自動(被害軽減)ブレーキや誤発進防止装置などの先進安全装備、ドライブレコーダーなどの防犯系装備への注目度が高まっている昨今ですが、今回はそれら以外の、使ってみて便利だなと思う今どきの装備ベスト5を選んでみました。
新型車には技術の進歩や気配りのすごさを感じさせる装備が増えている
筆者の愛車は17年落ちのレンジローバーです。8年前に中古車で買った時はプリウスよりも安い値段でしたが、元々コイツは新車時1000万円のプライスタグが付いていた車です。パワフルなエンジンや滑らかなオートマ、いい音がするオーディオ、シートやステアリングやヘッドレストまで電動で上下する(ヘッドレストは正直いらない機能だと思う)など、最新の車と比べても快適性では引けを取りません。そして燃費以外の走る・止まる・曲がるという車としての基本機能も、まだまだいい線いっています。
と強がりを言ってみたものの、新型車に乗るたびに最新の装備には、やはり目を見張るものも増えてきたと思うことは、正直に告白せざるを得ません。安全装備などその最たるものですが、それについては別の記事に譲って、今回は「技術の進歩」というか「気配りのすごさ」というべきか、とにかくその便利さに感動した装備たちをご紹介しましょう。
コスパ抜群、手放せなくなる使い勝手の良さ「スマートキー」
車に乗り込む時、便利なリモコンキー。我が家のレンジローバーも17年落ちとはいえ新車時1000万円、もちろん付いています。しかし悲しいかな旧式の赤外線方式なので、車のそばまで近づき受信部のあるルームミラーにキーを向けないと反応してくれません。リモコンキーは今では電波式となりずいぶん遠くから、たとえポケットの中からでもボタンを押せばドアロックを解除することができるようになりました。
しかし、最新の車についているスマートキーはさらに便利です。キーを携帯していれば、ドアノブに触れるだけでロックやアンロックが可能です。筆者のようにカバンの中からキーがすぐ出てこなくて、ヨメさんや子供たちを苛立たせることもないでしょう。オプションとなる車種やグレードもありますが、おおむね3〜4万円程度ですので、ぜひとも付けたい装備です。
さらに同じ技術の応用でリアバンパーの下部に足を差し入れるとリアゲートを開閉できる機能が付いた車も増えてきました。日産セレナはさらにリアスライドドアに同様の機能が設定されています。両手がふさがっている時にとても便利です。
ちなみにリモコンキーに昔からある機能なのに意外と知られていないのは、ボタンの長押しなどで窓の開閉ができる車種が多いことです。あなたの車にも付いているかもしれませんよ!
これは自動運転じゃないか!(と友人は言った)「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」
アダプティブクルーズコントロール(ACC)は先進安全装備にも数えられることもありますが、こいつは便利装備としてもズバ抜けています。
以前から設定された速度で走るクルーズコントロールは存在していました。ただしこれはあくまでも80km/hに設定したら、とにかく80km/hで突き進むだけのものでした。しかしACCは違います。設定した速度より遅い先行車に追いついたら自動で減速して、先行車が加速したらその速度に合わせて自動で速度を回復します。
登場当初は30km/h以下など低速になるとキャンセルされてしまいましたが、最近は停止までフォローする全車速追従タイプが主流となってきました。ひどい渋滞で一時停止しても、先行車がスタートしたらスイッチを押すかアクセルを踏むだけで前走車に追従して設定速度まで再加速します。
数年前、ACC装着車に買い替えたものの、その機能を使っていない筆者の友人に使い方を教えてあげたことがあります。高速道路の料金所で先行車に合わせて減速し、ゲート通過後に加速を始めた時、「これは自動運転じゃないか!」と彼が興奮気味に叫んだことは今でも忘れられません。
自動運転、という言葉は今では厳密に5段階に定義され、ACCだけでは最低のレベル1に過ぎないのですが、未経験の方なら未来感覚を十分に味わうことができるでしょう。
国産車の場合、設定できるのは法定最高速度+αまでですが、最新のモデルは新東名などの最高速度引き上げによって120km/h+αまで設定することができるようになってきました。だから使えるシーンが増えました(意味深長、法定速度は守りましょう)。筆者は趣味のために片道300km程度の小旅行に年に何回も行きますが、特に疲れた帰り道などはACCがあれば、と最近よく思います。
余談ですがメーカーがメディア向けに開催する新型車の試乗会はだいたい1枠が60〜90分程度。その限られた時間の中で試乗や撮影を行います。しかし最近はテスト項目が増えて時間がいつもギリギリです。中でもACCはその最たるもの。自分で運転した上で、もう一回ACCを設定してその挙動や精度を確認しなければならなくなったからです。
逆にいえば、まだメーカーや車種によって差がある装備なのでテストせざるを得ないということでもあります。ぶつからないブレーキや自動ブレーキと呼ばれる「衝突被害軽減ブレーキ」と、このACCは同じ技術の裏表ですが、やはり「アイサイト」で先行したスバルのACCは今でも精度の高さや安定した挙動に一日の長を感じます。
駐車が苦手な方への強い味方「駐車支援機能」
こちらも先進安全装備の一種ですが、同じく便利系に含んでいいかなと思うのが駐車支援機能です。クルマが駐車可能なスペースを認識して自動で駐車位置まで移動してくれるものや、BMWのように来た道を自動で引き返してくれるものなどもありますが、その手の装備はまだまだ高く、設定車種も限られています。例えばノア/ヴォクシーだと高機能なナビやオーディオとセットとなって37万円くらいします。
どのように駐車しているか、どんな駐車が苦手なのかは、人それぞれだと思いますが、多くの人が苦手なのは前向きで駐車して、バックで出ざるを得ないような状況ではないでしょうか。高速道路のSA・PAなどでよくあるパターンです。
