ミニバン市場から撤退したマツダ最後のミニバン「ビアンテ」。個性的なデザインと、ユーティリティの高さが光っていました。そんなビアンテの中古車をお探しの方に、選び方の注意点とおすすめモデルをまとめてお伝えします。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のマツダ「ビアンテ」は「SKYACTIV」
- ビアンテの売れ筋は2.0Lガソリンの「20S」
中古車ビアンテ、おすすめモデルはズバリこれ「SKYACTIV」
マツダ「ビアンテ」は、2008年5月にデビューし2018年3月まで販売されたミドルクラスのミニバン。フロントからリアにかけて流れるような傾斜でデザインされた個性的なエクステリアに、大きなウィンドウを採用した広い室内がウリでした。
1990年代から隆盛したミニバンブームに乗っかる形で、ライバル車より少し遅れてデビュー。それまでのマツダのミニバンには「プレマシー」がありましたが、人気ミニバンだったホンダ ステップワゴンやトヨタ ノア/ヴォクシーに比べると車高が低めで、ミニバンというより、車高の高いステーションワゴン、トールワゴンのイメージでした。そこで、マツダは、プレマシーをベースに、ミドルクラスのミニバン「ビアンテ」を投入したのでした。
しかしながら、2000年代後半には、ミニバンブームは鎮静化していき、SUVブームに取って代わられていきます。そのブームの変遷に沿うようにビアンテの人気も低下していき、ついにマツダがミニバン市場からの撤退並びにSUVへの注力を宣言、ビアンテは生産終了となってしまいます。
ビアンテは、直列4気筒2.0Lと2.3Lガソリンエンジンを搭載、駆動方式は2WD(FF)と4WD、全車ATですが、2.0Lガソリンは、2013年5月に実施されたマイナーチェンジで新開発の直噴エンジン「SKYACTIV-G 2.0L」へ換装され、ATはモデル初期では5速ATを2WD車に、4速ATを4WDに組み合わせていましたが、エンジン換装と同じタイミングで新開発6速ATへと変わっています。このため、ビアンテは前期型と後期型でパワートレインが大きく異なります(詳しくは後述の「ビアンテの歴史」の項をご覧ください)。
そんなビアンテの中古車を探している方への、おすすめモデルは、マイナーチェンジ後の後期型「SKYACTIV」。
後期型はモデル整理され、エンジンは2WD車に新設計「SKYACTIV-G 2.0」に6速AT、4WD車は従来型の2.0Lガソリンに4速ATという、2WD車と4WD車では、パワートレインがまるまる一世代異なるというアドバンテージが発生してしまいました。ビアンテの後期型は、前期型とパワートレインが変わらず、ビアンテ誕生以前より他モデルで搭載されていたパワートレインですので、現在からすると、ざっと20年以上も前のものとなってしまいました。いまどき4速ATはちょっと時代遅れですね…いっぽう、「SKYACTIV-G 2.0」+6速ATは今でもマツダの主力パワートレインで、多数のモデルに採用されています。
なお、後期型「SKYACTIV」は、装備が異なる「20C」と「20S」の2グレード構成の標準モデルと、フロントフェイスが異なる「グランツ」がラインナップされています。どちらがいいのかは、デザインの好みで決めてしまっていいでしょう。
ビアンテ 後期型「SKYACTIV」の年式は、2013〜2019年式となります(2013年式はマイナーチェンジ前のモデルが混在しますので注意してください)。中古車価格帯は、39万〜198万円となっています(2021年7月16日時点)。
★ほかにも!魅力的な中古車ビアンテ
この項ではタイプ別の中古車価格帯と、ビアンテの歴史を紹介します。
ビアンテの歴史
2008年5月9日 新型ミニバンの車名を「ビアンテ」とすることを発表
車名の由来は、「周囲を取り巻く・環境」の意味をもつ英語「Ambient(アンビエント)」からの造語で、「乗る人みんなの生活環境の一部となり、楽しく快適な暮らしづくりに貢献する」ことを意図したとのこと。この後、同年5月26日に、ビアンテの生産開始を発表、7月には予約受注を開始した。
2008年7月8日 「ビアンテ」発売
「見て、乗って、夢が拡がるZoom-Zoom Tall(ズームズームトール)」をコンセプトに開発、当時のクラス最長の室内長と室内幅で、クラス最大の広さを実現したミニバンとしてデビュー。それまでのミニバンにはなかった、フロントからリアに向かって流れるような躍動感ある個性的なデザインを採用。大きなウィンドウで明るく開放感ある室内と、死角の少なさも実現。エンジンは、2.0L直噴ガソリンと、2.3Lガソリンの2タイプ、駆動方式は2WD(前輪駆動)と4WDを設定、2WDには5速AT、4WDには4速ATを組み合わせた。車両価格は、219万〜269万円で販売。
2008年12月17日 特別仕様車・限定車を発売
