1988年に登場した初代MPVは1990年に国内にも導入され、国産車におけるミニバンのパイオニア的存在でした。FRレイアウトに3L V6エンジンを搭載した初代は、北米市場重視のモデルだっただけにゆとりあるサイズやエンジンが印象的な1台です。2代目が1999年に、3代目が2006年に登場しましたが、今、中古車として購入するなら3代目でしょう。約10年間販売されていたため中古車は数多く流通。今回は中古車のMPVならどのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のマツダ「MPV」は2014年8月以降の23S
- オプションとなる両側電動スライドドアが備わっているモデルを選びたい
中古車のMPV、おすすめモデルはずばりこれ。自分なら2014年8月以降の23Sを100万円以内で買う!!
数あるミニバンの新車&中古車からMPVを選ぶ理由といえば、ほかのミニバンとは違うスタイリッシュなエクステリアデザインにあるのではないでしょうか。
3代目は低床フロアと2,950mmのロングホイールベースによりくつろげる室内空間を確保したまま、全高を2代目と比較して60mm下げ、開発陣いわく「パッケージとプロポーションの革新でミニバンを進化させた」デザインを身にまとっていました。
また2代目で好評だったカラクリシートは前後スライド量を拡大し、3列目シートの反転収納は左右6:4分割フォールダウン式に進化。ユーティリティやシートアレンジは先代同様ながら、エモーショナルな価値観をプラスしたことで個性的なミニバンに仕上がったのです。
ワル顔でアクが強いミニバン全盛となった今だから欲しくなるMPVですが、デビューからすでに15年以上が経過。安全装備や快適性能は最近のクルマには劣っています。
それでもスタイリッシュなMPVが欲しい気持ちが強いのであれば、可能な限り新しいモデルを選びたいですよね。
そこでおすすめするのが2014年8月以降に登録された「23S」。
MPVは2014年8月に走行中の車両の横滑りを制御するDCS&TCSを全車標準装備とする一部改良が行われました。
今の基準でいえば当たり前の安全装備ではありますが、あるとないとでは大違い。基本的な安全装備が備わっているからこそ安心して走行ができるのです。
また23Sは時間調整間欠式のフロントワイパーや、2列目シートに左右席独立前後スライド&リクライニング機構などを採用しているわりにはリーズナブルな価格で販売されていました。そのためオプションとなる両側電動スライドドアを装備している中古車も比較的購入しやすい価格で展開されています。
ただ、3代目MPVの中でも後期モデルとなるためタマ数が少ないのがネック。5万km前後で100万円以下の車両が出てきたら、それは間違いなく買いの1台です。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車のMPV
イチオシモデルとして紹介した2014年8月以降の23S以外にも、MPVはさまざまな視点から魅力的な中古車を探すことができます。リーズナブルな車両も数多く出回っていますが、高年式のモデルはそこまで多くはありません。予算にもよりますが値段の安さだけを見て中古車を買うのではなく、予算を増やしても程度の良い車両を探しましょう。
MPVのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
1988年から北米で販売が開始された初代MPV。1990年1月に国内でも発売されました。
国内で多人数が乗車できるクルマとしてはワンボックスワゴンが全盛だった当時、FRレイアウトを採用した独創的なパッケージングが注目を集めました。
1991年10月にアンフィニ店の専売車種となることが決定。車名もアンフィニMPVに変更されます。
1995年10月にマイナーチェンジが実施され、フロントマスクなどのデザインが変更。ディーゼルエンジン仕様も追加されました。
1999年6月にフルモデルチェンジを実施。2代目MPVが登場します。
FFへと生まれ変わり、後部ドアもヒンジ式からスライドドア式へと変更。全長は90mm、ホイールベースは初代より35mm拡大されました。デビュー時は2L直4と2.5L V6エンジンが用意されていました。
2000年12月には撥水フロントドアガラスなど機能的な装備を充実させた「アストラル」、ブライトアルミホイールなど質感を高める専用装備を施した「アストラルエレガント」、エアロパーツなどでスポーティーな外観に仕立てた「アストラルスポーティー」と3つの特別仕様車を設定。
2002年4月には新開発の2.3L直4と3L V6エンジンを新たに採用したマイナーチェンジを実施。フロントグリルやヘッドランプのデザインも変更しています。
2002年8月には女性開発プロジェクトチームが手掛けた特別仕様車「スポーツF」を発売。
2002年12月にはスポーティーな特別仕様車「エアロリミックス」を追加発売。
2003年にはスポーティータイプとノーマルタイプの2つのエクステリアデザインを採用するマイナーチェンジを実施。4速ATやブレーキ、サスペンションを強化し走行性能の向上も図られました。
