三菱のコンパクトSUV「RVR」。新車が人気薄のため中古車価格が安めの傾向。現行3代目で2010年フルモデルチェンジされた、息の長いモデル。エンジンは1.8Lガソリンの1種類、グレード構成もシンプルで、中古車選びの選択肢は年式重視になります。そんなRVRでもおすすめはあります。筆者が狙い目に選んだモデルと、選び方の注意点をお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車の三菱「RVR」は2017〜2019年式の特別仕様車「アクティブギア」
- 狙い目は特別仕様車「アクティブギア」と「ローデスト」。新車が人気薄でSUVにしては相場価格が安め
中古車RVR、おすすめモデルはズバリこれ。2017〜2019年式の特別仕様車「アクティブギア」
RVRを中古車で買うなら、2010年2月に復活した3代目となる現行モデルが現実的。2代目の年式では1997〜2003年式となり、今から約20年以上前の車となってしまいます。なお、3代目は改良が繰り返され、内外装デザインも変更が加えられ、デビュー時の1型から現行モデルの5型までが存在します。エンジンは、1.8Lガソリンの1種類のみで、駆動方式は2WD(前輪駆動)と4WDを設定、トランスミッションは全車AT(CVT:無段変速機)のラインナップとなっています。
最もおすすめするのは、4型の特別仕様車「アクティブギア」。
アクティブギアは、アウトドア用品のギア(道具)感を表現し、SUVらしさが増したモデルです。エクステリア、インテリアの随所に、登山道具などに多用されるオレンジ色をアクセントカラーに配色、フロントにはスキッドプレートを備え、ベルトラインをブラックとするなど機能性の高さも演出しています。また、このモデルには、予防安全技術「e-Assist(イーアシスト)」が搭載され、衝突被害軽減ブレーキシステムや車線逸脱警報システム、オートマチックハイビームなどが装備されています。
なお、アクティブギアには、SDA(Apple Car Play,Andoroid Autoに対応した統合インフォテインメントシステム)の装着モデルと非装着モデルがラインナップしています。スマホの音楽、マップなどがSDAでも使用できるので、あったほうが何かと便利。なお、これがあってもなくても中古車価格には大きな影響を及ぼしていないように見受けられます。
ただ、残念なことに、RVRは人気がなく新車販売台数は低迷、中古車市場の流通台数が少なくなっています。アクティブギアの流通台数もごくわずか。2021年5月24日時点では、1台しか見つかりませんでした。その車両価格は約200万円。アクティブギアの発売は2017年11月で販売終了時期は不明ですが、5型へのマイナーチェンジが2019年8月に実施されていますので、最長でもこの時期までの約2年間となります。したがって、年式は2017〜2019年式になるでしょう。
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初代から3世代にわたるRVRですが、途中生産販売されていない時期があるため、中古車として安心して乗れるのは2010年に復活した3代目のみの状況。また、2010年以降、マイナーチェンジ、一部改良は繰り返し行われているものの、大規模なマイナーチェンジはなく、エンジンは1.8Lの1タイプでグレード構成もシンプルかつ装備の差が少ないなど、中古車の選択肢は限られたものとなっています。そんな中でも、前述の「アクティブギア」のほかにもお買い得な特別仕様車がありました。
RVRの歴史
三菱「RVR」の初代は、1991年2月にデビュー。車名の由来は「レクレーショナル・ビークル・ランナー」の頭文字をとったもの。当時は、SUVという言葉がなく、現在でいうSUVに相当するボディタイプのことを「RV」(レクレーショナル・ビークルの頭文字)と呼んでいました。主に、レクリエーション、レジャーなどの娯楽を目的とした車のタイプで、現在のSUVの祖先となります。
初代RVRは、街乗りを重視した2列シート4人ないし5人乗りで、後席片側スライドドアを備えた広い室内空間を持っていました。当時は、バブル景気の真っ最中であったことと、RVブームであったことが重なり、初代RVRは大ヒットを飛ばしました。
1997年11月にフルモデルチェンジされ、RVRは2代目となります。初代と変わらずキープコンセプトのRV車のままでしたが、この頃から続々と新型SUVがデビューし(この頃から、SUVという言葉が広がっていった)、2代目は初代のようなヒットはしないまま、2002年8月に生産終了、2003年1月には在庫がすべて完売し、三菱のラインナップから消滅してしまいました。