最も売れているグレード「20S」をベースに、両側電動スライドドアなど人気の高いアイテムを装備した「20S リミテッド」と、「20CS」をベースに、ディスチャージヘッドランプなどのアイテムを装備した「20CS リミテッド」の2種類の特別仕様車をラインナップに追加した。また、バックカメラなどを装備した「20 ナビ スペシャル」を800台限定で発売した。特別仕様車2モデルは、2WDと4WDをそれぞれ設定し、車両価格が220万〜279万円、限定車も同様に両方の駆動方式を設定して、250万〜292万円で販売された。
2009年6月25日 一部改良
アイドリングストップ機構を主力グレード「20S」の2WD車に標準装備し、燃費を約7%改善、このほか、燃費計やエコランプ、横滑り防止機構「DSC」なども標準装備とした。車両価格は、213万〜270万円で販売。
2010年5月27日 マツダ90周年記念限定車「20S ナビ スペシャル」を発売
マツダ創立90周年を記念し、「20S」をベースに人気の高いHDDナビや駐車支援システムを追加装備しながら、ベース車「20S」より73,500円高というお買い得な限定車を設定した。販売台数は400台、価格は2WDが257万円、4WDが286万円。
2010年12月2日 一部改良
全車のシート生地を、緻密な織り表現の「ジャガードウーブン」に変更。「23S」には、室内のウイルスやアレル物質の侵入を抑制する機能や、消臭機能を有した「クリーンエアパッケージ」と、夜間や雨天での走行を快適にする「コンフォートパッケージ」を標準装備とした。車両価格は、213万〜279万円に値上げされた。
2012年1月26日 特別仕様車「GRANZ(グランツ)」を発売
2011年12月に開催された、第42回東京モーターショーで、マツダの新デザインテーマ「魂動」を取り入れて参考出品された「グランツ」が、「20S」をベースにした特別仕様車として発売。専用のフロントグリル、バンパーなどのエクステリアパーツを変更、インテリアの質感向上が図られた。駆動方式は2WDのみを設定、車両価格は250万〜257万円で販売。なお、「20S」はこのときに「クリーンエアパッケージ」を標準装備化し、車両価格が249万円に設定された。
2013年5月27日 マイナーチェンジ
2.3Lガソリンがラインナップから外れ、全車2.0Lガソリンとなったが、2WD車は、低燃費・高効率な2.0L直噴ガソリン「SKYACTIV-G 2.0L」に載せ替えられ、トランスミッションも新しい6速ATへ変更された。4WD車のエンジンは変わらず。内外装の一部変更や、装備の充実化が図られた。グランツも同様にマイナーチェンジされ、車両価格は249万〜283万円で販売された。
2017年9月 マツダ、ミニバン市場から撤退
ビアンテは生産終了。以降は在庫販売のみとなった。
2018年3月 販売終了
実質的な後継車は、3列シートを設定するSUV「CX-8」となる。
こちらもおすすめ! <タイプ別>中古車ビアンテ
●フロントフェイスが異なる「グランツ」の中古車市場の相場23万〜198万円
グランツは当時、発表されたばかりのマツダの新デザインテーマ「魂動」を採用したフロントフェイスをもっていました。現在のマツダ顔をしています。
●4WD車の中古車市場の相場16万〜169万円
4WDのミニバンにしては割安感がありますが、前述したとおり基本設計が古いパワートレインです。トランスミッションは4速ATの設定しかなく、2世代くらい前のクルマのように感じます。
●2.3Lガソリン車の中古車市場の相場14万〜60万円
ビアンテの新車販売グレード構成比のうち、ほとんどが2.0L車の「20S」系でした。2.3L車は稀少です。排気量の割に見合わない走行性能だったようです。
ビアンテならではのチェックポイント
ビアンテは年式が古く、走行距離が多いタマが目立っています。このため、中古車市場の価格帯は大きく開いています。基本設計が古いモデルでもありますので、保証がしっかりと付いた中古車を選ぶようにしましょう。保証期間は最低12ヵ月、走行距離無制限のものが安心です。保証期間が数ヵ月程度のものや、保証される走行距離が短いものは、故障リスクが高い車と考えましょう。
比べて検討!ビアンテのライバル車種
ホンダ「ステップワゴン」
ミニバンブームの火付け役。FF(フロントエンジンの前輪駆動)のミニバンはステップワゴンが初。ホンダならではの駆動方式ではありますが、それまでの商用バンベースのキャブオーバー(前席の下にエンジンを置く方式)から、ボンネット部にエンジンを置くFF(前輪駆動)方式にしたレイアウト変更も大きなポイント。その後のミニバンは、みなFFベースになりました。
2021年7月16日時点の中古車価格帯は4万〜380万円、平均価格は約68万円、流通台数は1,580台ほどとなっています。
日産「セレナ」
モーターの力強い走りと低燃費が人気のハイブリッド「e-POWER」を搭載。ビアンテと対抗する年式では、ガソリンモデルのみが直接的なライバルになります。
2021年7月16日時点の中古車価格帯は1万〜412万円、平均価格は約150万円、流通台数は8,600台ほどとなっています。
トヨタ「ノア」
こちらも人気のミニバン。兄弟車「ヴォクシー」もライバル車になります。
2021年7月16日時点の中古車価格帯は10万〜393万円、平均価格は約159万円、流通台数は3,900台ほどとなっています。
中古車ビアンテはここで探せ!