2006年2月にフルモデルチェンジ。3代目となるMPVが登場しました。
デビュー当時は2.3L直4&ターボを用意。2代目まで設定されていたV6エンジンは廃止されました。3代目は室内空間の広さだけを重視するミニバンではなく、走りの良さやスポーティーな外観を身にまとう個性的なモデルとなりました。ボディはノーマル系とエアロ系の2タイプを用意。ライバルとなるミニバンと比べ、リーズナブルな価格設定も特徴でした。
2006年10月に生産累計100万台記念特別仕様車「23CスポーティパッケージU Style(ユースタイル」を発表。メーカーオプションである電動両側スライドドアとスーパーリラックスシートを装備していました。
2006年12月には専用ボディーカラーおよび内装デザインを採用した特別仕様車「MPV 23C L Style(ニーサンシーエルスタイル)」を設定。
2008年1月に内外装の変更、および走行性能や快適装備の向上を図るマイナーチェンジを実施。
フロント上下グリルやバンパーの形状を変更しボディーカラーを追加。2列目に装備するスーパーリラックスシートの前後スライド量の延長、2.3LエンジンのFF仕様に5速ATを標準化しました。
2010年7月にターボ仕様車を廃止、グレードを整理する仕様変更を実施。
2012年11月には2列目シートを3人から2人がけに変更し乗車定員を7名とする仕様変更が行われました。
2014年にはDCSとTCSが全車標準装備となる仕様変更を実施。その後、2016年に販売終了となりました。
こちらもおすすめ!タイプ別にMPVの中古車を選ぶなら
●充実した装備など最良のモデルを入手したいなら「2.3S Lパッケージ」 中古市場の相場30万〜150万円
2010年以降、グレードが大幅に整理されたMPV。2016年の生産中止まで最上級グレードとなったのが「2.3S Lパッケージ」です。
木目調ATシフトパネル&フロントパワーウィンドースイッチパネル、温度2段階調整が可能なシートヒーターなどを装備。2列目シートは左右席独立前後スライド&リクライニング機構を採用するなどミニバンに欲しい機能が備わっています。
中古市場にも比較的タマ数はあり、しかも大半が両側電動スライドドア仕様。探すのは大変ですが、安全装備が追加された2014年8月以降の登録車を入手するのがベターでしょう。
●軽快な躍動感を楽しみたいなら「23T」 中古市場の相場20万〜150万円
2010年に廃止されましたが、3代目MPVデビュー時には2.3L直4ターボエンジン搭載車が用意されていました。
居住区間をとことん突き詰めたミニバンが多い中、マツダが掲げていた「ドライビング・ダイナミクス・イノベーション」をテーマに走行性能を妥協しないスポーティーなミニバンに仕立てたMPVの中でも、特に「走るミニバン」として評価が高かったのがターボ仕様の「23T」です。
生産中止からすでに10年以上経ってはいますが、中古車市場ではいまだ健在。ただし、大半が10万km以上走っている車両のため車両価格100万円以下、走行距離5万〜7万km程度、両側電動スライドドア装着の中古車を根気よく探したいものです。
●3代目にはないV6搭載車が欲しいなら「2代目 3.0VS」 中古市場の相場30万〜40万円
初代、2代目にはV6エンジンが用意されていたMPV。3代目に搭載される直4エンジンが悪いわけではありませんが、ゆとりがある大排気量のV6エンジンの味わいは格別なものだと感じるユーザーも少なくないはずです。
そこで推したいのが2代目に設定されたV6エンジン搭載車の3.0VS。2代目デビュー時には、当時、関係が深かったフォードの2.5L V6を積んでいましたが、大きなボディを有するMPVには非力でした。
そこで2002年のマイナーチェンジで排気量を3Lに拡大。低速域からトルクフルなエンジンとなった上、マツダとしては初となる5速ATを組み合わせたことで重厚な走りを備えた高級ミニバンへと進化しました。
中古車市場で程度の良い車両を探すことは難しいものの、根気よく探す価値がある1台でしょう。
中古車のMPVならではのチェックポイントはココ
ターボモデルの6速AT、ブレーキの修理履歴は要チェック
約10年間販売されていた3代目MPV。数多くのユーザーを抱えているミニバンですが、トラブル事例も多数報告されています。
まず、デビューから2010年まで設定されていたターボ車に組み合わされていた6速AT。ECUに起因するトラブルが発生すると単体パーツ交換とはいかず、ATユニットごとの交換となるため莫大な修理費用が発生するのだとか…。またブレーキトラブルの事例も多数報告されており、中でもブレーキキャリパーの固着が多数発生しているようです。
特に前期モデルの購入を考えている方は修理履歴をチェックし、6速ATやブレーキの修理状況の確認が必要です。
快適性重視ならスーパーリラックスシート装着車を購入
キャプテンシートにもベンチシートにもなる3代目MPVの2列目シート。スライド量も330mmと、ゆとりあるスペースを誇っていました。
その2列目シートには注文装備で一部グレードを除きスーパーリラックスシートを備えることができました。スーパーリラックスシートはネックサポート付きヘッドレストやオットマン機構が追加され、飛行機のファーストクラスに備わるシート並の快適さを実現しています。
