「天才タマゴ」のキャッチコピーで1990年にデビューしたトヨタのミニバン。そんなエスティマの中古車をお探しの方へ、おすすめモデルと選び方の注意点をまとめお伝えします。
※本記事では、ガソリンモデルの「エスティマ」のみについて記述しています。「エスティマ ハイブリッド」はこちらの記事をご覧ください。なお、ガソリンモデルとハイブリッドモデル、どちらを選んだらいいのか?について、本記事中盤「エスティマならではのチェックポイント」の項で解説しています。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「エスティマ」は2016年マイナーチェンジの後期型
- 余裕の走りを求めるなら、V6・3.5Lの最終モデル
中古車エスティマ、おすすめモデルはズバリこれ。2016年マイナーチェンジの後期型
エスティマは、1990年にデビューした高級ミニバン。デビュー時は「天才タマゴ」のキャッチコピーが使われました。このキャッチコピーは単なるうたい文句ではなく、市販車では世界初となる、フロア下にエンジンを寝かせて置いた、アンダーフロアミッドシップレイアウトを採用し、広いキャビンと高いデザイン性を手に入れたモデルで、まさしく「天才」でした。デビュー時は、専門家もうなったほど。それまでのミニバンの常識を覆したエスティマは、たちまち大人気となります。
その後、2000年と2006年の2度、フルモデルチェンジを受けます。3代目は2020年3月に販売終了するまで、改良を繰り返しながら約14年もフルモデルチェンジされることなく販売が続けられたロングライフモデルとなりました。3代目は、常に新車が一定数売れ続けた珍しいモデルであったことが影響しています。
そんなエスティマの中古車をお探しの方に、おすすめするのは、最後のマイナーチェンジを2016年に受けた後期型です。改良が重ねられた熟成モデルで、歴代のエスティマの中で最も安全装備が充実していることもおすすめの理由です。中古車価格帯は、190万〜350万円。生産終了となったモデルですが、一定の人気があるモデルですので、年式や状態の割に価格が高めの傾向があります。
★ほかにも!魅力的な中古車エスティマ
「元々車重が重たいエスティマ。大人数で乗ることも多いし、走りには余裕が欲しい」といった方へのおすすめモデルをご紹介。
その前に、エスティマ誕生時からの歴史をご覧ください。
エスティマの歴史
1990年 初代デビュー
これまでのミニバンの常識を打ち破る独特のデザインでデビュー。そのデザインを実現するために、前席下にエンジンを75度寝かして設置、結果として低床化と広いキャビン、自由度の高いデザインを獲得することができた。キャッチコピーは「天才タマゴ」。それまでのミニバンでエスティマのようなフロア下にエンジンをミッドシップレイアウトされた車はなく、世界初のパッケージングとなった。エンジンは直列4気筒2.4Lガソリンを搭載したがパワー不足の声が多く、1993年にはスーパーチャージャーが追加されるも、今度は燃費が悪いとの不満の声があがった。
2000年1月1日 2代目へフルモデルチェンジ
デザインやパッケージングは初代のキープコンセプトでフルモデルチェンジ。エンジンは新開発の2.0L直列4気筒ガソリンと、V6・3.0Lをラインナップした。予防安全装備は、ABSを全車標準装備、V6・3.0L車にオプションで、横滑りしそうになったときにエンジン出力とブレーキを制御するVSCや、急ブレーキ時に制動力を高めるブレーキアシストを設定した(現在、ABSやVSCは新車で販売中のものはどのメーカーの車種も標準で装備としなければならないものとなっている)。車両価格は229万〜310万円で販売。
