デビュー当時、トヨタの乗用車で最小サイズとして話題になったパッソ。女性目線で使いやすい車だったこともあり、一躍人気車種の仲間入りを果たしました。それだけに中古車の流通量も多く、自分に合った1台を選ぶのはなかなかたいへんです。今回は中古車のパッソならどのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「パッソ」は2019年式 X“L package・S”
- オプション装備の内容を要チェック!
中古車のパッソ、おすすめモデルはズバリこれ。自分なら2019年式 X“L package・S”を80万円で買う!
現在のパッソのグレードは大きく分けるとベーシックグレードの「X」と上品なデザインが印象的な「MODA」の2種類。さらにその中でXグレードは「X“L package”」との2種類、MODAは「MODA “G package”」との2種類と、合わせて4種類に分けられています。しかし、このグレード体系になったのは2021年4月から。以前はXをベースにして「X“S”」「X“L package・S”」「X“G package”」なども存在。中古車市場ではまだまだこれらのグレードのほうが多く流通しています。
ベーシックグレードの「X」にはキーフリーシステムやプッシュボタンスタート機能は標準装備されていますが、マニュアル式のエアコンなど、基本的には最低限の装備で価格を抑えた廉価グレードです。2021年4月の一部改良で衝突回避支援システムのスマートアシストIIIが標準装備となりましたが、現在の中古車市場にあるパッソ「X」はまだ搭載されていないものがほとんど。
今や装備されて当たり前の自動ブレーキ機能などを持つ先進安全装備のスマートアシスト(登場時はⅡ、2018年のマイナーチェンジ以降はIII)がないのは街乗りなどでは心もとないので、できれば備えておきたいところ。それを考えると、上級グレードを狙ったほうがいいでしょう。となると狙うのは「X“S”」以上のグレードです。単にスマートアシストが備えられればOKならば「X“S”」でも問題ありませんが、私がおすすめしたいのはもう1つ上のグレードである「X“L package・S”」です。
このグレードでは「X“S”」の装備内容に加えてUVカット機能やIRカット機能がついたウィンドシールドグリーンガラスやリアドアのプライバシーガラスが備えられ、エアコンがオートエアコンになるなど、室内環境が向上する装備が追加されますが、ポイントは6:4の分割可倒式のリアシート。パッソのウリである「コンパクトカーなのに驚くくらいに広い室内空間」をフルに活かすには豊富なシートアレンジが可能となる6:4分割可倒式シートはマストです。
しかも中古車市場を見ると現行型パッソ全体の流通量は1,400台ほどですが、このグレードにしぼっても450台前後が流通しているためかなり選びやすく、半分以上の車が100万円を切る価格で購入可能とコストパフォーマンスも抜群。またこの年式の車なら2018年のマイナーチェンジでコーナーセンサーが新たに標準装備された点もポイントです。
注意したいのは外観面。例えばホイールはこのグレードまではスチールホイールに樹脂キャップをはめたもので、アルミホイールはもう1つ上のグレードである「X“G package”」のみ。ヘッドライトのLED化もX “G package”からになっているので、外観の印象が若干異なります。ちなみに2021年の一部改良でX “G package”の後継グレードとなる「X“L package”」はリアシートが一体可倒式に変わってしまい、6:4分割可倒式シートはMODAのみの設定になるので、MODAのデザインが好みでない場合はこの年式にしぼったほうがいいでしょう。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車のパッソ
イチオシグレードとして紹介したX“L package・S”だけでなく、パッソはさまざまな視点から魅力的な中古車を探すことができます。例えば価格面を重視するのであれば、1つ前のモデルである2代目パッソに注目。2014年式以降であれば、現在と同じ1.0Lエンジンを使用し、さらにより女性向けのデザインとなっている「+Hana」というグレードもあります。50万円台でも十分狙えるだけにお値打ち価格の1台に出会えるかもしれません。
