トヨタ「SAI(サイ)」は、2009〜2017年に販売されたハイブリッド・ミドルセダン。クラウン ハイブリッドとプリウスの間を埋めるモデルとされていました。SAIの中古車をお探しの方に、おすすめモデルと選び方の注意点をまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「SAI」は後期型 2015年11月一部改良モデル
- 車両価格がこなれた前期型もおすすめだが乗り心地の評価は悪い
中古車SAI、おすすめモデルはズバリこれ。後期型 2015年11月一部改良モデル
SAIは、2009〜2017年に販売された1世代のみとなります。なお、2013年8月にマイナーチェンジを実施し、フロントフェイスやリアのデザインが大きく変わっています(詳しくは本記事中盤「SAIの歴史」の項をご覧ください)。このほか、マイナーチェンジや大きな改良はなく、前期型は2009〜2013年式、後期型は2013〜2017年式となります。
その中で最もおすすめとなるのは、後期型で2015年5月の一部改良を受けたモデル。これは、SAIの最終モデルとなります。2013年のマイナーチェンジモデルとの最も大きな違いは、サスペンションのチューニングとステアリングギア比の変更となります(トヨタは、99%以上カットできる紫外線の波長の上限を、従来型の380nmから400nmに変更した世界初の「スーパーUV400カットガラス」を採用したことを最も大きなトピックとして発表していましたが)。これにより、ハンドリングや操縦安定性が向上しています。SAIの前期型は乗り心地に関する評価が悪く、マイナーチェンジ時に足回りが改良され、ボディ剛性も一定のレベルには達しましたが、この一部改良でさらに改善されました。
後期型 2015年5月一部改良モデルの中古車価格帯は、80万〜248万円(2021年6月29日時点)となっています。
★ほかにも!お買い得な中古車SAI
この項では、前期型の中古車価格帯について紹介します。その前に、SAIの誕生から販売終了までの歴史をご覧ください。
SAIの歴史
▼2009年10月20日 新型ハイブリッド・セダン「SAI」発売
「SAI(サイ)」は、「才」と「彩」をコンセプトに開発された。2.4Lハイブリッドガソリンにモーターと「リダクションギア(減速歯車)」を組み合わせたハイブリッドシステム「リダクション機構付きのTHS II」を搭載。エンジンの最高出力は150PS、最大トルクは187N・m、モーターの最高出力は143PS、最大トルクは270N・m、システム総合最高出力は190PSの余裕あるパワーと、23.0km/L(JC08モード)という低燃費を両立した。駆動方式は2WD(前輪駆動)のみ、ボディサイズは、全長4,605mm・全幅1,770mm・全高1,495mmのミドルクラスセダン。クラウン ハイブリッドとプリウスの間を埋めるモデルとして発売された。
エンジンは、吸気バルブを閉じるタイミングを遅くすることで、膨張比を高めて熱効率を向上させ、圧縮比を低減する「アトキンソンサイクル」を採用したほか、冷却水を排気熱で温め、エンジンの暖機運転の時間を短縮、かつ外気温が低いときの効率を高める、排気熱再循環システムを採用するなど、高度な技術が盛り込まれた。
プラットフォーム(シャシーなどの基本構造物)は、プリウスと共通のものを採用、パワートレインは、レクサス HSと共通となった。
インテリアでは先進性の高いデザインが特徴的で、通常はシフトが配置されているところに、カーナビやオーディオ、エアコンなどの操作スイッチをまとめた「リモートタッチ」が採用された。これはレクサス車ではすでに採用されていた方式だが、SAIがトヨタ車で初の採用となった。
グレード構成は2タイプで、ベースグレードの「S」と上級グレードの「G」があり、それぞれにレーダークルーズコントロール(前走車と一定の車間距離を自動で保って走行する運転支援機能)やプリクラッシュセーフティ(衝突回避支援機能)などの予防安全装備と、フロント・リアバンパー、リップスポイラーなどをスポーティーなものにした「ASパッケージ」が設定された。車両価格は、338万〜426万円で販売。
▼2010年2月に、プリウスのブレーキに関する不具合がメディアで大々的に報じられ、プリウスと同じブレーキシステムを有するSAI、レクサス HSなどへのリコールが国土交通省に届け出された。また、トヨタが異例の謝罪会見を行い、「リコールに関するお詫びと運転時のお願い」を公式に出した。
▼2010年10月19日 トヨタのハイブリッド車の国内累計販売台数100万台達成を記念した特別仕様車「LEDエディション」が発売
各グレードに特別仕様車を設定、LEDヘッドライトを標準装備に追加し、スポーティーフロント・リアのバンパーとリアリップスポイラーを追加、特別色グレーメタリックも選択できるようにされた。「G LEDエディション」では、ツートーンの本革シートを、「S LEDエディション」ではツートーンスエード調ファブリックシート表皮をそれぞれ採用、インテリアには質感向上の加飾などが施された。この特別仕様車の車両価格は、276万〜360万円で販売された。
▼2011年10月11日 一部改良
植物資源、バイオPETを室内表面積の約80%へと採用拡大、燃費も24.0km/L(改良前に比べて+1.0km/L)に改良された。また、フロント・リアサスペンションのメンバーに補強バーを追加し、走行安定性と操縦性を向上、ショックアブソーバーのセッティングを見直して乗り心地も向上させた。エクステリアでは、フロント下部のグリルとドアパネルにメッキモールを追加、インテリアではセンタークラスターに木目調の加飾を追加、高級感を高める演出が施された。さらに新しいグレードでは、エクステリアをスポーティーなものにした「ツーリングセレクション」と、安全装備を充実化した「Aパッケージ」を追加した。車両価格は、338万〜437万円で販売された。
▼2013年8月29日 マイナーチェンジ
