ハイエースの誕生は今から50年以上前という古い歴史があります。また、残念なことながら、盗難率が最も高い車種にもなりました。この歴史は、ハイエースが世界中から高い信頼を得ていることの証でもあります。そんなハイエースのワゴンタイプは、中古車でも大人気。ただ、探す上では注意点がいくつかあります。本記事では、おすすめモデルと選び方の注意点をまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「ハイエース ワゴン」はグランドキャビン 2017年式以降
- 実用重視、購入価格優先ならベースグレード「DX」
中古車ハイエース ワゴン、おすすめモデルはズバリこれ。グランドキャビン 2017年式以降
ハイエース ワゴンの現行モデルは、2004年にフルモデルチェンジした5代目「200系」です。商用ワゴンという特性上、酷使された車が多いことから、2017年の一部改良で先進予防安全装備「トヨタセーフティセンス」採用モデル以降から選びたいところです。4代目以前のハイエース ワゴンも多数中古車市場に流通していますが、買って乗るには故障リスクが高く覚悟が必要となるでしょう。
現行モデルのハイエース ワゴンのグレード構成は非常にシンプルな3タイプ。ロングボディ車にベースグレードの「DX」と「GL」、スーパーロングボディに「グランドキャビン」というグレード構成となります。
その中で、おすすめを1つ挙げるとすれば「グランドキャビン」。商用ワゴンですが、内外装の質感が高められています。ボディカラーでは、ゴールド系とホワイトの2トーンカラーも設定しています。
なお、用途によっては質素な装備のほうがうれしい場合もあるハイエース ワゴン。そんな方へのおすすめは本記事中盤で紹介しています。
ハイエース ワゴン「グランドキャビン」2017年式以降の中古車価格帯は、183万〜550万円となっています。なお、2017年式は一部改良前のモデルが含まれるため、トヨタセーフティセンスを必要とする方はご注意ください。
★ほかにも!魅力的な中古車ハイエース ワゴン
「実用重視、装備は質素でかまわない」「購入価格はできるだけ抑えたい」という方へのおすすめグレードをご紹介。あわせて、ハイエース ワゴンの変遷の歴史をご覧ください。
ハイエース ワゴンの歴史
ハイエースは1967年のデビューというとても長い歴史があります。その長い歴史の中で、現在の中古車市場で主に流通している2000年式あたりから現在までの経緯を年表形式でまとめます。
1989年8月14日 4代目「100系」へフルモデルチェンジ
1999年7月 マイナーチェンジ(3度目)
エンジンは2.4Lガソリンと3.0Lディーゼルターボ(インタークーラー付き)の2タイプ、トランスミッションと駆動方式は全車AT・2WD(後輪駆動)のラインナップ。車両価格は、213万〜371万円で販売された。
2002年8月 一部改良
ディーゼルターボ車が廃止されガソリン車のみのラインナップとなる。このため、2002年10月に施行された「自動車NOx・PM法」に適合しなくなり、特定地域内での購入ができなくなった。
2004年8月 5代目「200系」へフルモデルチェンジ
先代に設定されていたスーパーカスタム系はアルファードへ統合され、商用車ワゴンのみのラインナップとなった。エンジンは2.0Lと2.7Lのガソリンの2タイプ、トランスミッションは全車AT、駆動方式は2WD(後輪駆動)と4WDが設定された。
2017年11月22日 一部改良
衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスP」を標準装備した。
2020年4月17日 一部改良
安全装備を充実。パノラミックビューモニター(車両を真上から俯瞰した映像をナビ画面へ映す)、「インテリジェントクリアランスソナー(アクセルペダル踏み間違い時の衝突被害軽減システム)」などを装備。
こちらもおすすめ! <タイプ別>中古車ハイエース ワゴン
●実用重視、購入価格重視なら、ベースグレード「DX」2017年一部改良モデル以降 中古市場の相場203万〜368万円
ハイエース ワゴンを道具として使いたい方は、ベースグレードの「DX」をどうぞ。安全性能と故障リスクを考慮したおすすめ年式は2017年以降。2017年に一部改良が実施され、先進予防安全装備「トヨタセーフティセンス」が採用されています。
ハイエース ワゴンならではのチェックポイント
ハイエース ワゴンは、商用ワゴンという特性上、酷使される可能性が高い車種となります。前オーナーは営業車として使っていたケースも少なくありません。また、ワゴンであっても荷物を満載しての走行など、高い負荷で乗られることが多かったケースも多々あります。
そんなハイエース ワゴンの中古車を選ぶときに注意したいチェックポイントを3点にまとめました。
1. 走行距離と年式の関係性をチェック
今の年から年式を引いた経過年数を走行距離で割ると、平均年間走行距離の推定値を求めることができます(あくまで目安です。粗下取りに出されてから中古車販売店で売られるまでの期間や、中古車販売店で売られずに在庫となっていた期間が長い場合があります)。
ハイエース ワゴンに限った話ではありませんが、推定平均年間走行距離は4,000〜8,000kmがおすすめの中古車となります。
平均年間走行距離が10,000kmを超えた車は、過走行車ないしは多走行車と呼ばれ、故障リスクが高くなります。また、ハイエース ワゴンのように人数を乗せて走ることや、重い荷物を積載して走行することが多いと、足回りがヘタってしまっている可能性も出てきます。
逆に、平均年間走行距離が3,000kmを下回ると、ほとんど乗られていない車になり、これも故障リスクを抱えた車となってしまいます。ハイエース ワゴンで、平均年間走行距離が3,000km未満のタマは未使用車(後述します)以外ではあまり見かけませんが、注意しましょう。
2. 保証
使い捨て感覚で、安い中古車を買って、故障発生時や車検満了時に廃車にしてしまうという乗り方ならいざ知らず、中古車価格が高めなハイエース ワゴンは、しっかりと保証が付いたものを買いたいものです。
