フォルクスワーゲンゴルフが君臨する欧州Cセグメントに真っ向勝負を挑むべく2006年にデビューした初代オーリス。パッケージングや走行性能は欧州基準そのものといえる高いポテンシャルを備えた国産車として評判となりました。2012年にデビューした2代目も斬新なスタイリングと俊敏な走行性能をもつスポーティーなモデルとして高い人気を得ています。中古車の購入を考えるのであれば初代より2代目がおすすめ。2代目も登場から、年数が経っていることもあり中古車は比較的数多く流通しています。今回は中古車のオーリスならどのモデル、グレード、年式のものを買えば一番お得なのか、間違いがないのかという正しい買い方に加えて、気になる最新の中古車相場の状況などを専門家の目線で徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のPOINT
- 一番推したい中古車のトヨタ「オーリス」は120T
- やすさ重視ではなく先進安全装備付きの中古車を選ぶべき
中古車のオーリス、おすすめモデルはズバリこれ。自分なら120Tを100万円前後で買う!
2015年4月のマイナーチェンジで追加された「120T」は1.2L直噴ターボを搭載する、当時、欧州車で流行りとなっていた小排気量ターボエンジンを搭載したモデルです。
オーリスには1.5L、および1.8Lエンジンが用意されていましたが、排気量で劣るにもかかわらず「120T」は最も価格が高いグレードとなりました。排気量はほかのグレードより小さいとはいえ動力性能はNAエンジンの2Lと同水準。しかも燃費は1.5Lエンジン車より優れていたのです。
エンジン自体については低速域でのトルク不足を感じるユーザーもいたようですが、吹け上がりは上々。特に中速域でのパワーは十分で街なかから高速道路まで幅広いシーンで扱いやすいエンジンでした。
このエンジンだけでも「120T」を買う意味は大きいのですが、このモデルの登場とともにオーリスにはトヨタの先進安全装備「TOYOTA Safety Sense C」が新たに設定されました。もちろん最上級グレードとなる「120T」にも備わっています。
また、リアサスペンションがダブルウィッシュボーン式になるなど「120T」は機能も充実。新車時は当時、売れ筋だった1.5Lエンジン搭載グレードより50万円以上高かったのですが、前述したような動力性能の差や本革シートなどの装備差もあるので、値段の差は納得がいく内容といえるでしょう。
中古車相場は80万〜150万円。価格が安い中古車は走行距離が10万km近く走っている車両も多いのですが、100万円前後で5万km以内の車両があれば買いの1台です。
ほかにもこんなに!お買い得で魅力的な中古車のオーリス
イチオシモデルとして紹介した120T以外にも、オーリスはさまざまな視点から魅力的な中古車を探すことができます。パワーユニットの違いや多彩なグレードの中から、自分の好みに合わせて程度の良い車両を探しましょう。
オーリスのモデルチェンジ、マイナーチェンジ一覧
2006年10月23日、初代オーリスがデビュー。
カローラランクスやアレックスの後継的モデルでありながら、VWゴルフなどライバルがひしめく欧州Cセグメントでの販売争いを見据え、新開発のプラットフォームを採用するなどして世界戦略車として開発されました。
エンジンは1.8Lと1.5Lをラインナップ。カローラをはじめとする当時のトヨタ車とはひと味違う欧州テイストのモデルとして注目を集めました。
2008年1月29日、特別色や運転席と助手席で別々に温度設定が可能な左右独立温度コントロールオートエアコンを備えた特別仕様車「150X“Mパッケージ・グレージュセレクション”」、「180G“グレージュセレクション”」を設定。
2008年12月8日、スマートエントリー機能を助手席&バックドアに採用するなどの一部改良を実施。
2009年10月にはマイナーチェンジを実施。1.8Lエンジン搭載車にバルブマチックを新たに採用し、パドルシフトを標準装備。6速MTを搭載した「RS」を新設定しました。
2010年10月5日に1.5Lエンジン搭載車(4WDは含まず)の燃費性能を向上させるなどの一部改良を実施。
2011年5月に特別仕様車「150X“プラチナセレクション”」を新たに設定。
2012年8月20日にフルモデルチェンジ。
2代目となったオーリスは主要マーケットとなる欧州市場の数あるライバル車たちとの競争力を高めるため“スポーツハッチバック”を前面に掲げ登場しました。
デビュー時は1.5L&1.8Lエンジンを用意。スタイリングはもちろん、先代から引き続きスポーツグレード「RS」をラインナップし、1.8Lエンジン搭載車のリアサスペンションはダブルウィッシュボーンを備えるなど見た目だけでなく中身も充実していました。
2014年5月7日に、シート表皮やインパネなどにオレンジステッチをアクセントにした本革を採用した特別仕様車「150X“Blackish Lounge”」を設定。
