三菱が販売していたフラッグシップ・高級セダン「プラウディア」。初代モデルの販売期間はたったの1年という、超レア車。しかし、不人気車。不名誉ではありますが、実は良いクルマで狙い目のモデルでもあります。そんなプラウディアの中古車の選び方のポイント、おすすめモデルなどをまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のメーカー「プラウディア」は…あえての全モデル
- 不人気車は不人気車の魅力あり
中古車プラウディア、おすすめモデルはズバリ、あえての全モデル
筆者は、プラウディアの中古車の執筆依賴を受けたとき、すぐに車名からどんなクルマかを思い浮かべることができませんでした。少々脳内データベースを検索した後、「あ!これは!」と膝を打ったものでした。
初代は2000〜2001年というたった1年の期間しか販売されず、その台数は1,200台余とされています。初代の販売終了後、約11年のブランクを経て、2代目へとフルモデルチェンジされますが、日産2代目フーガのOEM、これも鳴かず飛ばずの販売台数で2016年に販売終了。初代と2代目を合わせた合計販売台数は2,000台に満たなかったようです。
初代は、韓国の自動車メーカー、ヒュンダイと共同開発され、ヒュンダイブランドのほうは韓国で大成功し、マイナーチェンジも実施されましたが、日本では実質的先代の「デボネア」がもつ「三菱関係の重役が乗るクルマ」のイメージが払拭できず、国内市場では惨敗。ちなみに、プラウディアをベースにしたリムジン仕様「ディグニティ」というモデルもありました。
2代目も、イメージチェンジできずに国内市場では惨敗。そもそも、本当に三菱関係の重役が乗るクルマがないから日産からOEM供給を受けた、と推測しても不思議ではない状況でした。
新車販売では非常に残念なモデルですが、今、ふと見直してみると実に魅力あるクルマではないでしょうか?
初代のフォルムは、今のクルマにはないものです。ヒュンダイとの共同開発ということもあり、中途半端な押し出しの強さを感じるフロントフェイスは、今や、ちょうどいいゆるさを演出、崖のようなリアエンドに、両サイドへ押しやられたリアコンビネーションランプも素敵です。今、ここで初代プラウディアを選択することは、乗る人の個性が強調できるのではないでしょうか?ただ、年式が古く、保証も期待できないのでちょっと覚悟は必要です。
2代目は、日産フーガの2代目のOEMですが、フロントグリルは変えられています。2代目フーガは、初代のような人気は獲得できませんでしたが、そこそこの数は売れていたので、見慣れたモデルではありました。しかし、縦基調のフロントグリルにスリーポインテッドスターのエンブレム、リアエンドにもスリーポインテッドスターのエンブレムは、見る人の脳内をバグらせるパワーを持っています。
初代も2代目も、今、街で走っていれば、クルマ好きから二度見されることでしょう。
というわけで、プラウディアのおすすめモデルは、タマ数の少なさだけでない理由で、すべてのモデルとさせていただきます。
★ほかにもこんなに!魅力的な中古車プラウディア
この項では、プラウディアのデビューから販売終了までの歴史と、世代別・グレード別の中古車相場価格、流通台数をまとめてお伝えします。
プラウディアの歴史
1999年12月 初代「プラウディア」発表
翌年2000年2月発売、三菱のフラッグシップ・セダンとしてデビューした。開発コンセプトは、「乗員すべてに格別のくつろぎをもたらす、ゆとりの国産最高級4ドアセダン」、車名の由来は、「誇り高い」を意味する英語の「PROUD(プラウド)」と三菱のロゴでもある「DIAMOND(ダイヤモンド)」をかけ合わせて「三菱最高級車」を表現したとのこと。
ボディサイズは、全長5,050mm、全幅で1,870mmと大型。エンジンは、最高出力240PSを発生するV6・3.5L直噴(GDI)ガソリンと、同280PSを発生するV8・4.5L直噴(GDI)ガソリンの2種類がラインナップされ、トランスミッションはマニュアルモード付きの5速ATが組み合わせられた。駆動方式は全車FF(前輪駆動)。