トヨタのメーカー保証は、一般保証タイプで3年または60,000km走行のいずれか早いほう、特別保証では5年または100,000km走行のいずれか早いほう(現時点での制度)となっています。中古車でもこの保証の範囲内に入っている場合があります。ただし、後述する整備記録簿の有無をはじめとした諸条件がありますので、事前にメーカー保証が受けられる車かどうかを確認しましょう。
なお、メーカー保証対象外であっても、中古車販売店が保証を付けているケースも多くあります。
いずれの場合であっても、保証の対象、範囲はきちんと確認しましょう。
3. 整備記録簿
中古車情報サイトなどでは単に「記録簿」と表記されていることもあります。これは、定期点検などの車のメンテナンスの実施について記録するもので、中古車情報欄に整備記録簿の有無が記載されています。
整備記録簿がない車は、前オーナーがメーカー所定の点検を行っていない可能性があり、購入後の故障リスクなどが高くなります。また、中古車でもメーカー保証の対象の範囲内となることがありますが、その保証が受けられる条件に、メーカー所定の点検をもれなく実施し、整備記録簿に記録されていること、という点があります。
なお、整備記録簿が備え付けられていなくても、中古車販売店が保証を付けているケースがあります。この場合は、保証内容の確認は必要ですが、安心です。
以上が、ハイエース ワゴンを中古車で買うときの主な注意点ですが、このほか、特にシート表皮の汚れ、へたりなど内装の状態の確認など、中古車選びの基礎的なチェック事項はしっかりと確認しましょう。
「未使用車」は狙い目
中古車を探していると「未使用車」と書かれたタマを見かけるかと思います。未使用車とは、新車登録がいったん行われたものの、まったく走行されていない新車状態の車のことをいいます。
未使用車の状態は新車と同じですが、制度上は中古車となってしまうため、新車価格より安くなります。逆にいえば、新車を安く買う裏ワザとも言えます。
なぜ、未使用車が中古車市場で流通しているのかというと、新車販売ディーラーが、販売奨励金をメーカーから獲得するために、ディーラー自身で発注し登録、その後、中古車販売店へ流通されるケースがほとんどです。
このため、新車ディーラーが中古車を併売している場合に、未使用車をよく見ることができます。
ハイエース ワゴンはリセールバリュー(下取り時の価格、価値のこと)が高く、中古車相場価格も高め(新車価格に対して、中古車価格の下落率が少ない)ですので、未使用車はお買い得になります。ただ、未使用車はボディカラーやメーカーオプションが選択できませんが、ハイエース ワゴンはボディカラーラインナップがそもそも少ないことと、実用重視のモデルのため、装備差が気にならないモデルですから、あまり問題にならないところとなるでしょう。
比べて検討!ハイエース ワゴンのライバル車種
日産「NV350 キャラバン ワゴン」
ハイエース ワゴンの真っ向勝負のライバル。なお、キャラバン以外にハイエースの直接的なライバル車はありません。ただ、人気でいえばハイエース ワゴンが圧勝の状況です。
2021年6月22日時点の中古車価格帯は120万〜495万円、平均価格は約199万円、流通台数は70台ほどとなっています。
中古車ハイエース ワゴンはここで探せ!
では、中古車ハイエース ワゴンをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年6月22日時点、グーネットでは、ハイエース ワゴンの掲載件数は1,613件、価格帯は30万~900万円、平均価格は約296万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネットと同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年6月22日時点、カーセンサーでは、ハイエース ワゴンの掲載件数は1,562件、価格帯は39万~925万円となっています。
安心して乗るなら2017年式以降で。グレード構成はシンプルで選びやすい
日本の定番商用ワゴンのハイエース。タマ数は豊富ですが酷使されたタマも多いので、保証がしっかりとついて先進予防安全装備「トヨタセーフティセンス」が搭載された、2017年一部改良モデル以降をおすすめします。
現行モデルのグレード構成はとてもシンプルな3タイプ。道具として使うのに最適なベースグレード「DX」、乗員の快適さと質感を求めるなら「グランドキャビン」。グランドキャビンのスーパーロングボディの全長が長すぎなら「GL」といった選び方になるでしょう。
駆動方式は2WD(後輪駆動)と4WDが設定されています。積雪地帯の走行が多い方、悪路走破性を求める方は4WDがおすすめです。
よくある質問
Q1:中古車のハイエース ワゴン、どれを買うべき?
A:ハイエース ワゴンを中古車で買うなら、保証がしっかりとついた車がおすすめです。商用ワゴンという性質上、前オーナーが酷使している可能性が高くなります。安全性能を重視するなら、2017年に実施された一部改良モデル以降がおすすめ。このモデルから先進予防安全装備「トヨタセーフティセンス」が採用されます。経年劣化等を考慮しても2017年式以降が安心でしょう。詳しくは前項「ハイエース ワゴンならではのチェックポイント」の項をご覧ください。
Q2:中古車ハイエース ワゴンを買うときに気を付けたいポイントは?
A:前項「Q1」の回答と被ってしまいますが、ハイエース ワゴンは酷使された可能性が高いタマが多数存在します。耐久性に優れるハイエースとはいえ、故障リスクは0にはなりません。中古車で買うときには、保証がきちんと付いているかどうかを確認しましょう。この点についても詳しくは前項「ハイエース ワゴンならではのチェックポイント」をご覧ください。
Q3:中古車ハイエース ワゴンはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車ハイエース ワゴンに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年6月22日時点のものです。