2021年1月の乗用車全体(軽自動車を含む)の販売台数は32万4546台、前年比は107.8%でした。市況は2020年4月を底に回復傾向にあり、10月以降は2019年10月の消費税影響の反動もあって前年比プラスに転じています。
軽自動車を除く新車販売ランキングはヤリスが7ヵ月連続の1位、マイナーチェンジを受けたルーミーが初の2位、アルファードが3位、ハリアーが4位など相変わらずのトヨタ1強が続く中、注目はフルモデルチェンジを受けてTOP10に返り咲いた新型日産ノート。
一方、軽自動車(乗用車)は年末にマイナーチェンジを受けたホンダN-BOXが引き続き首位をキープ、2位も前月に続いてスズキスペーシア、3位にダイハツタントとなり、スーパーハイトワゴン人気は今年も続きそうです。今回も自動車評論家の島崎七生人さんに詳しく解説をしてもらいましょう。
国産乗用車販売台数 2021年1月(軽自動車を除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 18,516 | 20年2月発売 |
2 | ルーミー | トヨタ | 10,939 | 176.6 |
3 | アルファード | トヨタ | 10,011 | 194.5 |
4 | ハリアー | トヨタ | 9,177 | 525 |
5 | カローラ | トヨタ | 7,773 | 91.7 |
6 | ノート | 日産 | 7,532 | 100 |
7 | ライズ | トヨタ | 6,985 | 68.3 |
8 | ヴォクシー | トヨタ | 6,666 | 120 |
9 | シエンタ | トヨタ | 6,055 | 88.6 |
10 | フィット | ホンダ | 5,889 | 339.4 |
11 | セレナ | 日産 | 5,700 | 84.1 |
12 | ソリオ | スズキ | 5,446 | 149.5 |
13 | フリード | ホンダ | 5,000 | 74 |
14 | レヴォーグ | SUBARU | 4,692 | 660.8 |
15 | キックス | 日産 | 4,667 | 20年6月発売 |
16 | プリウス | トヨタ | 4,343 | 65.2 |
17 | RAV4 | トヨタ | 4,162 | 75 |
18 | ランドクルーザーW | トヨタ | 3,572 | 213.6 |
19 | ノア | トヨタ | 3,424 | 107.3 |
20 | アクア | トヨタ | 3,033 | 45.8 |
21 | CX-30 | マツダ | 2,584 | 87.4 |
22 | パッソ | トヨタ | 2,465 | 116.3 |
23 | ステップワゴン | ホンダ | 2,381 | 73.2 |
24 | インプレッサ | SUBARU | 2,298 | 55.2 |
25 | ヴェゼル | ホンダ | 2,278 | 64.9 |
26 | フォレスター | SUBARU | 2,222 | 102.3 |
27 | クラウン | トヨタ | 2,146 | 121.7 |
28 | ロッキー | ダイハツ | 2,117 | 67.1 |
29 | CX-5 | マツダ | 2,037 | 74.3 |
30 | MAZDA2 | マツダ | 1,948 | 91.7 |
31 | C-HR | トヨタ | 1,893 | 53.4 |
32 | MAZDA3 | マツダ | 1,773 | 120.4 |
33 | スイフト | スズキ | 1,759 | 69.3 |
34 | デリカD5 | 三菱 | 1,543 | 113 |
35 | トール | ダイハツ | 1,366 | 90.4 |
36 | CX-8 | マツダ | 1,304 | 84.7 |
37 | ジムニーワゴン | スズキ | 1,271 | 105.4 |
38 | シャトル | ホンダ | 1,184 | 68.2 |
39 | クロスビー | スズキ | 1,178 | 73.7 |
40 | エスクァイア | トヨタ | 1,164 | 40.4 |
41 | エクストレイル | 日産 | 1,161 | 42.4 |
42 | ヴェルファイア | トヨタ | 994 | 49.7 |
43 | シビック | ホンダ | 936 | 284.5 |
44 | オデッセイ | ホンダ | 935 | 101.6 |
45 | カムリ | トヨタ | 929 | 84.3 |
46 | UX250H | レクサス | 902 | 107.8 |
47 | MX-30 | マツダ | 833 | 20年10月発売 |
48 | エクリプスクロス | 三菱 | 823 | 143.6 |
49 | IS300H | レクサス | 798 | 1227.7 |
50 | マーチ | 日産 | 752 | 115.9 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
半導体供給不足による各社への影響は?
