トヨタ「タンク」は2016年11月から2020年9月まで販売された、コンパクト・トールワゴン。実用性の高さと全長3.7mという扱いやすいボディサイズがウリ。そんなタンクの中古車をお探しの方へ、おすすめモデルと選び方の注意点をまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「タンク」は2018年11月一部改良モデル
- 走りに余裕があるターボ車。ノンターボ車には4WDも設定。
中古車タンク、おすすめモデルはズバリこれ。2018年11月一部改良モデル
トヨタ「タンク」は、2016年11月に姉妹車の「ルーミー」と同じタイミングでデビューした、2BOXのコンパクト・トールワゴンです。なお、タンク/ルーミーは、ダイハツから「トール」のOEM供給を受けたモデルです。トールのデビューも、タンクとほぼ同時期(数日の差でトールのほうが遅い)となっています。さらに、トールはスバルにもOEM供給され「ジャスティ」の車名で販売されています。このため、「タンク」「ルーミー」「トール」「ジャスティ」という4兄弟モデルとなりました。
これら4兄弟の違いは、フロントフェイスに最も大きくあらわれています。タンクは端正な顔つきでスポーティーな印象が強めにデザインされています。エンジンやトランスミッションといったパワートレインは、4兄弟に違いはなく、グレード構成に違いはあるものの、装備の差はない、実質中身はすべて同じとなっています。
エンジンは、1.0Lの排気量で自然吸気(ノンターボ)とターボが設定され、トランスミッションは全車CVT(無段変速機)が組み合わされています。駆動方式は2WD(前輪駆動)で、1.0Lノンターボ車には4WDが追加設定されています。
また、タンクには顔つきが異なる「カスタム」の名称が与えられたモデルがあり(ほかの兄弟車も同様)、フロントフェイスのデザインと装備の違いがあり、カスタムのほうが上級志向となっています。
タンクの中古車選びに際して、ノンターボorターボ、標準モデルorカスタム、どちらを選んだらいいのかについてのアドバイスは、本記事中盤「タンクならではのチェックポイント」の項でお伝えしています。
タンクの販売期間は2016年11月から2020年9月までと短いのは、2020年9月に実施されたルーミーのマイナーチェンジ時に、タンクが廃止され実質的にルーミーに統合されたためです。この背景には、2020年5月から、トヨタ全ディーラーが全車種併売化となり(東京地区では2019年5月から先にそれまでの4系統販売チャネルから「トヨタモビリティ東京」へ統合されている)、人気の高かったルーミーに集約されたという状況がありました。
そんな短命なタンクの中古車で、最もおすすめするのは、2018年11月の一部改良モデルです。このモデルはそれまでメーカーオプションだった先進予防安全技術「スマートアシストII」が「III」にバージョンアップし機能が強化され、かつ全車標準装備となりました。さらに、車両の四隅にセンサーを設けて障害物が接近すると警告音でドライバーに知らせるコーナーセンサーも全車標準装備されたのも、おすすめの理由です。
この一部改良モデルの中古車価格帯は、80万〜198万円となっています。
★ほかにも!魅力的な中古車タンク
この項では、タンクに設定される4WDモデルとターボ車の紹介と、タンク誕生から販売終了までの歴史をご覧ください。
タンクの歴史
2016年11月9日「タンク」デビュー
ダイハツ「トール」のOEM供給を受けて、発売されたコンパクト・トールワゴン。全長3.7mというコンパクトなボディながら、ミニバン並みの室内高の高さを有した実用的なモデル。姉妹車は「ルーミー」。エンジンは、1.0L自然吸気(ノンターボ)と、1.0Lターボの2タイプ。1.0Lターボは、1.5L自然吸気エンジン並みのパワーを発生する。トランスミッションは全車CVTで、ノンターボ車には4WDも設定された。さらに、先進予防安全技術「スマートアシストII」をオプション設定し安全性能も強化されている。また、フロントフェイスが異なる「カスタム」もラインナップ。軽ハイトワゴンによく設定される2フェイス体制が、タンクにも採用されている。
2018年11月1日 一部改良
先進予防安全技術「スマートアシストII」が「スマートアシストIII」にバージョンアップし、歩行者も検知する衝突回避支援ブレーキや、オートハイビームなどの機能が追加され、全車標準装備となった。また、車両の四隅に障害物の接近を検知しドライバーに警告音で知らせるコーナーセンサーも全車標準装備とし、安全性能が高められた。
2020年9月14日 販売終了
姉妹車のルーミーのマイナーチェンジにあわせて販売終了した。この背景には、トヨタの販売ディーラーの全車種併売化により、モデルを分けている意味がなくなってしまったことが、最も大きい要因となった。
こちらもおすすめ! <タイプ別>中古車タンク
●「冬場はスタッドレスタイヤに履き換える」という方なら4WD車 中古車市場の相場80万〜200万円
タンクはノンターボ車に4WDを設定しています。中古車市場では流通台数の2割程度が4WD車となっていました。なお、中古車価格は2WDと比較するとやや高いものが目立ちます。
●走りにこだわるならターボ車 中古車市場の相場65万〜180万円
タンクの1.0Lターボは、ノンターボエンジンの最高出力より29PSも高い98PS。1.5L自然吸気エンジン並みのパワーを持っています。それでいながらも、ノンターボ車との燃費差を2km/L程度に抑えた高効率なエンジンでもあります。
タンクならではのチェックポイント
タンクは新しいモデルですので、中古車を選ぶ上で、車種固有のチェックポイントとなる点は今のところ特にありません。どの車種においても共通となる中古車選びの基礎は、しっかりと踏まえていただきたいですが、車にしっかりとした保証が付いていれば、さほど神経質にならなくてもいいでしょう。
どちらかといえば、タンクはどのモデルを選んだらいいのか?がポイントとなってくるでしょう。タンクは、標準モデルと「カスタム」の2モデル構成で、エンジンは自然吸気(ノンターボ)とターボの2タイプが設定されており、どちらを選ぶか、この2点はタンクの中古車を選ぶ上でのチェックポイントとなります。
標準モデルか?「カスタム」か?
