2020年8月の乗用車全体(軽自動車を含む)の販売台数は27万346台、前年比85.2%となり、前年比は7月とほぼ同水準の結果となりました。軽自動車を除く新車販売ランキングはトヨタヤリスが約1万1800台を販売し2ヶ月連続の首位、トヨタライズ、トヨタカローラが変わらず2位、3位、ホンダフィットは4位、トヨタアルファードが5位、前月4位にジャンプアップした新型トヨタハリアーが6位と、ランキング上位6車種はハリアーが順位を下げたものの同じ顔ぶれとなりました。
一方、軽自動車(乗用車)は王者ホンダN-BOXが引き続き首位をキープ、2位スズキスペーシア、3位ダイハツタント、4位ダイハツミラ、5位スズキハスラー、6位日産ルークスまで前月と同じ順位となりました。今回も自動車評論家の島崎七生人さんに詳しく解説をしてもらいましょう。
国産乗用車販売台数 2020年8月(軽自動車を除く)
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | ヤリス | トヨタ | 11,856 | 20年2月発売 |
2 | ライズ | トヨタ | 9,391 | 19年11月発売 |
3 | カローラ | トヨタ | 8,751 | 156.4 |
4 | フィット | ホンダ | 7,158 | 129.9 |
5 | アルファード | トヨタ | 7,103 | 153.5 |
6 | ハリアー | トヨタ | 6,231 | 203.6 |
7 | ルーミー | トヨタ | 5,617 | 75.2 |
8 | セレナ | 日産 | 5,055 | 65.5 |
9 | ヴォクシー | トヨタ | 4,639 | 67.4 |
10 | ノート | 日産 | 4,596 | 59.6 |
11 | フリード | ホンダ | 4,165 | 59.5 |
12 | シエンタ | トヨタ | 4,137 | 47.3 |
13 | プリウス | トヨタ | 4,099 | 50.1 |
14 | アクア | トヨタ | 3,813 | 50.9 |
15 | ノア | トヨタ | 3,323 | 84 |
16 | RAV4 | トヨタ | 3,306 | 52.7 |
17 | タンク | トヨタ | 2,792 | 46.8 |
18 | ソリオ | スズキ | 2,770 | 90.4 |
19 | ステップワゴン | ホンダ | 2,722 | 76.7 |
20 | パッソ | トヨタ | 2,380 | 81.5 |
21 | C年HR | トヨタ | 2,349 | 65.1 |
22 | ロッキー | ダイハツ | 2,345 | 19年11月発売 |
23 | スイフト | スズキ | 2,330 | 103.1 |
24 | インプレッサ | SUBARU | 2,050 | 73.8 |
25 | MAZDA2 | マツダ | 1,977 | 19年9月発売 |
26 | CX年30 | マツダ | 1,903 | 19年10月発売 |
27 | エスクァイア | トヨタ | 1,750 | 57.6 |
28 | MAZDA3 | マツダ | 1,658 | 42.3 |
29 | ヴェゼル | ホンダ | 1,645 | 48.8 |
30 | CX年5 | マツダ | 1,624 | 79.1 |
31 | フォレスター | SUBARU | 1,605 | 53.9 |
32 | ジムニーワゴン | スズキ | 1,381 | 298.3 |
33 | シャトル | ホンダ | 1,364 | 45.2 |
34 | CX年8 | マツダ | 1,302 | 94.5 |
35 | クロスビー | スズキ | 1,275 | 71.9 |
36 | ヴェルファイア | トヨタ | 1,226 | 59.4 |
37 | ランドクルーザーW | トヨタ | 1,206 | 61.6 |
38 | キックス | 日産 | 1,178 | 20年6月発売 |
39 | エクストレイル | 日産 | 1,056 | 48.4 |
40 | トール | ダイハツ | 1,033 | 70.6 |
41 | CX年3 | マツダ | 968 | 467.6 |
42 | クラウン | トヨタ | 949 | 40.8 |
43 | カムリ | トヨタ | 657 | 51.7 |
44 | ハイエースワゴン | トヨタ | 644 | 72.4 |
45 | デリカD5 | 三菱 | 625 | 56.1 |
46 | リーフ | 日産 | 584 | 35.2 |
47 | オデッセイ | ホンダ | 571 | 45.2 |
48 | UX250H | レクサス | 557 | 45.2 |
49 | ロードスター | マツダ | 448 | 137.8 |
50 | CR年V | ホンダ | 414 | 66.3 |
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
販売台数の回復傾向は一休み
8月の乗用車全体の販売台数は、27万346台/前年比85.2%だった。7月は33万771台/87.2%だったから、台数でおよそ6万台減となる。ちなみにメーカー別で前年比を見てみると、トヨタの84.6%を筆頭に、ホンダ79.6%、マツダ78.6%と続く。反対にレクサスは55.4%と、前年比の数字からもわかるとおりふるわない(軽自動車については後述)。