半導体の供給不足による生産への影響が取り沙汰されている。2月中旬時点で、国内自動車メーカー各社の状況を問い合わせたところ、何とか持ちこたえており、調達部が2次、3次のサプライヤーなどと調整を図りながら対応している(トヨタ)、サプライヤーの問題だが生産調整などはやっている(日産)、影響は出ているが、業界全体でどうなるかを注視している(ホンダ)、週次で生産計画を見直しながら慎重に注視している(マツダ)、アメリカを含めすでに一定の影響は出ているが、部品の手配などサプライヤーとともに対応している(スバル)、影響はあるものの大きな減産には至っておらず今後に注視している(三菱)、一部の機種で減産等の影響出ているものの先行きは不明確(スズキ)、春の需要期に備え予定台数を増やしており、足元で大きな影響は出ていない(ダイハツ)……といった答えが返ってきた。
コロナ禍で大きく落ち込んだ生産台数も復調し始めた矢先での今回のダメージ。さらに再び起こってしまった先の福島県沖大地震の影響が重なり、完成車工場の稼働調整(トヨタ9工場ほか)を実施するなどの事例も。半導体はそれ単体というより、半導体を用いたパーツ単位の調達の話になるから多岐に及んでいるはずだが、各メーカーとも、生産調整を前提にしながら情勢を見極めている状況のようだ。
目を見張るヤリスの独走
一方で2021年年明け1月の販売台数は、1位から10位のうちトヨタ車が8車を占めるのは、昨年12月と変わらない。このうちで1位は不動のヤリスで、販売台数を見ても昨年12月の1万7198台に対し1万8516台に伸ばしている。ヤリスは昨年2月の発売で、9月にSUVタイプのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスを追加してきたが、1位についたのは昨年4月のことで、6月に一度だけライズに抜かれたものの、それ以降は首位の座をキープしてきたことになる。昨今はかつてに較べ新車効果が薄らいだともいわれるなか、ヤリスのこの独走状態には目を見張るものがある。
トヨタ好調!ルーミー躍進、アルファード、ハリアー、ヴォクシーも台数を伸ばす
ほかに10位圏内のトヨタ車をみると、2位につけたルーミーと3位のアルファードは、いずれも昨年12月に対し順位と販売台数を伸ばし、4位のハリアーも順位は同一ながら、販売台数は12月の8128台に対し9177台とおよそ1000台も数字を上乗せしている。8位のヴォクシーもここにきて12月の9位から8位に順位を上げ、販売台数も12月の6114台から6666台へと伸ばした。順位を12月の6位から5位に上げたカローラも、販売台数は7789台から7773台とほぼ横ばいのペース。
トヨタの中で気になるのはライズとヴェルファイア
トヨタ車で気になる車種といえばライズで、昨年12月の2位から1月には7位と順位を下げ、販売台数も8912台から6985台に落としている。話が前後するが、ここにきて前年比がなんと194.5%で3位にまで浮上したアルファードとは対照的なのが、兄弟車として誕生したヴェルファイアで、12月は42位だったが今年1月も42位と低空飛行が続いており、販売台数もとうとう1000台割れの994台となった。
出足好調の日産ノートとスバルレヴォーグ
上位10車種のうちトヨタ車以外では、ノートのランクインが見逃せない。昨年12月23日の発売後、この2月1日時点で月販目標8000台に対し、受注はおよそ2.5倍の2万44台に達しているといい、1月には7532台の販売となった。8年ぶりのフルモデルチェンジでもあり、出足は好調といってよさそうだ。
そのほか目に留まるのは前年比660.8%のレヴォーグ、同213.6%のランドクルーザーW、タイプRにより同284.5%、936台のシビックなど。PHEV追加とマイナーチェンジ効果で同143.6%、823台のエクリプスクロスも今後に注目したい。
軽乗用車販売台数 2021年1月
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | N-BOX | ホンダ | 16,369 | 86.4 |
2 | スペーシア | スズキ | 12,989 | 104.7 |
3 | タント | ダイハツ | 11,792 | 95.6 |
4 | ムーヴ | ダイハツ | 8,837 | 98.7 |
5 | ルークス | 日産 | 8,626 | 20年3月発売 |
6 | ハスラー | スズキ | 7,663 | 138.5 |
7 | ミラ | ダイハツ | 5,642 | 96.6 |
8 | デイズ | 日産 | 5,586 | 39.2 |
9 | タフト | ダイハツ | 5,273 | 20年6月発売 |
10 | アルト | スズキ | 5,104 | 90.6 |
11 | ワゴンR | スズキ | 4,784 | 114.4 |
12 | N-WGN | ホンダ | 4,324 | 128.2 |
13 | ジムニー | スズキ | 3,887 | 151.9 |
14 | eK | 三菱 | 2,581 | 90.6 |
15 | N-ONE | ホンダ | 2,434 | 470.8 |
※ 通称名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ミラ、ムーヴ、タント、eK、プレオ、N-BOX、デイズ、ピクシスなど)
例)デイズルークスはデイズとして、2020年3月発売のルークスについてはルークスとして集計
揺るぎない強さをみせるホンダN-BOX
軽自動車では相変わらずホンダN-BOXが揺るぎない強さをみせ、1月も販売台数1位の座をキープした。販売台数も昨年12月の1万3427台から1万6369台に伸ばしている。しかし前年比は86.4%となっており、マイナーチェンジ効果はこれから反映されるということか。順位では2位につけているスペーシアも12月の1万747台から1万2989台に台数を伸ばしており堅調ぶりを発揮している。3位のタントも同様に台数を伸ばしており(12月の9574台から1月は1万1792台)、これもTV-CMや特別仕様車の効果が表れたものといえよう。
日産デイズ復調、ダイハツタフトはやや息切れか?
以下、順位で追っていくと、4位のムーヴ、5位のルークス、6位のハスラー、7位のミラ、ふたつ飛んで10位のアルトが12月と変わらない順位となっている。そして8位には、昨年12月に11位だったデイズが台数を伸ばしながら(12月は4329台、1月は5586台)食い込んできており、タフトは12月の5424台から5273台へと台数を僅かに落とし、息切れを感じさせながらも9位に収まった。
根強い支持を集めるスズキジムニー
そのほかでは、15位に収まったN-ONEは1月に2434台(前年比470.8%!)の数字を残したが、ここからどれだけ数字を伸ばしてくれるか期待したい。ポジションは13位と変わらずも、先月も今月も3800台をコンスタントにキープしているように見えるジムニーも、根強い支持を集めているようだ。
※記事の内容は2021年3月時点の情報で制作しています。