2015年4月6日にマイナーチェンジを実施。デビュー以来最大となる改良で、新開発1.2L直噴ターボエンジン搭載車を追加、衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」の設定、さらにフロアグリルなどを中心とした内外装デザインの変更が行われました。
2015年9月24日には、「機動戦士ガンダム」とコラボしトヨタマーケティングジャパンとトヨタモデリスタが開発した「シャア専用オーリスII」の市販モデルを発表(発売は10月1日から)。
2016年4月18日に、ハイブリッドグレードを新たに設定。
合わせて1.2Lエンジン搭載の「120T“RS Package”」を新たに追加しました。
2018年3月、日本仕様の生産および販売を終了。後継モデルとしてカローラスポーツが登場し、オーリスは日本のみならず欧州市場でもブランドが廃止されています。
こちらもおすすめ!タイプ別にオーリスの中古車を選ぶなら
イチオシモデルとして紹介した120T以外にも、オーリスはさまざまな視点から魅力的な中古車を探すことができます。オーリスを選ぶポイントは、装備が充実しているモデルを選ぶか、また走りを重視したモデルを選ぶかに大きく分けられます。いずれもリーズナブルな車両も数多く出回っていますが、10万km近くの距離を走っている中古車が大半です。特に走りを重視したグレードを選ぶ場合は予算を増やしても程度の良い車両を探すことが重要となります。
●走るホットハッチが欲しいなら「RS」 中古市場の相場80万〜160万円
オーリスにはスポーツグレードが用意されています。とにかく楽しく走ることを重視し、装備はそこまでこだわらないという方にとって「RS」は大変魅力的なグレードになります。
6速MTのみを用意しCVTの設定はなし。1.8Lエンジンを搭載しながら快適装備は1.5Lエンジン搭載のエントリーモデルと同様のダイヤル式のエアコン。スマートエントリー&スタートシステムもつかないと、とにかく装備を簡略化し車両価格を安く抑えています。一方、スポーツシートを備えるなど運転するための装備は充実、走るための仕様になっているのが特徴といえるでしょう。
専用チューンが施された最高出力144psの1.8Lエンジンは、突出した速さこそないものの6速MTとの組み合わせは走る喜びを味わえること間違いなし。程度の良い中古車を探すのは簡単ではありませんが、ホットハッチを求める方には最適なグレードです。
●装備充実だけれどリーズナブルなグレードを希望するなら「150X」 中古市場の相場50万〜170万円
オーリスの見た目が好きだけれど、そこまで走りにこだわらないという方には標準仕様にもかかわらず装備が充実している「150X」がおすすめ。
「RS」とは違い、オートエアコンを完備。スマートエントリー&スタートシステムが備わるなど「装備はこれだけあれば十分」と思わせてくれるグレードです。
中古車市場でも比較的タマ数は豊富で、しかもオプションとなるバックカメラやフルセグ対応のナビが備わっている中古車も少なくありません。高年式で走行距離も5万km以下の100万〜120万円の車両をターゲットにして、選ぶことをおすすめします。
●とびきりの個性を求めるなら「180Sシャア専用オーリスⅡ」中古市場の相場 –
初代オーリスに設定され人気を博した「シャア専用オーリス」に続き、2代目にも設定されたのが「シャア専用オーリスII」。
4種の車体グレードから選ぶことができるコンプリートカーが300台限定で販売されましたが、とにかく街なかで目立つこと間違いなし。数あるグレードや特別仕様車の中でも特別な1台に仕立てられています。
ガンダム好きなら気になるモデルなのは間違いないのでしょうが、問題は中古車が市場に出回らないこと…。現在、販売されている中古車は見当たりませんでした。
ただ、根気よく探すことで手に入れることはできるはず。欲しいなら時間をかけて入手できるタイミングを待ちましょう。
中古車のオーリスならではのチェックポイントはココ
先進安全装備を求めるなら2015年4月以降のモデルを探すべし
今やついているのが当たり前ともいえる先進安全装備。走行中の安心感や疲労を軽減してくれる優れた装備ですが、オーリスにトヨタの先進安全装備「Toyota Safety Sense C」が備わるのはデビュー後、しばらくしてから。2015年4月のマイナーチェンジで初めて設定されました。
衝突回避支援パッケージ重視で中古車を探す場合、「Toyota Safety Sense C」搭載車を探しましょう。
パノラマルーフは一部グレードに装着不可
2代目オーリスには前後シートの頭上に開放感を与える広大なガラスルーフ「パノラマルーフ」がオプションで用意されていました。
電動サンシェードも組み合わされた魅力的な装備ですが、150X”C Package”、150X”S Package”の4WD車、RSには設定できません。パノラマルーフ装着車を求める場合は、これら以外のグレードを探す必要があります。
オーリスの中古車と比べたいライバル車種はコレだ!
