マツダの軽ワンボックス「スクラムワゴン」は、定評あるスズキ エブリイワゴンのOEM供給を受けたモデルです。ただ、中古車で買うなら注意したいチェックポイントがいくつかあります。本記事では、その4つの注意事項とおすすめモデルをお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のマツダ「スクラムワゴン」は2018年式以降「PZターボスペシャル」
- 軽ワンボックス特有の性質から、スクラムワゴンの中古車を買うときに注意点あり
中古車スクラムワゴン、おすすめモデルはズバリこれ。2018年式以降「PZターボスペシャル」
現行モデルで3代目となるスクラムワゴン。3代目は室内空間が広くなり、前席をウォークスルー化するなど使い勝手も向上しています。なお、3代目へのフルモデルチェンジは2015年と今から6年前のため、2代目以前のモデルには手を出さないほうが無難でしょう。また、現行モデルでも古い年式には要注意。詳しくは後述する「スクラムワゴンならではのチェックポイント」の項で確認してください。
現行モデルは、ターボエンジンのみのラインナップ。トランスミッションは4速ATのみの組み合わせ、駆動方式は2WD(後輪駆動)と4WDを設定しています。グレード構成は3つ。ベーシックグレードが「PXターボ」、中級グレードが「PZターボ」、上級グレードは「PZターボスペシャル」となります。おすすめは、上級グレード「PZターボスペシャル」。ベーシックグレードは商用車に近い簡素化された装備となりますのでプライベートで使うなら、装備が充実したグレードのほうが幸せになれます。
2021年5月28日時点、このおすすめモデルの中古車価格は、89〜170万円となっています。なお、スクラムワゴンは新車販売台数が少ないため中古車流通台数も少ないモデルです。マツダのエンブレムにこだわりがなければ、OEM関係にある同一モデル、スズキ エブリイワゴン、日産 NV100クリッパーリオ、三菱 タウンボックスで探しましょう。
★ほかにも!おすすめな中古車スクラムワゴン
価格を重視したい方におすすめのモデルと、買い方の注意点をお伝えします。まずは、1989年に始まるスクラムワゴンの歴史からご覧ください。
スクラムワゴンの歴史
スクラムワゴンのご先祖様は、1980年代にヒットした軽トラック「ポーターキャブ」にさかのぼります。ポーターキャブはマツダが生産していましたが、その後、マツダが新たな軽自動車を開発することはありませんでした。ポーターキャブの後継車が「スクラム」。初代からスズキ エブリイ/エブリイワゴンのOEM供給を受けました。1989年に始まるスクラムの歴史から、今日のスクラムワゴンまでを年表形式でまとめます。
スクラム 初代(1989〜1991年)
1989年6月 「スクラム」デビュー。バン(4ナンバーの軽貨物車)と軽トラックをラインナップする。
スクラム 2代目(1991〜1999年)
1991年10月 フルモデルチェンジ。当時のマツダは複数ブランド・複数チャネル販売戦略を展開、「オートザム」のブランド名で販売される。スクラムバンは、エンジンを従来の前席下ではなく、荷室下に搭載するミッドシップレイアウトとなった。軽トラックは従来どおり、エンジンを前席下に搭載するキャブオーバータイプのまま。
1997年4月 マイナーチェンジ。ブランド名がマツダに戻される。
スクラムワゴン 初代/スクラム 3代目(1999〜2005年)
1991年1月 フルモデルチェンジ。軽自動車新規格に対応し、ボディが大型化する。また、前輪は前席の前方に位置し、エンジンは前席下に搭載、短いボンネットを有するセミキャブオーバータイプのボディ形状となった。短いボンネットは、保安基準の変更によりワンボックスカーの衝突安全性を確保するために設けられた。なお、ワンボックス前方に短いボンネットを持つのは、スクラムワゴンに限ったことではない。
1999年12月 スクラムワゴン(5ナンバーの軽自動車)が追加される。
スクラムワゴン 2代目(2005〜2015年)
2005年9月 フルモデルチェンジ。先代のセミキャブオーバー型は継承される。キャビン内ではシフトレバーの位置がインパネへ移動し、前席ウォークスルーが可能となった。2代目は約10年にわたって販売されたロングスパンモデルとなった。
スクラムワゴン 3代目(2015年〜現在)
2015年3月 フルモデルチェンジ。室内長、室内幅、室内高を拡大。前席をベンチシートに変更し、シートスライド量を拡大。車室内が広くなり、有効活用できるようになった。
こちらもおすすめ! <タイプ別>中古車スクラムワゴン
● 価格重視なら 「PXターボ」2018年式以降
後述の「スクラムワゴンならではのチェックポイント」でお伝えしますが、スクラムワゴンの特性から、筆者としては、古い年式のものはおすすめできません。価格重視なら、2018年式以降のベーシックグレード「PXターボ」がおすすめとなります。ただ、中古車流通台数が少なく(2021年5月28日時点、2台のみ)、中古車相場価格が算定できない状況です。マツダブランドにこだわりがなければ、OEMの関係にある同一モデルのスズキ エブリイワゴン、日産 NV100クリッパーリオ、三菱 タウンボックスから探してみてください。
スクラムワゴンならではのチェックポイント
スクラムワゴンは軽ワンボックス。スクラムワゴンに限らず、車室内が広く、荷物を多く積める軽ワンボックスは負荷の高い使われ方が多くなる傾向があります。この傾向は、4ナンバー(貨物車)のスクラムバンだけでなく、5ナンバー(乗用車)のスクラムワゴンにも見られます。中古車詳細情報に「前オーナーは、重たい荷物をたくさん積んで走ることが多かった」などの記載があれば良いのですが、普通はありません。同じ走行距離、年式でも使われ方の状態まで知ることは難しいものです。
そこで、スクラムワゴンの中古車を探す上で、注意したい点を4つにまとめてお伝えします。
(1) 保証の対象かどうかをチェック