昔から“ニッパチ”と言われるように8月は売り上げが落ちるといわれる。とはいえ、去年(2019年)の乗用車販売台数を振り返ると、7月は前年比102.9%の37万9442台、8月は104.9%と上向きになり台数も31万7179台、さらに9月には113.6%、台数45万8856台と、10月に消費税引き上げを控えての駆け込み需要が影響したとはいえ、7、8、9月の3カ月間だけ見ても伸びを示していた。それと較べると今年は辛いところだが、それでも5月、6月、7月の推移は回復基調に持ち直したところ。“経済をまわす”ために、今、平常時の何十倍、何百倍ものチカラが必要なはずだが、何とか販売も上向きになってほしいと願うばかりだ。
ヤリス、ライズ、カローラのトヨタ3強は変わらず
一方で順位を見ていくと1位のヤリス、2位のライズ、3位のカローラとトップ3は7月と同じポジションをキープ。ただし台数はいずれも数字を落とし、ライズとカローラは1万台を割り込み、8月のランキング中、1万台を超えたのは1位のヤリスだけとなった。
7月に4位につけていたハリアーだが、今回は台数を3000台強落とし6位に後退。代わってフィットとアルファードが、台数は実に僅差としながらも、7月と同様にフィットが上位のポジションを守って4位に食い込み、アルファードが5位で追いかけた。アルファードの強さは相変わらずといったところだ。順位はまだ38位だが、6月に発売されたキックスが、ようやく50位圏内に顔を見せた。
商品改良と100周年記念車で好調のマツダ
それと8月の販売状況で注目しておきたいのがマツダ車だ。50位圏内にランクインしたのは、拾い上げてみるとMAZDA2(25位/1977台)、CX−30(26位/1903台)、MAZDA3(28位/1658台)、CX−5(30位/1624台)、CX−8(34位/1302台)、CX−3(41位/968台)、そしてロードスター(49位/448台)の7車種。7月まで50位圏外だったロードスターのランクインも目にとまるところだが、その他の車種を見ると、7月に対して全車とも順位を上げ、しかもMAZDA2以外の5車種は販売台数の数字も伸ばしているのである。昨年10月に発売され、ようやく1年を迎えたCX−30を除く車種についての厳然たる事実としては、5月以降、商品改良または特別仕様車が設定されているほか、4月に予約受注が開始された“100周年特別記念車”が、6月以降、順次発売となっており、その効果が現れているのかもしれない(MAZDA6の同記念車の発売開始は9月からとのこと)。マツダにとって記念すべき年にふさわしく、いい傾向、成果に結びついてほしいものだ。
そのほかに、アクア(14位/3813台)、CH−R(21位/2349台)の2車種が、ランキング中で順位を上げているトヨタ車の中で、7月に対して順位だけでなく販売台数も伸ばした。
軽乗用車販売台数 2020年8月
順位 | 車名 | ブランド名 | 台数 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1 | N-BOX | ホンダ | 14,514 | 79.4 |
2 | スペーシア | スズキ | 10,579 | 99.1 |
3 | タント | ダイハツ | 9,151 | 54.3 |
4 | ムーヴ | ダイハツ | 7,594 | 86.3 |
5 | ハスラー | スズキ | 6,384 | 198 |
6 | ルークス | 日産 | 6,208 | 20年3月発売 |
7 | N-WGN | ホンダ | 5,853 | 84.1 |
8 | ワゴンR | スズキ | 5,668 | 87.9 |
9 | タフト | ダイハツ | 5,292 | 20年6月発売 |
10 | アルト | スズキ | 5,020 | 105.7 |
11 | ミラ | ダイハツ | 4,643 | 72.2 |
12 | デイズ | 日産 | 4,445 | 33.1 |
13 | ジムニー | スズキ | 3,257 | 170 |
14 | eK | 三菱 | 2,135 | 55.9 |
15 | ピクシス | トヨタ | 1,864 | 87 |
※ 通称名については同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ミラ、ムーヴ、タント、eK、プレオ、N-BOX、デイズ、ピクシスなど)
例)デイズルークスはデイズとして、2020年3月発売のルークスについてはルークスとして集計
スペーシア、ハスラーとスズキの好調が目立つ
軽自動車の8月の販売台数は10万1009台で、前年比87.6%だった。前年比でみると乗用車全体より僅かにいいが、実は7月は前年比101.7%の12万3298台を記録しており、7月から8月への台数の下げ幅はむしろ大きかった。その中で、メーカー別で見たときに、スズキの健闘ぶりが目をひく。前年比の数字でスズキは115.5%と、他の国産社メーカーが軒並み前年割れの数字を出しているなかで、ひとり100%超えの結果を出している。
もっともスズキの場合は、軽自動車以外のラインアップも思いのほか多く、小型車のスイフト、ジムニーシエラ、ミニバンではセレナOEMのランディ、さらに海外生産車のSX4 Sクロス、エスクード、バレーノなどがある。8月のスズキの販売台数は4万590台だったが、この内訳は軽自動車3万2371台のほか、小型車6909台、普通車1310台(うち輸入車212台)だった。軽自動車ではスーパーハイト系でランキング2位のスペーシアの1万579台を筆頭に、ハスラーの6384台、ワゴンRの5668台、アルトの5020台、ジムニーの3257台と続く。ハスラーはダイハツのタフト(5292台)を1000台強上回った数字を出しており、スペーシアも3位のタント(9151台)を辛くも抑え込んだ。
相変わらず独走を続けるホンダN-BOX
軽自動車のランキング1位は、相変わらずN-BOX。同じ1万台超えのスペーシアにおよそ4000台の差をつけて独走中だ。ほかにホンダは7位にN-WGNがランクインしているが、今後は新型N-ONEの動向も注目していたい。
※記事の内容は2020年9月時点の情報で制作しています。