首位をキープ、2位も変わらずスズキスペーシア、そして3位にはダイハツムーヴ(キャンバス含む)が入りました。じわじわ順位を上げてきたスズキハスラーはついに5位となっています。今回も自動車評論家の島崎七生人さんに詳しく解説をしてもらいましょう。
国産乗用車販売台数 2021年4月(軽自動車を除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 19,974 | 197.4 |
2 | ルーミー | トヨタ | 12,161 | 238.3 |
3 | カローラ | トヨタ | 7,976 | 119.4 |
4 | ライズ | トヨタ | 7,814 | 140.9 |
5 | アルファード | トヨタ | 7,576 | 132 |
6 | ハリアー | トヨタ | 7,112 | 464.5 |
7 | ノート | 日産 | 5,711 | 150.8 |
8 | ヴォクシー | トヨタ | 5,593 | 129.4 |
9 | フリード | ホンダ | 5,426 | 90 |
10 | ソリオ | スズキ | 4,966 | 205.8 |
11 | シエンタ | トヨタ | 4,581 | 65.6 |
12 | RAV4 | トヨタ | 4,317 | 147.4 |
13 | ヴェゼル | ホンダ | 3,716 | 157.7 |
14 | ノア | トヨタ | 3,701 | 132.8 |
15 | プリウス | トヨタ | 3,672 | 78.6 |
16 | ステップワゴン | ホンダ | 3,611 | 294.5 |
17 | フィット | ホンダ | 3,359 | 37.4 |
18 | セレナ | 日産 | 3,342 | 121.9 |
19 | パッソ | トヨタ | 3,117 | 140.8 |
20 | ランドクルーザーW | トヨタ | 3,065 | 250.6 |
21 | アクア | トヨタ | 2,581 | 56.7 |
22 | インプレッサ | SUBARU | 2,345 | 130.7 |
22 | オデッセイ | ホンダ | 2,220 | 282.4 |
24 | レヴォーグ | SUBARU | 1,912 | 861.3 |
25 | スイフト | スズキ | 1,867 | 132.8 |
26 | クラウン | トヨタ | 1,727 | 139.3 |
27 | キックス | 日産 | 1,721 | 20年6月発売 |
28 | C-HR | トヨタ | 1,605 | 68.8 |
29 | ジムニーワゴン | スズキ | 1,591 | 258.3 |
30 | MAZDA2 | マツダ | 1,427 | 113.4 |
31 | ロッキー | ダイハツ | 1,274 | 59.8 |
32 | CX-8 | マツダ | 1,203 | 221.1 |
33 | シャトル | ホンダ | 1,177 | 111.6 |
34 | クロスビー | スズキ | 1,164 | 105.2 |
35 | エスクァイア | トヨタ | 1,103 | 47.6 |
36 | トール | ダイハツ | 1,060 | 115.8 |
37 | フォレスター | SUBARU | 1,018 | 88.8 |
38 | デリカD5 | 三菱 | 1,014 | 276.3 |
39 | CX-5 | マツダ | 983 | 103.8 |
40 | CX-30 | マツダ | 923 | 72.2 |
41 | カムリ | トヨタ | 799 | 106.7 |
42 | エクストレイル | 日産 | 794 | 94.2 |
43 | ハイエースワゴン | トヨタ | 776 | 119.8 |
44 | ヴェルファイア | トヨタ | 770 | 45.6 |
45 | UX250H | レクサス | 734 | 161 |
46 | エクリプスクロス | 三菱 | 591 | 383.8 |
47 | マーチ | 日産 | 570 | 333.3 |
48 | MAZDA3 | マツダ | 535 | 55.5 |
49 | CX-3 | マツダ | 495 | 321.4 |
50 | IS300H | レクサス | 488 | 1060.9 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
昨年からは大きく回復した4月の販売状況
年度末でもあった3月の全乗用車の販売台数が50万台超えだったのに対し、4月の台数は28万8397台という結果となり、2月の36万1891台、1月の32万4546台にも届かない数字となった。ただし前年比で見ると131.5%と、コロナ禍は今でも非常に過酷だが、1年前の4月の、最初の緊急事態宣言が発令される直前、すでに十分に辛い状況が始まっていたことを改めて思い起こさせる。
ヤリスはガソリン車、ヤリスクロスはハイブリッドが売れ筋
4月ということで、各車種の台数は3月から通常ペースに戻った感じだ。3月にはヤリスの2万台クラスを筆頭に、1万台クラスも6車種を数えたが、3月は1位のヤリス(1万9974台)と2位のルーミー(1万2161台)のトヨタ勢2車を除き、4桁台数にとどまった。その中でやはり目がいくのはトップのヤリス、これで10ヵ月連続1位の座を不動のものにしてきたことになる。2万台に僅かに届かなかったものの、4月の台数も他車に対して群を抜いたものだった。ちなみにヤリスの販売台数を内訳でみると、ヤリス・ガソリン車/7215台、同・ハイブリッド車/4135台、ヤリスクロス・ガソリン車/3547台、同・ハイブリッド車/4497台、GRヤリス/580台。台数的にはヤリス・ガソリン車と、ヤリスクロスにあっては、より高価格のハイブリッド車の人気が高い。