ゴージャスな気分を乗員に感じてもらいたいなら、スーパーリラックスシート装着車を選ぶことをおすすめします。
MPVの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
ハイブリッドモデルが欲しいなら「トヨタ3代目エスティマ」
2006年にデビューし2020年まで販売された3代目エスティマは3代目MPVと同時代を生き抜いたミニバン。スタイリッシュなフォルムを身にまといながら低床化により居住空間も優れているミニバンだったエスティマはMPV最大のライバルだったクルマです。
ただ、MPVとの大きな違いは多彩なパワーユニット。2.4L直4をはじめ、3.5L V6、さらに2.4L直4+モーターのハイブリッドが用意されていました。2016年のマイナーチェンジでV6エンジンは廃止されましたが、利用シーンや予算に応じてパワーユニットが選べるのはMPVにはないメリットといえるでしょう。
中でも燃費重視のハイブリッド仕様が用意されているのは購入動機に大きな影響を与えるのではないでしょうか。
エスティマハイブリッドの中古車相場は20万〜470万円でタマ数も豊富。MPVにはないハイブリッド車を求めるなら3代目エスティマが購入候補になるのは間違いありません。
走行性能重視のミニバンを求めるなら「ホンダ4代目オデッセイ」
2008年から2013年にかけて販売されていた4代目オデッセイは、MPV同様、低床・低全高のパッケージを備えたミニバンです。
3代目MPVもスポーティーなミニバンとして登場しましたが、オデッセイはそのコンセプトをさらに突き詰めた「走るミニバン」として人気を集めた1台でした。
先代となる3代目オデッセイと比べ乗り心地が大きく向上。足回りやブレーキ性能も進化しており完成度が高いミニバンに仕立てられていたのが特徴です。
4代目オデッセイの中古車相場は20万〜200万円。スポーツ仕様「アブソルート」は走行距離5万km以下の車両であれば150万円程度の値段がついています。
ミニバンにもスポーティーな走りを求める人は狙いたくなるクルマです。
マツダ製のミニバンを探しているのなら「マツダビアンテ」
MPVを求めている人の中には、「走りの良いマツダ製のミニバンが欲しいから」という方も少なくないのではないでしょうか。であれば、MPVとともに2008年から2018年まで販売されていたビアンテもその候補に上がるはずです。
MPVとは違い、1,835mmの高い全高で室内空間を重視したトールミニバンとして登場したビアンテは、トヨタノア&ヴォクシー、ホンダステップワゴン、日産セレナなどをライバルとして開発されました。
広大な空間と多彩なシートアレンジを持つビアンテは、2列目シートが超ロングスライド機能を備えるなど3代目MPVにない装備も用意。
中古車相場は10万〜200万円。巨大な空間を求めるならMPVではなくビアンテがおすすめです。
中古車のMPVを賢く探すなら
では、中古車MPVをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証されます。保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証をつけることができます。
カーセンサーnetのMPVの掲載件数は335件、価格帯は10万~230万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月20日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証がつく「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のMPV掲載台数は382件、価格帯は10万~230万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月20日時点の情報です。
安さを重視するより安全装備の有無で車両を選びたい
2008年にデビューしたMPVの中古車は買いやすい相場になっています。しかし、装備面ではイマドキの国産ミニバンに劣っているのも事実。
今MPVの中古車を買うのであれば、安さを重視するよりも安全装備が充実した2014年8月以降のモデルを選ぶのがおすすめだと筆者は考えます。
ただ、中古市場にはDCSとTCSが全車標準装備となった高年式のモデルはあまり出回っていません。根気よく探す必要がありますが、安全装備はぜひとも欲しい装備。時間をかけても高年式モデルを入手しましょう。
よくある質問
Q1:中古車のMPV、どれを買うべき?
A:おすすめは安全装備が充実した2014年8月以降の23S。併せて両側電動スライドドア装着車をおすすめします。
Q2:中古車のMPVを買うときに気を付けたいポイントは?
A:ターボ車に装備されていた6速ATは要注意パーツ。修理履歴から修理済みの車両を選びましょう。
Q3:中古車のMPVはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のMPVに乗ることができます。
※記事の内容は2021年7月時点の情報で制作しています。