グレードは、「A仕様」「B仕様」「C仕様」のわかりやすい3タイプで、AとBには3.5Lエンジン、Cには4.5Lエンジンが搭載された。
安全装備は、ABS(アンチロックブレーキシステム)、デュアル&サイドエアバッグ、プリテンショナー&ロードリミッター付きシートベルトを標準装着、C仕様には、車間距離を一定に保つアダプティブ・クルーズ・コントロールや車線逸脱警報をパッケージにした「ドライバーサポートシステム」がメーカーオプションで設定された。
車両価格は、460万〜640万円で販売された。
2001年3月 販売終了
販売台数はいまいちで、生産台数は1,200台ほどで一度も改良を受けることなく終了。当時のライバル、トヨタ セルシオが圧倒的な人気だったことと、三菱の重役のためのクルマというイメージが払拭できなかったことなどが要因とされている。
2012年7月 2代目「プラウディア」発売
先代の販売終了から約11年のあいだをあけて、日産から2代目フーガのOEM供給を受けてデビューした。エンジンは、最高出力225PSを発生するV6・2.5Lと、同333PSを発生するV6・3.7Lの2種類、トランスミッションは7速ATの組み合わせ、駆動方式はFR(後輪駆動)、3.7L車には4WDが設定された。
グレードは、2.5L車に「250」「250VIP」の2タイプ、3.7L車に「370 4WD」と「370VIP」の2タイプが設定された。最上級グレードの「370VIP」では、セミアニリン本革のシートと職人が丹念な手作業で銀粉本木目を施したぜいたくなブラウン基調のインテリアが採用された。また、「250」「370 4WD」では、合成皮革ネオソフィール/ジャカード織物素材のシートのブラック基調インテリア、「250VIP」では本革シートにブラック基調のインテリアが採用された。
さらに、「250VIP」「370VIP」の後席では、センターアームレストに電動リクライニング、シートヒーター、オーディオ、エアコンを操作するコントロールスイッチと、電動サンシェードを採用し「VIP」の名にふさわしい豪華な装備が採用された。
これらに加えて「250」を除くグレードにはエンジン始動時に、キーレスオペレーションキーのIDを認識し、任意に設定されたステアリングホイールとシート、ドアミラーの位置に自動でセッティングされる「パーソナルドライビングポジションメモリーシステム」を設定。また、最速のルート探索機能などを備えた高精度な「カーウイングスナビゲーションシステム(HDD式・地上デジタルTVチューナー内蔵)」を装備、さらに、においと排出ガス検知式内外気自動切換機構とプラズマクラスターを搭載したフルオートエアコンに、花粉・におい・アレルゲン対応の高性能フィルターを備えた、森林のように心地よいフォレストエアコンタイプを採用した。
2016年11月
販売終了。2代目も初代と同様に一度も改良を受けることがなかった。
こちらもおすすめ! <世代・グレード別>中古車プラウディア
▼2021年7月20日時点のグーネットの情報からまとめた世代・グレード別中古車相場価格と流通台数
世代 | グレード | 中古車価格 | 流通台数 |
---|---|---|---|
初代 | A仕様 | 80万円 | 1台 |
B仕様 | 48万〜110万円 | 3台 | |
C仕様 | 35万〜72万円 | 3台 | |
2代目 | 250 | 155万〜220万円 | 2台 |
250VIP | 210万円 | 1台 | |
370 4WD | 158万円 | 1台 | |
370VIP | 68万〜117万円 | 2台 |
プラウディアならではのチェックポイント
プラウディアに限ったアドバイスではありませんが、保証がしっかりとついたものを選びましょう。しかし、プラウディアは新車販売台数が、初代、2代目の合計が2,000台に達していないという、稀少なモデル。したがって、中古車市場の流通台数も非常に少なくなり、十分な保証がついたタマはマイノリティになります。目安としては、保証期間1年以上、走行距離無制限が安心なのですが、プラウディアに惚れてしまって中古車を手に入れる方は、保証にこだわらず、修理代は覚悟し、長くお付き合いいただければと思います。