この状況で役に立つのが後退時にソナーやレーダーなどを使って横切りそうなクルマ(車種によっては歩行者も)がいる場合に警報を出してくれる装置です。
メーカーによってリヤクロストラフィックオートブレーキ、後退時車両検知警報、リア・クロストラフィック・アラート、パーキングセンサーシステムなどと名称が異なる上に、先進安全装備にパッケージされていたり、セットオプションだったりと、装備状況を見分けにくいのは難点ですが、付いていると便利で安心な機能です。
特筆すべきは日産の「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)」でしょう。後退時にクルマを上空から見下ろしているような映像(アラウンドビューモニター)と後方カメラ映像、そして後方を横切るものがあったときの警報を、ルームミラーにまとめて表示してくれる優れもの。こちらはノートであれば7万円ほどと、多機能さを考えると比較的リーズナブルな価格だと思います。この機能などを特別装備したノートVセレクションはおすすめです(後でわかりますが日産の回し者ではありません)。
実は革命的に便利!「ブレーキホールド機能」
筆者が最近の装備の中で最も便利さを感じるナンバー1はブレーキホールド機能です。前述のACCとは違って一見、地味な機能なのですが使ってみるとその価値に気付きます。ブレーキホールドのスイッチを入れておくと一時停止と同時にブレーキが掛かったままになるのでブレーキペダルから足を離すことができるのです。発進時は普通にアクセルを軽く踏むだけでスーッと解除されます。
今まで信号などで一時停止をしているときはブレーキペダルを踏みっぱなしにするか、「D」レンジから「N」レンジへシフトレバーを動かしてパーキングブレーキを掛けるという動作が必要でした。
この機能が付いていればブレーキを踏み続けることも、いちいちシフトレバーを動かしてパーキングブレーキを上げるなり、踏むなりすることも不要になります。発進時の手間もありません。これ、実は長い自動車の歴史の中でも運転の手間を減らしたという意味においては革命的な出来事ではないでしょうか。
もちろんノロノロ動く渋滞ではこの機能のスイッチは入れず、従来通りブレーキを調整しながら運転した方が楽ではあります。
ちなみにホールド状態時にシートベルトを外すと強制的にパーキングブレーキが作動する制御が入っているので、うっかり車から降りてしまうことも防いでくれます。
正しい運転姿勢を取るために!「テレスコピックステアリング」と「メモリ機能付き電動シート」
最後はアンドロイドオート・アップルカープレイ対応のディスプレイオーディオやステアリング支援機能などと迷ったのですが、ステアリングのテレスコピック機能と電動シートのメモリ機能を、同じ運転姿勢に関わる機能として取り上げましょう。いずれも以前からある装備なのですが、便利さのわりに使われていなかったり、普及が進んでいないと感じている機能です。
ステアリング角度を上下に動かすことができる機能をチルトステアリングと呼び、これは多くのクルマに装備されています。テレスコピックステアリングはステアリングを前後、つまり自分に近づけたり遠ざけたりできる機能を指します。実は装備されているのにこの機能を使っていない人も多いと感じています。
身長はもちろん、腕も足も一人一人長さが違うわけですから、本来ステアリングも前後調整ができた方が良いわけです。少なくともブレーキをちゃんと踏み込めて、(多くのステアリングホイールは少しだけ上向きに角度がついているのと、上り坂では少し体が後傾するので)ステアリングを上り坂で90度切ったあたりでも腕が伸び切らない運転姿勢を取るためには、シートの前後移動や角度調整に加えて、ステアリングも前後に動いた方が良いわけです(適切なシートポジションについては言及するとたいへんなことになるので、知りたい人はググってください。多くの男性はシートバックを寝させ過ぎ、女性はステアリングが近すぎる傾向があります。これ以上は書きません)。
テレスコピックステアリングもだいぶ多くの車種で標準化されてきましたが、先ほど褒めたばかりの日産ノートなど登場から時間が経っているモデルや、軽自動車、一部車種の安いグレードでは省略されている場合もあります。特に軽自動車はN-WGNが全車標準なのに人気のN-BOX、タント、スペーシアは設定すらありません。購入検討時はシートポジションとあわせてチェックしたいところです。
いっぽう電動シートは多くの車種に設定があり、特に本革シートの最上級グレードなどには必ずといっていいほど組み合わされています。いまだに高級感を感じさせてくれる装備ですが、メモリ機能が付随していないとその魅力は半減します。
電動シートの弱点は角度調整に時間が掛かることです。特にひと休みしたい時にリクライニングを倒す、戻すためにはスイッチを押しっぱなしにしなければなりません。その人の性格にもよりますが筆者はストレスを感じます。もう一つは角度調整に「段」がないこと。いいことでもあるのですが夫婦で運転を代わる場合など微妙な調整が利くことが裏目に出ます。自分の気に入ったシート角度に戻すのに、少々手間が掛かります。
これらを解決してくれるのがメモリ機能。3つほどポジションを記憶してくれ、一時的に角度を変えてもボタン一つで元に戻してくれます。さらにサイドミラーと、車種によっては前述のチルト&テレスコピックステアリングも連動してくれる機能付きのものもあります。
筆者の17年落ち新車時1000万円中古車は、実は3つとも連動します。さらにキーを抜くとステアリングの角度が上がって、乗り降りの邪魔にならないというすばらしいおもてなし機能も付いています(これが壊れると50万以上の修理費用が掛かると聞き、この機能はオフにしていますが)。このあたりが中古車選びの醍醐味でしょう。あれ、何の記事でしたっけ(笑)。
※記事の内容は2020年2月時点の情報で制作しています。