国産スポーツカーの中で、豊富な販売台数を誇るのがスバル「BRZ」です。トヨタとの共同開発によって誕生したBRZは、4WDを得意とするスバルが初めて手がけた後輪駆動のスポーツカーです。今回は中古車のBRZなら、どのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のスバル「BRZ」は2013年式2.0S
- 少しでも安く高品質のBRZを手に入れるならAT車
中古車のBRZ、オススメモデルはズバリこれ。自分なら「2012年〜2013年式2.0S」を200万円で買う!
現在、スバルBRZの中古車の流通台数は約310台。中古車の平均価格は約197万円となっています。3カ月前の時点では流通台数は約345台、平均価格は約185万円だったので、流通台数が減少し、値上がり傾向となっています。中古車の価格帯は約79万〜約420万円で、兄弟車の86と比べると高価格帯のクルマが少なく割安に見えます。86と比べるとBRZは特別仕様車などをあまり設定しなかったため、中古車の価格帯は割安に見えるのです。
現在約310台流通しているBRZの中古車ですが、MT車は約185台で約59.6%。86と比べるとBRZのほうが、8ポイントほどMT車の比率が高くなっています。ちなみに、MT車の中古車相場は約120万〜約420万円。AT車は約78万〜約330万円で、MT車の100万円以下という中古車は流通していません。BRZの中古車のうち、約25%にあたる79台は2012年〜2013年式の初期モデルです。年式が進んでいるため、そのうち約53台は200万円以下で購入可能です。少しでも安く車両を手に入れて、気になる部分のパーツを交換していくという楽しみ方がBRZには向いているのかもしれません。グレードは最上級グレードのSが中心なので、このグレードをメインに探せば良いと思います。
BRZの中古車に少しでも安く乗りたいというのであれば、思い切ってAT車を狙ってみるのもありです。AT車といってもパドルシフトが装着されていますので、自在のシフトチェンジでクルマを操る楽しさを十分味わえます。ドリフトやサーキットを本気で攻める!というのであればMT車という選択肢しかないですが、街なか中心で走りたい、という人はATでも十分楽しめます。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車のBRZ
もっと予算がある人には、2017年10月に追加されたSTIスポーツがオススメです。スバルのレース活動を行うワークスブランドのSTIと共同開発したグレードで、BRZのみに設定されています。内外装に専用パーツを装着し、シャシーにも手を加えることで走行性能を向上させています。中古車の流通台数はMT/AT足しても約26台しかない希少性も魅力です。
BRZのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
初代スバルBRZは2012年2月に発表、3月より販売開始されました。BRZは「Pure Handling Delight−新しい次元の運転する愉しさ」をコンセプトとした水平対向エンジンFRレイアウトのスポーツカーです。スバル独自の水平対向エンジンをより低い位置に搭載した「超低重心パッケージング」により、誰もがクルマを操る「愉しさと悦び」を感じることができます。BRZのネーミングは、「BOXERエンジン」のB、「Rear Wheel Drive」のR、「究極」のZの3文字を組み合わせ、スバルご自慢の水平対向エンジンを搭載したスポーツ車への思いが込められています。外観デザインは、「走りの愉しさ」を直感させるもので、同時に空気の流れを活用したボディ形状の最適化を図っています。
専用開発のシャシーは、高い運動性能に最適なボディ剛性と衝突安全性能に必要な強度を確保し、さらに高張力鋼板の積極採用などにより軽量化を実現しています。超低重心パッケージングのメリットを活かし、四輪をしっかりと接地させることにより、操縦性と走行安定性、乗り心地の高さを高次元でバランスさせました。低く設定した着座位置と合わせ、ドライバーと車との一体感を高めています。
搭載するエンジンは新開発の2L水平対向4気筒エンジンで、D-4Sと呼ばれる直噴技術を採用し、最高出力200psという高出力とJC08モード燃費13.4km/Lという低燃費を両立しています。グレード構成はカスタマイズに最適なRA、快適性と燃費性能をバランスさせたR。そして、走りの装備と快適装備の充実した最上級グレードのSの3グレードで、採用されているトランスミッションはRAのみ6速MT。そのほかは6速MTと6速ATとなっています。
