2006〜2012年に販売されたトヨタの大排気量エンジンを搭載したプレミアム・コンパクトカー「ブレイド」。この中古車が気になっている方へ、選び方のポイントとおすすめモデルをまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「ブレイド」はV6・3.5L車「マスター」
- 不人気車だが「小さな高級車」としてお買い得感はあり
中古車ブレイド、おすすめモデルはズバリこれ。V6・3.5L車「マスター」
2000年代の国産コンパクトカーで、V6エンジンを搭載したモデルは、ブレイド以外になかったような気がします。もう、この時点でブレイドのV6はおすすめモデルですね。
ブレイドに搭載されたV6エンジン「2GR-FE」は、2代目ハリアー、アルファード、2・3代目レクサス RXなどに搭載された定評あるエンジンで、最高出力280PS、パワーウェイトレシオは80スープラRZと同等となる“羊の皮を被ったオオカミ”。インテリアもアルカンターラに本革と贅沢な仕様です。
ただ、新車販売台数が低空飛行。フルモデルチェンジされずに1代で終わってしまったのは、カローラベースのコンパクト・ハッチバックに、高級車をかけ合わせたというパッケージングが、世間にあまり受け入れらなかったから。ニッチなカテゴリーですので、そこまで人気を獲得する必要はないのですが、トヨタの思惑ほど、消費者層は食いつかなかったのでした。
あえなく「不人気車」の烙印を押されてしまったブレイドですが、そもそも、トヨタの不人気車は中古車市場ではお買い得感の強いモデルばかりの傾向があります。プラットフォーム(車の骨格部分などの基本構造物)やエンジンは、人気モデルと同じもの。走行性能や乗り心地といった乗り味の味付けは異なりますが、中身は同じです。こう考えると、トヨタの不人気車は中古車では狙い目です。
筆者はV6・3.5Lを推しましたが、2.5L車もおすすめです。2.5Lエンジンを搭載したコンパクトカーも同世代の他モデルにはありません。「ライバル不在のトヨタの不人気車」はレアな存在でもあります。
中古車価格については次項をご覧ください。
★ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車ブレイド
この項では、ブレイドの販売開始から終了までの歴史と、タイプ別中古車相場価格、流通台数をまとめてお伝えします。
ブレイドの歴史
2006年12月21日「ブレイド」発売
「洒落た大人の高級ハッチバック」をテーマに開発された。当時はまだ現在のように「プレミアム・コンパクト」という言葉があまり使われていなかった時代、「小さな高級車」と形容されることがしばしばあった。トヨタ自動車は、「扱いやすいサイズのボディと、見る人をひと目で惹きつける先進的なデザイン、上級セダンに匹敵する充実の安全・快適装備、ゆとりの走行性能により、乗る人のプライドを満たし、遊び心もくすぐる、新たな魅力を備えたクルマを目指した」と発表した。
トヨタのラインナップ上のブレイドの位置付けは、ブレイドの発売の2ヵ月前、2006年10月に発売されたカローラの派生モデルで5ドア・ハッチバックの「カローラ オーリス」の上級車種、かつ2006年10月に販売終了した「カローラ ランクス/アレックス」の後継車となる。また、当時、エスティマやクラウンなど、上級車種でボディタイプが異なる車種からのダウンサイザー(ボディサイズや車格などを下げたモデルに乗り換える人のこと)の受け皿となるモデルというマーケティング戦略もあった。ブレイドは、上級車種に対しての下位互換車種、下級車種からの上位互換車種の両方の性格をもっていた。
▽エクステリア・ボディサイズ
トヨタ自動車は、「彫りの深い造形により、『走り』と『格の高さ』を感じさせる」と伝えていた。フロントフェイスは、プレミアム・セダンのような押し出しを感じさせる和風なスタイリングでまとめあげられた。ボディサイズは全長4,260mm、全幅1,760mm、全高1,515mm(グレードにより若干の差異あり)というコンパクトカークラスの全長に、3ナンバーサイズのワイドなボディが与えられた。
▽インテリア
「洒落た大人の高級ハッチバック」という開発テーマのとおり、上質感あるインテリアデザイン、素材が採用された。インパネ周りにはスエード調表皮を施し、シートには高級素材アルカンターラと本革のコンビシートを採用し、質感と座り心地・ホールド性にこだわった。ステアリングは、トヨタの高級車に採用される本革巻き4本スポークを採用した。また、3連LEDの間接光イルミネーションランプを天井に埋め込むといった空間演出もされた。
▽パワートレイン・足回り
エンジンは、コンパクト・ハッチバックとしては大排気量となる直列4気筒2.4Lガソリン、ハリアーやアルファード/ヴェルファイアなどに搭載される「2AZ-FE」型が搭載された。トランスミッションは、7速マニュアルモード付き「Super CVT(無段変速機)」が組み合わせられた(発売当時のパワートレインはこの組み合わせのみ)。駆動方式は、2WD(前輪駆動)と4WDを設定。リアサスペンションには、高級車に多く採用される、ダブルウィッシュボーン式が採用された。
▽安全性能
衝突安全ボディ「GOA」、歩行者傷害軽減ボディを採用。また、「VSC(横滑り防止装置)」、「TRC(トラクションコントロール)」、SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ、SRSニーエアバッグ(運転席)を標準装備した。
▽グレード・価格
グレード構成は2タイプ。グレード名を持たない標準グレードと、上級グレードの「G」の2タイプ。それぞれのグレードに2WDと4WDの両方が設定される、全4グレード構成で販売された。車両価格は、225万〜277万円。
2007年8月1日 V6・3.5Lエンジンを搭載した「マスター」追加発売
