オールラウンダーミニバンとして2007年のデビュー以来、圧倒的な存在感を誇り、根強い人気を誇る三菱「デリカD:5」。ロングセラーモデルだけに中古車の流通量も多く、自分に合った1台を選ぶのはなかなか大変です。今回は中古車のデリカD:5ならどのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車の三菱「デリカD:5」は2019年式 Gパワーパッケージ
- 安全装備の内容を要チェック!
中古車デリカD:5、おすすめモデルはズバリこれ。自分なら2019年式 Gパワーパッケージを330万円で買う!!
2007年にデビューして以来、オールラウンダーミニバンとして不動の地位を築いてきたデリカD:5。それだけに中古車市場には数多く流通し、その数はなんと2,000台を超えています。これだけあれば、自分の好みの1台を探すことができそうですが……デリカD:5は2019年のビッグマイナーチェンジ前と後とでは大きく変わるため、どちらを選ぶかがポイントとなります。
マイナーチェンジとはいえ、フロントマスクもインパネも大きく変わり、実質フルモデルチェンジしたといっても過言ではありません。特にインテリアの充実ぶりはすばらしく、ラグジュアリーさを求めるなら2019年のビッグマイナーチェンジモデルの一択でしょう。さらに全車速型ACCに衝突回避機能も歩行者対応型になるなど、安全&運転支援機能も大幅にアップグレードしたことを考えると、どうしても2019年以降のデリカD:5が気になるところです。
ビッグマイナーチェンジしてからまだ2年ほどしか経っていないため、2019年以降のデリカD:5の中古車の流通量の比率は全体の2割ほどと少なく、さらに価格も300万円台が底値とちょっとお高めに映りますが……それでもおすすめしたいのは2019年式 Gパワーパッケージです。
ビッグマイナーチェンジ前だとリーズナブルな価格の中古車に出会えますが、オフロードもどんとこいというスタイルのデリカD:5は通常のミニバンとは異なり使い込まれたものも多く、走行距離が10万kmを超えるものも500台近くあります。さらに安全装備などを見比べると物足りなく感じる人も多いはず。特に飾り気もなく、質実剛健といった風情の内装はラグジュアリーな雰囲気の現在のデリカD:5と比べると少々寂しく映ります。
筆者がおすすめしたいグレードは標準モデルのGパワーパッケージ。デリカD:5は標準モデルと、メッキグリルやワイド感のあるフロントバンパーで都会的な雰囲気を演出したアーバンギアに分かれます。個人的にはアウトドアに似合う標準モデルが推しです。
Gパワーパッケージは電動テールゲート、電動サイドステップに両側電動スライドアが標準装備されます。さらにGではオプション設定になる運転席のパワーシートと助手席のシートヒーターが加わるのが大きなポイント。アウトドアシーンはもちろん、普段使いでも活躍するのは間違いありません。
ただし、後側方車両検知警報&後退時車両検知警報、マルチアラウンドモニターとモニター内蔵型自動防眩ルームミラーは最上級グレードとなるP以外はオプション設定になります。Gパワーパッケージだと装着していない中古車もあるので購入時にしっかりとチェックしましょう。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車のデリカD:5
イチオシモデルとして紹介したデリカD:5のGパワーパッケージ以外にも、デリカD:5はさまざまな視点から魅力的な中古車を探すことができます。ビッグマイナーチェンジ前と後ではデザインが大きく変わりましたが、以前までのほうが実直な作りだったため、アウトドアで使うには質実剛健な雰囲気のこちらのほうがいいと考える方もいることでしょう。また、以前からディーゼルエンジン車も用意されているので価格を抑えるのであればビッグマイナーチェンジ前も検討してみてください。
デリカのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
オールラウンダーミニバンとして唯一無二の存在となっているデリカD:5。そのルーツとなっているのがフロントエンジンのワンボックスミニバンの先駆けともいえるデリカ。デリカD:5の「D:5」には「デリカ(DELICA)の5代目」という意味が込められています。
