「eKクロス」は三菱のヒンジドア・軽トールワゴン。4代目eKワゴンをベースに三菱の共通フロントデザイン「ダイナミックシールド」を施した、ワイルドな外観が特徴です。2019年にデビューしたばかりのモデルですが、そろそろ中古車市場にも流通しはじめています。そんなeKクロス、筆者がおすすめのグレードをお伝えします。
※三菱の軽自動車「eKシリーズ」に「eKクロス スペース」がありますが「eKクロス」とは別モデルとなります。「eKクロス スペース」は、スライドドア・軽スーパーハイトワゴンの「eK スペース」の派生モデルとなります。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車の三菱「eKクロス」は「G」グレード
- 新しいモデルでグレード構成がシンプルなため、中古車での選択肢は狭い
中古車eKクロス、おすすめモデルはズバリこれ。「G」グレード
eKクロスは、2019年3月のデビュー。まだまだ新しいモデルで、モデルチェンジは一度も行われていません(2021年5月25日時点)。したがって、eKクロスの中古車選びのポイントは「どのグレードを選べばいいのか」ということになります。
eKクロスのグレード構成は、自然吸気(ノンターボ)エンジンに2グレード、ターボエンジンに1グレードを設定しています。その中で筆者が最もおすすめするのは、自然吸気エンジンの上級グレード「G」です。
eKクロスのエンジンスペックは、自然吸気が最高出力52PS・最大トルク60N・m、ターボで同64PS・100N・mとなっています。自然吸気でも十分にパワーがあります。さらに、eKクロスは全車ハイブリッド。電気モーターの最高出力は2.7PS、最大トルク40N・mです。数値だけ見ると差はわずかな印象がありますが、モーターは0回転から最大トルクを発生させる性質があるため、停止状態からの発進、加速でも大きくアシストします(電動自転車をイメージしてみてください)。また、この性質から、信号が多い街乗りの実燃費は良くなります。さらに、雪国にお住まいの方、ウィンタースポーツが趣味の方向けの4WDも設定されています。
筆者も試乗したことがありますが、特に走りにこだわりがない方であれば、自然吸気エンジンで十分です。
長距離ドライブや、高速道路に乗ることが多い方には、オプションの先進安全技術「マイ・パイロット」を装備した中古車を選ぶことをおすすめします。これは、日産の先進運転支援システム「プロパイロット」と同じで(eKクロスは、日産と三菱の合弁会社が開発している)、ハンドルとアクセル、ブレーキ操作をシステムがサポートするもので、車線内の走行の維持と前走車との車間距離を一定に保持してくれ、ドライバーはハンドルに手を添えるだけ、アクセルとブレーキペダルから足を離しても運転ができます(高速道路上の使用が推奨されています)。
グレードは、eKクロスを中古車で買うなら上級グレードの「G」をおすすめします。まだデビューしたばかりですので、例えば同じ価格で、走行距離の少ないベースグレード「M」と走行距離が多い「G」があったとしたら(通常の中古車査定基準による走行距離の範囲内とします)、後者を選んだほうが吉。ただ、「M」でも必要最低限の装備は付いていますので、おすすめできないグレードではないことを補足しておきます。
2021年5月26日時点、eKクロス「G」の中古車流通台数は約250台。価格帯は80〜185万円、最多販売価格帯は120〜160万円となっています。
★ほかにも!魅力的な中古車eKクロス
eKクロスは、最も古い年式でも2019年式。モデルチェンジや大きな改良もなく、グレード構成もシンプルなため、選択肢がターボか、ノンターボぐらいになってしまいます。この項では、ターボモデルの特長とeKクロスのベースモデル「eKワゴン」の歴史をお伝えします。
eKクロスの歴史
初代「eKワゴン」 2001〜2006年
2001年10月、eKワゴンがデビュー。初代は、三菱自動車が開発、生産する5ドアの軽セミトールワゴン(ハッチバックにしては車高が高く、トールワゴンにしては車高が低い、中間に位置するボディタイプ)として誕生。車高は立体駐車場に入るサイズを意識した1,550mmに抑えられた。派生モデルは、2002年に「eKスポーツ」、2003年に「eKクラッシィ」、2004年にクロスオーバーSUV「eKアクティブ」が誕生している。「eK」の由来は「いい軽」の語呂から。
2代目「eKワゴン」 2006〜2013年
2006年9月にフルモデルチェンジ。5ドア・セミトールワゴンは継承。初代にあった派生モデルは、eKスポーツのみに引き継がれた。一部グレードで、左側リアドアをスライドドアにしたモデルをラインナップ。2代目も初代に引き続き、三菱自社開発生産。
3代目「eKワゴン」2013〜2019年
2013年3月にデビュー。三菱と日産の合弁会社「NMKV」が企画、開発を行う。開発の主体は三菱。日産では「デイズ」で発売。3代目は、ヒンジドア・軽トールワゴンになった。また、2代目までのeKスポーツは、3代目で「eKカスタム」に引き継がれた。2014年10月に派生モデルでスライドドア・スーパーハイトワゴンの「eKスペース」が誕生する。日産では「デイズ ルークス」が発売。
4代目「eKワゴン」、初代「eKクロス」 2019年〜
2019年3月にフルモデルチェンジ。3代目も先代に引き続き、合弁会社「NMKV」で企画されるが、開発の主体は日産が行う。3代目のeKカスタムは「eKクロス」に名称変更されたというより、eKカスタムが廃止になり、より三菱らしいSUV風に仕立てられた新しい派生モデルが誕生したといえる。日産では、eKクロスに該当する姉妹車がないが、3代目のeKカスタムに該当するスポーティーな外観デザインの「デイズ ハイウェイスター」がラインナップする。軽自動車の多くが採用する、1モデルで2つの異なるデザインをラインナップする体制だが、eKワゴン・デイズについては三菱ブランドと日産ブランドで方向性が異なるものとなった。
こちらもおすすめの「eKクロス」の中古車! eKクロス ターボ車 グレード「T」
● 余裕の走りを求めるなら ターボ車 グレード「T」