レクサス RX350などにも搭載される、V6・3.5L「2GR-FE」エンジンを搭載したグレード「マスター」「マスターG」が追加された。トランスミッションはパドルシフト付きのシーケンシャルシフトマチックを採用した「6 Super ECT(6速AT)」を組み合わせた。最高出力は280PS、最大トルクは35.1kgf・m、パワーウェイトレシオは5.25kg/PSと、80スープラRZ(直列6気筒3.0Lエンジンを搭載した2代目)と同等という、スポーツカー並みのスペックを誇った。足回りには、専用チューニングを施したサスペンション、ハイパワーと車両重量増加に対応するため16インチの大径ディスクブレーキを採用、17インチアルミホイールが装着された。車両価格は、277万〜323万円で販売された。
2008年10月7日 一部改良・マスターG“バージョンL”追加発売
「G」と「マスターG」をベースに、前席シートヒーター・パワーシート付きのフル本革シートに加え、メーターフード、アッパーボックス、ドアトリムアッパー、ドアアームレストといったインテリアの随所にも本革をあしらったラグジュアリーグレード「G “Version L”」「マスターG “Version L”」が追加発売された。エクステリアでは、クロムメッキ塗装のアルミホイール、琥珀色の専用フロントエンブレム、スモーク加飾フロントヘッドランプなどが装備された。また、同時に実施された一部改良では、全車でラゲージルームの容量を拡大、リアシートを倒さない状態でゴルフバッグを横にしての積載が可能となった。「バージョンL」の車両価格は、277万〜342万円で販売された。
2009年12月1日 マイナーチェンジ
ヘッドライトやフロントエンブレム、リアコンビネーションランプ、アルミホイールのデザインを変更し、メッキタイプのカラードサイドプロテクションモールを採用、さらに、シルバー塗装のフロントフォグランプガーニッシュ、リアバンパーガーニッシュに変更された。インテリアでは、パーキングブレーキをセンターレバー式から足踏み式ブレーキに変更して大型センターコンソールボックスを追加した。また、一部のグレードで、前席シートヒーター付き本革シートを採用した。車両価格は、230万〜330万円で販売された。
2012年6月27日 販売終了
販売台数低迷、不人気が販売終了の理由かと推測される。実質的な後継車は、2011年1月にデビューした「レクサス CT」。
こちらもおすすめ! <タイプ別>中古車ブレイド
ブレイドのグレードは、大きく分けると2.4Lは標準グレードと、「G」や「G バージョンL」などのG系、V6・3.5L車の3タイプとなります。
エンジン | グレード | 中古車相場価格 | 流通台数 |
---|---|---|---|
2.4L | 標準 | 18万〜70万円 | 20台未満 |
G系 | 10万〜60万円 | 45台程度 | |
V6 3.5L | - | 50万〜120万円 | 10台未満 |
※2021年7月23日時点
ブレイドならではのチェックポイント
ブレイドは年式が古いタマが多く流通しています。最も新しい年式は2018年ですが、モデル後半は販売台数が超低空飛行、トヨタ車にしては珍しい不人気車となってしまっています。このため、年式が新しいタマの流通台数は少なめです。
このような中古車市場状況ですので、チェックポイントは「保証の有無」です。なお、保証期間は1年以上、走行距離無制限のものがおすすめです。保証が付いていないものや、付いていても保証期間が短いものは、購入後の故障リスクや部品交換発生リスクが高いと考えましょう。
比べて検討!ブレイドのライバル車種
マツダ「アテンザ スポーツ」
ブレイドのようなコンパクトカークラスのボディに大排気量エンジンを搭載したラグジュアリー・コンパクト・ハッチバックとなる直接的なライバル車は不在(同年代の国産車において)。しいていえば、マツダのフラッグシップ・5ドア・ハッチバックの「アテンザ スポーツ」となるでしょう。
2021年7月23日時点の中古車価格帯は10万〜105万円、平均価格は約53万円、流通台数は50台未満となっています。
中古車ブレイドはここで探せ!
では、中古車ブレイドをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年7月23日時点、グーネットでは、ブレイドの掲載件数は77件、価格帯は9万~116万円、平均価格は約42万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年7月23日時点、カーセンサーでは、ブレイドの掲載件数は79件、価格帯は9万~116万円、平均価格は約39万円となっています。
国産車では珍しい大排気量プレミアム・コンパクトカー。不人気車ですが、お買い得感あり。
「トヨタの不人気車は、中古車市場ではお買い得なモデル」となっている状況があります。ブレイドもその一車種。エンジンやプラットフォーム(車の骨格部分となる主要構造物)は、人気車種と同じです。内外装の見た目やパッケージングに好みは分かれますが、この点がクリアすれば、お買い得な一台になるでしょう。ただ、注意したいのは、基本設計が古く、安全性能は現在販売中の新車に比べると、一昔前以上のチープなレベルとなることです。
よくある質問
Q1:中古車のブレイド、どれを買うべき?
A:ブレイドは、フルモデルチェンジされることなく販売終了、マイナーチェンジも1度行われましたが大きな変更はありませんでした。モデル構成もシンプルで、エンジンは2タイプ、グレードも2タイプを主軸に派生バージョンが設定されるというシンプルなものです。したがって、特に特定のモデルをピックアップして「これに乗るべき!」と強く推すものがない状況です。ブレイドは高級車の考え方で企画・開発されていますので、標準グレードでも満足度は高いかと思います。
Q2:中古車ブレイドを買うときに気を付けたいポイントは?
A:ブレイドは、しっかりとした保証が付いているかどうかが、気を付けたいポイントとなります。この点は前述の「ブレイドならではのチェックポイント」の項をご覧ください。
Q3:中古車ブレイドはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車ブレイドに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年7月23日時点のものです。