当時コンパクトカーの世界代表モデルにもなった「ヴィッツ」。1999年のデビューから、2010年に「ヤリス」にバトンを渡すまでの歴史と、おすすめモデルや選び方のポイントをまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「ヴィッツ」はハイブリッドモデル
- 多彩なラインナップで個々のカーライフスタイルに合ったモデルが選べる
中古車ヴィッツ、おすすめモデルはズバリこれ。ハイブリッドモデル
ヴィッツは1999〜2005年式の初代、2005〜2010年式の2代目、2010〜2020年式の3代目と全3世代が中古車市場に流通しています。このうち、初代と2代目は基本設計が古く、安全性能も劣り、経年劣化や故障リスクが高いことなどから、中古車を選ぶなら3代目からとしたいところです。
3代目ヴィッツで、おすすめモデルを1台挙げるとすれば、2017年1月にデビューした、ハイブリッドモデル。年式も新しく、衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスC」を採用しており(最新版のトヨタセーフティセンスに比べると機能が見劣りしますが)、燃費と走りがいいところがおすすめの理由です。
ヴィッツ ハイブリッドモデルの中古車価格帯は、67万〜209万円(2021年6月29日時点)となっています。
★ほかにも!お魅力的な中古車ヴィッツ
多彩なラインナップを誇るヴィッツは、スポーツモデルもラインナップしています。この項では、そのモデルの紹介とヴィッツの歴史をお伝えします。
ヴィッツの歴史
初代(1999〜2005年)
1999年1月13日に「スターレット」の後継車としてデビュー。当時はまだコンパクトカーという言葉が一般的に使われておらず、「2ボックス」や「ハッチバック」などと呼ばれていた。
ヴィッツがデビューした1999年は、ミレニアム前年ということで盛り上がった年。ヴィッツは21世紀のモビリティを念頭において開発された。
ヴィッツは3ドア・5ドアのハッチバックでデビューした。当時のコンパクトカーは3ドアが主流の時代。今のコンパクトカーは5ドアしかない(ヤリスのスポーツモデルなどの特殊なモデルにしか3ドアはない)ことと比べると、車の文化と歴史の流れを感じるものである。また、トランスミッションはマニュアル車が基本のラインナップ構成だったことも今とは大きく異なる点である。
エンジンは、1.0・1.3L・1.5Lガソリンの3タイプの排気量、トランスミッションは、CVT(無段変速機)・4速AT・5速ATが排気量に応じて組み合わせられた。駆動方式は、2WD(前輪駆動)を基本とし、一部グレードで4WDも選べるようにされた。なお、1999年1月のデビュー時は、1.0L車・CVTのみのラインナップで登場、同年8月に1.3Lの4WDを追加、2000年10月に1.5Lのスポーツグレード「RS」が追加された経緯がある。
車両価格は、83万〜131万円で設定された。
2代目(2005〜2010年)
2005年2月1日にフルモデルチェンジし、発売。この頃には、コンパクトカーという言葉は使われはじめており、AT車比率が完全に高まったころでもある。
2代目はヒットモデルとなった初代のキープコンセプトで開発、初代に設定された3ドアは廃止、5ドアハッチバックのみとなった(海外仕様では3ドアがあった)。エンジンは、フルモデルチェンジ当初から1.0L・1.3L・1.5Lガソリンの3タイプと、2WDと4WD(1.3L車のみ)、全車ATを基本設定(1.5L「RS」のみ5速MTを設定、4WDは4速ATの組み合わせ)というラインナップで販売された。
2代目は、初代でも評判の高かった低燃費と実用性の高さを引き継ぎ、環境性能や走行性能、燃費性能、居住性など全方位で進化させた。
▼2007年8月27日 マイナーチェンジ
フロントのバンパー、グリル、ヘッドライトとリアのバンパー、コンビネーションランプのデザインを変更(「RS」を除く)、快適装備の追加やインテリアの質感向上が図られた。
3代目(2010〜2020年)
2010年12月22日にフルモデルチェンジし発売。3代目も先代のキープコンセプトで開発、あらゆる性能と使いやすさを向上させた。