2013年5月には、ワンメイクレース参戦用車両として、BRZにレース用架装を施した「RA Racing」を設定しました。「RA Racing」は、カスタマイズに最適なグレードである「RA」をベースに、ブレーキ性能を向上させ、トルセンLSD、空冷式エンジンオイルクーラーなどを装備。また、4点式シートベルトや6点式ロールケージなどの安全装備も施し、レースを想定したサーキット走行を安心して楽しめる仕様となっています。
2013年8月にBRZは一部改良を行い、走行性能と快適性を高めた最上級グレード「S」に、これまでメーカー装着オプションとして設定していたフルフロアアンダーカバーを標準装備し、空力性能を高めることで、走行時の安定性をさらに向上させました。また、カスタマイズに最適なグレード「RA」には、メーカー装着オプション「パフォーマンスパッケージ」で、16インチフロントベンチレーテッドディスクブレーキやトルセンLSDなどを選択可能としユーザーの幅広いニーズに応えられるようになっています。
2014年4月には、ショックアブソーバーの特性を見直すなど、サスペンションにチューニングを施し、操縦安定性と乗り心地をともに向上させています。同時に最上級グレード「S」には、スポーティーで精悍な印象を与えるカーボン調加飾を施したインストルメントパネルやデザイン性を高めたアクセスキーを新たに採用することで、質感を向上させています。
2015年2月にも一部改良を行いました。電動パワーステアリングの特性を変更し、ボディ剛性を強化。より軽快で自然なステアリングフィールと快適な乗り心地を獲得しました。また「R」グレードをベースとしたカスタマイズ用モデル「R Customize Package」を新設定。シンプルな仕様装備としつつも、マニュアルエアコン、フロアサイレンサー、トランクマットなどを装備し、モータースポーツに限らない幅広いカスタマイズを提案するモデルとなっています。そして、最上級グレード「S」には、ロングドライブを快適にサポートする「クルーズコントロール」のほか、新たにインストルメンタルパネルスピーカー、パワーアンプを追加した 8 スピーカーシステムを採用。走りの快適性と室内空間の快適さをより一層向上させています。
2016年7月にBRZは初のマイナーチェンジを実施。内外装の変更に加えて、エンジン吸排気系の改良と、シリンダーヘッドとブロック結合部の剛性を強化することで、MT車の最高出力を207psへとパワーアップ。低速域からのトルク向上を含む、幅広い回転域での最大トルク発生も実現しています。さらに、ボディ全体の剛性を強化し、足回りはコイルスプリングのバネ定数変更、ダンパー内部構造および減衰力変更、リアスタビライザー径の変更などを行い、操舵応答性と操縦安定性、乗り心地を大幅に向上。これまで以上にしなやかで上質な乗り味を実現しました。
2016年10月には、最上級グレード「GT」を追加しました。GTは、BRZの進化の象徴として走りのパフォーマンスと上質感を追求した最上級グレードです。ZF製のSACHS(ザックス)ダンパーやbrembo製ブレーキ、専用17インチアルミホイールを装備し、これまでよりもさらに操縦安定性を向上させています。
2017年9月にBRZは一部改良を行い、車体前後のパーツを補強することにより、ボディ剛性が向上。これまで追求してきた走りの性能をさらに進化させました。また、方向指示レバーの軽い操作によってターンランプおよびメーター内表示が3回点灯する「方向指示器のワンタッチ機能」や、ヘッドランプやテールランプがリモコンキー・アクセスキーと連動して点灯する「ウェルカムライティング」の機能を追加。運転時や乗降時の利便性を高めました。
そして2017年10月には、スバルのモータースポーツ統括会社であるスバルテクニカインターナショナル(STI)との共同開発により、BRZが持つ走行性能や走りの質感、内外装の質感をこれまでよりもさらに高めた最上級グレード「STI Sport」を設定しました。
外観は、STIオーナメントをあしらった専用フロントバンパーや専用のフェンダーガーニッシュ、つやのあるブラックパーツなどを採用。精悍で高い走行性能を感じさせる、特別なスタイリングとなっています。インテリアは、「STI Sport」専用のテーマカラーであり、上質さとスポーツさを表現した「ボルドー」色でコーディネート。シートには本革やアルカンターラといった上質な素材を使用。そしてメーターパネルやメーターバイザー、ステアリングホイールなどに専用パーツを採用し、スポーティーで特別な空間を演出しています。