オールラウンダーミニバンというコンセプトに基づき、デビュー当初は4WD車のみの設定。オフロード走行に対応するため、リブボーンフレームとアンダーボディに大型のクロスメンバーを装着し、低床設計も採用。これにより剛性が大幅に強化されました。
発売から4ヵ月後の2007年5月には4WD車だけでなく2WD車も設定し、エアロパーツを装着したグレードの「ローデスト」を追加。さらに10月にはローデストに4WD車を設定するなど、発売当初から細かな追加が施されてきました。
14年もの間、フルモデルチェンジがないデリカD:5ですが、一方で細かな改良が多く行われてきたモデルでもあります。そんなデリカD:5が最初の改良を行ったのは発売から1年4ヵ月後の2008年5月。特別仕様車「シャモニー」で採用していた2列目キャプテンシートの7人乗り仕様を一部グレードに標準設定しました。これに加え、助手席電動スライドドアを装備した「Mパワーパッケージ」を追加。また、ローデストの4WD車に「カスタマイズパッケージB」を追加しました。
2009年11月の一部改良では4WD車のエンジンやCVT制御を見直したために燃費が向上。さらにMを除くすべてのグレードで新デザインのハイコントラストメーターとカラー液晶マルチインフォメーションディスプレイを採用。緊急制御信号システムや夜間の乗り降りに安心感を与えるウェルカムライト・カミングホームライト機能も備えられました。ちなみにこの1ヵ月後には2WD車もマイナーチェンジ。こちらもエンジンを改良したことで燃費が向上しました。
2010年の6月の一部改良ではベーシックグレードのMに助手席側電動スライドドアとキーレスオペレーションシステムを追加。「Gパワーパッケージ」に運転席側電動スライドドアを採用するなど、装備面での充実を図りました。
2012年12月には4WD車のミニバンとして初めてクリーンディーゼルエンジン搭載モデルを追加設定。デリカ時代にはほとんどのユーザーがディーゼルエンジンを選んでいたこともあり、クリーンディーゼルの投入は長くデリカに乗り続けてきた人からも歓迎されました。
2014年8月の一部改良ではディーゼルエンジンの制御を改良し、加速性能とアクセルレスポンスが高められました。
2015年12月にはスライドドアにワンタッチ開閉スイッチを採用。そして2017年4月にはACパワーサプライを、Mを除く全グレードで標準装備にしています。2018年4月にはアンダーカバー一体型のフロントバンパープロテクターを装着し、力強いイメージが強調されました。
2019年2月には「新型デリカD:5」と銘打たれたビッグマイナーチェンジを実施。その目玉となったのはデザインの大幅変更です。フロントデザインには三菱の新しいデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」が採用され、ヘッドライトは縦型形状のLEDマルチとなり、LEDポジションランプも搭載。リアコンビネーションランプはリアゲートガーニッシュとの連続性を持たせ、テールランプを外側まで光らせるデザインに変更されました。さらに内装もラグジュアリーな雰囲気になり、かつてのシンプルなデリカD:5の室内とは比べ物にならないほどの変貌を遂げます。
このマイナーチェンジモデルは新開発の8速ATが組み合わされたディーゼル車のみとなり、ガソリン車はしばらくマイナー前のものが継続販売されましたが現在は終了しています。マイナーチェンジモデルには衝突被害軽減ブレーキシステムや車線逸脱警報システムなどで構成された予防安全技術「e-Assist」を採用。さらに車速感応オートドアロックも標準装備と安全運転のサポートが手厚くなりました。その後安全装備に関しては一部改良を2度行い、現在の仕様に至ります。
こちらもおすすめ! タイプ別にデリカの中古車を選ぶなら
●200万円以下で狙うなら「2015年式 D-Power package」中古市場の相場100万~200万円
おすすめグレードのGパワーパッケージの中古車相場は300万円台。新車価格から比べたら確かにリーズナブルではありますが、もうちょっと予算を下げたいというときには必然的に候補として入ってくるのはビッグマイナーチェンジ前のモデル。デザインがだいぶ違うため別の車に見えるかもしれませんが、アウトドアで走るには武骨な雰囲気のこちらのほうを選ぶ方が多いのもまた事実です。
