車の安全性能は、かつてはシートベルトやエアバッグなどの衝突安全性が中心でしたが、今では衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術による予防安全性が中心になりつつあります。先進安全技術の充実度は車種によって大きく変わるので、安全で快適なカーライフを送るためには安全性能をしっかりと確認して車を選ぶことが大切です。
ここでは、三菱「タウンボックス」の安全性能について紹介します。
この記事のPOINT
- タウンボックスは予防安全技術「e-Assist」を全車に標準装備している
- 2019年の一部改良で安全性能を強化
- タウンボックスは全車が「サポカーSワイド」に該当する
タウンボックスの安全性能の特徴
2015年3月に登場した現行型のタウンボックスは、登場時から予防安全技術「e-Assist」を標準装備しています。その当時は今ほど先進安全技術が発達していなかったこともあり、低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM-City」と誤発進抑制機能のみの搭載でした。
先進安全技術は各メーカーが力を入れているため、進化の速度が速い傾向があります。タウンボックスはモデルライフが長くなるにしたがってほかの軽自動車に安全性能で見劣りするようになりつつあったといえるでしょう。
しかし、2019年7月の一部改良では、衝突被害軽減ブレーキの精度を向上させるとともに先進安全技術の追加が行われました。これによりタウンボックスは経済産業省や国土交通省が普及を推進する先進安全技術を搭載した車「セーフティ・サポートカー」、通称サポカーの中でも、装備内容が充実した最上級の分類である「サポカーSワイド」に該当する安全性能を持つ車へと進化しています。
タウンボックスに搭載される「e–Assist」の内容
ここからは、タウンボックスに搭載される「e–Assist」には、どのような先進安全技術が搭載されているのかを見ていきましょう。
衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]
システムが自車の前方にいる車両や歩行者を検知し、ぶつかる危険があると判断すれば自動ブレーキを作動させて衝突回避・衝突被害の軽減をサポートする機能です。
従来はレーザーレーダーによって対象物を検知していましたが、2019年7月の一部改良時にレーダーの代わりにステレオカメラを採用することで、車両に加え、歩行者の検知も可能としました。また、それまでは作動車速域が約5~30km/hまでの低速域のみであったのに対し、約5~100km/hまでの幅広い速度域にまで作動域を広げているのも特筆すべきポイントでしょう。
誤発進抑制機能(前方・後方)
進行方向に壁などの障害物を検知している状態でアクセルが強く踏み込まれると、システムがエンジン出力を自動制御して急発進・急加速を抑制し、ペダル操作ミスによる衝突事故の回避に貢献する機能です。
後退時ブレーキサポート
タウンボックスには、リアバンパーに設置された4個のセンサーが後方の障害物を検知して自車との距離を測定し、距離に応じてブザー音を4段階に変化させることでドライバーに障害物との接近を知らせる「リアパーキングセンサー」が採用されています。
さらに、障害物との衝突が避けられないと判断した場合には自動ブレーキを作動させる「後退時ブレーキサポート」機能によって、後退時の衝突被害の軽減を図ります。
ハイビームアシスト
夜間にハイビームを使用して走行している際、街灯のある明るい場所を走行したり、先行車・対向車がいたりする場合は自動でハイビームとロービームを切り替える機能です。
切替え忘れをなくすほか、手動切替えの手間を減らして安全運転に貢献します。
車線逸脱警報機能
約60~100km/hで走行中にシステムが左右の区画線を認識し、進路を予測します。その上で車両が車線をはみだす危険があるとシステムが判定した場合には警報を発してドライバーに知らせる機能です。
ふらつき警報機能
システムが車線を認識すると、自車の走行パターンを計測します。車両が蛇行するなど「ふらつき」であると判断した場合には、警報によってドライバーに注意喚起します。
作動速度域は車線逸脱警報機能と同じです。なお、車線逸脱警報機能・ふらつき警報機能ともにステアリング制御などの回避操作をサポートする機能は搭載されていません。
先行車発進お知らせ機能
信号待ちや渋滞時など、ブレーキペダルを踏んで停止している際に、先行車が約4m以上離れても停止し続けると音や表示でドライバーに先行車の発進を知らせ、出遅れ防止をサポートする機能です。
「e-Assist」以外の安全をサポートする機能
タウンボックスには、「e-Assist」以外にも安全性を高める機能が採用されています。
エマージェンシーストップシグナルシステム
約55km/h以上で走行中に急ブレーキを踏んだ場合、通常のブレーキランプの点灯に加えてハザードランプを自動で点滅させることで後続車に急ブレーキを知らせる機能です。早い段階で後続車のドライバーに急ブレーキに気づいてもらうことで追突の危険を減らせるようにサポートします。
ヒルスタートアシスト
坂道発進の際、アクセルペダルからブレーキペダルに踏み替える瞬間に最大2秒間ブレーキを維持し、車両の後退を一時的に防止する機能です。
「サポカーSワイド」に該当するタウンボックスで、安心・快適なカーライフを楽しもう
タウンボックスには最新鋭の運転支援機能やステアリングの制御を伴う高度な機能は採用されていませんが、「サポカーSワイド」の認定に必要な先進安全技術は全車に搭載されています。
「サポカーSワイド」は今の時代に誰もが安心して運転できる車であるという、ひとつの基準です。タウンボックスは、日常的に使用する車として必要な安全性能を備えたモデルといえるでしょう。
よくある質問
Q1:タウンボックスには先進安全技術は標準装備されているの?
A:はい、タウンボックスには全車に予防安全技術「e-Assist」が標準装備されています。なお、2019年7月の一部改良では、レーザーレーダーに代わりステレオカメラを採用して衝突被害軽減ブレーキの精度を向上、さらに多数の先進安全技術を搭載するなど、安全性能を強化しました。
Q2:タウンボックスに搭載される先進安全技術にはどんなものがあるの?
A:車両と歩行者を検知して衝突の危険があれば自動ブレーキを作動させる「衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]」、エンジン出力の制御によってペダル踏み間違い時の急発進・急加速による衝突の回避、衝突被害軽減をサポートする「誤発進抑制機能(前方・後方)」、車線からはみ出しそうになるとシステムが警報を発する「車線逸脱警報機能」などの先進安全技術が搭載されています。
Q3:タウンボックスはどの「サポカー」に該当するの?
A:タウンボックスは、サポカーの中でも最も装備内容が充実した分類である「サポカーSワイド」に全車が認定されています。
※記事の内容は2021年4月時点の情報で執筆しています。