指名買いのアルファード、理由はメーカーも「分析不能」
いっぽう2位のルーミー以下、3位カローラ、4位ライズ、5位アルファード、6位ハリアーと続き、相変わらずトヨタ車が強さをみせている。僅差の範囲だが、今回、カローラとライズは順位を上げた。それとなんといっても、驚異的としかいいようがないのがアルファード。2015年の登場で、幅広い価格レンジのトップモデルは700万円台後半というミニバンだが、順位こそ3位から5位に落としたものの4月は7576台、3月には1万3986台の販売台数を記録していた。ヴェルファイアが大きく水を開けられている点も気になるところで、そのことを含めメーカーレベルでいったいどう把握、受け止めているのか聞いてみたが「我々も分析不能なほど。とにかくアルファードを指名買いしてくださるお客様がそれだけいらっしゃるとしか申し上げようがない」(トヨタ)とのこと。もちろんアルファードそのものの商品性の高さ、魅力があってこそのことであり、それはひとクラス下のミニバンのヴォクシー、ノアにも言えることだろう。
スズキソリオがベスト10圏内に、計画の6倍以上を受注したホンダヴェゼルが早くも上昇基調
ほかにベスト10圏内に入ったソリオ、注目の新型SUVのヴェゼルが3716台で3月の42位から13位に浮上。発売1ヵ月で計画の6倍以上となる約3万2000台受注というニュースが飛び込んできたヴェゼルはGW前後から一般公道で実車を見かけるようになったから、ディーラー配備用の試乗車がいち早く登録された可能性が高い。
復調したスバルインプレッサ、内訳はXVが最多
それとSUBARU車では、昨年新型に切り替わったレヴォーグが24位(1912台)と、当初の月販目標の2200台を新型登場以来、初めて割ったのに対し(ちなみにアイサイトXは93%のユーザーが選んでいるそうだ)、直近では昨年10月にグレード追加と改良が入ったインプレッサが、SUBARU車では最上位の22位につけている。なお自販連のインプレッサのデータはXVも含まれての数字だが、参考までに4月の内訳は、インプレッサSport/1025台、同・G4/205台、XV/1115台だった。
軽乗用車販売台数 2021年4月
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | N-BOX | ホンダ | 16,733 | 119.2 |
2 | スペーシア | スズキ | 10,802 | 168.1 |
3 | ムーヴ | ダイハツ | 9,750 | 141.8 |
4 | タント | ダイハツ | 9,471 | 114.2 |
5 | ハスラー | スズキ | 6,834 | 159.2 |
6 | ルークス | 日産 | 5,677 | 197.9 |
7 | ミラ | ダイハツ | 5,513 | 100.1 |
8 | アルト | スズキ | 5,408 | 157.0 |
9 | ワゴンR | スズキ | 4,867 | 132.7 |
10 | タフト | ダイハツ | 4,655 | 20年6月発売 |
11 | デイズ | 日産 | 3,859 | 112.9 |
12 | ジムニー | スズキ | 3,512 | 285.3 |
13 | N-WGN | ホンダ | 3,353 | 71.6 |
14 | N-ONE | ホンダ | 2,488 | 3,769.7 |
15 | ピクシス | トヨタ | 2,009 | 133.7 |
※ 通称名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ミラ、ムーヴ、タント、eK、プレオ、N-BOX、デイズ、ピクシスなど)
ホンダN-BOXとスズキスペーシアの1-2体制が続く
軽自動車も3月に対して全体として台数は下げたものの、前年比の数字でみると、多くの車種が去年を上回る販売を実現している。その中でN-BOX(1万6733台)は、3月の2万7164台からはさすがに台数は落としたものの1位をキープ、2位のスペーシア(1万802台)とともに、4月ではこの2車が1万台超の販売台数とした。そのほか順位でみると、2月→3月は比較的変動が少なかったのに対し、4月はムーヴが5位から3位にランクアップ、タントは3位から4位に。先月6位だったハスラーは順位をひとつ上げ、台数は6834台だが、これは前年比で見ると159.2%と復調の兆し。6位につけたルークスも3月の4位からはランクダウンしたものの、前年比は197.9%となっており、その一方でデイズは2月の7位、3月の10位から4月は11位に順位を下げている。
相変わらず安定のスズキジムニー、やや影が薄いホンダN-WGNとN-ONE
そのほかの軽自動車では、ジムニーが4月は12位に入っており、このクルマは安定した支持が得られていることがうかがわれる。N-WGNとN-ONEは、カテゴリーは異なるもののN-BOXに完全に持っていかれている風で、ランキング上でも、あまり勢いがみられないのがやや残念だ。
それと今回15位にピクシスがランクインしている。ひと口にピクシスといっても複数車種があり、どれかのモデルが数字を伸ばしたのかも知れない。参考までに、いずれもダイハツのOEMだが、ピクシス・メガがダイハツ・ウェイク、ピクシス・ジョイが同・キャスト、ピクシス・エポックが同・ミライースだ。
※記事の内容は2021年5月時点の情報で制作しています。