中でも狙いたいのはクリーンディーゼル車。その中でもDパワーパッケージは最も多く流通していて、200万円以下から狙えるというお値打ちモデル。ただし、最安値である100万円台のものになると走行距離が20万kmオーバーの中古車もザラなので状態面には注意しましょう。
●スタイリッシュなデザインを求めるなら「2019年式アーバンギアGパワーパッケージ」中古市場の相場310万~400万円
デリカD:5には通常のデザインのものとは別にアーバンギアというモデルがあります。メッキグリルやフロントリップなどの各種加飾が施されているため、通常のものと比べるとアウトドアっぽさというよりも街乗りに適した雰囲気に仕上がっています。こちらのほうが好みのデザインという方には特におすすめ。
グレードも通常モデルと同様に、Gパッケージであれば電動テールゲート、電動サイドステップに、両側に電動スライドアが標準装備されます。さらにエントリーグレードのGではオプション設定になる運転席のパワーシートと助手席のシートヒーターが加わります。
ただし、安全装備が一部オプションになる点、そして加飾の分、通常のデリカD:5よりも中古車価格の相場が上がるので注意してください。
●快適装備を求めるなら「2019年式 P」中古市場の相場360万~500万円
予算面にとらわれず、快適装備を求めるのであれば、最上級グレードであるP一択。1つ下のグレードであるGパワーパッケージと大きく違うのが安全装備。
Gパワーパッケージではオプション装備だった後側方車両検知警報&後退時車両検知警報などの安全装備、マルチアラウンドモニターとモニター内蔵型自動防眩ルームミラーがPのみ標準装備となります。また、天井照明が追加されたり、エクステリアの各所にメッキ加飾がされるのもうれしいポイントです。
デリカの中古車ならではのチェックポイントはココ
安全装備の内容を確認しよう
全車速型ACCに衝突回避機能も歩行者対応型になるなど、安全&運転支援機能も大幅にアップグレードしたデリカD:5ですが、後側方車両検知警報&後退時車両検知警報などの安全装備はMでは装備されず、Gパワーパッケージでもオプション設定。Pを選ぶ分には問題ないですが、それ以外のグレードの車を選ぶ際は注意してチェックしましょう。
セカンドシートの違いもチェック
デリカD:5の車内で違いがあるのが、セカンドシート。Mでは8人乗りオンリーですが、ほかのグレードは8人乗りのほか7人乗りが選択できます。使い勝手を考えた上でどちらが適しているか選択しましょう。ちなみに7人乗りを選択した場合、セカンドシートはキャプテンシートとなります。
デザインは好みで選んでOK
これはビッグマイナーチェンジ前後のモデルで比較した場合ですが、大きな違いはフロントフェイスのデザイン。後期型のデザインは縦型のヘッドライトに大型のグリルなど現在のトレンドに合わせた形になっていますが、一方で前期型もいかにもアウトドア仕様なデザインとして根強い人気を誇ります。
こればかりは好みの問題なので、どちらが好きなデザインかで決めるのもいいでしょう。
デリカの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
3列シートをSUVで探すなら「マツダCX-8」
そもそもデリカD:5はミニバンでありながらSUVの要素を強く持つ「オールラウンダーミニバン」という唯一無二のキャラクターを備えたモデルなので、直接のライバル車は存在しません。
そのため、デリカD:5のどこを切り取るかで見方が変わってきます。
SUV的な視点でライバル車を考えるなら、3列シートを備えるマツダCX-8に注目。
室内の広さとスライドドアの利便性はデリカD:5に軍配が上がりますが、運転支援アイテムの充実度を見ると、デリカD:5は衝突被害軽減ブレーキシステムなど7つの機能しかありませんが、CX-8はなんと12もの機能を搭載。
さらにオンロードでの走行時はワイド&ローで低重心のボディを活かしたCX-8のほうが優れています。一方で乗用車ベースとはいえ最低地上高を200mm確保しているのは心強い部分。アウトドアに全振りするのではなく、普段使いもしたいという方にはCX-8のほうが合っているかもしれません。
よりオフロードを目指すなら「トヨタランドクルーザープラド」