ヘッドライトやフロントグリル、バンパー、リアコンビネーションランプなどエクステリアデザインを大幅に変更、インテリアでは、センタークラスターのデザインを一新。キャビンでは、吸音材・遮音材の増強と遮音ガラスの採用で静粛性の向上が図られ、エンジンマウントを改良し振動も抑えた。ボディではスポット打点を追加しボディ剛性を向上、足回りではパフォーマンスダンパーの設定により走行安定性の向上が図られた。パワートレインに変更はないが、ハイブリッド制御は変更され、燃費は22.4km/L(JC08モード)と従来型の-1.6km/Lとなった。また、AC100Vの電源がとれるアクセサリーコンセントを一部グレードに設定し、災害時などの非常用電源も確保できるようにされた。車両価格は、321万〜421万円で販売された。
▼2015年5月11日 一部改良・特別仕様車「G Viola」を発売
世界初の「スーパーUV400カットガラス」を採用。99%以上カットできる紫外線の波長の上限を、従来型の380nmから400nmに変更したもので、快適性の向上が図られた。また、洗車時などでボディ表面につく小さなキズなどを自己修復するクリア塗装「セルフリストアリングコート」を全ボディカラーに採用した。安全装備では、坂道発進時にずり下がりを緩和する「ヒルスタートアシストコントロール」に坂道検知機能を追加した。さらに、サスペンションのチューニングとステアリングギア比が変更され、操縦時の車両応答性と操縦安定性を向上させた。グレードは整理されて「S」「S Cパッケージ」「G」「G Aパッケージ」の4タイプ、車両価格は、330万〜434万円で販売された。
特別仕様車は「G」グレードをベースに、専用色ダークバイオレットをシート表皮などインテリアの随所に配し、シートヒーター(前席)、スカッフイルミネーションを前席に装備した。ボディカラーに専用色「スパークリングブラックパールクリスタルシャイン」がオプションで選べるように設定された。「G Violet」の車両価格は、400万円で販売。
2017年11月 販売終了。後継車はなく、実質的にカムリに統合される格好となる。
こちらもおすすめ! <タイプ別>中古車SAI
● 購入価格重視なら 前期型 中古車市場の相場 25万〜100万円
前期型の年式は、2009〜2013年式と古いことから、100万円を超えるタマはわずかです。乗り心地が良くないという悪い評判もありますが、プリウスとクラウンの中間のハイブリッド・セダンは貴重な存在。高級志向のセダンということもあり、全体的にちょっと高めのような気もしますが、相場価格はこなれてきていますので、購入価格重視で選ぶなら前期型もアリです。
SAIならではのチェックポイント
SAIの販売終了は、2017年でした。したがって、中古車市場で流通している最も新しい年式は2017年となり、デビュー当時の2009年式からと古いタマが多いモデルです。
SAIに限らず、年式の古い車は故障リスクが高くなります。そこで必ずチェックしたいのが、保証です。最近は、ほとんどの中古車に保証がついていますが、保証期間が数ヵ月と短いものも無数にあります。目安としては1年以上・走行距離無制限の条件がおすすめです。それ以下の場合、故障リスクが高い車と考えて間違いはないでしょう。
比べて検討!SAIのライバル車種
トヨタ「カムリ」
SAIの真っ向勝負の相手となるハイブリッド・ミドルクラスセダンは不在。SAIより少し上のクラスでボディサイズも大きくなってしまいますが、カムリの9代目(2011〜2019年)は、SAIと同世代のハイブリッド・セダンです。
9代目カムリの2021年6月29日時点の中古車価格帯は40万〜230万円、流通台数は330台ほどとなっています。
レクサス「HS」
SAIと同じパワートレインをもつレクサス HS。SAIと姉妹車かどうかの議論が巻き上がったモデルです。実質的には、SAIのレクサス版と考えて間違いはなさそうです。HSのほうが当然高級ですが、中古車なら比較検討して選べる価格のタマもあります。
2021年6月29日時点の中古車価格帯は30万〜358万円、平均価格は約120万円、流通台数は400台ほどとなっています。
中古車SAIはここで探せ!
では、中古車SAIをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年6月29日時点、グーネットでは、SAIの掲載件数は674件、価格帯は25万~248万円、平均価格は約102万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年6月29日時点、カーセンサーでは、SAIの掲載件数は635件、価格帯は24万~222万円、平均価格は約90万円となっています。
唯一のハイブリッド・ミドルクラスセダン
クラウン ハイブリッドとプリウスの間を埋めるミドルクラスのハイブリッド・セダンとして登場したSAI。その中間層の需要はあまりなかったのか、販売台数はいまいち伸び悩み、1世代で終わってしまいました。
逆にいえば、貴重な存在。ボディサイズも大きすぎず、小さすぎず。高級セダンにしてみれば、ちょっと物足りなさはありますが、そこがいいという方にはおすすめです。
よくある質問
Q1:中古車のSAI、どれを買うべき?
A:1世代しかなく、グレード構成もシンプルなモデルで「これを買うべき」とイチオシするものがない状況です。おすすめは、乗り心地が良くなった後期型ですが、前期型は中古車相場価格がこなれてきていますので、買い時かもしれません。詳しくは本記事冒頭をご覧ください。
Q2:中古車SAIを買うときに気を付けたいポイントは?
A:販売終了が2017年と、中古車では年式が古いモデルが多くなりますので、しっかりと保証がついた車を選ぶよう注意してください。
Q3:中古車SAIはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車SAIに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年6月29日時点のものです。