2003年5月6日 マイナーチェンジ
エクステリアデザインに小変更を加え、ボディカラーラインナップに新色4色を追加、インテリアの質感向上などが図られた。また、専用チューニングのローダウンサスペンションなどを装備したスポーティーなグレード「アエラスS」が追加された。さらに、歩行者と衝突した際に、歩行者の頭部や脚部への衝撃緩和に配慮した、歩行者傷害軽減ボディを新たに採用した。車両価格は230万〜355万円
2006年1月16日 3代目へフルモデルチェンジ
エスティマ ハイブリッドは半年遅れた6月にフルモデルチェンジを受けた。パワートレインは、2.4LガソリンにCVT(無段変速機)、3.5Lガソリンには6速ATの組み合わせで、駆動方式は全モデル2WD(前輪駆動)、7人/8人乗りが設定された。車両価格は267万〜368万円。
2008年12月24日 マイナーチェンジ
エクステリアデザインに小変更を加え、インテリアの質感向上と、快適装備の追加が実施された。車両価格は274万〜365万円で販売。
2012年5月8日 2度目のマイナーチェンジ
エクステリア、インテリアデザインの一部変更、ボディカラーとインテリアカラーの追加も実施された。車両価格は275万〜394万円。
2014年9月2日 一部改良
全車にVSCが標準装備となり、安全性能を向上、また、リバース連動・オード電動格納機能付きドアミラーも標準装備された。車両価格は288万〜407万円。
2016年6月6日 3度目のマイナーチェンジ
ヘッドライトの形状変更がされるなど、エクステリアデザインに大きな変更を実施したビッグマイナーチェンジとなった。なお、V6・3.5L車がラインナップから消滅、直列4気筒2.4L車のみに整理された。車両価格は288万〜407万円。
こちらもおすすめ! <タイプ別>中古車エスティマ
●走りに余裕が欲しいなら 2014〜2016年式 V6・3.5Lモデル 中古車市場の相場70万〜150万円
2016年6月に実施されたマイナーチェンジで、V6・3.5L車が廃止となってしまいました。元々、車重が重いエスティマ。大人数乗車時では、直列4気筒2.4Lでは少々心細いという方もいらっしゃることでしょう。そんな方には、V6最終モデルとなった、2014年一部改良モデルをおすすめします。この一部改良で、VSC(横滑りしそうになったときにエンジン出力やブレーキを制御し走行安定性をサポートする)が全車標準装備になり、衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスC」も標準装備となり、安全性能が向上しています。とはいっても、バージョンが古いトヨタセーフティセンスですから、最新版と比べると機能が劣るところは注意してください。
エスティマならではのチェックポイント
エスティマはモデルスパンが長く、中古車市場でも古い年式のタマが無数に流通しています。また、車重が元々重たい上、大人数乗車時は車への負担が大きく、前オーナーのカーライフスタイルによっては、車にかなりの負荷をかけ続けた可能性もあります。
中古車は、前オーナーがどんなカーライフを送っていたのかは、普通は知ることができません。そこで大切になってくるのは、保証です。保証が付いていない車や、付いていても期間が短い車は、故障リスクや部品交換発生率が高い車と思って誤りではありません。
めぼしいタマを見つけたら、保証内容と、対象範囲、期間などをしっかりと確認してください。なお、この点はエスティマに限った話ではありません。
ガソリンモデルか?ハイブリッドモデルか?どっちがいい?