ただ、1代前のモデルにはスマートアシストがついていない点に注意。現行モデルでも2018年のマイナーチェンジ以前のものはスマートアシストが1世代前のものになっているので、安全装備にこだわるのであれば年式に特に注意しましょう。
パッソのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
ダイハツブーンのOEM車であるトヨタパッソがデビューしたのは2004年。当時から「プチトヨタ」というキャッチフレーズで販売されていたように、トヨタ車としては最小の乗用車としてデビュー。同じコンパクトカーであるヴィッツよりも全長が短いにもかかわらず、室内が広くなっているというレイアウトに加え、最小回転半径は軽自動車並みの4.3mと取り回しも抜群。
さらに室内には運転席と助手席の間にバッグを置くスペースを用意したり、ダッシュボードに小物を入れるスペースを作ったり、女性目線の配慮がなされた車として人気を博していきました。
デビューから5年半が経った2010年に初のフルモデルチェンジ。初代モデルのヒットを受けて、基本的にはキープコンセプトで作られましたが、デザイン面ではフロントピラーの形状を見直して細く見えるように変更し、ヒップポイントを10㎜上げてベルトラインを低くしたことで良好な視界を確保。より運転しやすいようにと改良されました。
さらに従来のモデルに加え、専用グリルやメッキ加飾など、女性好みのデザインをより強めた「+Hana」というグレードも新設されるなど、女性のニーズに合わせた車としてさらに進化を遂げました。
2代目デビューから4年後の2014年に初のマイナーチェンジ。エンジンの改良に専用色の追加、メッキ加飾の追加などが施されましたが、最大のトピックは全車に横滑り防止装置であるVSC&TRCや緊急ブレーキシグナルなどの安全装備を標準装備した点。さらに一部グレードにはオート電動格納式ドアミラーやスーパーUVカット・IRカット機能付きフロントドアガラスを新たに採用して快適性能を向上させました。
2016年、パッソは2回目のフルモデルチェンジを受けます。「街乗りスマートコンパクト」をコンセプトに掲げ、これまで用意されていた1.3L車は廃止となり、1L車のみの設定に。
さらにグレード体系も一新。通常モデルは基本的にベーシックグレードの「X」に集約。旧型に用意されていた「+Hana」を廃止し、サテンメッキを使用した専用グリルにフロントピラーやセンターピラーをブラック化するなど、スタイリッシュなデザインになった「MODA」を新た設定しました。
また、このモデルから安全装備であるスマートアシストIIが「X」「X“L package”」と「MODA」以外の全車に標準装備されるなど、安全面での配慮にもこだわりました。
発売から2年後の2018年に最初のマイナーチェンジ。ここでスマートアシストIIIに切り替わった上、「X」を除く全車にコーナーセンサーを標準装備。またデザイン面でも変化があり、MODAはフロントグリルが大開口デザインに、そしてフォグランプベゼルがL字型にそれぞれ変更されるなど、よりスタイリッシュなデザインへと進化を遂げました。
また、ここでもグレード体系の変化があり、新設された「X“L package・S”」への統合のため「X“L package”」を廃止、「MODA」は従来の「MODA“S”」を統合したためスマートアシストIIIが標準装備されました。
そして2021年の4月、一部改良によってグレード体系が現在の「X」と「MODA」の2種類を軸に、装備を充実させた「X“L package”」、「MODA“G package”」を加えて4種類にまとまり、ベーシックグレードの「X」にもスマートアシストIIIが標準装備されて現在に至ります。
こちらもおすすめ! タイプ別にパッソの中古車を選ぶなら
●50万円以下で狙うなら「2015年式X“G package”」中古市場の相場15万~90万円
現行型のパッソもデビューから4年が経過し、中古車市場では50万円台から十分狙えますが、よりリーズナブルな価格で手に入れられるのが中古車の魅力。ならば、1つ前のモデルである2代目を狙ってみるのはいかがでしょう?