3代目のフルモデルチェンジ時には、ヴィッツは初代から通算して世界70ヵ国以上で販売され、累計販売台数が350万台を超えるセールスを記録、日本国内の累計販売台数だけでも140万台を超えるという、トヨタの大黒柱となる車種のひとつとなった。また、日本のモータリゼーションにおいても、コンパクトカーの人気と需要が確固たるものとなり、国内外の全自動車メーカーが力を入れるカテゴリーとなった。
ボディタイプとパワートレインのラインナップは、2代目の構成を踏襲した格好となり、車両価格は106万〜179万円で販売された。
▼2013年8月7日 「GRMN ターボ」を200台限定発売
トヨタのモータースポーツを担当する「GAZOO Racing(当時の名称)」が開発。ボディタイプは3ドアハッチバックで、最高出力152PSに高められた1.5Lガソリンターボエンジンを搭載、5速マニュアル、2WD(FF)というパワートレインで登場した。車両価格は、270万円で販売された。
▼2014年4月21日 マイナーチェンジ
フロントフェイスは、トヨタのデザインテーマ「キーンルック」に変わった。主力の1.3Lガソリンは新開発エンジンに載せ替えられ、25km/L(JC08モード)とクラストップレベルの低燃費を達成しつつ、走行性能も引き上げられた。車両価格は、116万〜199万円で販売された。
2015年6月30日に一部改良を実施、衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスC」を標準装備(一部グレードを除く)した。車両価格は、115万〜205万円で販売された。
▼2017年1月12日 マイナーチェンジ・ハイブリッドモデルを追加
1.5Lガソリン車に、ハイブリッドモデルを追加、34.4km/L(JC08モード)という低燃費を達成しながら、モーターのアシストによるスムーズで力強い加速力を実現した。この発表時点で、1999年のヴィッツ登場以来、世界80ヵ国で販売、世界累計販売台数700万台を超す、初代から変わらない安定した人気と販売実績を記録している。ハイブリッドモデルの車両価格は、182万〜224万円で販売された。
▼2017年11月21日 「ヴィッツ GRMN」限定150台で発売
トヨタのモータースポーツを担う「GAZOO Racing Company」が手を加えた本気のスポーツモデル、「GRMN」を限定150台で発売した。車両価格は、400万円。専用のチューニングを施した1.8Lスーパーチャージャー付きガソリンエンジンを搭載、6速MTが組み合わせられ、専用のエアロパーツやアルミホイールでエクステリアをドレスアップ、強化ブレーキも採用された。
2018年5月31日に一部改良を実施。衝突回避支援パッケージを「トヨタセーフティセンス」に名称変更(Pが取れただけ)、「プリクラッシュセーフティ」に昼間の歩行者を検知対象に加えたほか、アクセルペダル踏み間違い時の衝突被害軽減機能「インテリジェンスクリアランスソナー」を新たにオプション設定にするなど、安全性能が強化された。
2020年2月、フルモデルチェンジされると同時に車名を「ヤリス」に変更し、3代にわたるヴィッツの歴史に幕を下ろした。
こちらもおすすめ! <タイプ別>中古車ヴィッツ
●走りの良さを求めるなら「GR」シリーズ 中古車相場120万〜210万円
150台限定の本気のコンプリートカー「GRMN」第2弾は、中古車市場で流通するのはまれ、あってもプレミア価格がつくこと必至のマニア向けモデルですが、「GRスポーツ」ならほど良いスポーツモデルとなります。
ヴィッツならではのチェックポイント
ヴィッツは多彩なモデル構成がラインナップされています。ヴィッツならではの選び方のチェックポイントは、「グレードは何にするか?」となるでしょう。
ヴィッツのグレード構成は、ベーシックグレードから順に、「F Mパッケージ」→「F」→「Jewela」→「U」となります。「RS」もありますが、これはスポーティーグレードで別格の扱い。また、各グレードには「SMART STOPパッケージ」の名称のアイドリングストップが搭載されたパッケージグレードが設定されています(前期型では「F」のみに設定)。