2代目RVRの販売終了から7年後の2010年2月に、RVRは3代目となって復活します。3代目は、当時すでに販売されていたミドルクラスセダンの「ギャラン フォルティス」の大部分を流用したコンパクトSUVとしてデビュー。以降度々マイナーチェンジが実施され、内外装の小変更が繰り返されます。モデル世代では「1型」から「5型」が存在するロングセラーモデルとなりました。現在販売されているのは「5型」。
5型は2019年8月に実施されたマイナーチェンジモデル。フロントとリアに比較的大きなデザイン変更が行われました。フロントマスクは、アウトランダーやエクリプスクロス、デリカ D:5などに採用されるデザインコンセプト「ダイナミックシールド」が採用され“三菱顔”に生まれ変わりました。なお、エンジンなどのパワートレインに変更はありません。
現行3代目RVRも人気はいまいちですが、北米、欧米、アジア、オセアニア、ロシアなど世界各国で販売されるグローバルモデルで、2010年には、PSAグループへOEM提供され、プジョー「4008」、シトロエン「C4 エアクロス」がRVRの外観を変えて販売されていました(日本市場へは未導入)。
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● 専用エアロパーツを装備した特別仕様車「ローデスト」2011〜2017年式(推定)中古市場の相場 60〜180万円
ローデストは、専用のエアロパーツを装着した特別仕様車で、「M」と「G」がグレード設定されています。ベースグレードとなる「M」に、光軸自動調節付きスーパーワイドHIDヘッドライト(今ではすっかりLEDヘッドライトが主流になってしまいましたが)や、17インチアルミホイールなどを追加した上級グレード「G」という構成。ローデストは、2WDと4WDの両方に設定された選択肢が多い特別仕様車となっていました。
しかし、ローデストも前述した特別仕様車「アクティブギア」同様に、タマ数がとても少ない状況。RVR全体の流通台数が少ないため、仕方のないことですが、RVRのライバルの人気車種に比べると、値落ち率が高く買いやすい中古車相場価格となっています。
● 安全性能を重視するなら 2017年10月の改良モデル以降を。 中古市場の相場160〜240万円
予防安全技術「e-Assist(イーアシスト)」は、2017年10月に実施された改良モデルから搭載されています。この改良は、内外装デザインに変更がないため、選ぶときに注意してください。年式では2017年式以降のモデルに装備されることになりますが、それまでに販売されていたイーアシスト非搭載モデルが2017年式で中古車市場に流通しています。中古車情報の装備の欄でチェックしましょう。また、2019年8月のマイナーチェンジで、フロントとリアのデザインが大きく変わったモデルも含まれますが(こちらのほうが新しいので当然ですが)、中古車相場価格はRVRにしては高めです。安全性能重視なら、マイナーチェンジ前の2017〜2019年式がコスパの良い中古車となります。
RVRならではのチェックポイント
中古車で乗るなら3代目にしたいRVR。ただ、3代目はモデルスパンが長く、最も古いものでは2010年式と今から10年以上前の車となります。新しい年式で走行距離が少ない程度の良いものを買うなら、神経質になる必要はありませんが、4年以上古い年式では、走行距離と年式の関係性に注意しましょう。なお、このことはRVRに限ったことではありません。
走行距離と年式の関係で、年10,000km以上になった場合は「過走行車」となります。これは、日本自動車査定協会が定めた基準によるものですが、その裏付けのひとつとして、自家用乗用車の年間平均走行距離は約6,000kmとされている背景があります。逆に、年3,000km以下の走行距離なら、普段あまり乗られていない車となります。
▼少なすぎる走行距離に注意
普段あまり乗られていない車は、下手をすると1ヵ月以上、駐車場で眠ったままとなることも珍しくありません。車は機械モノですので、動かしてナンボ、人間でいえば健康体なのに運動不足の状態が続くのと同じです。例えば、ガソリンタンク内に水が発生して燃料ポンプをつまらせる原因になったり、車軸やサスペンションなどの可動部品のなめらかな動きを鈍らせたりします。エンジンも同様に普段動いているものをずっと静止させておくのは、傷みが進む要因となります。
中古車を選ぶときの走行距離の目安は「経過年数」✕「3,000〜10,000km」の範囲内となります。この範囲内で走行距離が短いものは当然中古車価格も高くなる傾向です。
RVRを選ぶときは、この走行距離目安を参考にしてください。また、この点もRVRに限ったことではありませんが、内装の程度は要チェック。特にシートの汚れ、傷みに注意しましょう。
比べて検討!RVRのライバル車種
スズキ「エスクード」