欲しいと思った中古車が、メーカー保証の対象車になっているかどうか、メーカー保証の対象車ではない場合、中古車販売店の保証制度の対象となっているかどうかを確認してください。例えば、保証がない車を買った翌日に故障が発生した場合、修理費用の負担は自分になってしまいます。スクラムワゴンは、負荷の高い使い方をされる可能性が高い車種ですので、保証の有無は最も重要な事項となります。
なお、メーカー保証の対象かどうかは、単に走行距離と年数だけで確認しないようにしましょう。所定の方法でメンテナンスされていないと、メーカー保証の対象外となることがあります。
(2) 過走行車は避ける
「過走行車」とは、平均年間走行距離が10,000kmを超えた車のことをいいます。これは、日本自動車査定協会が定めた基準ですが、中古車情報には修復歴の表示義務がある一方で、「過走行車」の表示義務はありません。
あくまで目安となりますが、過走行車は、現在の年から年式を引いた経過年数から平均年間走行距離を推定することができます。なお、前オーナーが下取りに出してから店頭に並ぶまでの期間や、中古車販売店で長い間在庫となっている期間まではわかりません。
過走行車には基本的に保証がありません。購入してからの故障リスクが高いため、手を出さないほうが無難です。スクラムワゴンは、過走行車が散見されていますので注意してください。
(3) 年式に見合わず走行距離が短い車
平均年間走行距離が3,000km未満の車は、ほとんど運転されず駐車場で眠っていた車といえます。現在、自家用乗用車の平均年間走行距離は約6,000kmとされています。あまり長距離を乗らず、毎日近場での買い物だけに使っている人でも、年間4,000kmは超えるのが一般的です。
車は機械モノですので、動かさないと傷んできます。特にエンジンやトランスミッション、サスペンションなど可動部品が多いところは、スムーズに動かなくなり不調や故障が起こりやすくなります。人間に例えるなら、健康な人を強制的に寝たきりにさせてしまうようなことです。末路はどうなるか、人と車は同じです。走行距離が短く車両価格が安い中古車には注意が必要です。
(4) スクラムワゴンにありがちなトラブル「ターボが効かない」
現行モデルのスクラムワゴンは全車ターボエンジンを搭載しています。前述したように高い負荷で走る傾向が強いスクラムワゴンは、ターボが効かないというトラブルを抱えがちです。メンテナンスをしっかりとし、オイル交換を規定どおりにしていれば、走行距離が短いうちはまだ大丈夫といえますが、そうでなければ、要注意。
また、この「ターボが効かない」という現象をディーラーや整備工場に相談すると「故障はしていない」「体感的なもの」と言われ保証の範囲で修理してくれない可能性があります。自腹で交換することは可能ですが、痛い出費となります。
価格がこなれた、お買い得に見えるスクラムワゴンには特に要注意です。極力、新しい年式、短い走行距離のものを探しましょう。なお、前述しましたが、前オーナーの走行状況を確認することは難しいので、○年式、○km以下なら大丈夫、と太鼓判を押せるような基準がないことを、ご了承ください。
比べて検討!スクラムワゴンのライバル車種
ダイハツ「アトレーワゴン」/スバル「ディアスワゴン」
スクラムワゴンを含め、OEM供給元のエブリイワゴンは4兄弟車種になりました。軽ワンボックスワゴンのライバルは、アトレーワゴンとそのOEM車のスバル ディアスワゴンのみとなります。性能や装備は互角の勝負です。
2021年5月28日時点のアトレーワゴンの中古車価格帯は1.5〜230万円、平均価格は約65万円、流通台数は1,000台ほど、ディアスワゴンの中古車価格帯は4.8〜158万円、平均価格は約55万円、流通台数は180台ほどとなっています。
中古車スクラムワゴンはここで探せ!
では、中古車スクラムワゴンをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年5月28日時点、グーネットでは、スクラムワゴンの掲載件数は264件、価格帯は15~280万円、平均価格は約72万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からスクラムワゴンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとスクラムワゴンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年5月28日時点、カーセンサーでは、スクラムワゴンの掲載件数は276件、価格帯は55~185万円、平均価格は約130万円となっています。
スクラムワゴンを中古車で買うなら、2018年式以降の現行モデルから探したい
軽ワンボックスは、スクラムワゴンに限らずハードな使い方をされやすい傾向があります。このため、スクラムワゴンを中古車で買う時には注意が必要です(詳しくは、前述の「スクラムワゴンならではのチェックポイント」の項をご覧ください。)、このため、おすすめするのは、現行モデルの2018年式以降となります。なお、2018年式以降だから大丈夫というわけでもありません)。現行モデルはターボモデルしかなく、グレード構成も3つしかない狭い選択肢となりますが、OEM関係にある同一モデルのスズキ エブリイワゴン、日産 NV100クリッパーリオ、三菱 タウンボックスでも同条件のものが探せます。
よくある質問
Q1:中古車のスクラムワゴン、どれを買うべき?
A:走行距離が短く、年式が新しいモデルをおすすめします。スクラムワゴンは軽ワンボックスという性質上、過酷な使い方をされやすいモデルです。詳しくは前述の「スクラムワゴンならではのチェックポイント」の項をご覧ください。
Q2:中古車スクラムワゴンを買うときに気を付けたいポイントは?
A:走行距離が長いもの、年式が古いものは避けたほうが無難です。買いたい中古車の保証の状況、走行距離には特に注意してください。詳しくは前述の「スクラムワゴンならではのチェックポイント」の項をご覧ください。
Q3:中古車スクラムワゴンはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車スクラムワゴンに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年5月28日時点のものです。