エスティマ(ガソリンモデル)は直列4気筒とV6(世代によって排気量の違い、ラインナップの違いあり)、ハイブリッドモデルがラインナップしています。
ハイブリッドは、発進時にモーターのアシストを得られるため、信号が多い街中など発進と停止を繰り返す道路状況では、ハイブリッドモデルのほうが燃費がよくなります。ハイブリッドのエンジンは、2.4L直列4気筒エンジンと、ガソリン直列4気筒モデルと同じエンジンとなるため、発進・停止が少ない郊外路や高速道路ではあまり燃費に差がでません。
また、発進時のスムーズな加速性能は、直列4気筒モデルと比較すると、ハイブリッドモデルのほうが勝ります。V6モデルとの比較では、どちらも加速が良いですが、フィーリングが異なります。ハイブリッドのほうが「スッ」と出る感じで、V6では、もりもりと力がわいてくるようなフィーリングで、高級感があります。これは、どっちが速いかというより、好みで分かれるところでしょう。
車両価格では、ハイブリッドモデルは高くなります。最終型の2016年マイナーチェンジモデルでは、同一グレード同士で100万円ほどの開きがあります。この価格差は中古車価格にも反映され、リセールバリュー(買取時の価値)も、ガソリンモデルよりハイブリッドのほうが高くなることから、中古車の場合では、ガソリンモデルのほうがお買い得感が優れます。なお、ガソリンモデルとハイブリッドモデルの価格差を、燃費の差でカバーするには、相当な距離を走らないといけません。
どっちを選んだら良いのかお悩みの場合は、コスト重視ならガソリンモデル、走りの余裕さを重視ならハイブリッドを選ぶといいでしょう。
比べて検討!エスティマのライバル車種
ホンダ「オデッセイ」
ホンダの高級ミニバン、オデッセイ。パッケージングはエスティマに近いものがあります。ハイブリッドモデルもラインナップ。狙い目は2020年10月のマイナーチェンジ前の5代目。中古車価格もこなれてきています。
2021年6月27日時点の中古車価格帯は5.8万〜375万円、平均価格は約130万円、流通台数は22,000台ほどとなっています。
日産「エルグランド」
日産の高級ミニバン、エルグランド。ライバルのトヨタ アルファードが圧勝、エルグランドは人気薄で中古車価格もこなれてきています。
2021年6月27日時点の中古車価格帯は1万〜500万円、平均価格は約165万円、流通台数は1,800台ほどとなっています。
トヨタ「ヴェルファイア」
高級ミニバンを中古車で探すなら、ヴェルファイアは外せません。現行モデルのデビュー当初は、アルファードよりヴェルファイアのほうが人気が高く、セールスも好調でしたが、最近ではすっかり逆転されてしまい、中古車価格もアルファードより安めに推移してきています。
2021年6月27日時点の中古車価格帯は36万〜880万円、平均価格は約230万円、流通台数は5,000台ほどとなっています。
トヨタ「アルファード」
2021年6月27日時点の中古車価格帯は9.5万〜1,200万円、平均価格は約270万円、流通台数は5,300台ほどとなっています。
中古車エスティマはここで探せ!
では、中古車エスティマをどこでどのように探したら良いでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年6月27日時点、グーネットでは、エスティマ(ガソリン車)の掲載件数は2,428件、価格帯は8.8万~349万円、平均価格は約102万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年6月27日時点、カーセンサーでは、エスティマ(ガソリンモデル)の掲載件数は2,317件、価格帯は9.9万~498万円、平均価格は約79万円となっています。
生産終了を惜しむ声も多い人気高級ミニバン
1990年にデビューし、2020年で幕を下ろしたエスティマ。生産終了を惜しむ声は少なくありませんでした。フルモデルチェンジを期待する声も多くありましたが、年々厳しくなる安全性能基準により、新型エスティマを今までのような独特のフォルムを維持してデビューさせることが難しいのだろうと推察しています。
エスティマを中古車で選ぶなら、熟成を重ねた2016年のマイナーチェンジモデルがおすすめです。このモデルは最終モデルで、安全性能は最も高いものとなります。逆に2016年以前の年式では、経年劣化が心配され、保証もないかあっても薄いものが主流となります。
よくある質問
Q1:中古車のエスティマ、どれを買うべき?
A:エスティマで最も古い年式は1990年となります。日常の足として乗るのなら、安心度が高い新しい年式と充実した安全装備を備えたモデルを選びたいもの。おすすめは2016年6月に最後のマイナーチェンジをした最終モデルです。
Q2:中古車エスティマを買うときに気を付けたいポイントは?
A:エスティマは年式が古いタマが多く流通しています。年式が古い車は故障リスクが高くなり、保証が付かないタマが多くなります。保証がない車、あっても薄い車は、購入後の修理代、部品交換代が発生するリスクが高くなることを念頭に置いてください。
Q3:中古車エスティマはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用すると良いでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車エスティマに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年6月27日時点のものです。