スズキのコンパクトSUV「エスクード」は、RVRと比較すると甲乙つけがたいモデルです。エスクードは1.4Lガソリンターボを搭載。エスクードの運命もRVRと似ていて、初代は大ヒットしたものの、現行モデルでは人気薄に。しかし、海外では広く販売されているという点も似ています。どちらも国際的な品質をクリアした良い車。中古車相場価格も似たりよったり。
中古車価格帯は35〜270万円、平均価格は約153万円となっています。(2021年5月23日時点)
日産「デュアリス」
2013年式より古いRVRを探される方、50〜90万円台で探される方は、日産「デュアリス」も選択肢になります。2013年で販売終了してしまったモデルですが、RVRの特徴と似ており新車価格帯も同じです。中古車価格帯もこなれてきて買いやすくなっています。デュアリスは2.0Lガソリンエンジン。こちらも甲乙つけがたい。
中古車価格帯は18〜121万円、平均価格は約55万円となっています。(2021年5月23日時点)
トヨタ「C-HR」
こちらはトヨタのコンパクトSUV「C-HR」。RVRのライバル車となりますが、C−HRは比較すると室内空間が狭くなります。後席の広さはRVRに軍配が上がります。スタイリッシュな都会派SUVで、実用重視というよりスペシャリティ色の強いSUVとなります。中古車相場価格は、C−HRのほうが高め。C−HRの優位点は、ハイブリッドモデルがあること。中古車相場価格が高くなるのは、新車価格の高いハイブリッドモデルが多いことが影響しています。ハイブリッドは、発進と停止を繰り返す市街地走行の実燃費と、加速のスムーズさが売り。
中古車価格帯は135〜440万円、平均価格は約213万円となっています。(2021年5月23日時点)
中古車RVRはここで探せ!
では、中古車RVRをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
グーネットのRVRの掲載件数は220件、価格帯は28~242万円となっています(※)。
※いずれも2021年5月23日時点の情報です。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からRVRが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとRVRを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
カーセンサーのRVRの掲載件数は224件、価格帯28~242万円となっています(※)。
※いずれも2021年5月23日時点の情報です。
狙い目は特別仕様車「アクティブギア」と「ローデスト」。タマ数が少ないのでこれにこだわらなくても可
RVRの現行モデルは3代目。初代と2代目は年式が古いため、普段の足として乗るのなら、3代目を選びたい。3代目は、2010年のフルモデルチェンジで、10年落ちもザラにある中古車市場。また、エンジンは1.8Lガソリンのみで、グレード構成は2種類を主軸としたシンプルなラインナップ。さらに、劇的なマイナーチェンジもなく特別仕様車も少ないため、選択肢が狭いモデルとなります。
そんなRVRですが、狙い目は特別仕様車の「アクティブギア」と「ローデスト」。しかし、RVRは中古車流通台数が少ないモデル(つまり、新車は人気薄)で、特別仕様車はさらに少なく稀少なモデルになります。RVRの中古車を探したときにタマがなかったら、年式と走行距離、価格の3点を中心にして候補を絞り込み、その中から装備と内外装の程度で気に入ったものを探す、といった流れで良いでしょう。また、RVRにこだわりがなければ、ライバル車から選んでも吉。
なお、3代目RVRは人気薄で新車販売が低迷しているため、中古車相場価格はSUVにしては安めの傾向です。
よくある質問
Q1:中古車のRVR、どれを買うべき?
A:買うべきなのは、2010年式以降の3代目。2代目の最も新しい年式ものでも2003年式となり、普段の足にするには古すぎです。3代目は、エンジン、グレードのラインナップがシンプルですので、特に「このモデル、グレードを買うべき!」と力説するものがありません。
Q2:中古車RVRを買うときに気を付けたいポイントは?
A:中古車で買いたい3代目RVRは、最も古い年式では2010年式と10年以上前となります。年式が古さに見合わず、走行距離が少なすぎるのは要注意。詳しくは前項「RVRならではのチェックポイント」をご覧ください。
Q3:中古車RVRはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車RVRに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年5月23日時点のものです。