バンパー下部のデザインこそ若干異なりますが、フロントフェイスに大きな変更点はなく、2014年のマイナーチェンジ後なのでメッキで加飾された部分も増えて高級感もアップしました。
さらにこのグレードはL Packageの装備内容に加え、オーディオ 、リア2スピーカーを追加しています。フロントグリル・インサイドドアハンドル・センターレジスターノブ・シフトノブにはメッキ加飾が施され、ドアミラーはオート電動格納式に。エアコンはオートエアコン&プッシュ式ヒーターコントロールパネルにそれぞれグレードアップされた上級仕様。これが50万円台から狙えるのはおいしいポイントです。
●デザインにこだわりたいなら「2018年式MODA」中古市場の相場40万~90万円
標準モデルのデザインがちょっと物足りないという方には断然おすすめしたいのがMODA。旧型モデルの「+Hana」は女性向けのデザインでしたが、現行型のMODAはサテンメッキを施したフロントグリルを採用し、フロントピラーとセンターピラーをそれぞれブラックアウト。これによりエクステリアの印象はグッと引き締まったスマートなものに変化。これに合わせてボディカラーにブラックルーフとのツートーンカラーを用意しているのもMODAの特徴なので、デザインにこだわる方にはピッタリでしょう。
外観だけでなく、室内でも使い勝手のいい6:4分割可倒式シートを採用しているので、シートアレンジがしやすいというのはプラス。唯一の難点はアルミホイールがメーカーオプションである点。中古車によっては装着していないこともあるので購入する際には注意が必要です。
●快適装備を求めるなら「2018年式MODA“G package”」中古市場の相場70万~160万円
最後に紹介するのはMODA“G package”。これはMODAの装備に“G package”の内容がすべて追加されたグレードで、MODAではメーカーオプションになっていた14インチのアルミホイールが標準装備になり、6:4分割可倒式シートなどの便利機能はすべて標準装備。もちろんスマートアシストIIIも備えているという最上級グレードになります。ちなみにこのグレードのみ、専用デザインのLEDフロントフォグランプが標準装備されています。
これまで紹介したグレードと比べると中古車相場は多少上がりますが、100万円台でも十分狙えることを考えたらお値打ち価格のモデルといえるでしょう。
パッソの中古車ならではのチェックポイントはココ
年式によるグレードの違いは要チェック!
パッソはフルモデルチェンジやマイナーチェンジの度にグレード体系が頻繁に変わってきたモデル。2021年4月の一部改良の際もグレード体系が以前までの6種類から4種類へと変化しています。それだけにたとえ同じグレード名でも年式によって装備や仕様が異なるケースがあります。
中でも注意したいのがノーマルモデルのX“L package”。2018年のマイナーチェンジでいったん廃止されるまではスマートアシストがついていません。2021年に復活した最新モデルではスマートアシストIIIが標準装備になっています。同様にオートエアコンが標準装備となったのも2021年以降で、それ以前はX“L package・S”以上でないと標準装備ではありませんでした。またシートも6:4分割可倒式シートではないなど、グレードによって微妙に違うので、中古車を購入する際はグレードと年式の違いをしっかりチェックしておきましょう。
デザイン次第では特別仕様車も検討
パッソの歴代モデルを見ると、キープコンセプトで設計されたためかノーマルモデルはデザインの変化が少なめ。もう少しデザイン性のある車が欲しいというときには現行型なら「MODA」、旧型なら「+Hana」がおすすめ。
+Hanaは専用グリルやメッキ加飾など、女性好みのデザインをより強め、ボディカラーも女性好みな色合いのものが多く用意されています。
MODAはサテンメッキを施したフロントグリルを採用し、フロントピラーとセンターピラーをそれぞれブラックアウトして引き締まった印象のスタイリングに変化させています。ボディカラーにもツートーンカラーを用意するなど、デザイン性に特化したモデルとなっているので、気になる方はチェックしてみるといいでしょう。
XグレードはスマートアシストIIIの有無を要確認
これは現行型のXグレードを狙う際の話。ベーシックグレードのXは価格を抑えるためにさまざまな機能を省いてきましたが、2021年4月の一部改良で、スマートアシストIII、コンライトを標準装備。さらにリアドアとバックドアにUVガラス機能付きプライバシーガラスを採用するなど大きく変わりました。
しかし、中古車として現在販売されているXグレードにはそうした機能がついていないことがほとんどなので、購入する際にはグレードや年式の違いをよく確認するようにしましょう。