足回りは、STIの独自技術で開発したフレキシブルVバーやフレキシブルドロースティフナーフロントに加え、専用の18インチアルミホイールと18インチハイパフォーマンスタイヤを装備。また、STIによる専用チューニングを施したSACHSダンパー(ZF製)およびコイルスプリングを採用することで、操舵応答性を向上させるとともにクルマの傾きを抑え、しなやかで安定性の高い走りを実現しています。
2018年9月に一部改良を行い、車体後方における空気の乱流を抑えるためのフィンをリアホイールアーチ部分に追加したことに加え、サスペンションのダンパーチューニングを最適化。接地性とコントロール性を高め、ドライバーの意のままに操れるハンドリングを実現しています。
2019年4月に一部改良を行い、ボディカラーに新色としてマグネタイトグレー・メタリックを採用しました。
こちらもオススメ!BRZの中古車をタイプ別に選ぶなら
●とにかくコスパ重視なら「2012年~2013年式の2.0S」中古市場の相場約120万~約278万円
中古車で初代BRZのMT車を安く手に入れたいのであれば、 2012年~2013年式の初期型2.0Sが狙い目です。100万円台の価格を付けたクルマが多くなっているからです。2.0Sは最上級グレードなので、快適装備も充実しています。コスパ重視で初代BRZのMT車を選ぶのであれば2.0Sがオススメです。
● 手軽にスポーツカーを味わいたいならば「前期型のAT車」中古市場の相場約95万~約299万円
後輪駆動のスポーツカーに乗ってみたいけれど、MT車には自信がない、もしくはAT限定免許証という人には、2012年〜2016年式までの前期型BRZのAT車がオススメです。BRZの6速ATにはパドルシフトが装着されていますので、MT車感覚でシフトチェンジを行うことができます。現在では数少なくなった後輪駆動車のフィーリングをダイレクトに味わえるのがBRZの特徴です。
●走行性能にこだわるなら「特別仕様車のtS」 中古市場の相場約188万〜約289万円
ワークスブランドのSTIが手がけた特別仕様車が「BRZ tS」です。2013年8月に500台限定、2015年6月に300台限定で発売されたコンプリートカーです。ショックアブソーバーがSTI製ビルシュタイン、ブレンボ製ベンチレーテッドディスクブレーキはドリルドディスクに変更、さらに、インテリアも、STI専用設計RECARO製バケットタイプシートや専用スポーツメーターが装備されているスペシャルモデルです。現在tSの中古車は約5台流通していて、価格帯は約188万〜約289万円です。プレミアム価格となりやすいスバルの特別仕様車としてはリーズナブルになっています。
中古車のBRZならではのチェックポイントはココ
BRZのコンディションはこれをチェック
スポーツカーのBRZは前オーナーの使い方やメンテナンスの頻度によって、コンディションが大きく異なります。カスタマイズされていたクルマをノーマルに戻して販売されるケースもあるので、見た目だけで判断することは難しいです。したがってBRZのようなスポーツカーは特に販売店選びが重要となっています。スポーツカー専門店であれば、BRZを何台も扱っているので比較することもできますし、ウィークポイントなども説明してくれます。BRZのようなスポーツカーは販売店選びが非常に重要になることは覚えておいてください。
ドレスアップ車の場合は純正部品があるかどうか
自動車メーカーのディーラーは改造に対して、非常にシビアです。大径のアルミホイールを装着していたり、ローダウンサスペンションなどのカスタマイズをしていたりするクルマはメンテナンスなどの入庫を断られることもあります。もし純正部品以外のアルミホイールなどが装着されている場合は、一応純正品があるかどうか確認したほうがいいでしょう。
スポーツカーならではの注意点
先ほども書きましたが、中古車のコンディションは前オーナーの使い方に左右されます。一般的に走行距離が少ないほうが良コンディションといわれますが、年式が進んでいるのにあまりに距離が伸びていない場合は状態面での不安があります。また走行距離が伸びていても、ディーラーなどでしっかりとメンテナンスを行っている履歴が整備記録簿に残っていれば、安心して購入することができます。BRZの中古車を購入する際には、必ず、整備記録簿でこれまでの履歴を確認してください。もし、この整備記録簿がないというのであれば、購入は避けたほうがいいでしょう。
BRZの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
フロントとリアのデザインが違うBRZの兄弟車「トヨタ86」