悪路での走破性能、そして多人数乗車が可能というデリカD:5の美点を考えると、当然浮上してくるのが外遊び車の雄・ランドクルーザープラド。高いオフロード性能を誇る点、3列目のシートがある点、そしてディーゼルエンジンとガソリンエンジンが選べる点などがデリカD:5と共通する部分。
3列シートを備えているとはいえ、やはり室内空間の広さという点ではデリカD:5にはかないません。またデリカに比べても床の高さがあるので、普段使いにはやや不向き。
一方、オフロード走行では他の追随を許さないランドクルーザープラドは、車をハードに使いたい方にとって大きな魅力になるはず。
ミニバンとしての快適さを追求するなら「トヨタアルファード」
最後はミニバンとしての比較を。オフロード走行などを度外視して室内空間の充実ぶりを求めるのであればアルファード一択でしょう。内装が豪華な上、車内空間の広さは他の追随を許さないほど。オンロードの走行では静かで乗り心地も優れていて、ロングドライブの快適さも折り紙付きです。
ただ、やはりオフロードの走行となると当然ながらデリカD:5の圧勝。普段の買い物や子供の送り迎えなどの日常使いが多くなりそうならアルファード、週末の外遊びの相棒が欲しい場合はデリカD:5と普段の車の使い方を考慮して検討しましょう。
中古車のデリカを賢く探すなら
では、中古車のデリカをどこでどのように探したら良いでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を車選びの目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証され、保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証を付けることができます。
カーセンサーnetのデリカの掲載件数は2,045件、価格帯は20万~560万円となっています。
※いずれも2021年6月18日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証が付く「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のデリカの掲載台数は2,181件、価格帯は20万~560万円となっています(※)。
※いずれも2021年6月18日時点の情報です。
ビッグマイナーチェンジ後のGパワーパッケージが狙い目、安全装備の内容は要チェック
唯一無二のキャラクターを持つデリカD:5は根強いファンが多いため、中古車流通量自体は多めなものの、ビッグマイナーチェンジ後のモデルはまだ少数。状態がいいものが多く、予算は300万円台とちょっとお高めながら、装備が充実しているGパワーパッケージはやはり狙い目。多少予算をアップしてでも狙ってみるといいでしょう。
ただ、注意したいのは安全装備。Gパワーパッケージでは安全装備の一部がオプションとなっているため、中古車の中には装備されていないケースもあります。安全運転のサポートにもなるだけに、気になる方は中古車購入時にチェックしてみるといいでしょう。
よくある質問
Q1:中古車のデリカ、どれを買うべき?
A:おすすめは電動テールゲートや電動サイドステップに両側電動スライドドアを兼ね備えたGパワーパッケージ。Gではオプション設定になる運転席のパワーシートと助手席のシートヒーターが加わるのが大きなポイントです。
ただし、一部の安全装備やマルチアラウンドモニターとモニター内蔵型自動防眩ルームミラーなどはすべてオプションとなっているため、中古車で購入する場合はオプションの内容をチェックしましょう。
Q2:中古車のデリカを買うときに気を付けたいポイントは?
A:グレードによって安全装備の内容が一部オプションになっている点とM以外のグレードのセカンドシート。8人乗りのほか7人乗りが選択できるため、使い勝手を考えた上でどちらが適しているか選択すべきでしょう。
Q3:中古車のデリカはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用すると良いでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要のない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のデリカに乗ることができます。
※記事の内容は2021年6月18日時点の情報で制作しています。