パッソの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
広い車内空間を求めるなら「ダイハツタント」
パッソの魅力はコンパクトサイズながら、広い室内空間を誇る点。ならばライバルとして挙げられるのは同じコンパクトカーではなく、軽自動車でありながら室内空間の広さを誇る車。軽トールワゴンの雄・ダイハツタントがその筆頭格でしょう。
カタログスペックで見ても、パッソの方が全長は長いにもかかわらず室内長は205mmもタントが広く、さらに室内高に至ってはタントの全高がパッソと比べて230mm高いため、95mm広くなっているのがポイントです。ただし、全高が高いため高速道路を走る際はどうしても安定感に劣るのが弱点。ターボモデルでないと高速走行時にはパワー不足も否めず、普段の街乗りよりもレジャーなどで移動することが多い場合はパッソに軍配が上がりそうです。
荷物を多く積むのなら「スズキイグニス」
コンパクトカーの中でこれといったライバルのいない印象のパッソですが、唯一直接のライバルといえるのがスズキイグニス。
エンジンサイズこそ異なりますが、ボディサイズはほぼ互角。運転席の着座位置はイグニスのほうが高いため、運転時の視界の良さはイグニスに軍配が上がります。
さらに床下の収納スペースもイグニスの方が広いため、多くの荷物を積めるメリットがあります。
ただし、室内空間の広さであればパッソが圧勝。イグニスはデザインの関係で特に室内高が1,250mmという数字以上に低く感じ、ヘッドクリアランスに余裕がありませんが、室内高1,270mmのパッソはその部分が広々。家族での移動が多い場合はパッソの方がよさそうです。
後席の広さを求めるなら「ホンダフィット」
室内の広いコンパクトカーとして人気があったパッソですが、その点で強力なライバルがホンダフィット。室内寸法はフィットが室内長1,955mm、室内幅1,445mm、室内高1,260mmなのに対し、パッソは室内長1,975mm、室内幅1,420mm、室内高1,270mmと、室内高以外すべてフィットのほうが広いという結果に。さらにフィットには後席をチップアップするとベビーカーや観葉植物のような長尺物も積めるという利点もあります。
現行型フィットの中古車は流通量が1000台を超えています。ただ、まだ新しいモデルということもあり最安値でも150万円台から。中古車の割安感を考えたら、パッソを選ぶという選択肢も十分ありです。
中古車のパッソを賢く探すなら
では、中古車のパッソをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証され、保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合った保証をつけることができます。
カーセンサーnetのパッソの掲載件数は2,946件、価格帯は10万~160万円となっています。
※いずれも2021年6月24日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証がつく「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のパッソの掲載台数は3,276件、価格帯は10万~190万円となっています(※)。
※いずれも2021年6月24日時点の情報です。
年式によってグレード体系も変化。装備の確認は年式とともに
パッソは基本的にキープコンセプトで作られたため、ノーマルモデルはそこまでデザインの変化はありませんが、一方でグレード体系については特に現行モデルは一部改良やマイナーチェンジのたびに微妙に変化。
中古車市場には現状はないグレードや、グレード名が同じでも現在の装備とは異なるケースが見られます。中古車のパッソを購入する際は装備内容とともに年式もチェックしておいたほうがいいでしょう。
よくある質問
Q1:中古車のパッソ、どれを買うべき?
A:おすすめはスマートアシストIIIを標準装備でシートアレンジが多彩なX“L package・S”ですが、スマートなデザインを求めるのであればMODAもX“L package・S”とほぼ同じ機能がついているので、デザインの違いで決めるのもいいでしょう。
Q2:中古車のパッソを買うときに気を付けたいポイントは?
A:パッソは一部改良やマイナーチェンジの際にグレード体系を頻繁に変えてきたモデルなので、同じ名称のグレードでも年式によっては装備が異なるケースがままあります。中古車として購入する際はグレードだけでなく、年式による違いもしっかりチェックしておきましょう。
Q3:中古車のパッソはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のパッソに乗ることができます。
※記事の内容は2021年6月24日時点の情報で制作しています。