では、中古車ビアンテをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
グーネット
2大中古車検索サイトの1つ、グーネット。1977年に「中古車情報通信」の名称で創刊された中古車検索雑誌から歴史が始まった老舗です。
グーネットは「グー鑑定」と呼ばれる、中古車を探している人に代わって、プロの鑑定士が中古車の車両状態を鑑定するサービスを提供。この鑑定士は第三者機関の「日本自動車鑑定協会(JAAA)」に所属。公正な鑑定が行われています。これで鑑定された中古車は、内外装、エンジンやトランスミッションといった機関、修復歴などの評価をまとめた「グー鑑定証」が与えられ、中古車情報ページの「グー鑑定」のアイコンから、その鑑定証を確認することができます。
また「ID車両」と呼ばれる中古車の品質を公正に証明するサービスも提供しています。「グー鑑定」と似ていますが、こちらはディーラー独自の基準で厳しいチェックを行った中古車の鑑定結果を「車両状態評価書」にまとめたものとなります。これは中古車情報ページの「ID車両」のアイコンから、その評価書を確認することができます。
「グー鑑定」や「ID車両」対象車は、全体の2割程度となっています。なお、非対象車は品質が良くないという意味ではありません。
さらに「グー保証」と呼ばれる、グーネット独自の中古車保証制度も提供しています。保証期間は国産車が最長3年で部品交換や修理から、移動中のキー閉じ込めなどのトラブル対応やレッカー移動などのロードサービスも全国24時間365日対応で付属(ロードサービスは自動車保険にも付いていることが多いですが)。なお、グー保証対象車は全体の1割程度となっていますが、これが付いていなくても、トヨタ保証やディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は多くあります。
2021年7月16日時点、グーネットでは、ビアンテの掲載件数は452件、価格帯は12万~198万円、平均価格は約57万円となっています。
カーセンサー
2大中古車検索サイトのもう1つ、カーセンサー。1984年に中古車情報雑誌「カーセンサー」が創刊、今はグーネットと肩を並べる老舗中古車検索サイトとなっています。中古車掲載台数は、時期によって変動しますが約50万台。この台数はグーネットとほぼ同じで、掲載される中古車物件もほぼ同じとなります。これはほとんどの中古車販売店が、カーセンサーとグーネットの両方に掲載登録している背景があるためです。
カーセンサーは「カーセンサー認定」と呼ばれる中古車の品質鑑定情報を提供しています。鑑定は、第三者機関の「AIS」が行い、内外装の状態から目立たない小さなキズまで厳しくチェックし10段階評価しています。鑑定結果は、中古車情報ページから「車両品質評価書」で確認することができます。カーセンサー認定中古車は、全体の1割程度となりますが、この認定中古車でなくても、一般財団法人日本自動車査定協会の「V-CON」や、トヨタ、ディーラーの品質評価制度に基づく検査結果が掲載された中古車が無数にあります。
また「カーセンサーアフター保証」と呼ばれるカーセンサー独自の有償保証制度を提供。これは、エンジン、トランスミッションといった機関から細かい電装装備品まで全350項目を保証、走行距離無制限で最長3年まで加入できる手厚いものとなっています。カーセンサーもグーネット同様に、カーセンサー保証対象車でなくても、トヨタ保証、ディーラー保証、中古車販売店保証が付いている中古車は無数にあります。
カーセンサーのスマホアプリでは、写真からアリオンが検索できる機能を備えています。街で見かけて気になった車を撮影して、アプリからアップロードするとアリオンを特定、そのまま中古車情報を調べることができる便利な機能。中古車探しのライフハックツールとしてもおすすめです。
2021年7月16日時点、カーセンサーでは、ビアンテの掲載件数は440件、価格帯は10万~198万円、平均価格は約46万円となっています。
個性的なデザインで実用性の高いミニバン。マイナーチェンジ前後で基本性能が大きく変わることに注意
ミニバンにしては流麗なデザインのビアンテ。車室内が広く使いやすいモデルです。中古車価格帯に開きがありますので、選ぶときには保証がしっかりと付いたものを候補にするようにしましょう。また、2WD車はマイナーチェンジ前後で、パワートレインががらりと変わります。排気量は同じですが注意が必要です。
よくある質問
Q1:中古車のビアンテ、どれを買うべき?
A:予算が許すなら、マイナーチェンジ後の後期型の2WDがおすすめです。後期型の2WDには「SKYACTIV」の名称がグレード名に付与され、新設計のエンジンとトランスミッションを搭載し、走行性能と環境性能に優れる低燃費なパワートレインが採用されています。
Q2:中古車ビアンテを買うときに気を付けたいポイントは?
A:年式が古く、走行距離が多いタマが目立っています。基本設計も古いモデルですから、しっかりと保証が付いた中古車を候補に挙げてください。保証期間は12ヵ月以上、走行距離無制限のものが安心です。
Q3:中古車ビアンテはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサー、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車ビアンテに乗ることができます。
※当記事記載の中古車価格等の情報は、2021年7月16日時点のものです。