背を高くすることで車内の居住性と積載性を高めたハッチバックがトヨタ「ラクティス」。その利便性と走りの良さからヒットモデルとなりました。人気車種だけに中古車の流通量も多く、自分に合った1台を選ぶのはなかなか大変です。この記事では中古車のラクティスなら、どのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「ラクティス」は2014年式1.5Gプライムスタイル
- 2代目後期モデルも新車時より100万円以上安く買えるように。それなら最上級グレードを!
中古車のラクティス、おすすめモデルはズバリこれ。自分なら「2代目後期型の1.5S」を70万円で買う!
中古市場にあるラクティスは初代と2代目に分かれます。初代は相場が10万〜70万円、2代目は相場が20万〜130万円です。その中から筆者が選ぶのは、2代目マイナーチェンジ後の上級グレードである1.5Sです。
初代ラクティスが生産されていたのは2005年10月〜2010年10月と、最終モデルでも10年以上前に。2代目の相場もこなれている中だと、現実的な選択肢は初代ではなく2代目になります。
2代目の前期モデルは全グレード、ハロゲン式のヘッドライトが標準装備でディスチャージヘッドライトは上級グレードでオプション設定でした。2014年5月のマイナーチェンジで上級グレードの1.5Gプライムスタイルはバイキセノン式のディスチャージヘッドライトが標準装備に。特に夜間の暗い道を走る際は視界確保が重要。明るいヘッドライトが備わるのは助かります。
もちろんオートエアコンやスマートキーといった普段使いで欠かせない便利装備もついています。
荷室も広いラクティスに乗るなら、週末は家族や友人と遠出を楽しみたいところ。それを考えると排気量はパワーに余裕のある1.5Lのほうが助かります(1.3Lは車内に入ってくる音がやや大きめでした)。
1.5Gプライムスタイルの中古車は流通量が20台弱と少なめ。でも新車時価格より100万円以上安い価格の中古車も見つかるようになった今、じっくり探す価値のあるグレードです。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車のラクティス
イチオシモデルとして紹介した2代目後期モデルの1.5Gプライムスタイル以外にも、ラクティスはさまざまな視点で魅力的な中古車を探すことができます。街乗りが中心で燃費にこだわるのであれば排気量が小さな1.3Lモデル、2代目で価格にこだわるなら前期モデル、室内の高さが欲しい人は年式が古くなりますがあえて初代を選ぶのがおすすめです。小さくて便利に使えるラクティスなので、何を優先するかを決めてグレードを決めていきましょう。
ラクティスのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
小さなボディからは想像できない、大人4人がゆったり座れる室内を確保して大ヒットした初代ヴィッツには、背を高くして積載性を高めたファンカーゴという派生モデルが設定されました。
ラクティスはファンカーゴの後継車として2005年10月に登場したモデルです。
ラクティスがデビューした2000年代はミニバンが最盛期を迎えていたころ。その影響で2列シートのハッチバックでも室内空間を広くとったモデルに乗りたいという需要が高まっていました。そんな中で登場したラクティスがデビューすると瞬く間に大ヒットモデルとなります。
フロントのバンパーからルーフまで線をスッと描いたように続くワンモーションフォルムは当時とても新鮮で、スポーティーなイメージを多くの人に与えました。ボディサイズは全長3,955mm×全幅1,695mm×全高1,640mm。5ナンバーサイズでも全高を高く設定したことで開放的な室内空間を確保。これは軽トールワゴンと同じ手法です。
後部座席は簡単な操作で座面と背もたれがフロアのほうに沈み込むダイブインシート(4WDは座面を前に跳ね上げるダブルフォールディング式)に。これにより後部座席を格納したときにラゲッジ床面が低くなるので、自転車などかさばる荷物もそのまま積むことができます。
搭載エンジンは燃費性能に優れた1.3Lと、連続可変バルブタイミング機構付きの1.5Lエンジンを用意。トランスミッションはCVTで、1.5L車(Gグレード)は7速マニュアルモードが備わります。さらに1.5L車は高速道路を使ったロングドライブ時に便利なクルーズコントロールも標準装備されました。
1.5L車にはパノラマパッケージも用意されました。パノラマパッケージはルーフがクラストップレベルの面積を誇ったUVカット機構付きの大きなガラスルーフを搭載。これにより一層の開放感を味わうことができました。
2007年12月にはマイナーチェンジが実施され、スポーティーなイメージが高められました。そしてこのタイミングで全グレードでサイドエアバッグとカーテンエアバッグが標準装備に。X LパッケージとG Lパッケージ以上のグレードにはリバース連動機能がついたドアミラーが標準装備されました。