2Lエンジンがもたらすゆとりを楽しむなら「マツダアクセラスポーツ」
現行モデルからマツダ3に名称が変更されたマツダアクセラ。中古車市場で2代目オーリスのライバルとなるのが3代目アクセラの5ドア仕様、アクセラスポーツです。
アクセラの利点は多彩なパワーユニットを用意していること。1.5L&2Lガソリンに加え、2.2Lディーゼル(のちに1.5Lディーゼルも追加)、さらにハイブリッドモデルがラインナップされていました。
個人的にイチオシは2.2Lディーゼルエンジンを搭載するXD。ディーゼルですが最上級のスポーツ仕様と位置付けられていたモデルです。
3代目アクセラスポーツの中古車相場は50万〜230万円。ちなみに2.2Lディーゼル搭載のXDは60万〜230円となっています。
アクセラスポーツはほかのマツダ車同様に、デビュー後、多くの改良が施されています。パワーユニットや安全装備など、購入時に重視したいポイントを踏まえた上でアクセラの中古車を探しましょう。
ボクサーエンジンがもたらす走行性能を味わいたいなら「スバル4代目インプレッサスポーツ」
スバル自慢の水平対向エンジンと4WDシステムを備える4代目インプレッサの5ドア仕様、インプレッサスポーツは2代目オーリス最大のライバルといえるでしょう。
インプレッサスポーツには2台目オーリスにはない2Lエンジンが用意されているのですが、意外なことに新車販売時にはオーリスの1.5Lエンジン搭載グレードとの価格差がほとんどないお買い得な1台でした。
4代目インプレッサスポーツの中古車相場は30万〜180万円。販売されている中古車の多くが2Lエンジン搭載車というのもうなずけます。
水平対向エンジン独自のフィールや先進安全装備アイサイトを備えるインプレッサスポーツは間違いなく魅力的な1台。オーリスとの比較ではかなり迷いそうです。
小排気量ターボと3列目シートを求めるなら「ホンダジェイド」
「え、ジェイドがオーリスのライバル?」と疑問を持つ方も多いかと思いますが、ジェイドをミニバンではなく緊急用3列目シートを備える大きめの5ドアハッチバックととらえると、中古車市場で両車は比較対象になると考えます。
特に2018年5月に行われたマイナーチェンジで追加された「RS」はオーリスのイチオシグレード「120T」と同じ小排気量直噴ターボ(とはいえこちらは1.5Lエンジンですが)を搭載するスポーツ仕様。
中古車相場は110万〜250万円とやや割高ではありますが、130万円前後で50,000km以下の車両が購入でき、ラゲッジの使い勝手はオーリスよりも一歩上回るジェイドは手強いライバルではないでしょうか。
中古車のオーリスを賢く探すなら
では、中古車オーリスをどこでどのように探したらよいでしょうか。カーライフを賢くスムーズに始めるのに、おすすめのサービスや販売店をご紹介します。
カーセンサーnet
カーセンサーnetは中古車情報誌時代から数えて40年近い歴史と実績を誇る検索サイトで、サイト上には約50万台の情報が掲載されています(※)。車の状態を示す評価について独自の認定システムを導入しているので、こうした評価を目安にすれば、車に詳しくない方でも安心して車選びができるでしょう。
また、「カーセンサーアフター保証」に加入すれば、業界最多水準の350項目の部品について修理が保証されます。保証料金は車に合わせて細かく設定できるので、無駄なく予算に合わせた保証をつけることができます。
カーセンサーnetのオーリスの掲載件数は651件、価格帯は50万~190万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月26日時点の情報です。
グーネット中古車
先述のカーセンサーnetと同じような中古車情報サイトで、こちらも約50万台が登録されています(※)。グーネット中古車にも、検査協会などが車の状態を評価する「ID車両」という制度や、最長3年まで走行距離無制限でさまざまな保証がつく「Goo保証」などの制度があります。
グーネット中古車のオーリス掲載台数は638件、価格帯は20万~180万円となっています(※)。
※いずれも2021年7月26日時点の情報です。
現代のクルマに通じる機能を備えたオーリスの中古車を選びたい
フォルクスワーゲンゴルフを始めとする欧州ハッチバックに引けを取らない魅力を備えたオーリス。現在はカローラスポーツが後継モデルとなりブランドは消滅してしまいましたが、2代目のエクステリアデザインは今見ても古さを感じません。
見た目だけでオーリスを購入したいという気持ちは十分理解できますが、購入するのであれば今時のクルマに求められる安全装備や機能も備わっているほうがより充実感を味わえるのではないでしょうか。
イチオシの120Tはもちろん、先進安全装備が備わった2015年4月以降のモデルを狙うのがマストだと筆者は考えます。
予算の都合もあるとは思いますが、見た目だけではなく機能も今時のクルマに劣っていないオーリスを購入することを強くおすすめします。
よくある質問
Q1:中古車のオーリス、どれを買うべき?
A:おすすめは1.2L直噴ターボを搭載する120T。先進安全装備「Toyota Safety Sense C」も備わっています。
Q2:中古車のオーリスを買うときに気を付けたいポイントは?
A:「Toyota Safety Sense C」は2015年4月以降の登録車に設定。またパノラマルーフはRSなど一部グレードには設定不可でした。パノラマルーフ装着車を狙っている方はグレードを確認しましょう。
Q3:中古車のオーリスはどこで手に入れればいい?
A:購入するなら全国の販売店の窓口となっているカーセンサーnet、グーネットなどの中古車情報検索サイトを活用するとよいでしょう。頭金や初期費用の一括払いが必要ない方法を探しているなら、定額カルモくんがおすすめです。支払いは毎月定額の利用料金だけなので、すぐにお好みの中古車のオーリスに乗ることができます。
※記事の内容は2021年7月時点の情報で制作しています。