比べて検討!プラウディアのライバル車種
トヨタ「セルシオ」
バブル景気の真っ最中、1989年にデビューして大ヒットを飛ばしただけでなく、静粛性の高さは国際レベルを超え、海外の高級車メーカーも舌を巻いて焦ったという逸話もありました。当時、国産高級セダンとして羨望の眼差しを受け、今もその魅力を失っていません。しかし、その分、年式や走行距離に対して中古車価格は高めの傾向です。セルシオは2006年まで販売され、その後はレクサス LXへバトンタッチされました。
2021年7月20日時点の中古車価格帯は20万〜298万円、平均価格は約83万円、流通台数は366台ほどとなっています。
日産「シーマ」
セルシオのデビューより1年前に登場した日産のフラッグシップ・高級セダン。当時は、クルマのみならずさまざまな高額商品が飛ぶように売れ「シーマ現象」と呼ばれた時代でした。初代シーマは、お尻を沈めながら静かに加速する姿にハートをわしづかみにされた人が続出。この姿は、今のクルマにはあまり採用されなくなった、セミトレーリングアーム式によるもの。最近では、伊藤かずえさんが初代シーマを約30年以上にわたって大切に愛車として乗り続け、日産自動車のプロジェクトとしてレストアがスタート、その様子を公開したSNSが反響を呼んでいました。
2021年7月20日時点の中古車価格帯は19万〜610万円、平均価格は約130万円、流通台数は310台ほどとなっています。
中古車プラウディアはここで探せ!
では、中古車プラウディアをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年7月20日時点、グーネットでは、プラウディアの掲載件数は13件、価格帯は24万~220万円、平均価格は約103万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年7月20日時点、カーセンサーでは、プラウディアの掲載件数は13件、価格帯は68万~240万円、平均価格は約145万円となっています。
「不人気車」の魅力
残念ながら新車販売台数はまったく振るわなかったプラウディア。中古車市場では不人気車となりますが、狙い目モデルでもあります。不人気車ということだけで、下取り・買取り査定額は安くなります。性能や装備に対してコストパフォーマンスが高いのがプラウディア。走っているのを見かけることが滅多にないモデルですので、ある意味街中で「あれ?あのクルマなに?」と注目を集める可能性も高いでしょう。少なくともクルマ好きからは、二度見されることうけあいです。
よくある質問
Q1:中古車のプラウディア、どれを買うべき?
A:プラウディアに関しては「これを買うべき!」とお伝えする特定の世代、グレードは特にないと筆者は個人的に思っています。プラウディアは2世代ありますが、どちらもそれぞれ魅力があります。また、どのグレードも基本的な装備は充実し、それぞれのグレードの目的に応じた十分なものとなっています。新車販売台数が非常に少ない「不人気車」ではありますが、不人気車にはそれなりの個性が主張できるものです。そういった意味では、「個性が主張できる、気に入ったものを買うべき」とアドバイスさせていただきます。
Q2:中古車プラウディアを買うときに気を付けたいポイントは?
A:保証がしっかりとついているかどうか、が気を付けたいポイントです。プラウディアの中古車価格は、比較的安く買いやすいものとなっていますが、元々は高級車、修理費も高級車並みとなります。目安としては、保証期間が1年以上あり、走行距離が無制限になっているものが安心です。ただ、プラウディアの中古車流通台数はとても少ないので、保証にこだわると、お目当てのタマがなくなってしまう可能性大です。
Q3:中古車プラウディアはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車プラウディアに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年7月20日時点のものです。