2010年11月、ラクティスは2代目にフルモデルチェンジ。このタイミングでラクティスには大きな変更が加えられました。全高が1,640mm→1,585mmと、55mmも低くなったのです。これにより空力性能が高まり見た目もスタイリッシュになった反面、室内高は先代よりも低くなりました。ただ、全幅を先代と同じ1,695mmとしながらパッケージングの工夫により室内幅が先代よりも40mm拡大。これにより後部座席にゆとりをもって座れるようになっています。
荷室にはボードの高さを2段階に調節できるアジャスタブルデッキボードを採用。これにより高さがある荷物も積みやすくなりました。後部座席を格納して荷室を広げたいときに、いちいち後部座席ドアまで回らなくても荷室にあるレバーを引くだけで簡単に格納できる機構もついています。先代の特徴だったパノラマフールはGグレードでオプション設定となりました。搭載エンジンは1.3Lと1.5L。トランスミッションはCVTで、先代同様に1.5L車には7速スポーツモードが備わります。
2012年7月には一部改良で2WD車にアイドリングストップ機構がオプション設定されました。そして1.5Lエンジンに改良が施され燃費性能が向上しています。2013年10月の一部改良では横滑り防止装置とトラクションコントロールが全グレードに標準装備されました。
2014年8月のマイナーチェンジでは内外装がリファインされてシャープなイメージを強調。新グレードとなるGプライムスタイルは、専用シート表皮、シルバーステッチが施されたステアリングとシフトノブが備わります。
こちらもおすすめ!タイプ別にラクティスの中古車を選ぶなら
●スポーティーなルックスはもちろん走りも楽しめる「2代目1.5S」 中古市場の相場20万〜100万円
2代目ラクティスデビュー時に新設定された1.5Sは、スポーティーな外観が与えられたモデルです。しかも見た目だけでなく、欧州各国の道路で走り込みを行い専用チューニングを施したユーロサスペンションが搭載されています。
CVTは7速マニュアルモードが備わっており、シフトノブだけでなくステアリングから手を離さずにシフトチェンジできるパドルシフトも採用されました。そして2013年10月に全グレード標準装備された横滑り防止装置がデビュー時から搭載されていました。走りを楽しみたい人は探してみる価値のあるグレードです。
●よく見るとベースモデルと違う。そのさりげなさがオシャレ!「2代目1.5レピス」 中古市場の相場30万〜80万円
ぱっと見はどこが違うかわからないかもしれませんが、よく見るとグリルのフィンがライト下まで伸び、バンパー形状も異なっている。そんなさりげないオシャレ感にこだわったグレードがレピスです。インテリアは、インパネ上部やシート表皮などを専用色となるライトブルーでコーディネイトしています。
全高が下がったことで初代よりもスマートな印象になった2代目だからこそ、デザインにもこだわりたい。そんな人におすすめです。
●価格にとことんこだわりたい人に「初代後期モデル1.3Lエンジン搭載車」 中古市場の相場10万〜50万円
価格重視で選ぶなら中古車相場がより安い初代ラクティスがおすすめ。初代は後期モデルも中古車相場が底値に達しています。ですから、狙うのはデザインがシャープになった後期モデルがおすすめ。グレードは燃費性能に優れる1.3Lのほうが経済的です。
初代は税金が重課対象になっているものもありますが、それでも2代目と比べたらトータルコストは安くなるはずですよ。
中古車のラクティスならではのチェックポイントはココ
広さがウリのモデルだけに荷室や後部座席の状態をチェック
全高を高くして室内空間を広げたハッチバックであるラクティス。一般的なハッチバックではなくあえてラクティスを選んだ人は、荷物をたくさん積んだり後部座席によく人が座ったりするような使い方をしていた可能性があります。また、広さを生かして後部座席にペットを乗せていた人もいるはず。
そのため、荷室や後部座席に使用感が出ていないかは購入時によく確認してください。使用感がある場合は価格を見た上で納得して買えるか判断しましょう。確認時は後部座席の格納がスムーズにできるかも見ておきましょう。
初代は外装の経年劣化の具合を要確認
車は古くなるとだんだんと外装に傷みが出てきます。これは紫外線や雨滴などの影響によるもの。傷みが出やすいのは外装のゴムやライト周りのプラスチック類など。
店頭では車の周りを一周してみて、どんなところに経年劣化が出ているかを確認してみましょう。これらはパーツを変えることで元の状態に戻すことが可能。気になる人はパーツが手に入るか、コストはいくらくらいかかるか相談してみてください。
パノラマルーフ搭載車は腰を据えて探すつもりで