標準モデルと「カスタム」の外観上の違いは、下の画像で見比べて確認してみてくだ
さい。両方のヘッドライトの間をつなぐグリルがブラックアウトされたのがカスタムで、バンパーの形状が異なっています。顕著な違いではありませんが、全体的に標準モデルよりカスタムに上質感と迫力をもたせた印象になっています。
▼標準モデル
▼カスタム
また、標準モデルとカスタムは、装備の違いがあり、カスタムのほうが充実した装備となっています。カスタムには標準モデルに設定されているベースグレード「X」の設定がありませんが、同じ「G」同士で新車車両価格を比較すると、約15万円ほどカスタムのほうが高い設定となっています。この価格差は、主に快適装備の差となっています。しかし、中古車市場では、同じ年式、同じ走行距離でも、必ずしもカスタムのほうが高くならないものです。これには、ボディカラーの違い、内外装の状態の差などさまざまな要因が重なって買取りないしは下取り価格が査定され、中古車価格に反映されるという仕組みが影響しています。
したがって、標準モデルかカスタムかは、単にデザイン上の好みだけで選んでも差し支えのないと言えるでしょう。なお、装備差はグレードにより設定が異なるので、欲しい装備があるときは、装備を軸にして探してみましょう。
ノンターボorターボ、どっちがいい?
「私は、アクセルを床まで踏んで走ることはあまりない」という方は、ノンターボで十分でしょう。ノンターボでも十分なパワーがあります。ただ、大人4〜5人が乗ったときの加速や、急な登り坂、高速道路での追い越し時では、パワーに物足りなさがあります。走りに余裕が欲しい方は、ターボを選択したほうが良さそうです。
燃費については、実燃費で以前ほど差が開きません。カタログ燃費でも2km/L程度の差となっていますので、燃費の良さだけでノンターボを選ぶという車ではありません。
比べて検討!タンクのライバル車種
スズキ「ソリオ」
タンクの最大のライバル、ソリオ。こちらはハイブリッドエンジンを搭載しています。2020年にフルモデルチェンジをしている新型というのも強みですが、中古車価格では新型は高めです。先代ソリオとタンクを比較すると、基本設計が新しいタンクのほうに軍配があがります。
2021年6月28日時点の中古車価格帯は9万〜266万円、平均価格は約97万円、流通台数は1,800台ほどとなっています。
トヨタ「ルーミー」
ライバル車というより、姉妹車ですが、中古車選びの上なら完全たる対抗馬。タンクのデザインにこだわりがなければ、同一グレード、同一走行距離帯、同一年式で比較するべし。
2021年6月28日時点の中古車価格帯は45万〜259万円、平均価格は約140万円、流通台数は2,000台ほどとなっています。
ダイハツ「トール」
タンクのOEM供給元モデル。顔つきはタンクとそっくりです。トヨタのエンブレムにこだわりがなければ、トールも同一グレード、同一走行距離帯、同一年式で比較検討してみてください。タマにもよりますが、同一条件ではトールのほうが車両価格が安くなるケースもあります。
2021年6月28日時点の中古車価格帯は55万〜253万円、平均価格は約153万円、流通台数は1,400台ほどとなっています。
スバル「ジャスティ」
ジャスティもトールのOEM供給を受けたモデルです。2020年のマイナーチェンジで、グレード整理されて、顔つきはルーミー カスタムと似たもののみのラインナップとなりました。マイナーチェンジ前のモデルでは、タンクと瓜二つのモデルとなります。こちらとも同一条件で比較検討してみる価値があります。ただ、流通台数は4兄弟のうち、最も少なくなります。
2021年6月28日時点の中古車価格帯は72万〜198万円、平均価格は約129万円、流通台数は80台ほどとなっています。
中古車タンクはここで探せ!
では、中古車タンクをどこでどのように探したら良いでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年6月28日時点、グーネットでは、タンクの掲載件数は2,100件、価格帯は55万~198万円、平均価格は約134万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年6月28日時点、カーセンサーでは、タンクの掲載件数は2,070件、価格帯は55万~210万円となっています。
短命に終わったタンク。狙い目は安全装備が充実した2018年11月一部改良モデル
トヨタの販売体制変更の影響を受けて、デビュー後4年に満たずして販売終了となってしまったタンク。トヨタディーラーの全車種併売化は成功したといえる状況ですので、犠牲になってしまったわけではなさそうです。
タンクの中古車を探すなら、狙い目は「スマートアシストIII」が全車標準装備になった2018年11月の一部改良モデル。どうせ乗るなら安全性の高いモデルを選びたいものです。
よくある質問
Q1:中古車のタンク、どれを買うべき?
A:タンクは2016年11月のデビューと新しいモデルで「これを買うべき」と強く推したいモデルがありません。しいておすすめするとするなら、スマートアシストIIIが全車標準装備となって安全性能が強化された、2018年11月の一部改良モデルです。
Q2:中古車タンクを買うときに気を付けたいポイントは?
A:前項「Q1」でもお伝えしましたが、タンクは新しいモデルですので、今のところ、車種固有の気を付けたいポイントはありません。選び方のポイントについては前項「タンクならではのチェックポイント」の項をご覧ください。
Q3:中古車タンクはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用すると良いでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車タンクに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年6月28日時点のものです。