eKクロスのターボエンジン搭載車のグレードは「T」のみとなります。エンジンの最高出力は軽自動車自主規制の上限、64PSという数値。また、電気モーター(最高出力2.7PS・最大トルク40N・m)を組み合わせたハイブリッドで軽自動車では最強クラスの仲間入りとなります。
実際に走ってみると、軽自動車とは思えない加速力と、スムーズで余裕のある走りを感じます。高速道路を走ると、自然吸気エンジンとの差を感じます(自然吸気エンジンモデルでも軽自動車にしては十分で、問題なく高速道路を走れます)。燃費は自然吸気エンジンより数km落ちますが、余裕の走りとトレードオフだと考えることができるでしょう。
今日時点、eKクロスのターボモデル「T」グレードの中古車流通台数は約250台、中古車価格帯は85〜185万円、最多販売価格帯は120〜180万円となっています。
eKクロスならではのチェックポイント
新しいモデルですので、eKクロス特有の中古車選びの注意点、チェックポイントは今のところありません。eKクロスに限りませんが、中古車選びの基本、インテリアの汚れ(特にシート)はしっかりとチェックしましょう。
比べて検討!eKクロスのライバル車種
三菱「eKクロス スペース」
同じ「eKクロス」の車名が付いていますが、別の車種です。「eKクロス スペース」は、スライドドア・スーパーハイトワゴンの「eK スペース」の派生モデルで、「eKクロス」と同じSUVテイストの三菱共通デザイン「ダイナミックシールド」の顔を持つ車です。なお、エンジン、トランスミッション、駆動方式、先進安全技術をはじめとする装備は「eKクロス」と共通化されています。
「eKクロス」との違いは、「eKクロス スペース」は後席両側がスライドドアになること、車高が高いスーパーハイトワゴンとなることです。このため「eKクロス スペース」のほうが後席の広さに余裕があり、荷物が大きいときの積載も余裕があります。また、スライドドアと車高の高さから、車重も約100kgと重たくなりますが、この重さが乗り心地の重厚さをプラスして、上質な乗り味を演出しています。
スライドドアは、子育て世代にはおすすめのアイテム。4人乗車が多い方にもおすすめです。ライフスタイルによっては、eKクロスより「eKクロス スペース」のほうが合うことも多々あるでしょう。
2021年5月25日時点の中古車価格帯は107〜218万円、平均価格は約171万円、流通台数は230台ほどとなっています。
ダイハツ「キャスト アクティバ」
ダイハツのSUVテイストの軽自動車。基本設計はeKクロスより古いため、中古車価格は安くなります。価格重視でSUVテイストの軽自動車に乗りたいなら「キャスト アクティバ」を選択肢に入れてみてください。
2021年5月25日時点の中古車価格帯は47〜154万円、流通台数は610台ほどとなっています。
日産「デイズ ハイウェイスター」
中身はeKクロスとまったく同じ一卵性双生児。ワイルドなeKクロスに対して「デイズ ハイウェイスター」はスポーティー路線。価格帯も同じとなりますので、興味があれば比較検討を。
2021年5月25日時点の中古車価格帯は15〜183万円、流通台数は3,700台ほどとなっています。
三菱「eKワゴン」
eKクロスのベース車「eKワゴン」。価格帯はeKクロスよりこちらのほうが気持ち安くなります(現行モデル対比)。「やっぱり、オーソドックスなデザインでいいかな」と思ったら、eKワゴンから探してみましょう。
2021年5月25日時点の中古車価格帯は0.1〜158万円、平均価格は約56万円、流通台数は2,700台ほどとなっています。
中古車eKクロスはここで探せ!
では、中古車eKクロスをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年5月25日時点、グーネットでは、eKクロスの掲載件数は586件、価格帯は80~185万円、平均価格は約140円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からeKクロスが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとeKクロスを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年5月25日時点、カーセンサーでは、eKクロスの掲載件数は591件、価格帯は80~186万円、平均価格は約140万円となっています。
ワイルドなSUV風デザインが特徴のeKクロス。ターボかノンターボかの2択
あくまで現時点(本記事執筆時の2021年5月)においてのこととなりますが、デビュー後2年しか経っていない新しいモデルですので、世代や年式でのおすすめモデルがまだない状況で、グレード構成もシンプルかつ数が少ないため、選択肢はターボかノンターボ(自然吸気)の2択状態。
両エンジンともにハイブリッドを採用、4WDも設定していますし、ターボモデルは1グレードのみとなっています。
ノンターボでも通常の走行の範囲なら十分。加速の良さ、高速道路走行での楽さを求めるならターボを選ぶと吉です。
よくある質問
Q1:中古車のeKクロス、どれを買うべき?
A:2019年デビューの新しいモデルで、グレード数も少ないので、今のところ「これを買うべき!」というモデルがない状況です。前述のターボかノンターボで選択、あとは予算にあわせて買いましょう。
Q2:中古車eKクロスを買うときに気を付けたいポイントは?
A:最も古い年式でも2019年となり、走行距離も多くないタマばかりの中古車市場ですので、eKクロス特有の気をつけたいポイントは、今のところありません。どんな中古車でも同じですが、特にインテリア、シートの汚れ、傷みのチェックはしっかりとしてください。
Q3:中古車eKクロスはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車eKクロスに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年5月25日時点のものです。