初代、2代目を通してラクティスの大きなウリだったのが、開放感のあるパノラマルーフを搭載するグレードが設定されたこと。ただ、パノラマルーフ付きの中古車はごくわずかしか流通していないのが現状です。
この装備が欲しいと思っている人は、搭載された上で条件に合う中古車が見つかるまで根気よく探してください。
ラクティスの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
四角い箱型ボディで室内広々!「日産3代目キューブ」
1998年に初代がデビューしたキューブは、全高を高くした箱型ボディで室内空間を広くしたハッチバック。2002年登場の2代目はバックドアに左右非対称デザインを採用。角が取れた四角いボディに丸型ライトを搭載した愛らしいスタイルで大ヒットしました。
2008年11月にデビューした3代目は2代目のイメージを継承しつつ、よりユルいデザインに。モチーフはサングラスをしたブルドッグ。インテリアは開放感のあるジャグジーをイメージしたと言います。ソファのようなシートも特徴的です。
ボディサイドが切り立っているので、室内は5ナンバーとは思えないほどの広さに。大勢で乗る機会が多い人、荷物をたくさん積む人にぴったりの車です。
中古車は1600台以上流通していて、価格帯は10万〜140万円となっています。
全高が1,550mm未満なので立体駐車場もOK「ホンダ3代目フィット」
車内が広いラクティスですが、背が低くなった2代目でも全高は1,585mmあるため、高さ制限のある立体駐車場だと止められない可能性もあります。それでは困るという人におすすめしたいのがフィット。
フィットは立体駐車場に入庫可能なサイズで設計されているのに室内は広々!秘密はホンダ独自のセンタータンクレイアウトにより、全高を高くするのではなく床を低くすることで室内高を稼いでいるから。パワートレインは1.3Lと1.5Lのガソリンエンジン、1.5Lハイブリッドが用意されます。
2013年9月にデビューした3代目もすでに30万円から買えるように。人気モデルだけに中古車は3500台以上流通しています。
スライドドアを装備したハイト系ハッチバック「スズキ2代目ソリオ」
軽自動車では全高を高くしてスライドドアを設置した軽スーパーハイトワゴンが人気。ソリオは軽自動車メーカーであるスズキが軽スーパーハイトワゴンのようなコンセプトを盛り込んだハッチバックです。
デビュー時、1.5L以下のエンジンを搭載して全高が1,550mm以上あるハッチバックの中でトップの広い室内を大きなウリにしていました。全幅は狭い裏路地などでも取り回しがしやすい1,620mmに設定。ラクティスより幅は一回り小さくなっています。
2代目ソリオの中古車は900台ほど流通していて、価格帯は20万〜120万円となっています。
中古車のラクティスはここで探せ!
では、中古車ラクティスをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証されます。保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証を付けることができます。
カーセンサーnetの初代・2代目ラクティスの掲載件数は1,098件、価格帯は10万~130万円となっています(※)。
※2021年7月29日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証が付く「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車の初代・2代目ラクティスの掲載台数は1,134件、価格帯は10万~140万円となっています(※)。
※2021年7月29日時点の情報です。
購入後の使い方を考えて搭載エンジンを選ぶ。
室内の広さ、そして軽快な走りが魅力のラクティス。購入時はまず1.3Lと1.5Lの2種類が用意されたエンジンのどちらを選ぶかを考えるといいでしょう。街乗り中心で経済性を重視したいなら1.3Lで十分。荷物をたくさん積んで遠出をする機会もありそうならパワーに余裕がある1.5Lがおすすめです。2代目は標準グレード以外に、スポーティーさを高めたグレード、デザインにこだわったグレードも用意されたので、いろいろな中古車を見て好みの1台を見つけてください。
よくある質問
Q1:中古車のラクティス、どれを買うべき?
A:高級感を高めたモデルで、相場もこなれてきた2代目後期型の1.5S
Q2:中古車のラクティスを買うときに気を付けたいポイントは?
A:荷物をたくさん積んだり、大勢で出かけたりする機会が多かった車が多いと想定できるので、後部座席や荷室の状態チェックを忘れずに!
Q3:中古車のラクティスはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車ラクティスに乗ることができます。
※記事の内容は2021年7月時点の情報で制作しています。