スバルBRZはトヨタとスバルの共同開発によって生まれたモデルです。したがって兄弟車としてトヨタ86が存在しています。グレード構成は異なりますが、搭載するエンジンなどの仕様は86と同じです。ただし、やんちゃな味付けの86と安定志向のBRZといわれるようにサスペンションの設定などが異なるため、操縦性や乗り味が異なるのが特徴です。BRZに比べて、86は走行性能に磨きをかけた高価格のスペシャルモデルを多く発売し、そういったモデルの中古車が市場に流通して、BRZよりも中古車相場が高くなっています。
2シーターオープンカーブームの火付け役「マツダロードスター」
1989年に初代モデルが登場して以降、スポーツカーの灯を消すことなく、進化しているのがマツダロードスターです。2シーターオープンカーですが、BRZと同じ後輪駆動を採用し「人馬一体」のクルマを操る楽しさを味わえるモデルです。2015年に登場した現行モデルは、車両重量の軽さを活かした軽快な走りを実現するライトウェイトスポーツへと原点回帰したモデルとなっています。特にソフトトップ車は1.5Lエンジンとなり、パワーを余すことなく使い切るという楽しさを味わえるモデルに仕上がっています。
新車では価格帯は違うが、中古車ならば同じレンジとなる「日産フェアレディZ」
6代目となる現行型日産フェアレディZは2008年に登場したロングセラーモデルです。ハイパワーな3.7L V型6気筒エンジンを搭載した後輪駆動のスポーツカーです。新車価格は400万円からとBRZとは価格レンジは異なりますが、中古車では同じ価格帯となります。まさにこれが中古車購入の醍醐味と言えるでしょう。駆動方式は同じですが、エンジンの出力が異なるフェアレディZ。中古車でのコストパフォーマンスはBRZ以上に魅力です。
中古車のBRZを賢く探すのなら
では、中古車BRZをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、オススメのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証されます。保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証を付けることができます。
カーセンサーnetのBRZの掲載件数は299件、価格帯は77万8000円~420万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月30日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証が付く「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のBRZ掲載台数は339件、価格帯は77万8000円~563万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月30日時点の情報です。
200万円以下の中古車を手に入れて、自分の好みに仕上げる
兄弟車の86と比べると中古車の流通台数は約3分の1にとどまっているBRZ。特に2016年に行ったマイナーチェンジ以降のクルマは非常に少なくなっています。そういうことであれば、流通台数が豊富な初期型を手に入れて、自分の好みに仕立てていくという楽しみ方がベストでしょう。スポーツカー=MTという考えの方もいるでしょうが、BRZのATはパドルシフトを搭載していて、思いどおりにシフトチェンジが行えます。したがってAT車でも十分スポーティーな走行を味わうことができるモデルと言えます。
よくある質問
Q1:中古車のBRZ、どれを買うべき?
A:圧倒的に流通台数が多い、初期モデルを狙うべき。グレードでは快適装備も充実している2.0Sが豊富なので、このグレードを中心に探すのが良いでしょう。
Q2:中古車のBRZを買うときに気を付けたいポイントは?
A:とにかく、そのクルマのこれまでのメンテナンスなど履歴がしっかりとわかる書類があることを重視しましょう。もし履歴がわかるものがない場合は、装着されているタイヤの銘柄やエンジンオイルの汚れなどをチェックして、コンディションを確かめましょう。スポーツカーですから、安いタイヤを装着しているというのであれば、前オーナーの使い方は想像つきます。
Q3:中古車のBRZはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがオススメです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のBRZに乗ることができます。
※記事の内容は2021年7月時点の情報で制作しています。