エンジンは、「F」と「Jewela」に1.0Lと1.3L、「U」に1.3Lと1.5Lが設定され、「RS」は1.5Lのみ、「F Mパッケージ」は1.0Lのみの設定となっています。後期型のハイブリッドは、「F」「Jewela」「U」が設定されています。
グレードごとの特徴は、
F Mパッケージ:最も装備が省かれている。営業車向け。
F:ベーシックグレード
Jewela:Fをベースに、女性向けの装備をプラス
U:最も装備が充実
RS:スポーツグレード
となっています。
装備の差は、おもに快適装備の有無となり、グレード間で差がつけられています。装備の詳細は多岐にわたるのでここでは割愛しますが、中古車選びの際は、グレードより、どの装備がついているかという角度で絞り込みをかけたほうが効率的でしょう。
あとは、保証がしっかりとついた車を選ぶようにすれば、後悔しないで済むことでしょう。
比べて検討!ヴィッツのライバル車種
ホンダ「フィット」
ヴィッツと販売台数を競り合った好敵手がフィット。ヴィッツからヤリスへフルモデルチェンジしたのと、ほぼ同じタイミングでフィットもフルモデルチェンジされた。ヴィッツと同じ世代の先代モデルが比較検討になります。
2021年6月29日時点の中古車価格帯は0.1万〜269万円、平均価格は約88万円、流通台数は5,600台ほどとなっています。
日産「ノート」
ノートもヴィッツと販売台数を競り合ったライバル車。ノートも2020年11月に新型へフルモデルチェンジ。先代モデルがヴィッツの比較検討対象車となります。
2021年6月29日時点の中古車価格帯は1万〜278万円、平均価格は約97万円、流通台数は8,000台ほどとなっています。
マツダ「デミオ」
2019年のマイナーチェンジで「MAZDA2(マツダ2)」へ車名変更されたコンパクトカー。こちらはちょっとプレミアム路線。価格帯はそこまでプレミアムではありません。1.5ディーゼルターボ車も設定。これはコンパクトカーでは唯一の存在の人気モデルです。
2021年6月29日時点の中古車価格帯は1万〜215万円、平均価格は約79万円、流通台数は3,000台ほどとなっています。
中古車ヴィッツはここで探せ!
では、中古車ヴィッツをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年6月29日時点、グーネットでは、ヴィッツの掲載件数は3,573件、価格帯は3万~369万円、平均価格は約66万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年6月29日時点、カーセンサーでは、ヴィッツの掲載件数は3,501件、価格帯は13万~398万円、平均価格は約75万円となっています。
「日常の足として使う車、どれがいいか決められない」ならヴィッツをどうぞ
ヴィッツは初代からの全世代で、世界中で記録的な販売台数となった人気モデル。日本でも常に販売台数ランキング上位に君臨し、コンパクトカーの強豪がそろうヨーロッパ市場でもトップクラスの売れ行きを記録しています。21世紀で最も売れたコンパクトカーのうちの1台。これだけで選ぶ理由になるでしょう。
よくある質問
Q1:中古車のヴィッツ、どれを買うべき?
A:ヴィッツはコンパクトカーという枠の中で多彩なラインナップを展開しており、個々のカーライフスタイル、用途に応じた選択ができるようになっています。このため、モデルという観点から「これを買うべき!」と特定のモデルを挙げることは難しいですが、中古車の選び方の観点からは、「保証がしっかりと付いた車を買うべき」とアドバイスさせていただきます。
Q2:中古車ヴィッツを買うときに気を付けたいポイントは?
A:ヴィッツの中古車を選ぶ際に、車種固有の懸念点、チェックポイントは特に見当たりません。どんな車種にも共通していえる中古車選びの基礎をしっかり押さえておけばよいでしょう。しっかりとした保証がついていれば、購入後の心配は少なくなります。
Q3:中古車ヴィッツはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車ヴィッツに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年6月29日時点のものです。